平兵士は過去を夢見る(ひらへいしはかこをゆめみる)とは、丘野優によるファンタジー小説である。2014年よりアルファポリスにより書籍化され2017年までに全9巻で刊行されシリーズ累計(漫画版含む)17万部を上げている。2017年12月からアルファライト文庫より、文庫版既刊1巻が刊行されている。
概要
書籍版のイラストは1巻から6巻までは久杉トクが、7巻以降は珠梨やすゆきが担当している。交代後もキャラクターデザインは踏襲している。
もともとは小説家でなろうとアルファポリスで並行で連載していたが、アルファポリスにより刊行されるに伴いどちらの小説投稿サイトでもダイジェスト化され、2016年の小説家になろうの規約変更に伴い小説家になろうでの連載ページは削除されている。
2016年からアルファポリスの漫画サイトにて鈴木イゾによるコミカライズの連載が開始し、2017年には単行本1巻が発売された。
あらすじ
ある王国の王都に魔王率いる魔族軍が襲撃し王都は壊滅した。その後魔族の勢力は人類を圧倒し、人類側の滅亡は必至の状態となっていたが、魔族に対抗できる能力をもった戦士の勇者たちが現れ、魔族たちの攻勢を覆し始める。
そして勇者たちは魔王を討ち果すが、そのパーティーに付き従っていた平兵士のジョンは魔王を倒れた直後に瀕死の魔族に殺されてしまう。
しかしふと気がつくと、ジョンの母親のエミリーが顔を覗かせており、ジョンは過去に戻っていたことに気づく。ジョンは一度目の悲劇を繰り返ないためにも、一度目の人生では覚えるのが遅く使うことができなかった魔法を使うために訓練するなど未来に備えることを始めた。その後ジョンの特異さに気づいた父親に自身の事情を告白する…。
登場人物
- ジョン・セリアス
- タロス村に住む魔剣士と呼ばれる王国での有数の剣豪を父親にもつ少年だった。ただし資質は受け継がれず一度目の人生は王国の一兵卒の兵士となっていた。その後王都に魔族が襲撃したことで人生は大きく変わり魔族との戦いに明け暮れることになる。凄まじい訓練や身体を直接改造する人体改造や、いくつか人体実験を経て戦闘能力が強化された。その後勇者と呼ばれる戦士たちに魔王との戦いまで同行し魔王を倒されることまで目撃したところで生き残りの魔族によって殺害され死亡する。
- 二度目の人生では一度目の人生では覚える時期が遅く使うことができなかった魔法を幼少期に発現させ、徐々に使える魔力を増やした他、それまでの知識を用いて知的能力の高い魔物であるクリスタルウルフと意思を通わし友人とた。またタロス村で仲良くなったカレンなどの仲間に魔法を教えることになる。
- その後魔法学院に進むが、前世で契約した謎の存在である「ファレーナ」と再会し、ある出来事で竜を討伐せざるを得なくなる。その後研修で一度目の人生で親友だったケルケイロと出会い今世でも友人となる。その後ケルケイロとともに迷い込んだ迷宮で過去の出来事が投影された事柄もあり、ケルケイロに事情を打ち明けた。その後周囲の助力を経て竜を倒しファレーナとの約束を守る事ができた。その他学院に過ごしている間は、ナコルルや幻想爵と魔法理論や魔道具の製作を手伝いつつ研鑽を怠らないでいたが、なかなか事情を打ち明けずにいた。卒業試験での迷宮の仕掛けにより現れたかつての剣の師スルトの言葉により卒業後にナコルルに、自身が二度目の人生を巡っていることと一度目の出来事を打ち明ける。卒業試験と知らされていなかったが、卒業試験において同級生達を指揮した結果もあり、魔法学院を主席で卒業した。卒業前にスルトから受けた言葉から、卒業と士官候補生試験の合間にスルトが隠棲し魔物が跋扈するタムズ山脈をケルケイロ達とともに訪れ、スルトと出会い、未来の事情を打ち明けるとともに、剣を交え一矢報いるこることで信頼を得て王国へ招く事に成功する。
- 卒業後は王国の上級士官候補生選抜試験を優秀な成績で合格したためか幹部候補生中のエリートとして出世が早い王国軍第一師団参謀部附きの少尉に任官する。王都の魔族襲撃事件では事前の備えもあり大きな被害は防ぐことができ、魔族(トリ・ティエラ)と互角に戦う。魔族の王都襲撃が現実に起きたことによって考えを変えたナコルルから犠牲を少なくかつ未来をより良くするために積極的に動く事を諭されて悩みながらも受け入れた。そしてナコルルにより、ナコルルが発表していた技術がジョンによる助言あってものだったことが明かされ、そのことから新たに創設された魔族討伐軍の副官に就任する。
