綾波が、守ります!
綾波(あやなみ)とは、艦隊これくしょん~艦これ~に登場する、帝国海軍・特Ⅱ型(綾波型)駆逐艦1番艦「綾波」をモデルにした艦娘。CVは東山奈央。
綾波に関しては、艦これでの扱いよりも、まず史実から語るべきであろう。彼女は艦これに登場する駆逐艦の中でも、阿修羅と呼ばれた「夕立」と並び、「鬼神」と称された屈指の武勲艦である。
綾波は昭和2年計画艦の1隻として、1928年1月20日、藤永田造船所で起工。1930年4月30日に竣工した。特型駆逐艦の11番艦であるが、艦橋構造物の大型化、缶室吸気口を海水の流入を防ぐためキセル型から椀型に変更(以降これが帝国海軍駆逐艦の基本になった)、仰角が75度に上がったB型砲塔の搭載といった改良を施されているため、「綾波」以降の10隻は「特Ⅱ型(綾波型)」と称され、綾波はその1番艦となる。
第四艦隊事件の教訓を踏まえた重心低下の改装を受けたのち、太平洋戦争開戦後は第1艦隊第13水雷戦隊に所属。数々の海戦に参加し、1941年12月19日には「浦波」「夕霧」とともにオランダ海軍潜水艦O-20を撃沈するといった戦果を上げる。1942年からはインド洋での上陸作戦支援、ガダルカナル島への輸送任務などに従事した。
そして1942年11月14日、綾波は第2艦隊第3水雷戦隊の1隻として、第三次ソロモン海戦へと参加する。
1942年11月15日、第三次ソロモン海戦の第二夜戦において、「綾波」は軽巡「川内」・駆逐艦「敷波」「浦波」の計4隻による掃討隊を編成。背後に続く戦艦「霧島」・重巡「愛宕」「高雄」の砲撃隊、軽巡「長良」率いる直衛隊の前路警戒を担い、ガダルカナル島飛行場砲撃へと向かっていた。
サボ島近海に到達した掃討隊は、付近の哨戒にあたるべく、「川内」「綾波」はサボ島西側へ、「敷波」「浦波」はサボ島東側へ分かれて進むことになる。ところがここで、東に回った「浦波」が単縦陣で西へ向かう敵艦隊を発見。「川内」に報告し追尾を始める。「川内」は「浦波」「敷波」を援護するため東に回り、「綾波」は単独で西側を進むことになった。
このとき「浦波」が発見したのが、アメリカの新造戦艦「サウスダコタ」・戦艦「ワシントン」の戦艦2隻と、それを護衛する「ウォーク」「ベンハム」「プレストン」「グウイン」の駆逐艦4隻からなる主力艦隊であった。
追尾していた「浦波」「敷波」と、それに追いついた「川内」の3隻は米艦隊と戦闘を開始。このとき「川内」は全部隊に向けて「敵艦隊発見」の報を送っていたが、サボ島に電波が遮られたためか、その連絡は「綾波」には届かなかった。さらに「綾波」にとっては不運なことに、戦力差から戦況不利とみた「川内」らは一旦後退を選択。このため、何も知らないままサボ島西側を回り込んだ「綾波」は、状況を把握できないままに「川内」たちの追っていた米艦隊を発見。艦長は即座に戦闘開始を命令し、「綾波」は単艦で戦艦2・駆逐艦4の主力艦隊へ正面から突入する羽目になってしまう。
駆逐艦1隻で戦艦2隻と駆逐艦4隻を同時に相手にするという、無理ゲーもここに極まれりという状況に突っ込んでいくことになってしまった「綾波」。だが、彼女の無双伝説はここから始まる。
敵艦隊へ向けて加速した「綾波」は、米艦隊がその突撃に気付いて砲撃を開始した直後、距離5000まで近付いたところでまず先頭の「プレストン」へ向けて砲撃を開始。これが「プレストン」と「ウォーク」に命中、両艦に火災を発生させる。さらに「綾波」は集中砲火の中、煙突への被弾とガソリンタンクの爆発で魚雷の1番連管が使用不能になるも、残された魚雷を一斉発射。これが「ウォーク」と「ベンハム」に命中し、「ウォーク」を撃沈、「ベンハム」も航行不能となり落伍する(「ベンハム」はこのダメージにより翌日沈没した)。
