湘南ベルマーレ新スタジアム問題とは、Jリーグに所属するサッカークラブ「湘南ベルマーレ」のホームスタジアムである「レモンガススタジアム平塚」の老朽化と、J1クラブライセンス基準を満たしていないことに起因する一連の課題や議論の総称である。
スタジアムの所有者である平塚市の厳しい財政状況から改修計画が長年凍結されている一方、クラブ側が提案した新設計画も市から拒絶されており、解決の糸口が見えない八方塞がりの状況が続いている。
湘南ベルマーレのホームスタジアム「レモンガススタジアム平塚」は1987年に完成した施設で、J1ライセンス基準で定められた観客席を覆う屋根のカバー率を満たしておらず、トイレなど設備の老朽化も深刻である。2022年には試合直前にトイレが故障し、試合開催が危ぶまれる事態も発生した。
この問題を解決するため、2015年に平塚市が主体となりJ1基準を満たすための改修案(概算費用53億~130億円)が検討されたが、市の財政難を理由に計画は事実上凍結された。
その後、膠着状態が続く中、2023年にクラブ側が総事業費142億円のうち半額の70億円を市に負担してもらう形での新スタジアム建設計画を提案。しかし、平塚市長はこれを「かなり無理な提案を一方的に突きつけられた」と一蹴し、財政負担は不可能であると明確に拒絶した。
市長はJリーグ側にも市の窮状を訴えるなど、問題はクラブと行政の間で深刻な溝を生んでいる。「改修」は市の財政難で進まず、「新設」は市から拒否されるという八方塞がりの状況下で、クラブは毎年条件付きでライセンスを維持しているが、その失効リスクも年々高まっている。
| 時期 | 主な動き・やり取り | 関係性の変化・ポイント |
|---|---|---|
| ~2015年 | 【問題の潜在化】 ホームスタジアム「レモンガススタジアム平塚」の老朽化(特に屋根のカバー率不足)がJ1ライセンス上の課題として長年認識されていた。 |
クラブ、行政、サポーターの間で問題意識は共有されていたが、具体的なアクションには至らない状況が続く。 |
| 2015年 | 【改修案の具体化と頓挫】 平塚市が中心となり「スタジアム改修検討会議」が報告書を提出。J1基準を満たすための改修案(概算費用53億~130億円)が示される。 |
初めて具体的な解決策と費用が示されたが、市の厳しい財政状況を理由に、計画は事実上凍結。具体的な予算確保には至らなかった。 |
| 2017年~ | 【膠着状態の継続】 改修計画が進展しないまま、クラブは毎年Jリーグから施設基準の例外適用を受け、条件付きでJ1ライセンスを維持する状況が続く。スタジアムの老朽化はさらに進行。 |
行政側が具体的な動きを見せないため、問題は完全に停滞。サポーターからは不満や不安の声が高まり続ける。 |
| 2022年5月 | 【インフラの限界が露呈】 J1リーグの試合直前に、スタジアムのトイレが故障し水が流れなくなるトラブルが発生。試合開催が危ぶまれる事態となる。 |
スタジアムの老朽化が、ライセンス基準だけでなく、試合運営そのものを脅かすレベルに達していることが表面化。問題の深刻さが改めて浮き彫りになる。 |
| 2023年5月 | 【クラブ側からの新設提案と市の拒絶】 クラブ側が主体となり、建設費142億円のうち半分の70億円を行政に負担してもらう形での新スタジアジアム建設計画を平塚市に提案。 |
平塚市長は「何度も困難と伝えてきたにもかかわらず、かなり無理な提案を一方的に突きつけられた」と会見で一蹴。財政負担は不可能という姿勢を明確にし、両者の溝が決定的になる。 |
| 2024年3月 | 【市長からJリーグへの直訴】 平塚市長がJリーグの野々村チェアマンと直接面会。クラブからの巨額な財政負担要求は市の財政規模では不可能であるという現実を伝え、Jリーグ側に理解を求める。 |
市長がJリーグ本体を巻き込み、地方都市の窮状を訴える異例の展開。Jリーグ側も市の現状に一定の理解を示し、「一緒に考えていきたい」と応じる。 |
| 現在 (2024年~) | 【八方塞がりの状況】 市長のJリーグへの働きかけ後も、具体的な解決策は見いだせず。「改修」は市の財政難で進まず、「新設」は市から拒否されるという八方塞がりの状況が続く。 |
解決の糸口が見えないまま、ライセンス失効のリスクを抱え続ける非常に厳しい状況。クラブの平塚市外への移転も現実的な選択肢として囁かれ始めている。 |
サポーターや平塚商工会議所が中心となり、新スタジアム建設の協議を求める5万人超の署名が集められた。しかし、そのうち平塚市民は約38%であり、多くの一般市民は多額の税金投入や、憩いの場である総合公園の改変に対して慎重、あるいは消極的と見られている。市長の強硬な姿勢は、こうした市民感情を背景にしている。
クラブ側は、市から求められていた「具体的な計画」や「民間主導」という要望に応える形で、経済波及効果の試算まで含めた詳細な新設計画を提示した。しかし市側は、これを「市の財政を無視した非現実的な要求」と受け取り、両者の認識に致命的なズレが生じた。
現在のスタジアムは構造上、車椅子でスタンド席に入ることができない。サポーターからは「他の観客と同じようにスタンドから観戦したい」という切実な要望がクラブに寄せられているが、抜本的な解決にはスタジアム自体の改修・新設が不可欠な状況である。
クラブ側は新スタジアムのメリットとして、コンサートなども開催できる「多目的利用」や、災害時の「防災拠点」としての有効性を掲げている。しかし、市側はまず財源確保の問題がクリアできない限り、これらの議論には至らないというスタンスである。
湘南ベルマーレは広域なホームタウンを持っている。平塚市との交渉が行き詰まっていることから、クラブは茅ヶ崎市や藤沢市など、他のホームタウンでの建設や、最悪の場合ホームタウン自体の移転も選択肢として示唆している。
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最終更新:2025/12/07(日) 00:00
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