『あの・・・軽巡洋艦、神通です。どうか、よろしくお願い致します・・・』
神通(じんつう)とは、ブラウザゲーム「艦隊これくしょん~艦これ~」に登場する、大日本帝国海軍の川内型軽巡洋艦2番艦「神通(じんつう)」をモデルとしたキャラクター(艦娘)である。イラスト:bob、CV:佐倉綾音。
第3艦隊開放に必要な艦娘である川内型三姉妹の二番艦である。服装は姉の「川内」と妹の「那珂」と共通で、橙色セーラー服・黒スカートを纏っている。
言動は万事控えめであり、ぶっ飛んだセリフを持つわけでもない。「なかなか入手できず、入手した後は夜戦連呼している姉」と、「逆に出すぎて数多の提督からウザがられる艦隊のアイドルな妹」と個性的過ぎる姉妹に挟まれていることもあいまって、苦労人に見える提督も少なくないだろう。
ただし、史実では後述の通り世界最強とも呼ばれた第二水雷戦隊(通称「二水戦」)の旗艦として長きに渡り活躍している。ゲーム内では楚々とした大人しい雰囲気をかもし出してはいるが切り込み隊長である。改二にしていない時点でも、被弾時の「狙い撃ちされました。これじゃあ戦いにくいです。」や夜戦攻撃時の「来ないでって言ったのにぃ!」といったセリフから、ただの気弱な艦娘ではないことが伺えるであろう。
『探照灯照射…突撃します!私に続いて!』
コロンバンガラ島での奮戦をはじめとする軽巡屈指の武勲艦であるところから、早くから改二が望まれていたが、ついに2014年2月26日のメンテナンス後に、神通改二が実装された。軽巡では4人目、川内型ではネームシップの夜戦バカを差し置いて2人目の改二である。改装に必要なレベルは軽巡の改装では以前は最も高い60だったが、現在は75と改装設計図を要する阿武隈改二にトップの座を明け渡している。[1]
新たなグラフィックでの衣装はカラーリングは従来に近く、デザインも那珂改二に似通っているが、パフスリーブとフリルを重ねたスカートのコーディネートで可愛らしさを押し出した那珂ちゃんに対し、神通はノースリーブとボックスプリーツスカートのコーディネートで、額には鉢金をきりりと締め、腰には魚雷発射管を日本刀のように二本差しにしている。以前の気弱げな雰囲気はどこへやらの凜々しい出で立ちは侍を彷彿とさせる。
母港の画面では確認できないが、その左足にはトレードマークとも言える探照灯が装備され、中破時には史実さながらに煌々と光り輝く。魚雷を装備している艦娘の中には中破時に魚雷発射管が破壊されているものも少なくないが、「戦いにく」くなった神通のそれは健在、次発装填済みである。
改二でのステータスはその武勲にふさわしい。軽巡最大の耐久50が目を引くが、同時に火力もそれまでの最高値である球磨・長良・那珂改二(69)を上回る70、雷装も98で雷巡を除く軽巡トップ、装甲も姉の川内と同等の69と総合的に見ても軽巡最強とする提督が多いであろう。もちろん、最愛の艦を最強であると主張することに不都合は全くないが。
神通改二の特徴の一つが、彼女の改二で実装された「探照灯」である。この装備は夜戦時に味方のカットイン率を引き上げ、相手のカットイン率を下げる、正に夜戦の切り札である。但し、装備した艦娘に攻撃が集中してしまうことは史実同様であり(デメリットについては史実ほどではないと告知されている)、使いどころと搭載する艦を考慮する必要があるだろう。2020年3月のアップデートで神通改二のみ探照灯を装備すると回避が-1になるが、「火力+8、雷撃+6(→2021年2月、+8に)」というとんでもない補正が付く(他だと探照灯のエピソードがある鳥海・比叡・霧島・暁・雪風・秋雲なども補正はあるが此処まではない)ので、夜戦火力は並みいる軽巡でトップ(4スロットかつ排水量で倍近くのイタリア軽巡をも凌ぐ)、各種補正が付くと最終火力が21年現在雷巡に匹敵する「299」に到達。・・・流石は二水戦の旗艦と云うべきだろう。夜戦好きなのに補正が全く付かないお姉ちゃんは泣いてもイイ
2017年現在では軽巡改二も多数実装されており、その中には特別な装備品を装備できたり先制対潜の条件が異なったり大発を内蔵していたりする固有スキル持ち艦娘も登場しているため、何の能力も持たない神通は、ともすれば見劣りしてしまう。
しかし待ってほしい。軽巡改二がかなり増えた今でもなお「火力断トツトップ」という個性は失われておらず、その差が顕著になる夜戦火力では重巡トップ陣に割って入るほどで、軽巡では2位に10以上の差をつけて今なおトップである。
