七夕の悲劇とは、以下のことを表す。
765Comm@ndは、今までのアイマスMAD作成で背景を変えようとするときに大きな障害になっていた「抜き作業」からニコマスPを解放し、頂点P並のブルーバック画像を容易に入手することができる画期的技術である。しかし、ブルーバック素材の開発を手掛ける映像加工技術者、および抜きによるPVを作成中であった一部プロデューサーにとっては寝耳に水の出来事であった。
七夕革命前夜まで続けられた手作業による地道な抜き素材の製作や抜きを自動化するツールの開発など、積み上げてきた成果が一夜にして瓦解した、まさに革命による犠牲と呼ぶべき悲劇である。
1998年、千葉ロッテマリーンズは開幕から好調だった。
4月と5月を20勝21敗とそこそこの成績で乗り切り、ここから再び首位を狙っていく、はずであった。
6月13日、対オリックス・ブルーウェーブ12回戦。
先発の小宮山が5回途中5失点と大乱調。
試合も逆転負けを喫する。
ここからが長いトンネルの始まりだった。
そこからは投打のかみ合わない試合が続いた。
18安打を放ちながら勝てず・・・
9回に逆転するも勝てず・・・
背景には、抑え不在による終盤の不安定さがあった。
“ダブルストッパー”成本年秀、河本育之の故障に加え、補強したスコット・デービソンも5月に故障。
近藤昭仁監督は窮余の策として黒木を抑えに配置転換したが、コレが裏目。
先発完投型の黒木はリリーフに適応できず、立て続けに炎上。
救援失敗を3度繰り返し、連敗が10にまで伸びたところで、近藤監督はストッパー黒木を諦めた。
そういう試合を繰り返し、気づけば15連敗。
次負ければパ・リーグ新記録&日本タイ記録という状況にまでなってしまっていた。
連日の連敗記録はスポーツニュースで盛んに取り上げられるようになり、
記録がかかったこの日のマリンスタジアムには2万人超の観客が集まった。
しかし試合はダイエーが城島健司、井口資仁のホームランなど21安打の猛攻。
対するロッテは2度の満塁機を含む3併殺など打線が噛み合わず、10-3で敗戦。
ヤクルトアトムズが1970年に作ったNPB記録に、とうとう並んでしまった。
7日に先発予定の黒木はロッカールームでモニター観戦していたが、
10点目をとられた7回で見るのをやめた。
「16連敗に怒ったファンが、暴動を起こすのではないか…」
1996年、ダイエーの選手らが乗るバスをファンが取り囲み、生卵を投げつける事件があった。
それを思い出して恐ろしくなった黒木は、試合途中で球場を逃げ出してしまったのだ。そして…
自宅でスポーツニュースを見た黒木は、愕然とする。
黒木が恐れたとおり、試合終了後のスタジアム正面には、500人ものマリーンズファンが集まっていた。
しかし…
俺達の誇り、千葉マリーンズ!
どんなときも、俺達がついてるぜ!
突っ走れ、勝利の為に!
さあ行こうぜ!千葉マリーンズ!ラララララ......
16連敗を喫したマリーンズを「俺達の誇り」と歌い続けるファンの姿が、そこにあった。
黒木はファンを恐れ、逃げだした己を恥じた。そして誓った。
「これからはファンの為に投げよう。懸命に投げよう」
「次は最初から目一杯行く。腕が千切れたって構わない!」
そして七夕の夜、悲劇の幕は開いた。
ロッテ先発はエース黒木、対するオリックス先発は木田であった。
パ・リーグで、かつ5位と6位の試合。しかも平日のナイター。
にも関わらず、グリーンスタジアム神戸には2万人を超える観客が詰めかけた。
さらに、テレビの全国中継まで入っていた。
試合はロッテが福浦和也、フリオ・フランコの犠牲フライ、マーク・キャリオンのHRで3点を取り試合を優勢に進める。
黒木は4回に暴投で1点を与えたものの、8回を僅か2安打に抑え、打線の援護に応えた。
この間、黒木は全く覚えていないという。
真夏の夜に初回から飛ばし過ぎたツケで、体は途中から脱水症状を起こしていた。
どんなに水を飲んでも体調は戻らず、球威も徐々に落ちていった。
ところが9回、黒木の球威は突然復活した。黒木曰く「ゾーンに入った状態」だったという。
先頭のイチローを空振り三振にきって取る。1アウト。
次打者トロイ・ニールはヒットで1アウト1塁。
続く谷佳知は三振で2アウト1塁。
そしてバッターは今日無安打のハービー・プリアム。
勝てる・・・勝てるんだ・・・!
カウントは2-1、あと1ストライクで勝てる・・・!
だが、黒木が投じたこの試合の139球目は福澤洋一の構えたミットではなく…
無情にも、マリーンズファンが集まるレフトスタンドに吸い込まれていった。
プリアムの同点HR。
その場に崩折れた黒木は、立ち上がることができなかった…
その後、試合は延長12回にオリックスの代打、広永益隆が代打満塁サヨナラHRを放ちオリックスが勝利。
この瞬間、ロッテの17連敗が確定し、連敗の日本記録を更新した。
力を使い果たした黒木は脱水症状からくる全身の痙攣に襲われ、一時は命を落とす危険性すらあったという。
結局翌日の試合も負け、連敗記録は18まで伸びたが、翌々日は連敗の始まりとなった試合の敗戦投手である小宮山が完投(9回140球6失点)し勝利。晴れて連敗は止まったのであった。
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最終更新:2025/12/11(木) 22:00
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