獅子奮迅の戦いぶりを見せる「綾波」だったが、敵艦隊の集中砲火により次々と被弾、ついには航行不能となってしまう。この絶体絶命の状況に、しかし駆けつけたのは軽巡「長良」と駆逐艦「五月雨」「電」「白雪」「初雪」からなる直衛隊だった。直衛隊は炎上していた「プレストン」を「撃沈、無傷で残っていた「グウイン」も中破させ艦隊から落伍させる。残る「サウスダコタ」と「ワシントン」へ向けて、轟沈寸前の「綾波」は最後の力を振り絞って砲撃を放ち、これが「サウスダコタ」の電源系を破損させた。この後「サウスダコタ」と「ワシントン」は戦艦「霧島」との殴り合いに突入するが、それは霧島(艦これ)の記事あたりを参照されたい。
かくして、敵駆逐艦2隻を撃沈・1隻を炎上、戦艦1隻を一時砲戦不能にするという異例の大戦果をあげた「綾波」は、喫水線下の損傷が無かったこともあり、戦闘後も炎上しながらも沈没せず、乗組員が全員退避し「浦波」に救助されるまで持ちこたえた。「浦波」が生存者を全て救助した直後、それを待っていたかのように「綾波」は魚雷が2度爆発し沈没していった。このため、「綾波」の乗務員は艦が撃沈されたにも関わらず、艦長を含め乗員の8割が生還するというこれまた異例の乗員生存率を誇った。この奮戦により、「綾波」は「黒豹」「鬼神」と讃えられた。
12月15日、除籍。最期まで乗組員を守り抜いた心優しきソロモン海の鬼神「綾波」は、同じ特型の1番艦「吹雪」「暁」ら多数の味方艦、そして多数の敵艦とともに、アイアンボトム・サウンドに今も眠っている。
というわけで、帝国海軍の艦船の中でも武闘派中の武闘派といえる綾波だが、艦これに登場する綾波は元ネタの武闘派イメージとは打って変わって、おっとりした癒やし系少女である。どうも「夕立」といい「神通」といい、艦これでは史実で大立ち回りを演じた艦はおとなしめの性格に設定される傾向があるようである。
外見は敷波と同じ濃いブラウン系のセーラー服に、おでことサイドテール(ツインテール?)、柔らかそうなほっぺたが特徴。史実を踏まえ、中破絵ではちゃんと煙突が損傷しているなどしばふ絵らしい芸の細かさが見られる。
……しかし、残念なことにこれといって代名詞的な台詞もなく、性格的にも外見的にもあまり目立つ要素がなく、屈指の武勲艦であるのにステータス的に優遇されているということもなく、どうにも地味な印象がつきまとう感は否めない。秘書クリック時の「そんなに話しかけられてしまうと、お仕事がちゃんと出来ないです…」や、装備変更・遠征選択時の「やーりましたー!」などかわいい台詞もあるのだが……。妹の敷波と立ち絵のポーズがそっくりなため、史実をよく知らずに「エヴァの綾波と違って地味」とか「なんか敷波とコピペっぽい」とかいささか失礼な認識しかしていない提督も多そうである。
2013年10月4日のメンテナンスでは、「ソロモンの悪夢」への公式言及や綾波の進水日が10月5日であることから改二実装が期待されたが、改二が実装されたのは同じく第三次ソロモン海戦で無双した「夕立」の方であった。とはいえ武勲艦の改二実装が実現したので、綾波の改二も遠からず実装の可能性はありそうである。
(以下轟沈台詞関連のため反転)轟沈時の台詞では、「吹雪は無事かしら……そう、良かった……」と吹雪を気に掛けているが、前述の史実の通り、綾波と吹雪の間にはこれといった繋がりが無い。同じ特型の1番艦であることと、吹雪も綾波の一ヶ月ほど前に同じサボ島沖で沈んでいることぐらいだろうか。史実で同じ敵と交戦していた妹の「敷波」を気に掛けるならまだ解るのだが、特に他に言及する台詞も無い吹雪のことを心配している理由は不明である。誰か思い当たる人がいたら教えてください。
なお、『新世紀エヴァンゲリオン』の綾波レイの「綾波」の元ネタは駆逐艦の綾波であるが、さすがにあざとすぎるためか、こちらの綾波の台詞にエヴァネタらしいものはない。艦これの大ヒットで、帝国海軍の艦船名の検索結果を艦これキャラが侵食するという現象が多数報告されているが、綾波は相手が強力すぎるため、検索結果で向こうに勝つのはなかなか難しそうである。
綾波の戦史を紹介する動画。必見。
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最終更新:2025/12/12(金) 12:00
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