- アレン・セリアス
- ジョンの父親。魔剣士であり王国でも有数の実力者で普段は魔の森辺境の砦に詰めている。そのため半年に一度の休暇しかタロス村に帰ってこないが妻のエミリーとはいつまでも新婚同然なほど仲睦まじい。ジョンが魔物へ説得する姿を見て自分が知らない得体の知らない何かを隠しているという疑念を持つ。その後ジョンと戦いジョンが一本を取った後ジョンの告白を聞く。驚いたもののジョンを信じ、自分の息子であると労い褒め称えた。
- ジョンの話を聞き未来を知ったことで魔族襲来の危機や備えへの弛みを説いて回り、騎士団や王国首脳へ根回しをしナコルルを魔法学院の学院長へ就任させる。大雑把ではあるが、知識には貪欲で論文を読み込むなど知識の面でも研鑽は怠たらない。ジョンやナコルル達の知識を取り入れているためジョンが一巡目の世界より格段に強くなっており、王国一の実力者となっているという。
- エミリー・セリアス
- ジョンの母親。料理が得意で優しい母親。ジョンの一度目の人生ではジョンが覚えている限りふくよかな体型となっていたようだ。タロス村が魔族で襲撃された際にカレンとともに死亡している。二度目の人生ではジョンが自分の過去を告白した後ジョンを信じて優しく抱き込んで慈しんだ。
- ケルケイロ
- 王国の公爵家「フィニクス家」の嫡男。正式名は「ケルケイロ・マルキオーニ・フィニクス」1巡目の世界では将校の地位にすぐに付けるにも関わらず、一兵卒として軍に入隊しておりそこでジョンと知り合う。ジョンと親友の関係で貴族や平民との区別なく付き合えるほどだった。ジョンとともに勇者パーティーが前線に来訪し魔王軍を難なく蹴散らす姿を目撃している。後に魔族の侵攻が予想されるタロス村を救いにジョンに付き合いその懲罰として「皿」をジョンとともに与えられる。しかしタロス村の救出に間に合わなかったばかりか、ジョンの目の前で廃墟と化したタロス村に進駐していた魔族によって殺害されてしまう。
- 2周目の世界では、フランダの目的のためにギヒノム砦を訪れていたが、ジョンに惹かれて友人関係になり、ジョンの友人たちとも友人となる。訪れた後は戦闘能力を上げるためにエリスに直接戦闘訓練を受けていた。ティアナが魔の森に入っていることを知りたまらず助けに魔の森に入る。しかし二人を助けたものの一人では倒す事ができない竜と絶望的な出会いをすることになる。ジョンの援護もあって一人で殺されることはなかったものの迷宮に落ちてしまい瀕死の状態になるが、死の間際ジョンの「皿」を握り、足を掻いたところ人ならざる少女「ニコ」が現れ契約し、今の死に瀕している状態を回復すること、死ぬまで力を貸すことと、能力を得る代わりに魂の半分を代償とする。その後迷宮においてジョンの過去の追憶から再現された出来事から、ジョンの事情を知る。迷宮から脱出後、竜に再度襲われるものの、剣姫エリスやユスタ達の助けもありジョンによって竜を倒される。その後目的を果たしたため、一刻も早くフランダの目的を達成するために砦を去ることになる。
ジョンがスルトを探すためにタルズ山脈に行った際も同行し、山中に現れる道中の強力な魔物ををともに倒し、やっとのところでスルトに対面する。ジョンが国軍に入隊後も交流は続いていたが、魔族の王都襲撃以降国王の政策変更により魔族討伐軍が設立されると、大将に任命されることになった。本人は嫌がっていたもののジョンが副官に付くことと事の重要性の理解からしぶしぶ納得し拝命している。
- ティアナ
- 王国の公爵家の嫡女で公爵令嬢。愛称はティアナ。正式名は「クリスティアナ・マルキレギナ・フィニクス」ケルケイロの妹で1周目の世界でケルケイロがジョンを家に招待した際にケルケイロに友人が出来たことを喜んでいた。その後、ケルケイロの遺体を引き取りに来た際にジョンに再会した。その後恋仲になる。
