狭霧(艦これ)

「第二十駆逐隊、駆逐艦、狭霧！抜錨いたします！」

狭霧（さぎり）とは、ブラウザゲーム「艦隊これくしょん～艦これ～」に登場する、大日本帝国海軍の特II型（綾波型）駆逐艦6番艦〈狭霧〉をモデルにした艦娘である。

担当声優は鈴木みのり、キャラクターデザインはdrew。

概要……発見、致しました！　皆さん、ご用意を！

艦これにおいて、長らく綾波型駆逐艦は"波級"である1番艦「綾波」2番艦「敷波」、そして綾波型改と呼ばれる7番艦「朧」8番艦「曙」9番艦「漣」10番艦「潮」の6隻が実装されていたが、その間に当たる3番艦～6番艦、いわゆる"霧級"の4隻はぽっかりと実装から外れたままであった。

しかし、2017年8月11日から開始された夏イベント「西方再打通！欧州救援作戦」にて、待望の"霧級"から2隻、天霧と狭霧の実装が発表され、そして1面目及び2面目にてドロップ実装されたのが、特II型（綾波型）6番艦（特型のくくりでは16番艦）「狭霧」であった。早い面の実装だったので、運が良ければ提督達が最初に出会うことになる"霧級"の駆逐艦である（ドロップ実装なので、逢えないときはとことん逢えないわけだが）。余談だが、このときの1面の狭霧ドロップポイントでは、かの「パパ提督製造機」こと山風も1年越しのドロップ設定がされていたため、かつて入手し損ねていた提督達が押し寄せていたとかいないとか。

その後時は流れて2018年8月、第二期の開始と共に実装された南西海域のブルネイ泊地沖（通称7-1）にて、ついに通常海域実装となった。現在の所ボスマスでのドロップが観測されている。

さて、狭霧の容姿はというと、銀髪のロングヘアを頭のいわゆるカチューシャリボンでまとめている。身につけているのは灰色のセーラー服にプリーツスカートという姿で、魚雷発射管をベルトで太ももに留めたり角形ブーツを履いているあたりは、すぐ下の妹にあたり絵師が同じ朧達と共通している。運の初期値が6と、日本の駆逐艦最低値に並ぶ（これまでの最低記録は山風の6。海外艦では味方の誤射・誤爆で喪失した独Z1・Z3。）してしまったのは、史実の通り開戦から1ヶ月もたたないうちに轟沈したためか。

性格は、割とおとなしめだが、そこかしこからいわゆる「物知らずの箱入り娘」感が漂ってくる。「お手伝いできることがあれば、なんでも仰ってください」と言ってくれるが、それに「ん？　今何でも（ｒｙ」とか返すと憲兵さんの手を煩わすことになるので各自自重されたし。姉の天霧が割と活発系なのとは対照的。暴走する姉とそれを引き留めようとする健気な妹というキャラクター付けであろうか？

また、特筆すべき関係のあるキャラクターとしては、3代目第10駆逐隊の僚艦だった漣と暁が挙げられる。漣は第7駆逐隊、暁は第6駆逐隊それぞれのメンバーとして既に確固たるキャラクターを築いているが、実は2人とも、史実ではそれぞれの駆逐隊よりも第10駆逐隊で狭霧と過ごしていた期間の方が長かったりする。狭霧の時報セリフでもこの2人に呼びかけるものがあり、特に暁に対しては、第6駆で姉ぶっている彼女を見守る母親のごとき言葉を聞くことが出来るが、これも狭霧は暁を彼女が生まれたときから知っている（漣、暁ともに、竣工直後にこの第10駆に編入された）ためであろう。
艦これではこれまで、第10駆といえば無条件に夕雲型駆逐艦で編成される4代目（秋雲、夕雲、巻雲、風雲）のことと認識されていたが、狭霧の登場によって全員揃った3代目第10駆にも今後スポットがあたることが増えていくのかもしれない（何気に、2世代が全員実装済みの駆逐隊、というのはこの第10駆が初である）。

史実資料ですね。狭霧がお持ちします！

昭和2年度艦艇補充計画によって、特型駆逐艦15隻の建造が承認された。これによって建造されたのが、特II型及び特III型と呼ばれる駆逐艦である（ただし特II型の最初の1隻（＝〈浦波〉）は主砲が間に合わず特I型のA型主砲を使ったため、特II型Aと呼ばれる）。そして、その中の1隻として1928年（昭和3年）に浦賀船渠に発注されたのが、後の特II型駆逐艦6番艦〈狭霧〉であった。ちなみに起工は1929年（昭和4年）3月28日だが、その竣工よりも前に既に名前が決まっていた。狭霧というのは秋を示す季語。

