水上悟志とは月刊誌を中心に活躍する漫画家である。男性。
代表作は「惑星のさみだれ」「戦国妖狐」など。
概要
画力は決して高いとは言えないが、非常に個性的でイラストチックな画風をもつ。作品には物の怪の類が多く描かれ、大きな動物・妖怪・幽霊・「生物のようなロボット」などがよく登場する。特にカエルが好みで、自画像もカエルである。あとヒヨコ・インコなどの鳥類も大好き。酒も好き。
水上の作品テーマとして共通して扱われる要素に「大人と子供の境界」「世代間の意思伝達」「種族間を越えた信頼関係」などがあり、主として「境界を超えたつながり」が描かれることが多い。人であれ動物であれ妖怪であれ宇宙人であれ、同じところは同じ。そこから万人に共通する解答を導き出そうとする手法である。そのため、水上の描く妖怪や動物は人間と同じような生活を送っているものが多く、大半が人間以上に暢気で陽気である。
このように相互理解・自己実現・自己表現をテーマとしていることもあり、登場人物のわだかまりが解ける瞬間や互いの主義主張をぶつける戦闘など、非常に熱いシーンが多く登場する。特に長編作品で得られるカタルシスは異常と言ってもいいほど。セリフのセンスも抜群で、日常で使いたくなる名フレーズが満載である。
長らくマイナー路線を歩んできたが『惑星のさみだれ』『サイコスタッフ』『スピリットサークル』などの作品の面白さが話題を呼び、知名度は徐々に高まってきている。また、物足りないと言われ続けた画力に関しても『戦国妖狐』などのバトル物を通して目覚ましい成長を遂げ、現在では壮大なストーリーに相応しいだけの迫力を備えてきている。
作品の多くが緩いクロスオーバー=世界観の共有をしている。大きい部分だと、戦国妖狐(戦国時代)にいる風祭家・雷堂家→百鬼町シリーズ(現代)の風祭家・雷堂家だったり。小さいところだと『惑星のさみだれ』にて、朝日奈さみだれの同級生のおかっぱの女の子が、短編『魔界斬妖剣・ドキドキ地獄変』の主役の妹、だったりする。
作品一覧
連載中
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プラネット・ウィズ
- 既刊1巻(2018年現在)、少年画報社:YKコミックス
- プラネット・ウィズではTVアニメが放送されるよりも先にヤングキングアワーズにて2018年6月号より連載開始され、スタッフとして深く関わり、シリーズ構成・ネーム(脚本原案)・キャラクター原案・ネビュラウェポンデザインを担当。漫画とアニメを連動でやり、ネームを1074ページも描くという初の試みであるTVアニメーションとなった。
- 『おれのまんが道(仮)』→[新]『まんが左道』、『ヤングキングアワーズ』 - 連載中) エッセイ漫画。
完結作品
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惑星のさみだれ
- 全10巻、少年画報社:YKコミックス
- 男子大学生の「雨宮夕日」と女子高生の「朝日奈さみだれ」他十名ちょっとの仲間たちが、地球を砕こうとする魔法使いと戦う、新感覚ご近所バトルストーリー。
- 連載中に画力・知名度をめきめき上げた代表作。丁寧な伏線、展開に加え、熱さと緩さを兼ね備えた名作。詳しくは該当記事にて。
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散人左道
- 全2巻、少年画報社:YKコミックス
- ちょっと胡散臭い銀髪の仙人フブキのまったりバトルコメディ。水上の連載デビュー作でもある。緩くて熱いという水上の特徴はこの頃から見ることができる。後の作品に一部設定が引き継がれている。短編集では登場人物の再登場もあり。
- 2013年3月現在、絶版状態。しかし古本で探すと結構簡単に手に入る。
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スピリットサークル-魂環-
- 全6巻、少年画報社:YKコミックス、月刊ヤングキングアワーズ
- 14歳・中学二年生という今までの作品で一番若い「桶屋風太」が主人公の輪廻転生ファンタジー。基本となる舞台は現代日本だが、主人公の視点があらゆる世界における過去・未来へと移り変わるので、世界観という意味合いでは最も広大な作品と言えるかもしれない。
- 全巻にわたり、風太の様々な前世を垣間見るという形で物語が進む。前世においては環境も性格も能力も異なっているため、一貫した主人公の作品でありながら短編集を読んでいるかのような感覚で楽しめる。それらが折り重なって展開されていくストーリーは否が応にも先を期待させるワクワクさに溢れ、全てを巻き込みながら最終的には一つの結末へと収斂していく。
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戦国妖狐
- 全17巻、マッグガーデン:BLADE COMICS、月刊コミックブレイド
- 戦国時代、妖狐の「たま」と人間の「迅火(じんか)」が妖怪退治をするという、バトル要素多めな作品。こちらも「さみだれ」と同じく熱さと緩さを兼ね備えている。