- 2周目の世界では、ケルケイロが心配で侍女とケルケイロに内緒で荷台に隠れて砦を訪問する。砦では准将たちの配慮もありつつも、恩返しとして兵士たちの手伝いをしていた。竜を倒すという事お大きさから心配のあまり、ケルケイロ達が魔の森に入ったのを見てリゼットを連れついていくが、見失い迷ってしまう。アイテムのおかげで魔物には見つからずには済んだが、代わりに救いに来たケルケイロが竜と相対する事になってしまう。その後ジョン達が竜を倒した後は贖罪の意味もあり、ジョンへつきっきりになる。ジョンがスルトを尋ねるためにタルズ山脈へ行った際にも同行したが、魔の森の事件もありジョンの事は好感を持っているという。
タロス村の幼馴染
- カレン
- 幼馴染の一人。タロス村に住む少女。ジョンたちの幼馴染。ジョンの1回目の世界ではタロス村に住みつづけており魔族の進軍ルートにタロス村が入っていたことにより襲撃されジョンの母親とともに死亡している。2回目の世界ではジョンに魔法と剣術を訓練してもらったことによりアレンに一本を取り森に入る許可をもらった。後にクリスタルウルフに出会いクリスタルウルフの子供や親を名付けた。魔術師適性調査に合格し、その属性判定では魔法の属性は風と水である。
- 他の幼馴染とともに魔法学院に進むが、ジョンのアドバイスから穏便に過ごしていた。ある事情から公爵令嬢であるエレオノーラと仲良くなり親友となり、愛称のエレの呼びを許されている。
- 魔法学院修了後は国軍に入った後に魔族討伐軍に参加した。魔族討伐軍では教官に就任しジョンに手ほどきを受けていたためか武術も魔法も実力も高い。ジョンが神都エルランに勇者選定の件で訪問する際に幼少期の事を持ち出して同行を半ば押し切る形で申し出た。
- テッド
- 幼馴染の一人。狩人の息子でジョン達の間ではガキ大将として通っている。1回目の世界ではジョンも最初から仲間内に入っていて仲が良かったが2回目の世界ではジョンが遠慮してしまい距離あった。ジョンが強力な魔獣のクリスタルウルフと意思疎通を行える事に驚愕した他、魔法を使えることに気づいており一目は置いていた。後に仲間に入れてジョンから剣術や魔法について教えを乞う。ジョンの教えにより魔術師適性調査に合格し魔法学院に入学した。
魔法学院修了後は国軍に入った後に魔族討伐軍に参加する。
- コウ
- 幼馴染の一人。背が小さい少年で三馬鹿の一人。悪知恵が働きジョンが巡った1回目の世界では司令官付きの参謀まで出世していたほど作戦立案能力は高く、戦略的撤退など戦略に貢献しておりコウのお陰で生き残れた戦いがいくつもあったという。軍命に反するものの出身のタロス村が危機に陥っていることをジョンに告げて救ってくれることを願ったのか唆して向かわせている。ただし成長してもあまり背は伸びなかったらしい。最終的に魔族軍の襲撃により死亡する。
2回目の世界ではジョンに剣術や魔法を教えてもらったことにより、ジョンの教えにより魔術師適性調査に合格し魔法学院に入学した。卒業後は国軍に入り、魔族討伐軍に参加する。参謀長と高い地位に付いているが訓練でナルと対峙して勝利するなど戦闘力も高い。
- ヘイス
- タロス村の幼馴染の一人。体も知識も人並みだが、人を惹き付ける魅力を持った少年で三馬鹿の一人。1回目の世界では国軍に入った後に連隊の副隊長まで出世するも最終的に魔族軍の戦いで死亡する。2回目の世界ではジョンに剣術や魔法を教えてもらったことにより、ジョンの教えにより魔術師適性調査に合格し魔法学院に入学した。魔法学院修了後は国軍に入った後に魔族討伐軍に参加する。
- オーツ
- 幼馴染の一人。幼馴染の中では体躯が一番良い三馬鹿の一人。1回目の世界では恵まれた体格を活かし国軍に入り一部隊の隊長になったが最終的には魔族軍との戦いで死亡する。2回目の世界ではジョンに剣術や魔法を教えてもらったことにより、ジョンの教えにより魔術師適性調査に合格し、魔法学院に入学した。魔法学院修了後は国軍に入った後に魔族討伐軍に参加する。
- フィル