第8駆逐隊→第10駆逐隊→第20駆逐隊

1931年（昭和6年）1月31日に竣工後、〈狭霧〉は先に完成していた〈天霧〉らのいた第8駆逐隊に所属となるが、そこに降って湧いたのが、駆逐艦不足問題であった。ワシントン軍縮条約、ロンドン軍縮条約によって駆逐艦の数に制限が掛けられ、北方漁場の警備をやっていた神風型が最前線に呼び戻される（これが占守型海防艦の登場にも繋がる）程に駆逐艦が不足する中、当時最新鋭の特型駆逐艦の駆逐隊については、従来の4隻1編成ではなく、3隻で1編成とする、という方針になった。
ちなみにそれ以前の並型（神風型、睦月型）とそれ以降の条約型（初春型、白露型）は性能的に特型よりは劣るため、そちらの駆逐隊は従来通り4隻編成でいくことになっていた。3隻編成はあくまでも特型のみである。
こうして、既に編成されていた4隻単位の駆逐隊から1隻ずつ抜いて別の駆逐隊を編成する、という作業が行われることになり、まず1931年12月1日付けで第11駆から〈吹雪〉、第12駆から〈東雲〉、第19駆から〈磯波〉を抜いて、この3隻で第20駆を編成した。
この時期というのは、後期綾波型（〈朧〉～〈潮〉）が順次完成しつつある時期だったので、後は第8駆から1隻抜いて3隻編成にしておいて、あとは出来た順に3隻編成を作っていこう、という流れとなった。
こうして、8駆からは〈狭霧〉が抜かれて3隻編成となり、あとは後期綾波型で出来た順に〈曙〉〈朧〉〈潮〉が第7駆となり、最後の1931年5月19日に完成した〈漣〉と、それを待っていた〈狭霧〉が同日、第10駆を編成する。
そして特III型は〈雷〉〈電〉が第6駆を編成し、次いで完成した〈暁〉は1932年（昭和7年）11月30日の竣工と同時に、2隻で待っていた第10駆に編入された。そして翌年の1933年（昭和8年）3月31日に完成した〈響〉が第6駆の最後の1艦となり、特型駆逐艦は全艦建造終了にして、駆逐隊3隻編成完了となった。

当然のように最新鋭の特型駆逐艦は華の二水戦所属（当時の旗艦は〈神通〉と〈那珂〉がローテーションしていた）となり、そのまま日中戦争に参加する。

ところが、その後の1936年（昭和11年）1月に日本はワシントン軍縮条約から脱退し、建造制限は無くなってしまう。さらに、主力となるべく最新鋭の朝潮型10隻（1937年（昭和12年）～39年（昭和14年））、そして甲型（陽炎型＆夕雲型）38隻（1939年（昭和14年）～44年（昭和19年））が次々と竣工する中、ふと気付くと「あれ？　特型だけ3隻編成にしとく必要ってもうないんじゃね？」となり、第20駆は1936年12月1日付けて解隊し、〈吹雪〉〈東雲〉〈磯波〉は原隊に復帰。
そして中国方面で活動していたため再編成が遅れていた第10駆も、そちらが一段落した1939年（昭和14年）11月15日に解散となり、〈漣〉と〈暁〉はそれぞれの姉妹艦の待つ第7駆、第6駆へと移ることになる。
ところが、〈狭霧〉が戻る直前に、第8駆逐隊は横須賀から呉に異動となり、第20駆逐隊に改名していた。というわけで、第8駆改め第20駆は〈狭霧〉の編入でほぼ7年半ぶりに霧級4隻が揃うことになった。
翌年の1940年（昭和15年）には、第20駆は第三水雷戦隊（旗艦〈川内〉）に編入され、そのまま太平洋戦争に突入していく。

開戦、そして喪失

開戦直後、三水戦はタイ攻略の支援を行っていたが、〈狭霧〉は単艦で南遣艦隊旗艦であった〈鳥海〉の護衛を務めた。その任務を終えると、今度はボルネオ島攻略作戦の支援部隊への参加を命じられる。
この頃、ボルネオを勢力下に置いていたのはオランダで、攻略部隊もオランダ潜水艦に悩まされていた。
そんな中の1941年（昭和16年）12月24日、クチン沖合を哨戒中だった〈狭霧〉の右舷後部に魚雷が直撃、爆雷に誘爆して火災が発生し、その火が弾薬庫や搭載魚雷に引火し大爆発。〈狭霧〉は実にあっけなく、15分後には沈没してしまった。開戦からわずか16日後であり、特型では（開戦前に沈んだ〈深雪〉を除いて）2隻目の喪失で、艦これ実装艦では〈如月〉に次いで2番目の喪失であった。ちなみに特型で戦時中最初に沈んだのは吹雪型6番艦〈東雲〉（艦これ未実装）で、こちらも同じくボルネオ攻略作戦中の12月17日（開戦から9日後で〈狭霧〉の1週間前）に沈没している。
1942年（昭和17年）1月15日、前年に喪失した〈如月〉らと共に除籍。救助された乗員達の多くは、ちょうど建造中だった夕雲型駆逐艦2番艦〈巻雲〉へ移籍したという。

