保守左派 単語


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ホシュサハ

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主張を扱う記事

この記事は政治的主張を取り扱った記事です。
←天秤は水平ですがニコニコ大百科および未来検索ブラジルの政治的見解・主張ではないことに一応はご留意ください。

保守左派とは、政治思想におけるグループ分け、ポリティカル・コンパスにおける思想の一つである。ここでは日本の保守左派について説明。
権威主義、経済左派、どちらかといえば反米。
理想の国は、伝統秩序重視社会主義福祉国家である。言葉だけ聴くと「は?」って感じだと思うので解説していく。

概要

保守=右翼であり、革新=左翼であるという考え方が一般的かもしれないが、保守左派はそれぞれの持つ特徴を別々の分野で併せ持つ考え方のことである。つまり保守左派という文字を見て、「矛盾だ!」と糾弾するのは誤り。

つまり、論理・道徳・秩序・伝統については保守的な価値観を重視する一方、経済政策については「富の再配分」、「格差社会の是正」、「福祉政策」などといった社会主義的な価値観を重視する。

自由貿易への警戒感と、憲法改正、独自外交などの観点からアメリカ合衆国と一定の距離を置こうとする傾向がある。逆に社会主義的観点からソビエト連邦ロシア連邦の政策などを部分的に取り入れることを提案するなどして、一定の親和性があるため、アメリカとの距離が離れる分、若干ながらロシア連邦と政策的、外交的に近くなる。
特定アジア諸国には現在以上の毅然とした対応を求めることから、ユーラシア・アジアでの孤立を避ける狙いからもロシアとの関係改善を模索しているとも言える。
だが、アメリカ合衆国と距離を置くこと、ロシア連邦との関係改善は、必ずしも保守左派の統一された思想ではない。

現存する右派との区別は比較的曖昧な点も多いが、現存する左派との区別は明確に行おうとする傾向がある。それは特に日本において、左派=売国というイメージが持たれているためで、これを否定したいからである。だが同時に、ネオナチズムや極右勢力に対しても慎重な姿勢を見せ、極端な排外主義や反左翼活動からも距離を置く。
保守左派を自認、支持する者たちは「愛国左派」「愛国左翼」という表現を用いることもある。

現在の日本には保守左派を掲げる政党は存在しない。

また、左翼、革新勢力などからすれば「反動」ですらあり、「保守反動」または「右翼反動」と呼ばれることもある。だが政治的思想から考えれば、これらと「保守左派」を完全に同一視するのは誤りである。

保守左派について論ずるときは、政治思想が右と左と真ん中しかいないという固定概念を捨て去る必要がある。

また、ネット右翼と混同されることもある。理由は後述する。

日本での具体的な考え方

  • 国の持つ歴史や文化は守るべきである。
  • 愛国心を育むことは必要である。ただし、過度の愛国心教育や、軍国主義的思想には慎重になるべきである。
  • 自国の産業や国産品を守るべきである(TPPには反対)。
  • 戦争そのものには反対するが、国防の観点から必要な措置を取る(自衛隊は容認。増強、再編なども含む)。
  • 産業保護、国防、外交の観点からアメリカ支配からの脱却を目指す必要がある。
  • 移民や帰化に関しては、厳格な基準を設けるべきである(移民政策には基本的には反対)。
  • 外国人については、国籍問わず労働意欲の無い者は受け入れるべきではない。
  • 格差社会を無くすために、必要な手段をとる。官僚政治の撤廃なども目指す。ただし、文化的、歴史的、国民観点から皇室は存続する方が望ましい。
  • 憲法9条の考え方そのものは大切かもしれないが、盲信するべきではないし改正もありうる(憲法改正は要議論)。
  • 平和的外交も大事だが、主張するべきところは正しく主張する必要がある(積極的平和外交の発展・進化)。
  • 従業員の使い捨て雇用や、サービス残業などの日本における社会問題は解決する必要がある。
  • 社会福祉や医療制度は、現在よりも更なる発展を目指すべきである。
  • 表現、報道の自由は守るべきだが、国家の安全保障上必要な部分は守るべきである(特定秘密保護法は条件付きで賛成)
  • 若者の修学・就労は国が積極的に支援するべきである。
  • 国内の技術革新や開発には大胆に投資し、国内の生産性を上げるべきである。
  • 国益に反する企業・団体は規制し、大企業中心の経済は政府がある程度コントロールすべきである(計画経済)。
  • 国内のエネルギー問題については、急激な転換は極力避けるがあらゆる可能性を排除しない(原発問題は要議論。代替が確立されるまでは現存維持の傾向が強い)。
  • グローバリズムには適応するべきだが、日本の国益を損なわぬよう最大限の努力が必要である。
  • 既存のマスメディアコミュニケーションは、機能不全を起こしているため改革が必要である。