- 幼馴染の一人。おかっぱ頭で視力矯正器具(メガネ)を身に着けた少年で博識かつ理詰めで物事を見つめ、大人を言い負かすこともしばしばあり、理不尽な叱られ方を見かけた場合飛んでいって理詰めで子供の方をかばうことも。1回目の世界では、宮廷に上がり学者兼官僚として活躍していたが、魔族の襲撃の際に宮廷が混乱した際に身を挺して抑えた代わりに命を落す。その理知的な雰囲気から女性に人気があったようだ。2回目の世界では、ジョンに剣術や魔法を教えてもらったことにより魔術師適性調査に合格しジョンに感謝をする。魔法学院修了後は国軍に入った後に魔族討伐軍に参加する。
魔術学院
学生
- ノール・オルフル
- ジョンとの同じクラスで友人となる。平民出身だが高い潜在能力を持つが、貴族に目を付けられいじめられてしまう。迷宮探索の授業課題でもジョンと一緒のパーティーとなる。卒業試験でもジョンと一緒のパーティーを組む。
- トリス・メルメディア
- 黒貴種(ダークエルフ)の少女。膨大な魔力量を持ちつつ魔法の成績も優秀かつ、かつ種族的な特性から戦闘技術も高い豊富。そして大人びた美人だが、美人であるがゆえに、迷宮探索の授業課題でパーティーを組む際にフィーとともに孤立していた。ノールとフィーとジョンと一緒になり卒業までの数年間一緒のパーティーを組んだ。フィーに影響され若干好戦的になったという。卒業試験でもジョンと一緒のパーティーを組む。卒業後は国軍に入り、新たに設立された魔族討伐軍に入隊する。その後精霊王に会う必要が生まれたジョンに依頼され、エルフが住む迷いの森への案内をする。
- フィー・ドルガンティア
- 匠種(ドワーフ)の愛らしい少女でボクっ娘。種族的な特性から怪力を持つが魔法においても優秀な成績を持つ。種族的な特徴から幼い容姿だが、年齢は新入生として最年長でジョンより7歳年上。迷宮探索の授業課題でもノール、トリス、ジョンと同じパーティーであったが、卒業試験でもジョンたちと一緒のパーティーを組む。比較的好戦的で前線に立つ事が多い。
- ベルナルド
- ジョンとノールと同じクラスの生徒。貴族子弟でノールを魔法で痛めつけようとしたところジョンに止められ、ジョンに反感を持つ。その後取り巻きとともにジョンを魔法で痛めつけようとするが、怒りにまかせてジョンを殺害しようとしてしまい、解き放たれたファレーナに魂を食われてしまい廃人状態になる。その後ジョンが契約した事で回復する。
- エレオノーラ・カサルシィ
- カサルシィ公爵令嬢。王国内での公爵家の序列でも比較的高い地位にある公爵家の令嬢で、とある出来事から同じクラスのカレンと仲良くなり親友となった。 卒業試験でのジョンの振る舞いを高く評価しており、カレンの親友だからと「エレ」の呼び名をジョンに許可する他、自分の名を貴族相手に使い指示してもよいという許可を与えた。試験後にジョンを王国に不可欠な人材だと指摘している。
教師
- ローゼンハイム・ナコルル
- 愛称はローズ。1回目の世界では、勇者パーティーにいたエルフ(希種)の女性魔導師で大賢者(ワイズマン)と呼ばれた英雄の一人として名が通っていた。ジョンが幼少期の時代は発表した理論が画期的過ぎて異端と見做され事実上学会から追放されて山奥で隠遁生活を送っていたはずであったが、2回目の世界ではジョンの父親のアレンが騎士団や王国首脳などに、根回しをしてナコルルを魔法学院の学院長に招聘したことでその任に就いている。タロス村に魔術師適性調査のために訪れるが、ジョンやテッドたちの魔法について目を張りさらに興味を持つ。普段は舐められないために常にエルフの姿保っているが、正体はドワーフ(匠種)の女性で幼い少女の容姿をしていたのだった。長く生きていることもあり人脈や事情に詳しいが未婚である。
- ジョンが魔法学院に入学した後はジョンや幻想爵の協力を得て魔法理論や魔道具の研究を加速させている。その後卒業後ジョンに一度目の人生に起きた事などの事情を打ち明けられ、魔族の襲撃に対して対策を講じて行くことになる。
- セリア・ステューカ
- 魔法学院の副院長。タロス村の子供達へ魔術師適性調査をするためにナコルルに帯同していた成人の女性で、ナコルルが単独行動をしてはぐれたため村中を探すハメになりナコルルに対して叱っていた。ナコルルが山に引きこもっていた際には一緒に暮らしていた。
- モラード・ガラクルシア
