日本の苗字分布(3)とは、甲信(山梨県、長野県)、北陸(富山県、石川県、福井県)、東海(静岡県、愛知県、岐阜県、三重県)の苗字分布について解説した記事である。
→日本の苗字分布
→日本の苗字(名字)の一覧
山国であるためか、苗字の分布が非常に個性的である。古くから武家の興亡を繰り返してきたため、この地をルーツとする苗字は数多い。
この地域には信州を発祥とする小林が多く、長野県では1番目、山梨県では2番目に多い苗字となっている。
その他、長野県では丸山、宮沢、柳沢。山梨県では望月、古屋、雨宮を多く見かける。両県とも清水も多い。
一番多い苗字が渡辺であるのが異色。その次に信州由来の小林、望月と続く。
望月は信州由来であるが、戦国時代望月氏が織田軍から逃れるために富士川流域へと移り住んだため、今でも山梨、静岡両県で望月姓は多い。
その他、古屋、深沢、雨宮、長田(おさだ)、志村、秋山、保坂、中込、小俣など、他県ではさほど多く見られない苗字がベスト30に名を連ねる。
薬袋(みない)姓は、中央市付近ではメジャーな苗字である。
藤原、梶原、萩原の読みはそれぞれ「ふじはら」、「かじはら」、「はぎはら」が多数。
この地域に多い功刀(くぬぎ)姓の「功」の字は、「㓛」(エ刀)と、旁の力が刀であることも多い。㓛刀と書く。
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など。
小林の発祥地であるためか、小林が北信を中心に非常に多い。県内で一番多い苗字となっている。小林は日本で9番目に多い苗字とされているが、トップを飾るのは長野県だけである。
その他目立つのは丸山。全国的に見られる苗字ではあるが、これだけ集中しているのは長野県、隣県新潟県だけである。
松本市では百瀬、赤羽、上条が多いなど、特に個性的な苗字分布をしている。松本市で一番多い苗字は百瀬である。
山国であるためか「沢」のつく苗字が非常に多く、宮沢が特に多い。その他多い○沢姓は、
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が挙げられる。
その他、岩波、藤森、上原、北原、春日、平林、小平等もよく見られる。宮下など「宮」、牛山など「牛」、倉石など「倉」から始まる苗字も目立つ。「原」を結び字にした苗字も多い。原姓自体も割と大目。
中信では古畑・降旗姓が多く見られる。ちなみに古畑任三郎は旧東筑摩郡本城村(現筑北村)出身の設定。
長野市には轟姓が集中して分布している。
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など。
親不知を越すと、途端に苗字が西日本的になり、田中、山本、吉田、中村などの典型的な西日本型の苗字が目立つようになる。
中川、林、酒井、谷口が全体的に多いのが特徴。富山県、石川県では中田も目立つ。南、東、北村などの方位姓もよく見かける。
富山県射水市旧新湊市地区、石川県能登地方など、なかなかに個性的な苗字が集まっている。
一番多い苗字は山本であり、西日本的。林が二番目に多く、特徴的である。酒井も多く見られる。
射水市旧新湊市地区では
釣、飴、味噌、酢、桶、牛、魚、草、菊、壁、石灰、風呂、菓子など物の名前をそのままつけたような苗字が多く分布する。
旧新湊市で一番多い苗字は釣、二番目は高木であった。
四十物(あいもの)、四十住(あいずみ)など「四十(あい)」のつく苗字が多い。ぱっと見て仏教関係の言葉由来と見られる苗字も多く見られる。
黒部市では能登姓が非常に多い。
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など。
西出、中出、北出、上出など、「出」を結び字にした苗字が多く見られる。全国的に見ると、表姓が非常にこの付近に集中している。
越田、越川など「越」、能村など「能」を用いた苗字も多い。堂前など「堂」を用いた苗字もよく見られる。
能登地方には水道、清酒、尻屋、日光などの珍しい苗字が多く分布する。
東、西、南、北の一字姓が、満遍なく多いのも特徴である。(北姓は、東、西、南の三姓に比べると数が少ない)
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など。
