消費税とは、消費一般に対して課税する税金である。
消費税は大きく直接消費税と間接消費税に分けられる。また、間接消費税は個別消費税と一般消費税に分けられる。全ての物品にかけられる一般消費税は、「課税によって人々の経済活動が影響を受けずに、民間の資源配分をかく乱しない」という課税の中立性原則の観点から一番望ましい税制であるといわれている…のだが、「消費税 中立性」でググると中立性と公平性を取り違えたBAが上位にくる。現実は非情である。
日本の消費税は所得税、法人税と並んで代表的な国税の一つであり、平成25年度の税収は10兆6,490億円である。これは租税及び印紙収入の23.6%を占める。これは二番目の税収額となっており、所得税の30.8%、法人税の19.3%に並ぶ貴重な税収元となっている。
日本の消費税は間接税、つまり税金を負担する者と税金を納める者が異なる税金である。一般に税金を負担するのは消費者で、税金を納めるのは事業者となる。
消費税の税率は2014年3月まで4%、同年4月からは6.3%である。一般的には消費税の税率は同5%→8%と認識されているが、これは地方税である地方消費税の税率1%→1.7%を加えたものであり、正確には消費税等(消費税と地方消費税を合わせたもの)の税率である。なお、消費税のうち、29.5%は地方交付税として地方公共団体に配分されるので、消費税率5%の場合国の財源に使われるのは2.84%分、消費税等全体の56.4%である。
日本では消費税導入の前に物品税が適用されていた。
これは、商品の生活での重要度をもとに税率を適用するもので、食料品や生活必需品の税率は低く、高価で贅沢なものには高い税率を課していた。
しかし、実際にその商品にどれだけの税率をかけるかでの判定が困難なものが頻出し、たびたび納税時でのトラブルが発生した。というのも、新たに開発された商品というものは最初は数が少なく売価も高いことから「高価で贅沢なもの」と認識されやすいのだが、その商品がヒットするとその後急速に「低価格化・大衆化する」といった性質を持っているからである。これに法がついていけないことがしばしば起こり、「コーヒーは課税で紅茶は非課税」「ストーブは課税でコタツは非課税」など、今聞くと「?」と思えるような課税判定が実際に起こっていたのである。また、個々の人間の主観の違いもあるため、いつの時点を以って「贅沢品ではなくなった」とはっきりした線引を行うことも困難であるという問題もあった。これだけではなく、貨物自動車仕様の自家用軽自動車のような税率の差を利用した低価格商品が開発されては大ヒットし、消費がそちらへ流れることで起こる不公平や税収の減少が起こるという問題もあった(もっともこれは物品税だけでなく、酒税などでも起こっている問題である)。これを解消するために、すべての商品に一律な税率をかける消費税への移行が提議されるようになった。
1970年代にヨーロッパなどで導入が始まると日本でも消費税の導入が表立つようになったが、食料品などの値上がりにつながるとして、市民やマスコミは反対の声を上げ、なかなか導入には至らなかった。
しかし1988年に消費税法が成立し、翌年4月から物品税が廃止されて消費税が導入された。
消費税の納税義務者は国内で課税取引(後で説明する)を行った事業者と海外から輸入をした者である。事業者とは法人と事業を行う個人のことである。法人には営利企業だけでなく、財団法人や宗教法人といった公益法人のほか、国や地方公共団体も含まれる。なお、輸入の場合には事業者に限定しないのでいわゆる個人輸入を行った場合でも納税義務者となる。
納税義務者は課税期間という一定の期間ごとに税額を計算し、課税期間の終了した日から2ヶ月以内に申告書を提出して納税しなければならない。課税期間は原則として個人の場合は暦年(1月1日から12月31日の1年間)、法人の場合は事業年度である。
ただし、基準期間の課税取引の売上高が1000万円以下ならば納税義務は免除される。基準期間とは個人の場合は課税期間の前々年、法人の場合は課税期間の前々事業年度のことである。たとえば、個人の場合、平成20年の課税取引の売上高が1000万円以下ならば平成22年の消費税は納付する必要はない。
ただし資本金が1千万円以上の法人についてはこの納税義務の免除規定は適用されず、最初の事業年度からいきなり消費税を納める義務が生じる。
これは、会社を設立してから2年経たないうちにその会社を精算し(つまり会社を自ら潰して)、そしてすぐさま別の新しい会社を設立する、これを延々と繰り返すことにより消費税の納税義務を半永久的に逃れるという脱法行為(租税回避行為)を行う者が少なからず居たことが問題視されたことにも一因があり、平成22年4月以降設立の法人に対して免除規定が廃止されている。