- 魔法学院の老男性教師。ジョンのクラスの魔法実技を担当している。過去の戦争においてその魔法の戦闘能力で敵国を震わせた「元素使い」と呼ばれる偉大な魔術師でナコルルも認めるほど。「旧魔法」ながらナコルル流の魔法理論に通じる理論を持っている。ジョンが参加した卒業試験にも同行しており魔族が襲撃したという試験では大魔法を放って防衛している。
- ベルノー
- 魔法学院で迷宮関連の科目を教える女性教師。迷宮探索を長く生業としてきており、修羅場も多く経験しているという。
- ブルバッハ
- 王国内で独立した自治権をもつ学術都市ソステヌーにおいて研究者として最高位「幻想爵」の称号を持つ男性研究者。専門は結界魔術と古代魔術。マッドサイエンティストで、研究のためなら人体実験も平気で行うが悪い人物ではない。話す語尾が震え、きっちりしない安定しない特徴がある。1巡目の世界でもソステヌーの研究者の一人として、魔族討伐軍の魔導部の一員として効果の如何を問わない奇怪な魔道具を開発していた。ジョンやケルケイロに渡された「皿」の開発者の一人である。2巡目の世界では、ファレーナの暴走に際して必要に迫られてジョンが自身を研究対象と有用であることを明かし王都へ招き、ジョンの知識から5年先駆けて、「皿」を開発する。
- 後に学院に部屋を与えられて教師として働きつつジョンやナコルルと協力して魔道具等の開発を行っている。学院で学生の評価は気味悪さと博識さのためか極端に二分化されている。なお二巡目の世界では切羽詰まっていないせいか非人道的な実験は行ってはいない。
神都エルランの関係者
- オリステラ
- 神都エルランの長を務める容姿が子供の男性。ナコルルとも知り合いであり長く生きている様子である。本人曰く生臭坊主で汚い事をしつつも長に上り詰めたというが信仰心は本物。ジョンが自分たちが把握できていなかった博物館の道具を起動させたことで興味を持ちその道具である「剣」を貸与した。一巡目の世界でもジョンと面識があり、魔族襲撃後の王都撤退の際に、性急的に遷都の手続きをサれることに防ぐためにエルランを訪問したフィニクス公爵の護衛として面会している。
- ミレイア・イドルワース
- エクビリオン大聖堂に併設されている博物館の管理人の少女。博物館の管理を家系で代々担っている。博物館に保管されている武器等の研究も行っており、ジョンがある道具を動かした際に興味津々であった。治癒魔法を使う事ができるが、一巡目の世界では聖女として勇者パーティーの一員の一人だった。ジョンが勇者を選定したと聞きエルランに訪問した際には髪をおろしており、メガネ(視力矯正魔道具)を外して身を整えているせいか美少女の身なりとなっているが、本人は自覚がない。モルスとともに王都へ赴き魔族討伐軍に入隊する。
- モルス・クヴィーナ
- 神都で選定された勇者の青年。一撃で数百・数千の敵の魔族を薙ぎ払う等絶大な攻撃力を持ち魔王を倒すことができる唯一の存在。ジョンの1巡目の世界では勇者としての自覚もあり、ジョンが魔王との最終決戦後に倒れた際に真っ先に駆けつけて治療に応っていた。2巡目の世界では勇者の選定が早い事もあるのか、勇者の自覚もなく勇者であれば引き抜けるエルランの「聖剣」も抜くことができず人間的な感情の発露も希薄で、魔族討伐軍への入隊をオリテスラからジョンに依頼した。ファレーナ曰く、まだ「人形」であり人間性を得るためには、まず魂を形作るために竜か大量の低位魔人、もしくは数人の中位魔人を倒し魂を得ることが必要でありそして多くの人と交わる経験が必要なことでありその後聖剣を抜くことがるという。ろくに学んでいないにも関わらずその戦闘力は圧倒的であり単独でオークを難なく討伐している。王都に趣き、ジョンの仲介により、国王に接見した後、魔族討伐軍に入隊する。
王侯貴族・軍・貴族関係者
- エリス・シュルプリーズ
- 魔の森の砦(ギヒノム砦)に詰める王国の女性剣士。ジョンの父親のアレンと同僚だった。闘技大会でアレンと熱戦を繰り広げ勝利して「剣姫エリス」という異名を持っているほどの実力者。砦の中でも一定の発言力を持つ。ジョンやユスタとファレーナとともに竜を倒すが、ケルケイロたちの事情を把握しており、私物の高級ポーションをジョンに与えたり止めをジョンに任せて報奨を全部ジョンに渡すなどの配慮を見せる。
