乗継割引 単語


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乗継割引とは、乗り継ぎ(乗り換え)をした時に割引になる制度である。

概要

公共交通機関において乗り継ぎ(乗り換え)をした時に料金・運賃が割引される制度。JRの特急料金に対する乗継割引が有名であるが、他にも地下鉄とバスを乗り換えた時の運賃の乗継割引や、乗るたびに運賃が発生する路面電車・路線バスにおいて運賃の乗継割引が設定されていることが多い。運賃の乗継割引の場合はICカードのみとされることが多い(運賃計算の簡略化のため)。

ちなみに高速道路にも乗継割引があり、NEXCO各社と首都高速道路・阪神高速道路を乗り継いだ際に割引がある。

JRの乗継割引

有名なJRの乗継割引であるが、設定された理由としては新幹線が開業したことが大きな理由である。かつては在来線特急で1本で行けたものが、新幹線の開業によって料金が2列車分必要になってしまったことから、旅客への負担を軽減するために設定されたと言うものである。
こう言った関係でもともと乗り換えが必要だった駅での乗継割引は設定されないことが多い。

なお、割引対象は特急料金、急行料金、指定席料金であり、グリーン料金や寝台料金は割引されない。

新幹線と在来線の乗継割引

新幹線と在来線特急・急行を乗り継ぐと在来線特急・急行の料金が半額になると言うもの。基本的に当日中に乗り継ぐ必要があるが、在来線特急から新幹線に乗り継ぐ場合のみ、新幹線の乗車日が翌日でも適用される。
なので乗り継ぐ駅での途中下車は制限されていない。

在来線〜新幹線〜在来線と乗り継ぐ場合は高い方の在来線の料金に割引を適用する。このため、新幹線の特急券を分割することで在来線特急双方に乗継割引を適用させた方が安くなる場合がある。

乗継割引の対象となる駅は下記の通り。

  • 東海道新幹線・山陽新幹線:新横浜駅〜相生駅の各駅
    • ただし、実際に定期列車の在来線特急が走っていて乗継割引が適用される駅は、熱海駅(サンライズ瀬戸・出雲との乗り継ぎに限る)・静岡駅・豊橋駅・名古屋駅・米原駅・京都駅・新大阪駅・西明石駅・姫路駅・相生駅(冬季のみ)に事実上限られる。
    • 接続する在来線特急のうち、「サフィール踊り子」「踊り子」「湘南」「WEST EXPRESS 銀河」には適用しない。これは料金体系が特殊なためである。
    • 新大阪駅で乗り継ぐ場合は、在来線特急に大阪駅で乗下車する場合でも適用される。特急「はまかぜ」が大阪駅発着であるための措置であるが、それ以外の列車でも適用される。新大阪駅〜大阪駅間は普通列車(新快速・快速含む)を利用することになる[1]
    • 2023年3月をもって、岡山駅〜新下関駅間の各駅での乗継割引は廃止された。
    • 東京駅・品川駅は元々直通する列車が無かったため適用しない。小倉駅・博多駅はJR九州が2011年の九州新幹線全線開業時に乗継割引を廃止したため適用しない。
  • 東北新幹線・北海道新幹線:新青森駅
    • 在来線特急を新青森駅〜青森駅間のみ乗車する場合は適用しない(乗車券のみで自由席に乗車できるため)。
  • 北海道新幹線:新函館北斗駅
  • 上越新幹線:長岡駅・新潟駅
  • 北陸新幹線:長野駅・上越妙高駅・金沢駅
    • 上越妙高駅で乗り継いだ場合は、えちごトキめき鉄道(上越妙高駅〜直江津駅間)の特急料金は割引されない。
    • 金沢駅で七尾線に直通する特急に乗り継いだ場合は、IRいしかわ鉄道(金沢駅〜津幡駅間)の特急料金は割引されない。

かつては東北新幹線・上越新幹線には東京駅・上野駅・大宮駅以外の各駅で乗継割引が適用されていたが、2002年の東北新幹線八戸延伸時に一部を除いて廃止されている。
九州新幹線は開業当初から設定されたことはない(部分開業時は後述の特定特急料金を適用)。

ちなみにこの乗継割引、乗り継ぐ方向が指定されていない。なので、名古屋駅〜(東海道新幹線)〜新大阪駅〜(特急サンダーバード)〜福井駅といった明らかに乗車経路が重複している乗り継ぎでも割引が適用される[2]
特急踊り子の乗継割引が廃止されるまでは、東京駅〜(東海道新幹線)〜熱海駅〜(特急踊り子)〜東京駅と利用することで往復乗車で乗継割引が適用されることはよく知られていた。