消費税では取引を課税取引、非課税取引、免税取引、不課税取引の4つに分類する。課税取引以外は消費税が課税対象とならない取引であり、わざわざ区分する必要はないように思われるが、消費税の計算においてこの区分が重要になってくることがある。
なお、輸入取引の場合は課税対象と非課税取引の2つしかない。
課税取引とは以下の条件をみたすものである(輸入取引を覗く)。
なお、譲渡とは売買などのことをいい、役務とはサービスなどのことをいう。
つまり、国内で商売として物を売ったり、物を貸したり、サービスの提供をした場合、非課税や免税の場合を除けば課税取引になる。たとえば、プレミアム会員の会費(月額540円、90日1,728円)もサービスの提供に対する対価だから課税取引である。
輸入取引の場合は非課税取引以外は全て課税取引になる。
非課税取引は消費税の性格になじまない取引や社会政策として課税対象から除外されている取引で、次のようなものがある。
輸入取引についても有価証券、郵便切手、身体障害者用物品、教科書の輸入は非課税取引となる。
ただし、上記商品やサービスを行う会社には販売や実務にかかる費用に消費税がかかる場合も多い。
その為、消費税増税に合わせて上記のサービスも料金改定する場合も多く見受けられる。
免税取引とは輸出取引や輸出に類似する取引(国際郵便や国際通信など)、免税ショップでの取引(一定の条件を満たすもの)のことである。
不課税取引とは課税取引のところに書いた条件のうち1から4の条件のどれかを満たさない取引である。
たとえば、海外での物の売買、サラリーマンの給料、贈与や給付、保険金や株式の配当の受領などがある。
法人税は内国法人の各事業年度の所得に対して課される。この所得の金額とはその事業年度の益金の額からその事業年度の損金の額を控除した金額である。噛み砕いていえば、その年度の売上の額からその年度の経費を差し引いた金額に対して法人税が課されるということになる
一方、消費税は、事業者の課税期間の課税標準額に対して課される。ただし、その課税期間中に国内において行った課税仕入れに係る消費税額を控除する。課税標準額とは資産の譲渡等の対価の額であり、課税仕入れとは基本的には仕入先における課税資産の譲渡等に値する。資産の譲渡等の対価の額=売上とみれば、その年度の売上の額からその年度の仕入れの額を控除した残額に対して消費税が課されるということになる。
実際の計算方法とはやや異なるが、
法人税は(売上ー経費)×法人税率
消費税は(売上ー仕入)×消費税率
と考えれば、消費税と法人税は極めて密接な関係を持つといえるだろう。
ただし、法人税における損金にはその法人の役員及び従業員に対する給与が含まれるが、消費税の課税仕入れには含まれない。法人税はその会社のすべてに経費を差し引いた黒字部分に対して課されるが、消費税の場合は仕入れた商品と販売価格の差額がほぼその課税対象になりうる。これが消費税が海外で付加価値税あるいは増値税とよばれる所以である。
また、法人税は法人という法的に人格を与えられた存在に対して課される。よって、基本的にはその法人の本店若しくは主たる事務所の所在地で納税を行う。一方で、消費税は消費地課税主義と言ってあくまで事業者から消費者に資産が譲渡された場所で課される仕組みとなっている。かつてであれば、
事業者の本店の所在する国=消費者の手に渡る場所が存在する国
の場合がほとんどであったので、その差は大きくなかったが、グローバル化の中で法人の本店と主たる販売場所の乖離が激しくなっている。法人の本店は租税回避地に所在させ、大消費地ではインフラのただ乗りをされては不均衡は大きくなる一方である。
これが世界中で法人税の役割が薄まり、付加価値税=消費税の税率が引き上げられる大きな原因となっている。
消費税は税の特性として安定して収入の見込める税項目である。
その額面は景気変動に左右されず、純粋な国内総生産額に比例するといわれる。
1%増あたり2兆円を確保できるといわれるのも、過去のデータと国内総生産の数字によって導かれている。
現在、日本国におけるGDPの9割以上が国内消費である為、消費にかける税というのは確実な課税対象として理にはかなっていともいえる。その為、国家として生存しているかぎりどうしても掛かる社会保障の維持の財源として最適だとされる。その一方で逆に言えば国内消費をダイレクトに冷え込ませてしまう消費税の増税は法人税など他の税収入を激減させてしまうリスクを持っている。
以下の内容について税構造上の問題が指摘されている。
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最終更新:2025/12/21(日) 21:00
最終更新:2025/12/21(日) 20:00
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