交響曲第4番（シューマン）とは (コウキョウキョクダイヨンバンシューマンとは) [単語記事]

交響曲第4番(シューマン)とは、19世紀ドイツの作曲家ロベルト・シューマン（Robert Schumann, 1810-1856）が作曲した管弦楽曲である。シューマンの4番目の交響曲なので「シュー4」「シュマ4」等の略称で親しまれている。

交響曲第四番　ニ短調（Symphony No.4 in D minor）／Op.120

※この頁は楽典知識を持たない素人によって作成されています。スコアや音楽教則本、音楽解説書等の記載を参考にしていますが、記載が学術的でなく誤っている可能性があります。（有識者による修正を希望）

作曲の経緯

シューマンは交響曲というジャンルへの挑戦を模索していたものの、音楽修行の過程で管弦楽という媒体に身近に接する機会を持てなかった。転機となったのは1839年、シューマンはウィーンでシューベルトの兄を訪ね、そこで大ハ長調交響曲(D.944)を発見した。その年の12月にこの曲の演奏を聴くことができ、偉大なる交響曲への取り組みを後押しするきっかけとなった。

1840年にクララとの結婚が実現し、これまでピアノ曲の作曲を中心にしていたシューマンの創作活動に一大転機をもたらした。その年には大量の歌曲が作曲され（歌曲の年）、翌1841年には交響曲第一番《春》と交響曲第四番（当時は『第2交響曲』扱い）ニ長調の初稿が作曲された（交響曲の年）。

このニ長調交響曲は9月13日のクララの誕生日にプレゼントされ、《序曲、スケルツォとフィナーレ》とともに12月6日のゲヴァントハウス演奏会で初演されたが、残念ながら初演の際には他のコンサートプログラムに聴衆の関心が向いていた等の事情で、交響曲第一番ほどの喝采を浴びることはできなかった。

1846年に第二番ハ長調、1850年に第三番変ホ長調《ライン》が作曲され、翌1851年に第四番ニ長調の交響曲が改訂された。　（シューマン自身は改訂というよりは、1841年にスケッチされた古い第2交響曲のオーケストレーションという認識だったようだ。おそらくは第三番までの実績でオーケストレーションに自信がついたため、当時思い入れのありつつも満足にオーケストレーションしきれなかったこの『第2交響曲』ニ長調スケッチをオーケストレーションして完成させたいという思いだったのかもしれない。）

編成

フルート2、オーボエ2、クラリネット2、ファゴット2、ホルン4、
トランペット2、トロンボーン3、ティンパニ（D, A、Des、As、E、H）、
弦五部（第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス）、
ヴァイオリンSolo、チェロSolo（第2楽章VcIは通例Soloとして演奏される）

楽曲の概要

この曲は伝統的な4楽章形式（アレグロ - アンダンテ - スケルツォ - フィナーレ）を取っているが、4つの楽章の間で動機・主題を共有していたり、各楽章間の接続を工夫して途切れることなく演奏させていたりと、交響曲の枠組みを超えて全楽章を一つの楽曲に統一する試みが行われている。（シューマン自身は一時、この曲を交響的幻想曲と表現していた。）

第1楽章…ニ短調（D mim.）：再現部を持たないソナタ形式
第2楽章…イ短調（A mim.）：3部分リート形式
第3楽章…ニ短調（D mim.）：トリオの再現を持つスケルツォ
第4楽章…ニ長調（D Maj.）：ソナタ形式（再現部に主要主題部なし）

楽曲の構成

動機A…第1楽章導入部（導入主題）に代表される、3つ下降→3つ上昇のターンする陰鬱な波
動機B…第1楽章提示部（第一主題）に代表される、4つで上に跳躍後2つ下降→2つ上昇のターンする激動の波
　　　（動機Aを跳躍させて繰り返す主題から、時間的に圧縮されて形成されたのではないか？）
動機C…第1楽章展開部（第二主題）に代表される、付点音符のリズムで大きく下降して緩やかに上昇する
　　　歌謡的な旋律（動機Bの時間停滞による付点リズムに由来して形成されたのではないか？）
動機D…第1楽章結尾部に代表される、(前打音を伴うこともある）3セットの和音（例：I - IV - I）