本人と保守左派

日本には保守左派と明確に定義された政党は存在しない。が、

日本人には比較的受け入れやすい思想である。

理由としては、

  • 保守的な政党が政権を握っている期間が非常に長い。
  • 日本の伝統や文化は守られるべきである、あるいは変えたくない、変化を嫌う
  • 皇室は存続すべき、またはあえて撤廃する理由はない。
  • 大規模な政治的・経済的混乱があるぐらいなら今のままがよい
  • 日本の従来の左翼は信用ならない。

という、日本人の古い性質的な考えが、保守的な考え方を良しとする思想として現れている。戦後の過激な活動などで従来の左派が信用を失っているということもある。一方で以下のような左派的(日本の左派ではない)考えがある。

  • 長期間続いている官僚政治への不満がある、あるいは無くすべきだ。
  • 一億総中流の時代からバブル崩壊、就職氷河期などを経て、ワーキングプアを初めとする格差社会への不満。
  • 社会保障の更なる充実を図るべきである。
  • 貿易、外交的にアメリカに従属するのはもうやめて、独自の外交を貫くべき時代が来ている。
  • 自分たちの国家は、政治的、経済的、軍事的に自分たちで守るための体制が必要であり、現在のままでは不可能
  • 日本国憲法は現代に即しておらず、議論が必要である。特憲法9条を理由とした無防備や無抵抗には反対である。

といったものである。これらは特に、アメリカによる戦後教育から完全に分断されている若者世代に多くなってきている。だが同時に、若者の政治への関心の低さからこれらの考え方があまり広がっていないのも事実である。
また、日本に存在する従来の左派政党とは違い、憲法改正を視野に入れるなど、本来の意味での左派的考えを標榜するのも特徴である。

保守左派の外交関係

特定アジアと保守左派

以下は単純に見れば保守でも左派でもない考え方だが、特に若年層に多い考えであり、保守左派的な考え方として見なされる場合もある。主にこれらはネット右翼と混同される理由でもある。

  • 東南アジアでの平和的・経済的関係は強化していくべきであるが、韓国・中国・北朝鮮の3か国は、国益、及び国民感情を著しく害する為、関係改善・強化のためには議論が必要であり、無条件での友好は難しい。
    ・対韓国:
     慰安婦問題は基本的に日韓基本条約で完全に解決済。
     過去の談話については再検討、議論、撤廃も必要である。
     世界各国で行われているロビー活動を批判し、正しい歴史認識を広め誤解を解く為の最大限の努力を行う。
     竹島問題には国際司法裁判所への提起も含め、毅然として対応していく。
    ・対中国:
     南京大虐殺は存在そのものについて議論が必要で、人数についても同様である。
     領海侵犯には現在よりも厳しい措置を取れるよう、法改正含め、議論を行ってゆく。
    ・対北朝鮮:
     拉致問題は完全に解決するために、北朝鮮との対話・圧力は弱めるべきではない。
     国内協力者とのつながりを徹底的に調査し、厳しく追及する。