- 最長連載の水上作品。1~6巻が第一部、7巻~9巻が第二部、10巻~最終巻が第二部第二章という少し妙な構成になっている。後述の『散人左道』や短編集の『百鬼町』シリーズとの緩い繋がりがあるので、先にそれらを読んでおくとより面白くなる。散人左道や百鬼町は現代が舞台なので、過去話となる。
- 連載誌であるコミックブレイドは途中からウェブコミックとして公開され、誰でも第1話と最新話・最新前話を無料で読むことが出来るようになっていた。完結した今でも第1話は公開中。
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水上悟志短編集vol.1 げこげこ
- 全1巻、少年画報社:YKコミックス
- 収録作品:げこげこ、弥一郎、伝説の男、除霊師、読書の時間、怪人夏伍郎、High Jump Rabbit、鋼鉄神将オメガフロッグ、龍と少女と百鬼町、げこげこ後夜祭
- 巨大なカエルが登場する表題作『げこげこ』が中心の短編集第一弾。絵も内容も荒削りなものが多いが後々の作品にも続く「らしさ」は十分に感じ取れる。
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水上悟志短編集vol.2 ぴよぴよ
- 全1巻、少年画報社:YKコミックス
- 収録作品:ぴよぴよ(3話)、魔界斬妖剣・ドキドキ地獄変、がんばってちゃんとやめよーぜ、
えらぶみち、サンダーガールと百鬼町、風穴頭と百鬼町
- 巨大なヒヨコが登場する表題作『ぴよぴよ』が中心の短編集第二弾。げこげこに比べると絵はだいぶ安定している。中身は相変わらず(褒め言葉)。
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水上悟志短編集vol.3 宇宙大帝ギンガサンダーの冒険
- 全1巻、少年画報社:YKコミックス
- 収録作品:超疾走全霊兵器 己の拳!!、わにあに、シャンバラのお絵描きネル、恋の鈴鳴る百鬼町、醒誕祭、彼の旅が終わる、砂の惑星の民、惑星のさみだれ64.5話・太陽と世界
- 今までと少し毛色の違う短編集第三弾。実験的な要素が多く含まれており、後に連載化される『スピリットサークル』へと継承される要素もちらほら伺える。また、これまでの作品のクロスオーバーについての簡易作者解説(図付き)が181Pに載っている。
- 『太陽と世界』は『惑星のさみだれ』完結記念の限定小冊子に、『砂の惑星の民』は内藤泰弘の『トライガン』アンソロジー『TRIGUN-Multiple Bullets』に、『わにあに』はブラコンアンソロジー『Liqueur vol.1』に収録されたもの。『太陽と世界』は小冊子に掲載されているものとの違いは無い。しかしカラー原稿である小冊子の表紙・裏表紙、各巻初版限定ペーパーやドラマCDパッケージ、水上悟志結婚記念イラスト、それに他作家様から頂いたイラストなどは再録されていない。これらが欲しい人は地道にオークションなどで探そう。
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サイコスタッフ
- 全1巻、少年画報社:YKコミックス
- ある日、梅子と名乗る女の子が僕の前に現れた。なんでも彼女は宇宙人で、超能力者であるという僕を彼女の星の軍に勧誘しにきたらしいが……
- 全7話、単行本1冊で完結する単巻SFコメディ。非常にコンパクトでテーマのハッキリした作品。中盤から終盤のノリと展開がとっても爽快!
- 絶版マンガ図書館にて全話公開中。ユーザー登録をすることで無料で閲覧できる。
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エンジェルお悩み相談所
- 全1巻、[旧版]芳文社:まんがタイムKRコミックス→[新装版]少年画報社:YKコミックス
- 公園のベンチで「天使さまお助けください」と3回呟くと、天使が願いを聞いてくれるそうな。ただし、聞いてくれるだけで叶えてくれるわけではないというが……
- かなりバラエティよりなヒューマンシップコメディ。
- 芳文社版は長らく絶版状態だったが、2012年6月に少年画報社より新装版が発売した。旧版の表紙・裏表紙は新装版のカバー下に、旧版のカバー下漫画は新装版の巻末に収録されており、それ以外の違いはほぼ無いので、新装版はほぼ上位互換と言える(厳密に言えば、旧版表紙背景にあった雲が新装版のカバー下には無い、という違いはあるが…)。
関連商品
■連載中(2018年9月現在)

![ニコニコ市場は2023年11月に終了しました。]()
■連載終了
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■短篇集
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関連静画
関連項目
- 漫画家の一覧
- 惑星のさみだれ
- 戦国妖狐
- サイコスタッフ
- エンジェルお悩み相談所
- スピリットサークル-魂環-
- プラネット・ウィズ
関連リンク