- フィニクス公爵
- 王国の四大公爵家「フィニクス家」の当主。正式名は「ロドルフ・デュカス・フィニクス」。ケルケイロの父親で一巡目の世界でもケルケイロを通じてジョンと面識があった。顔も整っており文武両道を感じさせた風貌の壮年の男性。魔族の王都襲撃事件後に王都を撤退後に、自身の王都より東方にある伯爵領の領都を王都として遷都をし、避難民や貴族を移動させることを主張する有力伯爵のナルスジャック伯爵と避難は認めるものの性急な王都の遷都に反対した公爵とで対立する。結果ナルスジャック伯爵領への避難は決定したものの遷都は保留となった。遷都の手続きは神都エルランでも行う必要があるため、手続きを省略させない等の確認のために、嫡男のケルケイロの他、ジョンやヒルティス、メルロを護衛にして神都エルランに向かう。神都エルランにおいて、オリステラに遷都手続きの事情説明と確認を行ったあと博物館を見学する。
ジョンの二度目の人生では、魔の森の砦の件の直後にジョンが王都の公爵邸を訪ねた際に面会しているが、ジョンがスルトを尋ねるためにタルズ山脈を行く足(=馬車)を得るためにケルケイロを訪ねようとした所に公爵と出会う。その際にケルケイロと友人であることをじっくり事情を聞かれるが過去の事は伏せつつも信頼を得る事を成功しケルケイロを任せられた。本来は優秀なジョンを公爵家で雇うと学院に掛け合ったことも明かしている。またケルケイロとともにティアナとリゼットが麗の村まで同行することを条件に馬車を貸す事を快諾した。
- リゼット
- 公爵家に仕えるティアナ付きの侍女。ティアナを半ば邪な目で見守る。ティアナには逆らえずにケルケイロを見守るために魔の森まで入り込む事を許してしまう。体力にはある程度自信がある模様。訓練を積み、タルズ山脈にジョンにケルケイロやティアナが同行した際にも侍女として同行している。
- フランダ・クレメンティ
- クレメンティ子爵家の長男で貴族。ケルケイロとは友人だがケルケイロと違い身分差はわきまえるタイプ。フランダの母親が病気に罹っており、その病気を治すために竜の素材が必要ということでケルケイロが同行することに負い目を感じている。
- ケルケイロが打ち解けたことでフランダもジョン達に打ち解ける事になった。竜の素材を高価で売却できるにも関わらずジョンからタダで譲られた際には尋常にない感情を発露を表してして感謝を示している。後に竜の素材を用いて医薬を生成し母親に与えた所回復することが出来た。
- ジョンが魔法学院を卒業し、上級士官になった後は王宮に入り官僚として働いておりジョンと再会する。貴族と分け隔てなく付き合えるジョンやケルケイロに共感しているせいか、病気に臥せていた時と今の母親の性格の変わりように違和感を覚えている。また無意識にイレーネに操られている様子がある。
- デュプレ・クレメンティ
- クレメンティ子爵夫人でフランダの母親。病気に臥せっていたが、フランダがジョン達から貰った竜の素材を用いた特効薬により回復する。回復後は貴族らしい貴族の性格とふるまいになっておりフランダは違和感を持っている。
- ロレンツォ・モスカ
- ギヒノム砦の最高責任者であり司令官である准将。
- グラハム
- ギヒノム砦の下士官で曹長。研修にきた魔法学院生に対して魔術や武具を用いた実践的かつスパルタ的で過酷な戦闘訓練を施す。
- ヒルティス
- 王国兵士。1回目の世界で、ジョンとケルケイロとメルロと一緒につるんでいた親友。メルロとは王国兵になる前からの知り合いらしい。東方を祖とする一族出身。真面目で比較的寡黙な男。ジョンの記憶を元に再現された追憶の迷宮でも出会う。一つ目の部屋では、魔族を倒す際に共闘し、二つ目の部屋でも出会う。魔族の王都襲撃にも生き残り、メルロ・ジョンとケルケイロとともにフィニクス公爵の護衛としてエルランに向かう
- メルロ
- 王国兵士。1回目の世界で、ジョンとケルケイロとヒルティスと一緒につるんでいた親友。冗談好きの一面がありおしゃべり。面倒くさがりでもある。魔族の王都襲撃にも生き残り、ヒルティス・ジョンとケルケイロとともにフィニクス公爵の護衛としてエルランに向かう。2回目の世界では、ジョンの記憶を元に再現された追憶の迷宮でも出会う。一つ目の部屋では、魔族を倒す際に共闘し、二つ目の部屋でも出会う。
