抗ヒスタミン薬 単語


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コウヒスタミンヤク

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抗ヒスタミン薬(Antihistamine)とは、アレルギーや炎症に関与する生理活性物質ヒスタミンの作用を抑制する薬物である。とくに、ヒスタミンH1受容体拮抗薬を指す。

概要

抗ヒスタミン薬は、ヒスタミンH1受容体においてヒスタミンと競合し、H1受容体へのヒスタミンの結合を抑制することでアレルギー反応を抑える薬物である。ヒスタミン受容体は構造の異なる4種類(H1~H4受容体)が同定されているが、一般にH1受容体の拮抗薬のみが抗ヒスタミン薬と呼ばれる。1937年にイタリアの薬理学者ダニエル・ボベットが初めて開発した(1957年ノーベル生理学・医学賞受賞)。

抗ヒスタミン薬は、初期に開発された「第一世代抗ヒスタミン薬」と1983年以降に登場した「第二世代抗ヒスタミン薬」に大別される。古典的な第一世代抗ヒスタミン薬には強い中枢抑制作用があり、抗精神病薬や抗うつ薬の原型ともなった。第二世代抗ヒスタミン薬は1日1~2回の服用でよく、ケミカルメディエーター遊離抑制作用を併せもつものや副作用の眠気が改善されているものが多い。

抗ヒスタミン薬は、花粉症、蕁麻疹、気管支喘息などのアレルギー疾患の治療に用いられており、皮膚や粘膜の腫れ、かゆみ、鼻炎、咳などの症状を緩和する。また、第一世代抗ヒスタミン薬には動揺病(乗り物酔い)やメニエール病、パーキンソニズム、神経症による不安や抑うつに応用されているものがある。睡眠改善薬としても利用されるが、慢性的な不眠症に対する抗ヒスタミン薬の長期連用は非推奨。

抗ヒスタミン薬の副作用としてよく知られているものは、鎮静作用(眠気、倦怠感など)、抗コリン作用(口渇、便秘、排尿困難など)である。また、鎮静作用のある抗ヒスタミン薬は、しばしばインペアード・パフォーマンス(鈍脳)と呼ばれる集中力や判断力の低下および作業効率の低下を招く。

一覧

多いため一部のみ掲載。記事があるものは太字で記載した。構造の分類は編集者による。用法は一例を掲載しているに過ぎないため、自己判断せず医師や薬剤師の指示のとおり使用すること。

一般名 販売名 世代 構造 用法 眠気
ジフェンヒドラミン レスタミンコーワ 第1世代 エタノールアミン系 1日2~3回 眠気あり
運転禁止
ジフェニルピラリン - 第1世代 エタノールアミン系 - -
ドキシラミン - 第1世代 エタノールアミン系 - -
クレマスチン タベジール® 第1世代 ピロリジン系 1日2回
朝・夕
眠気あり
運転禁止
トリプロリジン - 第1世代 ピロリジン系 - -
クロルフェニラミン ポララミン®
クロダミン®
第1世代 プロピルアミン系 1日1~4回 眠気あり
運転禁止
メピラミン - 第1世代 エチレンジアミン系 - -
プロメタジン ピレチア®
ヒベルナ®
第1世代 三環系
フェノチアジン系
1日1~3回 眠気あり
運転禁止
アリメマジン アリメジン® 第1世代 三環系
フェノチアジン系
1日3~4回 眠気あり
運転禁止
イソチペンジル - 第1世代 三環系 - -
ヒドロキシジン アタラックス® 第1世代 ピペラジン系 1日2~3回 眠気あり
運転禁止
シクリジン - 第1世代 ピペラジン系 - -
メクリジン - 第1世代 ピペラジン系 - -
ブクリジン - 第1世代 ピペラジン系 - -
クロルシクリジン - 第1世代 ピペラジン系 - -
ホモクロルシクリジン (同左) 第1世代 ピペラジン系 1日3回 眠気あり
運転禁止
シプロヘプタジン ペリアクチン® 第1世代 ピペリジン系
三環系
1日1~3回 眠気あり
運転禁止
メキタジン ゼスラン®
ニポラジン®
第2世代 三環系
フェノチアジン系
1日2回 眠気あり
運転禁止
ケトチフェン ザジテン® 第2世代 三環系 1日2回
朝・就寝前
眠気あり
運転禁止
アゼラスチン アゼプチン® 第2世代 フタラジノン系 1日2回
朝・就寝前
眠気あり
運転禁止
オキサトミド (同左) 第2世代 ピペラジン系 1日2回
朝・就寝前
眠気あり
運転禁止
テルフェナジン - 第2世代 ピペリジン系
アザシクロノール系
- -
エメダスチン レミカット®
アレサガ®
第2世代 ベンゾイミダゾール系 1日2回
朝・就寝前
眠気あり
運転禁止
エピナスチン アレジオン® 第2世代 三環系(四環系) 1日1回 眠気あり
運転注意
エバスチン エバステル® 第2世代 ピペリジン系 1日1回 眠気あり
運転注意
セチリジン ジルテック® 第2世代 ピペラジン系 1日1回
就寝前
眠気あり
運転禁止
ベポタスチン タリオン® 第2世代 ピペリジン系 1日2回 眠気あり
運転注意
フェキソフェナジン アレグラ® 第2世代 ピペリジン系
アザシクロノール系
1日2回 眠くなり
にくい
オロパタジン アレロック®
パタノール®
第2世代 三環系 1日2回
朝・就寝前
眠気あり
運転禁止
ロラタジン クラリチン® 第2世代 三環系 1日1回
食後
眠くなり
にくい
レボセチリジン ザイザル® 第2世代 ピペラジン系 1日1回
就寝前
眠気あり
運転禁止
デスロラタジン デザレックス® 第2世代 三環系 1日1回 眠くなり
にくい
ビラスチン ビラノア® 第2世代 ベンゾイミダゾール系 1日1回
空腹時
眠くなり
にくい
ルパタジン ルパフィン® 第2世代 三環系 1日1回 眠気あり
運転禁止

補足

抗ヒスタミン薬はヒスタミンH1受容体拮抗薬(アンタゴニスト)であるが、ヒスタミンH1受容体逆作動薬(インバースアゴニスト)でもある。ヒスタミンH1受容体は活性型と非活性型のそれぞれが一定の割合で共存していると考えられており、ほとんどの抗ヒスタミン薬は活性型として存在しているヒスタミンH1受容体を非活性化させる作用を併せもつ。

ヒスタミンH1受容体以外の拮抗薬は抗ヒスタミン薬とは通常呼ばれない。たとえば、ヒスタミンH2受容体拮抗薬はH2ブロッカーと呼ばれ、胃潰瘍や逆流性食道炎などの治療に用いられている。ただし、ヒスタミンH2受容体は皮膚などにも分布しており、抗アレルギー作用を期待して抗ヒスタミン薬に併用するケースがある。

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関連項目

  • 医学
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    • 花粉症
    • アトピー性皮膚炎
  • ノーベル生理学・医学賞
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