この乗継割引は、2024年春(JR東海・JR西日本によれば3月16日乗車分から)に廃止となる。

(廃止)サンライズ瀬戸とJR四国の乗継割引

寝台特急「サンライズ瀬戸」とJR四国の特急を坂出駅または高松駅で乗り継ぐ場合にJR四国の在来線特急の料金が半額になる。
ちなみに「サンライズ瀬戸」を発売開始日(1ヶ月前)に購入した場合、JR四国の特急は発売開始の前日となってしまう。この場合、「サンライズ瀬戸」の特急券に乗継証明をするのが一般的であるが、乗継割引であればJR四国の特急を発売開始前に発売することも可能なようである。

なお、寝台特急「サンライズ瀬戸」自体が在来線特急であるため、例えば東京駅〜(東海道新幹線)〜熱海駅〜(サンライズ瀬戸)〜高松駅〜(特急うずしお)〜徳島駅と乗り継ぐと、サンライズ瀬戸もJR四国の特急も半額になる。

2023年3月をもってこの乗継割引は廃止となった。

(廃止)本州と北海道間の乗継割引

北海道新幹線が開業するまでは本州と北海道間については特殊な乗継割引が適用されていた(下記は末期のもの)。

東北新幹線と特急「スーパー白鳥」「白鳥」を新青森駅または青森駅で乗り継ぎ、さらに五稜郭駅または函館駅で特急「スーパー北斗」「北斗」に乗り継ぐと、特急「スーパー白鳥」「白鳥」と特急「スーパー北斗」「北斗」の双方に乗継割引が適用された。
また、奥羽本線の特急「つがる」と特急「スーパー白鳥」「白鳥」を新青森駅または青森駅で乗り継ぐと、特急「スーパー白鳥」「白鳥」に乗継割引が適用された。ただし、奥羽本線を新青森駅〜青森駅間のみ乗車した場合は、乗継割引は適用されなかった(乗車券のみで自由席に乗車できるため)。

(参考)東北新幹線と山形新幹線・秋田新幹線

東北新幹線と山形新幹線を福島駅で、東北新幹線と秋田新幹線を盛岡駅で乗り継いだ場合に山形新幹線・秋田新幹線の料金が3割引となる。これは山形新幹線・秋田新幹線が在来線特急扱いであるためだが、東北新幹線との直通列車が存在することから、乗継割引による半額ではなく、特定特急料金として3割引となる。ただし、直通列車が存在しない方向でも特定特急料金は適用される。なお、この場合は福島駅・盛岡駅での途中下車はできない。
ちなみにグリーン料金については東京駅〜福島駅〜新庄駅間、東京駅〜盛岡駅〜秋田駅間の各駅利用の場合は営業キロを基に通算される。

なお、山形新幹線〜東北新幹線〜秋田新幹線と乗り継いだ場合は、山形新幹線も秋田新幹線も割引されるのだが、そのような利用が少ないためか、発券に手間がかかる。

2022年春の山形新幹線全席指定席化に伴い、この制度は廃止され新料金体制に移行となった。

(参考)九州新幹線とリレーつばめ

九州新幹線が新八代駅〜鹿児島中央駅間の部分開業時、門司港駅・博多駅〜新八代駅間を運行していた特急「リレーつばめ」を含めて1本の列車とみなすことにしたため、九州新幹線と在来線特急の指定席特急料金をそれぞれ2割引した上で合算した特定特急料金を適用していた(自由席は合算後から1列車分の指定料金を割引)。新八代駅での途中下車は不可であったが、熊本駅〜新八代駅間を特急「九州横断特急」「くまがわ」利用の場合は、新八代駅の構造の都合で一時出場ができた。
なお、部分開業時は博多駅での乗継割引が残っていたため、東海道・山陽新幹線〜特急リレーつばめ〜九州新幹線と利用した場合、リレーつばめのみ乗継割引を適用して九州新幹線は無割引としていた。他の在来線特急と東海道・山陽新幹線を乗り継いでいた場合は乗継割引はそちらを適用して、リレーつばめは九州新幹線と乗り継いだことによる特定特急料金適用であった。

この取り扱いは九州新幹線全線開業により廃止されている。

(参考)西九州新幹線とリレーかもめ

西九州新幹線は武雄温泉駅〜長崎駅間のみの暫定開業となり、門司港駅・博多駅〜武雄温泉駅間を運行する特急「リレーかもめ」「みどり」「ハウステンボス」を含めて1本の列車とみなすことにした。このため、西九州新幹線と在来線特急の自由席特急料金をそれぞれ1割引した上で合算した特定特急料金を適用することになる(指定席は合算後に1列車分の指定料金を加算)。武雄温泉駅での途中下車は不可であるが、リレー特急とならない「みどり」「ハウステンボス」に乗り継いで博多駅〜武雄温泉駅間を利用する場合や、武雄温泉駅→江北駅を特急「ふたつ星4047」利用の場合は、武雄温泉駅で一時出場が可能となる。