だが勘違いしないでほしいのは、保守左派が中国朝鮮に強硬な態度に出るからネット右翼と混同されるようになったというより、ネット右翼だと思っていた人が中国朝鮮に強硬な態度をとり、ポリティカル・コンパスなどによって保守左派的な思想であると判断されたため、これらの考えが混同されるようになった、ということであろう。
当然、ネット右翼と混同されることを嫌う者もいる。

これらの考えの中で特に強硬な「完全な関係断絶」などになると、極右的考えになるため、保守左派と混同するのは避けた方がよい。

アメリカと保守左派

戦争の究極の目的は勝つことであり、決断を先延ばしにすることではない。
戦いにおいては、代わりに勝利を収めてくれる代理人はいない。

アメリカ陸軍元帥,連合国軍最高司令官 - ダグラス・マッカーサー

保守左派は、産業保護の観点から自由貿易に対して反対の立場であり、アメリカとの相互協力には消極的な姿勢を取り、極端に言えば反米的でさえある。

以下の点から保守左派はアメリカとの関係に否定的である。

  • 特に国家防衛の観点からの憲法改正と自衛隊の強化(アメリカは日本の軍備拡張には反対の立場)
  • アメリカ(GHQ)の戦後教育からの脱却
  • 日本が他国間の戦争に巻き込まれることへの強い忌避
  • 自国産業と技術を守るために自由貿易への反対

また、日本と関係が悪化している中国や韓国に対して、アメリカが断固たる態度を取ろうとしないこと、それに伴ってアメリカに対する信頼に懐疑的になっていること、中国韓国が周辺国の中では数少ない憲法改正に反対している国家であること(=日本が国際社会での影響力を増す)、アメリカが憲法改正の延長上にある軍事拡張に反対してること、などの理由がある。

といってもこれらは副次的でもあり、一番は「国家防衛のためには自衛隊の力を増す必要があり、そのためには憲法改正も必要である」という政治的理由と、前述した自由貿易への反対という立場から、アメリカとは距離を置こうとしているだけ、と受け止めることもできる。

ロシアと保守左派

君は、自らの野心、プロ意識の無さ、そしてもしかしたら単純に強欲から、
大勢の人びとを人質にとったのだろう。これは認められることではない。
ビジネスの社会的責任はどこへ行った?
わたしがここに到着する直前になって、君ら全員がゴキブリのように集まってきた理由は何だ?
判断を下せる者が、ここにいなかったのはなぜだ?
仲間うちで合意できないのであれば、君たち抜きで決めるだけだ。

第4代ロシア連邦大統領 - ウラジーミル・プーチン(新興財閥社長に対して。2009年)

保守左派の中には反米的な観点から「敵の敵は味方」理論での「親露派」が存在する。

現在のロシア連邦は、20世紀に東西冷戦における東側陣営をけん引したソビエト社会主義共和国連邦の中心国ロシア・ソビエト社会主義共和国の後継国家であり、ソ連そのものの後継国家としても見なされている。ソ連は史上初めて樹立した社会主義国家でもあった。
日本の保守左派は、従来の右派政党に対してよりも従来の左派政党に対して厳しい姿勢で対決する傾向があり、この日本の左派政党がソ連型社会主義を否定する立場であることも、「敵の敵は味方」理論を後押しする。

保守左派は社会主義的な政策や傾向を持つ政治思想であるだけではなく、自由貿易への警戒感、アメリカ支配からの脱却や独自外交などを図る傾向から、現在もアメリカと政治的対立を続けるロシアとの親和性が高い。

現在のロシア連邦に関しても、経済の立て直しや経済危機の過程で政界に君臨した新興財閥の大物を排除しただけでなく、金融危機の際に大企業を国営化して支配するといった「(事実上の)国家資本主義」について一定の評価を下し、あるいは見習うべきだと考える者もいる。なお、国家資本主義のルーツをたどっていけば、ソ連の初代指導者であるウラジーミル・レーニンが新経済対策「ネップ」の正当化のために持ち出したこともある理論であり、そういった意味でもソ連との繋がりは強い。

