憂鬱くんとサキュバスさんとは (ユウウツクントサキュバスサンとは) [単語記事]

憂鬱くんとサキュバスさんとは、漫画作品である。作者は「さかめがね」。

概要

集英社のウェブ漫画サイト「となりのヤングジャンプ」にて、2015年9月から連載されている。

乱暴に要約すると「主人公の元に彼の精を吸い取ろうとしたサキュバスが押しかけてきて、色々あって同居することになり、ともに日常を送る話」である。

こう書くと、お色気コメディ漫画のようである。確かに下ネタは多いし、コメディ系漫画ではある。

だが、時に体も動かせなくなるような深刻な鬱を患っている主人公と、そんな彼のことを心配しつつ明るく寄り添うサキュバスの姿には、読者の心に迫るものがある。下ネタ多めの癒し系漫画でもあるのだ。

コミックス第1巻の帯には、とある読者がTwitter上で溢した感想の中から

こういうふうに接してくれる誰かが欲しかった

との一節が記されている。この人物だけでなく、多くの読者らの心情を代表するような言葉かもしれない。

下記の「原型」の項で触れるが、この作品の元になった数枚の漫画には、とあるテーマがあった。そのテーマはこの「憂鬱くんとサキュバスさん」にも息づいている。

一人暮らしの青年の部屋に、男の精を奪う恐ろしい淫魔サキュバスが襲来した。

「吸い尽くしたるで～！」

「ごめんなさい性欲ないんです　鬱なので」

！？

その青年は長時間勤務の日々に疲れ果てて鬱となっており、性欲も、生きる気力も失っていたのだ！

性欲が無い相手にはサキュバスも手出しのしようがない……。だが非常に前向きで努力家だったそのサキュバスは憂鬱について真面目に学び始める。

そして、青年をどうにか元気付けて性欲を取り戻させようと、彼と同居して甲斐甲斐しく世話をしはじめるのだった。

2016年9月16日にコミックス第1巻発売。描きおろし番外編＆隠しコミック全12ページが収録されている。

ニコニコ市場は2023年11月に終了しました。

「となりのヤングジャンプ」の連載ページでは、この1巻発売に際して

●柔らかな手触りにこだわった特殊用紙使用。
●本文用紙は白色度を抑え、目に優しい読み味に。
●「ジョジョリオン」などヒット作を手がける装丁デザイナー・成見紀子氏による、女性も手に取りやすい優しいデザイン。

という、漫画のコミックスの売り文句としてはなんだか一風変わった文章を掲げていた。

この作品には原型がある。2016年2月に作者の「さかめがね」がTwitter上に投稿した6枚の漫画、「鬱病患者に取り憑いてしまったサキュバスが頑張る漫画」がそれである。

この漫画は現在の「憂鬱くんとサキュバスさん」とほぼ同様の内容であった。しかし「鬱病」とダイレクトな病名を使っているところや、青年が早まった真似をするショッキングなシーンなど、一味違う内容も含んでいた。

作者の言葉によれば、この漫画には「うつの改善には周囲の人のうつへの深い理解と献身が必要である」という真面目なテーマがあったらしい。

これらの漫画は、作者本人によってTogetterというウェブサービスを利用してまとめられている。