- ナルスジャック伯爵
- ジョンの一巡目の世界で起こった王都の魔族襲撃事件の際に王都を放棄した際、自身の伯爵領都である「ルライン」への王都遷都を主張する有力伯爵。権謀術数に長け、表向き大義がある事を見せかけつつ、王都の遷都により発言力や権力を高めようという意図を裏側で持っており、分が悪いと一旦引く事ができる等硬軟を織り交ぜる事ができるタヌキ。容貌はカエルに似ているほど肥えている。
- ハキム・スルト
- 一巡目の世界では王国の最後の剣聖であった老年の男性。それまで武術の面が強かった王国主流の剣術「剣聖流」から戦争として殺傷力に特化したスルト流をジョンを含め王国兵たちに死を厭わないほどに猛烈に叩き込んだ。後に魔族と戦い死亡する。剣術指南役として訓練を施していたため、王国兵だったジョンと面識があった。
- 二巡目の世界では神都エルランで行われた魔法学院の卒業試験で現れる。ジョンの言葉から自身が死亡していること、そしてジョンの事情についても把握できるほど頭の回転が早く、師として今の時代の自分に会うことなどいくつか助言し、ジョンと戦い消滅する。
- 上記の助言通り二巡目の世界でジョンが魔法学院を卒業する頃にはタルズ山脈に山篭りをしていたが、ジョンが訪ねてきた際にジョンの過去の話興味を持ち話を聞くことにする。王国の剣術指南役に就任して欲しい理由と、ジョンの過去の話は、ハキムが神都エルランの長オリテスラの話を聞いた事もあったため高い信憑性を感じていた。最後には剣を突き合わせる事になる。しかしジョンに剣聖流の奥義をスルト流の技で返されて剣を折られた事で全面的にジョンを信用し、山を下り闘技大会に参加することになる。
- 貴族に嫁いだ娘のパメラがいるが、娘のパメラは権謀術数には優れているが武術には興味を示さなかった。娘や孫娘が出来た事で溺愛している面もありカトラが弟子入りした際には他の弟子より甘めな修行になったという。
- カトラ・スルト
- ハキムの孫娘。剣術に生きようと実家から家出をしてハキムを訪ね勝とうとしたが、ハキムに敗れて住み込みで修行することになった。ジョンとケルケイロとは水浴びしている所を見られたために覗き見の山賊と勘違いし襲うも事情を把握し剣を収めた。その後ハキムの家でジョン達の会話を盗み聞きしジョン達の事情を知り再会する。
- ハキムが山を降りる際に同行し、ハキムとともに王都の闘技大会に参加することになった。
- ノラ・フアリス
- 王国軍第一師団の師団長でジョンの上司。フィニクス公爵と親しく、フィニクス公爵家にも時たま訪れる間柄。ジョンの父アレンと同じく魔剣士。ジョンの二度目の世界では、アレンがナコルルやジョン達の知識を取り入れているせいか対戦成績はアレンの若干勝率を上回っている。ハキムに公爵家で行われた模擬戦で剣聖流をスルト流で返され敗北したことで闘技大会に本格的に参加する事になる。
- イレーネ
- クレメンティ子爵家の侍女長。老齢になった前任の侍女長が引退したため後任として市井から見出された。フレンダからみても有能だが、囁くことでフレンダやデュプレに指示をし操っている節がある。また本来入れない王宮内にも難なく入る事が出来ている。
その他
- ファレーナ
- 人ではない存在で精神体の謎の美少女。1巡目の世界で魔導部が製作した魔道具「皿」を受け取った後に現れた。魂の半分と引き換えにジョンと契約し力を貸す。2巡目の世界でも現れ、ジョンの危機に際して体から飛び出し咎人の魂を食らう騒動を起こす。ジョンと改めて契約し、ジョンの魂を食らうことで力を貸すことになる。その際ジョンとの契約により咎人の魂を遡及して変換する。
- ニコ
- 人ではない謎の存在の少女。「もの病み(モルブス)のニコ」竜に追われ瀕死になったケルケイロがジョンの持っている「皿」を握り強く想った際に出現して、魂の半分を代償にケルケイロに手を貸す。
- ユスタ
