世界恐慌 単語


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セカイキョウコウ

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世界恐慌とは、世界全体に広がった経済の混乱のことである。

株価が大暴落すると何かと「世界恐慌」と言われることがあるが、ほとんどの場合は1929年から数年続いた世界恐慌(大恐慌)を指すため、当記事でもこれを説明する。

概要

1929年10月、アメリカ合衆国・ニューヨークのウォール街にある証券取引所で株価が大暴落した。これによる不況が世界に広まり、後に「世界恐慌」と呼ばれるほどの大不況となった。

世界各国で失業率が増加し、アメリカ合衆国では1200万人の失業者が生まれた。実に労働人口の4人に1人にあたる。ドイツの場合、失業率は40%にも及んだ。

不況の影響は日本も例外ではなく、昭和恐慌が発生した。日本の場合は200万人以上の失業者が出たとする推計もある。

この不況が第二次世界大戦の遠因となった。

世界恐慌の背景

恐慌がここまで拡大した背景は複雑であり、現在でも様々な議論が交わされている。そのため複数の文献・Webサイトを見ると、それぞれ違うものが挙げられていることもある。当記事ではよく言われていると思われる背景を取り上げる。

生産過剰・需要縮小

1920年代のアメリカは絶頂期にあった。具体的にはニューヨークに高層ビルが立ち並び道路を自動車が走り回るようになった。また、映画が浸透し、あの有名なネズミが生まれたのもこの時期である。ラジオや電話といった機械や、電力・水道といったインフラも整備されていった。

このような画期的な商品・サービスが生まれた時代であるため、1920年代には「新しい商品を作れば作るほど売れ、売れば売れるほど儲かる」状態だった。しかし、それらが普及していくにつれて需要が低下し、徐々にものは売れなくなっていった。

農業不況

特に農業の場合はウォール街での大暴落以前から不況に陥っていた。

第一次世界大戦のときには、アメリカはヨーロッパ諸国に多くの農産物を輸出していた。しかし、ヨーロッパ諸国の経済が安定してくると輸出量は減り、農産物が売れないようになった。これが先述した需要の低下の一因になった。

空前の投機ブーム

ものが売れなくなれば、企業は生産する数を減らして対応する。だが、当時の企業はそうしなかった。株を買って投資してくれる人がたくさんいたためである。

投資家や大企業に加え、投資信託という形で中小企業や一般民衆にも株が広まり、一体何なのか深く理解しないまま買ってしまう人も多かった。靴磨きの少年でさえも株の話をしていたという逸話もある。

これにより、アメリカ経済は実態とかけ離れて投資が過剰に行われるバブル経済へと突入することになる。それが崩壊した結果がウォール街の大暴落である。

債権国アメリカ

当時のアメリカは債権国だった。アメリカは、第一次世界大戦のときのイギリスやフランスからの戦債を元にして発展していた。これが1920年代のアメリカの好況の一因である。そしてアメリカは敗戦国のドイツに資金援助を行い、ドイツは戦勝国のイギリス・フランスに賠償金を支払っていた。

アメリカが不況になると、アメリカ資本がドイツから撤退したため、ドイツが不況に陥った。さらにドイツが1931年に賠償金の支払いを一時停止した。

これを見たアメリカ大統領のフーヴァーは「フーヴァー・モラトリアム」という猶予措置をとる。具体的にはドイツの賠償金支払いとイギリス・フランスの戦債支払いを1年猶予するというものだった。しかし、時期が遅すぎたため、ドイツの不況を改善させることはできなかった。

金本位制

当時の世界各国は金本位制を採用していた。金本位制とは、貨幣が貴金属の金に裏付けされた制度のことである。具体的には、貨幣と金が交換可能な状態だった。

金本位制には貨幣の過剰発行によるハイパーインフレが起こりにくく、通貨価値が安定するというメリットがある。しかし、不況時に貨幣流通量を調節して景気対策を行うことが難しく、世界恐慌ではうまく機能しなかった。

これに加え、ある国が大不況に陥ると、投資家はその国の通貨を金と交換しようとするという問題もある。その国が財政破綻したり、金流出を防ぐ(=供給できる通貨の量の減少を防ぐ)ため金本位制を停止したりすると、今持っている通貨がゴミ同然になってしまう可能性がある。これを危惧した投資家の行動により、いっそう金がその国から流出してしまう危険性がある。

1930年に不況に陥ったアメリカが国内産業保護のためスムート・ホーリー法を出す。これは輸入品に対して高関税をかける法律だった。その結果、アメリカに対して物を輸出しにくくなったヨーロッパ諸国は不況に陥る。これにより、ヨーロッパ諸国から金が流出し、多くの銀行が倒産する事態に陥ってしまう。

この結果、1931年にイギリスが金本位制を停止した。これを見た投資家が今度はアメリカの通貨を金と交換し、倒産する銀行が相次いだ。それにより、アメリカも金本位制を停止する事態となった。

1933年にはイギリス・フランスが金本位制の復帰をアメリカに求めたが、アメリカはこれを拒否した。

世界各国は「金」という共通の基準に裏付けられた通貨を失った。これ以降、世界各国は、同じ通貨圏以外の国との貿易品目に高関税をかけるブロック経済化を進めていった。アメリカではフランクリン・ルーズベルト大統領がニューディール政策を実行し、公共事業を起こすことで国内需要を増加させ、不況を収めていった。

しかし、ドイツ・イタリア・日本といった通貨圏が狭かった国は、植民地の拡大へと乗り出すことになる。これが第二次世界大戦の原因の1つとなった。

関連動画

関連項目

  • 経済
  • 通貨
  • 1930年代
  • アメリカ合衆国
  • バブル経済
  • ハーバート・フーヴァー
    (世界恐慌発生時のアメリカ大統領)
  • フランクリン・ルーズベルト
    (フーヴァーの次代となるアメリカ大統領)
  • ジョン・メイナード・ケインズ
    (ニューディール政策の裏付けとなった有効需要の理論を提唱)
  • フリードリヒ・アウグスト・フォン・ハイエク
    (世界恐慌の際にケインズを批判)
  • ミルトン・フリードマン
    (世界恐慌における金融政策の影響を指摘)

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