反出生主義 単語


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ハンシュッショウシュギ

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反出生主義(はんしゅっしょうしゅぎ)とは、出生に対して否定的意見を持つ哲学的立場のことである。

概要

「生きることそのものが苦しみであるのでそもそも生まれてくるべきではない」、「この世に生まれる子供のことを思えば子を産むべきではない」といったような、人がこの世に生を受けることそのものを否定する厭世観的な考え方が反出生主義である。なお生まれることが子供にとってではなく道徳的に悪いとするなど細かな考え方の違いはある。

つまるところ反出生主義とは、人生は苦しいことが多いし、幸福の多い人生だったとしても最後には死の苦しみを味わうことになるが、生まれないことによってこれらをすべて回避できるから、人は出生すべきではない、という考え方である。

また、この考え方によって飢餓、環境問題、資源問題などを解決することができると考えている支持者もいる。アメリカの環境保護団体「VHEMT(自主的な人類絶滅運動)」は、反出生主義を掲げて人口を減らし、最終的に人類を絶滅へと導くことを是としている。
(ただしVHEMTは殺戮や自殺(教唆)は否定している。彼らによれば、それらは不道徳であるし、死亡率の上昇は出生率の上昇を招くため人口減少にはつながらないという。)

宗教との関係

「人生は苦である」「この世は不浄/悪の世界である」という考え自体は、仏教の「四諦」やグノーシス主義の「デミウルゴス」など様々な宗教の教義でも語られている。しかし同時にそれらの宗教では「だがこのようにすれば救われる」と何らかの救済策を説いており、人が生を受けることを完全否定したままとすることは少ない。そうでなければ信徒が絶滅するため宗教として存続しない。

12世紀ごろのヨーロッパに存在した、キリスト教の要素を持ったグノーシス主義的な宗教「カタリ派」は現世を否定し、また生殖のための性行為すら禁じる厳格な禁欲的教義を持っていたとされる。ただし厳密にその禁欲的教義を堅持するのは「完徳者」と呼ばれる上位信者のみであったともいう。また、そもそもカタリ派は異端とみなされて弾圧され消滅しており、彼らの教義を正確に伝える詳細な資料は残されていない。

18世紀頃のロシアで発生した去勢派(スコプツィ)も性器や性欲を罪と捉えて信者の外科的去勢を行っていた。だが「子をもうけた後に去勢していた」と見られる記述もあるようで、反出生主義とは異なるようだ。

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関連項目

  • <哲学>
  • デイヴィッド・ベネター
  • 悲観
  • 絶望
  • 絶滅
  • そもそも論
  • グノーシス主義
  • カタリ派
  • ニヒリズム

反出生主義を扱った作品

  • アシュラ 「生まれてこないほうがよかったのに
  • Seraphic Blue 「故に私達は、此処に在らざる子供達への愛と贈り物として…。ゼロと言う名のぬいぐるみをプレゼントする。」
  • ミュウツーの逆襲 「誰が生めと頼んだ?誰が造ってくれと願った?私は私を生んだ全てを恨む

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