日本の苗字分布(5)とは、中国(鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県)の苗字分布について解説した記事である。
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関西
概況
田中、山本に加え、山陰では足立、安達、門脇。山陽では藤井。島根、岡山には藤原。全体的に山根が多く分布している。
山口県では原田などの九州系の苗字も多く見られる。
山陽から福岡県にかけてでは、行正、定兼、重利など、男性名のような苗字が多い。これは、開拓者が自分、若しくは父親の名前を地名とし、後に当地の住民がその地名を苗字としたパターンが多い。
鳥取県
山陰に多い山根、足立が多く分布している。一番多い苗字は田中。鳥取市を中心に小谷(こだに)、西尾両姓が多く分布している。
米子市では生田姓を多く見かける。
土着の苗字
- 池淵(いけぶち)
- 門永(かどなが)
- 都田(みやこだ)
- 地頭(じとう)
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- 石賀(いしが)
- 倉敷(くらしき)
- 本池(もといけ)
- 定常(さだつね)
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- 石破(いしば)
- 黒見(くろみ)
- 寺垣(てらがき)
- 武良(むら)
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- 影井(かげい)
- 林原(はやしばら)
- 涌島(わくしま)
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など。
島根県
西部には佐々木が多く、浜田市、江津市では一番多い苗字となっている。藤原も多い。
出雲地方の苗字が特徴的である。
出雲市を中心に勝部。松江市を中心に野津が目立つ。勝部、野津両姓ともに、ほぼ島根県や隣県、大都市でしか見かけない。
他の土着の苗字としては、錦織、柳楽、江角が目立つ。
土着の苗字
- 青戸(あおと)
- 板持(いたもち)
- 江角(えすみ)
- 金築(かねつき)
- 城市(じょういち)
- 園山(そのやま)
- 土江(つちえ)
- 名原(なはら)
- 引野(ひきの)
- 布野(ふの)
- 目次(めつぎ)
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- 吾郷(あごう)
- 糸原(いとはら)
- 大国(おおぐに)
- 嘉本(かもと)
- 昌子(しょうじ)
- 多久和・宅和(たくわ)
- 寺戸(てらど)
- 成相(なりあい)
- 樋野(ひの)
- 馬庭(まにわ)
- 若槻(わかつき)
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- 小豆沢(あずきざわ)
- 岩成(いわなり)
- 尾添(おぞえ)
- 神門(ごうど)
- 周藤(すとう)
- 多々納(たたの)
- 長廻(ながさこ)
- 錦織(にしこおり・にしこり)
- 三成(みなり)
- 和崎(わさき)
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- 石飛(いしとび)
- 漆谷(うるしだに)
- 勝部(かつべ)
- 作野(さくの)
- 曽田(そだ)
- 月森(つきもり)
- 柳楽(なぎら)
- 野津(のづ)
- 福間(ふくま)
- 宮廻(みやさこ)
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など。
岡山県
一番多い苗字は山本、次に藤原と中国的な構成。三番目には三宅が来る。三宅姓は岡山県を中心に分布する苗字。
岡山県は古くから開けていたためか、その他に妹尾、難波などが多く分布し、苗字の分布がなかなかに個性的である。片山も多く見られる。
岡山市を中心に赤木が多く見られるのも特徴。特に高梁市に多い。春名など、兵庫県土着の苗字もちらほらと見える。
この辺りから男性名のような苗字がちらほらと見えるようになる。
土着の苗字
- 青江(あおえ)
- 出射(いでい)
- 小郷(おごう)
- 風早(かざはや)
- 栢野(かやの)
- 草加(くさか)
- 国富(くにとみ)
- 甲本(こうもと)
- 直原(じきはら)
- 新免(しんめん)
- 関藤(せきとう)
- 竹久(たけひさ)
- 頓宮(とんぐう)
- 西江(にしえ)
- 長谷井(はせい)
- 福武(ふくたけ)
- 水川(みずかわ)
- 光森(みつもり)
- 森分(もりわけ)
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- 有安(ありやす)
- 岩藤(いわどう)
- 小坂田(おさかだ)
- 柏野(かしの)
- 川相(かわい)
- 草地(くさち)
- 熊代(くましろ)
- 国米(こくまい)
- 白髪(しらが)
- 須々木(すすき・すずき)
- 丹原(たんばら)
- 中桐(なかきり)
- 沼本(ぬまもと)
- 日笠(ひがさ)
- 星島(ほしじま)
- 溝手(みぞて)
- 皆木(みなぎ)
- 行正(ゆきまさ)
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- 猪木(いぎ)
- 植月(うえつき)
- 貝阿弥(かいあみ)
- 兼信(かねのぶ)
- 祇園(ぎおん)
- 楠戸(くすど)
- 久山(くやま)
- 坂手(さかて)
- 白神(しらが・しらがみ)
- 角南(すなみ)
- 瀬島(せじま)
- 寺見(てらみ)
- 中藤(なかとう)