経済政策的なつながりもあるが、ソビエト・ロシアや社会主義の研究から革新、左派に興味を持ったものの、現存する日本の左派に期待が持てず、保守左派を自認するパターンもある。

投票する者は何も決定できない。投票を集計する者が全てを決定する。

ソビエト社会主義共和国連邦共産党書記長 - ヨシフ・スターリン

だが当然、単純なソビエト・ロシアの踏襲は、秘密警察やイデオロギー弾圧、赤色テロルに伴うレーニン主義、スターリン主義などに繋がりかねない為、非常に危険であり、注意が必要である。

また、ソ連型社会主義は一般的には官僚制を特徴としている為、官僚制の改善・撤廃を目指す保守左派は単純にソ連型社会主義を目指している思想ではないことと、ロシア連邦の全てを肯定するわけではなく、外交姿勢や領土問題については慎重な議論が必要であることにも留意されたし。

保守左派の問題点

平和は剣によってのみ守られる。

国家社会主義ドイツ労働者党指導者 - アドルフ・ヒトラー

保守左派の考え方の問題は、それらをどう両立させるか? ということから始まり、この思想は危険ではないか?に結び付きかねず、バランスよくかじ取りをする必要があるということである。

思想そのものは理想的であったとしても、これらを両立させることは並大抵のことではない。日本の政党は残念ながら親米保守反米左派のどっちかに属するものが目立つ(かつて民主中道を掲げる政党が政権を担ったことがあるが、その結果は…→民主党)。一応、反米保守という考えも存在はする。

日本で最大の政党である自由民主党は、長期間にわたり第一党を貫き、政権の座にあった保守政党であるから、官僚政治の権化のような存在である。日本の安全保障のために戦後アメリカとの関係において譲歩を重ね、いわゆる「弱腰外交」と呼ばれる日本を作ってきた張本人でもあるが、現在の日本の経済や世界における日本そのものの地位を担うにあたって、重要な役割を果たしているのは事実である。

左派的な代表格と言える各政党は、殆ど政権を担ったことがない。官僚政治などには反対し、平和国家の存続を謳うが、自国の安全保障のビジョンが不透明(あるいは理想主義的)、国益や国民感情を害する国家に共鳴・同情する、自分たちの戦後活動を棚に上げる(あるいは不透明)、革新派の筈なのに憲法保護を掲げるなど、マイナス側面あるいはダブルスタンダードな面が目立つ。
日本のマスコミはどちらかといえば左寄りであるが、昨今のマスコミの論調も若年層からは反発を招いている。

保守左派に比較的近い政治団体・政党であっても、経年と共に保守か革新かのどちらかに偏っていく可能性があり、これらの考え方を維持し継続することは難しい。

また、自由貿易を警戒するあまり反グローバリズムが強くなり、民族主義などの一面が台頭するといわゆるファシズム国家社会主義排外主義などに近づく可能性がある。逆に革新に偏り過ぎれば、スターリン主義などの過激な左派思想に近づいてしまう。極左と極右は紙一重。

これら諸問題により、保守左派という考え方は成立そのものが困難であり、保守や左派の考え方をどれだけ取り入れるかによって定義も曖昧になりがちである。

加えて、保守左派はその政治思想から比較的穏健派で行動に関しても消極的であるため、他の政治団体や組織と違って大規模な組織化に至っていない傾向があり、「日本には保守左派の政党が無い」という事実から「では作ろう!」とならずに「あったら投票するのに」程度に留まっているのも特徴の一つであり、問題点の一つでもあろう。日本人らしいと言えばそれまでなのだが。

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関連項目

  • 保守
  • 反米保守
  • 革新
  • 右翼
  • 左翼
  • ネット右翼
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