〈狭霧〉を攻撃したのは、オランダ潜水艦〈K XVI〉（XVIはローマ数字で16のこと。〈K-16〉と表記することもある）で、敵駆逐艦を撃沈という殊勲に浮かれた、というわけでも無かったのだろうが、この翌日、浮上航行中のところを日本の〈伊166〉（イムヤの前級に当たる海大5型の2番艦）の雷撃を受けて沈んでいる。

なお、「狭霧」の名が駆逐艦に付けられたのはこれが初で、また戦後の海上自衛隊でも使われていない。ただし、海上保安庁が1952年（昭和27年）に建造した18m級の「さぎり型巡視艇」（全4隻）のネームシップに選ばれている。こちらの〈さぎり〉は1952年竣工後、1969年（昭和44年）に退役している。

余談

• 「さぎり」繋がり・・・？
  
  ライトノベル「エロマンガ先生」の登場人物「和泉紗霧」（いずみ・さぎり）の「さぎり」は、駆逐艦「狭霧」が元である。原作者の伏見つかさ氏が連載開始時に「艦これ」の影響を受けた関係で、当時未実装だった駆逐艦の名前からキャラクター名を決めたそうである。なお、漢字が異なるのは編集者が「読めない」と言ったための当て字だとか。（狭霧が和泉紗霧に似てる？のは、drew先生の遊び心…？）
• 自衛艦これ・・・？
  護衛艦「さわぎり」には「狭霧」のC2機関寄贈POPが搭載されている。
  実のところ、駆逐艦「狭霧」の名は、特型駆逐艦24隻中「天霧」「深雪」同様1代限りで、特型霧級4隻（朝霧・夕霧・天霧・狭霧＝第8駆逐隊→第20駆逐隊）のうち3隻が「あさぎり型護衛艦」に艦名が継承されている。（つまり、海自オリジナル艦名が5隻存在していることになる。うち2隻は未成夕雲型予定艦名を踏襲）護衛艦としては初代となる「さわぎり」と、駆逐艦として唯一の「さぎり」という間柄のため、POPが寄贈された模様である。

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・三代目第10駆逐隊

・秋刀魚mode(同郷の潮と一緒に)

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艦隊これくしょん～艦これ～ 艦これの関連項目一覧 駆逐艦 / 駆逐艦(艦これ) 吹雪型駆逐艦 / 綾波型姉妹 駆逐隊 / 駆逐隊(艦これ) 第十駆逐隊 - 狭霧　漣　暁 第八駆逐隊(開戦前) ＝第二十駆逐隊 - 朝霧 夕霧 天霧 狭霧

「うらが組」 山風(艦これ)[1] 潮(艦これ)[2] 萩風(艦これ)[3] 第二水雷戦隊(艦これ) - 那珂(艦これ) 第三水雷戦隊(艦これ) - 川内(艦これ)

綾波型姉妹 / 吹雪型駆逐艦 (特II型：11～20番艦)
1.綾波 - 2.敷波 - 3.朝霧 - 4.夕霧 - 5.天霧 - 6.狭霧 - 7.朧 - 8.曙 - 9.漣 - 10.潮 特I型： 吹雪型姉妹 - 特III型：暁型姉妹(第六駆逐隊)

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2017年夏イベント 『西方再打通！欧州救援作戦』 新規実装艦娘

神風型(2代)駆逐艦　旗風 特Ⅱ型(綾波型)駆逐艦　天霧　狭霧 仏・Richelieu級戦艦　リシュリュー 択捉型海防艦　松輪 伊・潜水艦　ルイージ・トレッリ/独・UIT25/日・伊504 英・航空母艦　アーク・ロイヤル

脚注

1. *姉妹艦最初の戦没艦同士であり、説明文にある通り運初期値が同じ。「うらが組」で括っているとおり、同郷出身でもある。また、幸運艦に数えられる姉妹艦がいる(狭霧→潮、山風→時雨)も同じである。なお、狭霧初のドロップポイントでは山風もドロップが設定された。
2. *時報で天霧・狭霧におにぎりを差し入れてくれる。史実では狭霧進水翌日に潮が着工したため、同時期に揃って浦賀にいたことになる。
3. *｢何でも(ry｣繋がりでもある。