- 野々上(ののうえ)
- 久安(ひさやす)
- 増成(ますなり)
- 道広(みちひろ)
- 虫明(むしあけ)
- 吉房(よしふさ)
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- 板野(いたの)
- 江見(えみ)
- 貝原(かいはら)
- 金政(かねまさ)
- 行司(ぎょうじ)
- 国定(くにさだ)
- 黒住(くろずみ)
- 定兼・定金(さだかね)
- 塩飽(しわく)
- 洲脇(すわき)
- 妹尾(せのお)
- 都井(とい)
- 難波(なんば)
- 延原(のぶはら)
- 日名(ひな)
- 美甘(みかも)
- 光畑(みつはた)
- 森安・守安(もりやす)
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など。
広島県
村上水軍の影響か、対岸の愛媛県と共に村上姓が多い。県内に五番目に多い苗字となっている。
苗字は一番多いほうから山本、田中、藤井と典型的な中国系。藤井は特に福山市に集中している。
沖本、風呂本、槙本など珍しい○本姓が多い。また、「沖」を使った苗字も多く見られる。比較的「河」の字を「こう」と読むことが多い。「垰」(たお、たわ)の字を使った苗字、地名は県内では普通に見られる。中土井など○土井という苗字も散見される。
檀上、新宅、桑田なども目立つ苗字か。
因島では、村上、岡野、宮地の三姓が傑出して多い。
土着の苗字
- 青原(あおはら)
- 礒本(いそもと)
- 馬屋原(うまやはら)
- 胡本(えびすもと)
- 沖井(おきい)
- 折手(おりて)
- 神垣(かみがき)
- 木坂(きさか)
- 久保本(くぼもと)
- 迫川(さこがわ)
- 世良・世羅・瀬良(せら)
- 棗田(なつめだ)
- 羽原(はばら)
- 坊田(ぼうた)
- 三阪(みさか)
- 桃谷(ももたに)
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- 粟根(あわね)
- 上迫(うえさこ)
- 江草(えぐさ)
- 大段(おおだん)
- 沖川(おきがわ)
- 篝(かがり)
- 上瀬(かみせ)
- 来山(きたやま)
- 栗栖(くりす)
- 重政(しげまさ)
- 空(そら)
- 高下(たかした)
- 仁井(にい)
- 部谷(ひだに・へや)
- 保手浜(ほてはま)
- 光成(みつなり)
- 山手(やまて)
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- 粟村(あわむら)
- 宇根(うね)
- 枝広(えだひろ)
- 大成(おおなり)
- 沖本(おきもと)
- 掛本(かけもと)
- 河相(かわい)
- 橘高(きったか)
- 黒飛(くろとび)
- 下江(しもえ)
- 垰(たお)
- 檀上(だんじょう)
- 信岡(のぶおか)
- 福場(ふくば)
- 槙原(まきはら)
- 光原(みつはら)
- 渡壁(わたかべ)
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- 石中(いしなか)
- 宇根本・畝本(うねもと)
- 胡・胡子(えびす)
- 大元(おおもと)
- 沖原(おきはら)
- 掛谷(かけや)
- 川岡(かわおか)
- 久保河内(くぼかわち)
- 小迫(こさこ)
- 新宅(しんたく)
- 垰田(たおだ)
- 中下(なかした)
- 信本(のぶもと)
- 風呂本(ふろもと)
- 槙本(まきもと)
- 宗近(むねちか)
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など。
山口県
九州から中村、原田。山陽から藤井。山陰から山根。と、各地方の混成形のような印象を受ける。
山陽で多い男性名のような苗字は山口県で特に際立つ。特に兼重、金重が多い。
河村も目立つ。下松市では武居(たけすえ)姓が非常に多く分布している。
目立つ苗字は水津(すいづ、すいつ)、阿武(あんの)、山県など。
土着の苗字
- 相本(あいもと)
- 阿武(あんの)
- 兼清(かねきよ)
- 国弘(くにひろ)
- 貞永(さだなが)
- 重枝(しげえだ)
- 水津(すいつ・すいづ)
- 清木(せいき)
- 縄田(なわた)
- 藤重(ふじしげ)
- 三隅(みすみ)
- 百合野(ゆりの)
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- 上利(あがり)
- 石光(いしみつ)
- 兼重・金重(かねしげ)
- 倉重・蔵重(くらしげ)
- 貞弘(さだひろ)
- 重国(しげくに)
- 末岡(すえおか)
- 竹重(たけしげ)
- 広実(ひろざね)
- 藤津(ふじつ)
- 村重(むらしげ)
- 吉屋(よしや)
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- 秋枝(あきえだ)
- 井町(いまち)
- 兼安(かねやす)
- 河内山(こうちやま)
- 貞本(さだもと)
- 重村(しげむら)
- 末富(すえとみ)
- 千々松(ちぢまつ)
- 広津(ひろつ)
- 星出(ほしで)
- 森重(もりしげ)
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- 粟屋(あわや)
- 岡藤(おかふじ)
- 国清(くにきよ)
- 厚東(こうとう)
- 三分一(さんぶいち)
- 下瀬(しもせ)
- 末益(すえます)
- 長富(ながとみ)
- 広中・弘中(ひろなか)
- 松重(まつしげ)
- 山近(やまちか)
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など。
関連項目