なお、「36ぷらす3」には適用しない。

これに類似した制度を、北陸新幹線金沢・敦賀間開業時にしらさぎ・サンダーバードと北陸新幹線富山・敦賀間に設定予定である。

(参考)割引きっぷ

JR各社で発売されている特急料金があらかじめ割引されているきっぷの場合は乗継割引は適用対象外となる。えきねっとの「えきねっとトクだ値」や、エクスプレス予約がこれに該当する。
なお、e5489で発売されている「eきっぷ」には乗継用が存在し、元々割引きっぷであることから半額まではいかないが大きな割引がされている。

なお、乗車券のみの割引きっぷの中では、JR東日本の「週末パス」のように特急券の乗継割引を適用できるものもあれば、JR東海の「青空フリーパス」のように特急券の乗継割引を不可としている場合がある。

鉄道事業者間の乗継割引

一部の鉄道事業者の間では、会社間の乗り継ぎにおいて、割引を設定している。これは、特に初乗り区間付近で設定していることが多い。というのも、2社間で乗り継いだ場合、それぞれで初乗り運賃が計算されるため、割高になってしまうためである(まあそれ以外の場合もあるが)。

例えば、東武鉄道の場合、以下のような設定が行われている

  • 伊勢崎線 曳舟駅・鐘ヶ淵駅間、亀戸線 小村井駅・亀戸水神駅間の各駅と押上駅接続東京地下鉄半蔵門線 錦糸町駅・住吉駅の相互間
  • 伊勢崎線 東向島・梅島間(ただし北千住を除く)と北千住駅接続東京地下鉄日比谷線 南千住駅・三ノ輪駅もしくは東京地下鉄千代田線 西日暮里駅から北綾瀬駅間(ただし北千住を除く)各駅の相互間
  • 東上本線 朝霞駅・朝霞台駅と和光市駅接続東京地下鉄有楽町線 地下鉄成増駅もしくは地下鉄赤塚駅の相互間
  • 伊勢崎線 とうきょうスカイツリー駅から東向島駅間、亀戸線小村井駅と浅草駅接続東京地下鉄銀座線 田原町駅・稲荷町駅、都営地下鉄浅草線 浅草橋駅から押上駅間(ただし浅草駅を除く)、都営地下鉄大江戸線 両国駅・新御徒町駅との各駅相互間
  • 伊勢崎線 曳舟駅・五反野駅間(ただし牛島駅を除く)と牛島駅/京成関屋駅接続京成本線 町屋駅・お花茶屋駅間(ただし京成関屋駅を除く)との各駅相互間
  • 東上本線 北池袋駅・中板橋駅間と池袋駅接続東京地下鉄丸ノ内線 新大塚駅・茗荷谷駅、東京地下鉄有楽町線 護国寺駅・千川駅間(ただし池袋を除く)、東京地下鉄副都心線 雑司ヶ谷駅・千川駅間(ただし池袋を除く)、西武池袋線 東長崎駅・椎名町駅、JR山手線 高田馬場駅・巣鴨駅間(ただし池袋を除く)、JR赤羽線 板橋駅との相互間
  • 亀戸線 亀戸駅を除く各駅と亀戸駅接続JR総武本線 両国駅・錦糸町駅・平井駅との各駅相互間
  • 野田線 北大宮駅・大和田駅間各駅と大宮駅接続JR東北本線 与野駅・土呂駅間(ただし大宮駅を除く)及び与野本町駅・北与野駅の各駅相互間
  • 野田線 初石駅・増尾駅間(ただし柏を除く)と柏駅接続JR常磐線 南柏駅・北柏駅の各駅相互間
  • 野田線 塚田駅・新船橋駅と船橋駅接続JR総武本線 西船橋駅・東船橋駅の各駅相互間

鉄道・路面電車とバスの乗り継ぎ

鉄道・路面電車とバスの間で乗り継ぎを行う場合、割引が行われる場合がある。例えば函館市電と函館バスの場合、指定停留所で乗り継ぐ場合、現金の場合、以下の手順となる。

  • 乗車の際は、乗り継ぎ元・乗り継ぎ先どちらでも整理券をとる
  • 降車の際は、
    • 1回目の乗車では、乗り継ぐ旨を伝え、そこまでの運賃と乗り継ぎ料金50円を支払う。これにより乗り継ぎ券が発行される
    • 2回目の乗車では、乗り継ぎ券と210円を超える分の運賃の差額を支払う

関連動画

関連リンク

関連項目

  • 鉄道関連項目一覧

脚注

  1. *なお、新大阪駅にはおおさか東線が接続しており、新大阪駅〜大阪駅間で遠回りができてしまうが、この場合の乗継割引の適用可否は不明である。
  2. *ちなみにサンダーバードの乗車駅を大阪駅にしても適用される。

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