- 2巡目の世界で、契約しジョンと友人となった強力な魔獣のクリスタルウルフ。名付けはカレン。子供も3に人おり、その子もカレンに名付けられている。魔の森でジョンが危機に陥った際に友人として力を貸す。
- ハンジ
- 行商人。迷宮に入ったジョンとケルケイロが初めて会った人物。ケルケイロとジョンに御飯をおごりかわりに街までの護衛を担ってもらう。公平な分配を主張し、ジョン達二人が倒した魔獣の分前を受け取ろうとせず、ジョン達に渡そうとする。話し合いの結果、飲食費以外をジョン達に渡した。
- ラペ
- 長老のエルフの一人で取りまとめ役、隻眼の厳つい風貌。精霊王との面会を要望したジョンの話を一度は却下するものの周囲の長老の話や社会情勢から受け入れ、面会要望の手紙を精霊王に送った。
- ラーカー
- 長老のエルフの一人でトリスの祖父の老ダークエルフ(黒貴種)。ジョンが一度精霊王との面会の要望を却下された際には間を取り持って前向きな方向に話の流れを転換した。精霊王への手紙の返事を待つ間ジョンたちが自身の家に滞在することを認めた。
- アーク・マルサグーロ
- 1周目の世界では勇者パーティーの一員として、戦闘に参加していた。貴種(エルフ)が住む迷いの森の更に奥に住む最長寿である男性エルフ。人嫌いで誰とも会おうとしないが、この意味の人嫌いとは普人族(ヒューマン)だけでなく同族の貴種(エルフ)とも会いたがらないの意。神都エルランの古文書でもかろうじて名前が出てくるくらいにはエルフ以外では知られていない人物。精霊王と呼ばれるほどの精霊使いで、一方的な命令でも精霊を使役することができるくらいに強力な使い手。誰とも会いたがらないのには、誰も覚えていなくとも必要である理由がある模様。
魔族
- ウヌ・メルクーロ
- 眠っている魔族を起こしている女性魔族。憎しみにとらわれているらしい。クヴァル曰く人間の中に溶け込んでいるのに争いを起こす事での感想で冷血女と評しているが仲間には優しいらしい。
- トリ・ティエラ
- ゴスロリ風の十二、三歳の少女の風貌をした女性魔族。闘技大会での魔獣の出現後、市井に飛び出したジョンと戦うことになる。フィレーナのちからもあり互角で戦うも、ジョンがトリの言葉が気になっている隙にケガを負わせるが、状況が悪化したことに伴いドゥたちとともに撤退する。
- クヴァル・マルテ
- 背が高く武人風の風貌をした男性魔族。魔族一剣術に優れているというがハキムと闘技大会で対戦するも手加減なしで敗北してしまう。
- ドゥ・ヴェヌーソ
- 闘技大会の魔獣出現後に濃密な魔力から市井でナコルルが見つけそして戦った老魔族。同時に2つの魔法を使役できる多重魔法を使う事ができる。最終的に戦況の悪化からトリを守り撤退した。トリ曰く死に場所を追い求めている節があるという。
- ナル・ルーノ
- 魔族の少女。ある装置で長く眠っていたが、仲間の魔族の手により眠りから目覚める。記憶を失っているが、夢の中で勇者や聖女など勇者パーティーと対峙し自身が死亡した事を見たことは覚えている事から魔王であったとみられるが過去に戻っている理由は不明。仲間の魔族の人間との敵対する思想に疑問を抱き、記憶は戻らないものの身の回りの世話を受けある程度の訓練を受けた後に転移と人化の魔法を使い、家出のような形で人間の国の王都へ赴く。その際にジョンと出会い、魔族討伐軍の入隊をジョンに志願したがカレンによる入隊試験にも合格したことから魔族討伐軍に参加する。ジョン達には「ナル」と名乗っている。ジョンやカレンとともに神都エルランに赴き聖女と勇者と出会う。戦闘力は高く武術ではジョンと教官のカレンと参謀長のコウには負けるものの実力の高く、魔法でも旧式魔法をほぼ無詠唱で撃てるなどジョンをして逸材としている。魔族討伐軍ではナコルル式魔法を教え込まれており実力も高めている。人と魔族がともに平和で暮らせるようなことを願っている。
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漫画版
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関連項目
- Web小説
- 小説家になろう
- アルファポリス
- 蘇りの魔王
- 望まぬ不死の冒険者
外部リンク