木下、白崎、高島、宇野、三田村が多いのが特徴。坪田、坪川など「坪」のつく苗字が多く見られる。ここまで来ると、中川は少なくなってくる。
白崎、牧野、玉村、反保を多く見かける。
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など。
古来から人の往来が激しい東海では、分布としては、鈴木、加藤、伊藤が広く分布している。
織田信長、豊臣秀吉、徳川家康などの天下に名を残した戦国武将はこの地出身。当然、この地は歴史の表舞台に立つことになった。その為、細川などここをルーツとする苗字は各地に広まっていった。
太平洋側の苗字の東西は、三重県内にあると見られる。
浜松市を中心に鈴木が非常に多く、全国で鈴木が一番多い地方となっている。浜松市では鈴木がぶっちぎりで一番多い。
静岡市周辺では山梨県同様望月が多く、静岡市では望月が一番多い苗字となっている。
池谷は西部では「いけや」、中部では「いけがや」と読ませることが多い。佐野、増田、大石、村松、勝又、芹沢、杉山が特徴的な苗字か。
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など。
大都市名古屋市があるため、割と全国の苗字が集まっている。一番多い苗字は鈴木。続いて加藤、伊藤と正に東海といった感じがする。土着の苗字は、岐阜県、静岡県由来の苗字をよく見かける。
三河地方では鈴木、尾張地方では加藤、全体的に伊藤が分布しているように見える。
目に付く苗字は尾張地方で水野。名古屋市で鬼頭。三河地方で杉浦、神谷。全体的に近藤が多いのも特徴である。
一宮市には後藤、半田市には榊原が非常に集中している。童話作家新美南吉の出身地は半田市であるが、現在でも新美姓は半田市を中心に分布する。
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など。
美濃地方は愛知県と共通な苗字の分布をしている。目立つ苗字は後藤、高木、今井。田口、村瀬も目立つ。長屋、日比野、篠田、小栗、鷲見、川瀬、棚橋、安江、加納、熊崎も岐阜県らしい。
可児、多治見、各務など、県内に地名がある苗字が多く分布している。大洞、洞田など「洞」のつく苗字が多い。
大橋、大野なども多く見える。
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など。
三重県を発祥とする伊藤が多く、県内で一番多い苗字となっている。伊藤が一番多い苗字は三重県だけ。苗字分布は、東日本と西日本の混成形と言ったところか。県内の雲出川が太平洋側の苗字の東西の境目だと考えられている。北勢地方では東日本系、南勢地方、伊賀地方では西日本系の分布となっている。
目立つ苗字は水谷。愛知との県境に多く、特に桑名市では二番目に多い苗字となっている。
服部、稲垣、出口、倉田、野呂、古市、世古、駒田、別所も多く見える。志摩地方には浜口、山際が多い。奥を使った苗字も多く見える。
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など。
| 日本の苗字分布 ※各県名を押すとその県の苗字分布へと飛びます。 | |
| 1 |
北海道・東北(青森県・岩手県・宮城県・福島県・秋田県・山形県)・新潟県 |
| 2 | 関東(茨城県・栃木県・群馬県・埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県) |
| 3 | 甲信(山梨県・長野県)・北陸(富山県・石川県・福井県)・東海(静岡県・愛知県・岐阜県・三重県) |
| 4 | 関西(滋賀県・京都府・大阪府・兵庫県・奈良県・和歌山県) |
| 5 | 中国(鳥取県・島根県・岡山県・広島県・山口県) |
| 6 | 四国(徳島県・香川県・愛媛県・高知県)・九州北部(福岡県・佐賀県・長崎県・熊本県・大分県) |
| 7 | 九州南部(宮崎県・鹿児島県・奄美群島)・沖縄県 |
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最終更新:2025/12/07(日) 02:00
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