最近のイベント海域ではとんでもなく硬い装甲を誇るボスが登場する事が多く、場合によっては駆逐や軽巡の夜戦連撃では装甲を抜いてダメージを与える事が不可能に近いボスもいる。しかし神通なら「あと少し」のラインに手が届く可能性が高く、特に運改修をしっかり行って夜戦カットインに期待できるようになった時、なかなか破壊できないボスのゲージを粉砕してくれる神通さんがそこにいるだろう。
なお、神通改二が実装された際のアップデートには『二水戦の航跡』及び『次発装填、再突入!』という、神通をモチーフにした曲名を冠された新BGM2曲が新規に追加されている。
2017年7月14日には、ついに彼女にも時報ボイスが実装された。
夜中には、仮眠をとる提督のそばで処務をこなし、朝になると総員起こしから二水戦の駆逐艦たちを伴って朝の訓練に出かけ、同時に提督の朝ご飯を用意しておく・・・と実に有能な秘書っぷりである。
朝の訓練後、遅い朝ご飯を取りながらほっぺにご飯粒を付けた雪風をはじめ、休息する駆逐艦たちを労う。ところが、訓練の視察に来ているとみられる提督から、少し訓練が厳しすぎるのでは、あるいは「鬼のような」という指摘を受ける。その言葉に戸惑いつつも、「いいえ、それでも私は・・・すみません」と信念を曲げない神通であった。その後も日が落ちるまで訓練を続けるのである・・・。
ちなみに、姉の川内のことは「川内姉さん」、妹の那珂のことは「那珂ちゃん」と呼ぶことが判明した(既にアニメ版で二人を「姉さん」「那珂ちゃん」と呼んでいるため逆輸入とも云える)。夜に騒動を起こす軽巡として、これまで川内が言及され続けてきたが、那珂もボイストレーニングと称して訓練に励んでいることがわかり、三姉妹揃って戦闘民族いやバトルジャンキー訓練や実戦に超熱心であるの可能性が濃くなりつつある。
なお、彼女の時報実装によって各水雷戦隊旗艦に時報が付き(一水戦→阿武隈、二水戦→神通、三水戦→川内、四水戦→由良)、それぞれの旗下の駆逐艦との関係(阿武隈は潮、神通は雪風、由良は夕立や村雨。川内は本人以外の多数の駆逐艦から言及)がクローズアップされた。
「神通」は川内型軽巡洋艦の一隻として神戸川崎造船所にて1922年7月に起工される。
当初は川内型3番艦として就役する予定であったが、本来2番艦であった「那珂」が1923年の関東大震災で大破し、解体・再起工と大幅に建造スケジュールが狂ったため、本艦が繰り上げで2番艦として1925年7月に就役した。
艦名は、富山県・岐阜県を流れる「神通川」に由来する[2]。ただし、川の名前は「じんづうがわ」と「通」が濁るが、艦名は「じんつう」と読む。
1927年8月、島根県美保関沖での夜間無灯火訓練中、「神通」は視界不良の中でニ等駆逐艦「蕨」の右舷艦橋付近に衝突。 「蕨」は衝突箇所から艦体が二つに折れ、沈没。艦長以下119名が死亡。神通も艦首部分の衝突箇所が大きく抉られる損傷を負った。
さらに運の悪いことに、この2隻を避けようとした「那珂」が同じく回避中の駆逐艦「葦」と衝突。双方大破する被害を出す。
事件当時の神通艦長であった水城圭次大佐は軍法会議にかけられることになり、危険を軽視した訓練を強いた負い目から海軍内でも同情的な意見もあったものの、責任を強く感じていた水城艦長は判決前日に自決するという痛ましい結末となった。一方、猛訓練を命じた側は特に責任追及されるでもなく、事件はそのままうやむやになってしまう。
この事件は後に「美保関事件」と呼称され、現在では軍縮条約下の猛訓練(しかも、いわゆる体育会系の根性論による理論的では無いもの)の産んだ犠牲として見られている。
「神通」は衝突事故の修理の際、艦首を凌波性に優れたダブルカーブド・バウに改装している。
1931年には第二艦隊第二水雷戦隊の旗艦を継承。 この第二水雷戦隊(通称「二水戦」)は主力部隊として常に前線で戦う任務を帯び、最新鋭の艦と装備が優先して配備される水雷屋にとっての花形だった。
以後、「神通」 は戦没までの間、修理や改装などで離れた時期を除き、10年以上にわたり二水戦の旗艦を務め、まさに水雷戦隊を象徴する艦とも言える存在だった。
その後も何度か近代化改装を受け、1941年の改装では正式な航空兵装の搭載と、前部発射管を撤去しウェルデッキを兵員室に充て、後部の魚雷発射管を従来の連装発射管から酸素魚雷を発射可能な四連装発射管に交換している。 「こんな素敵な近代化改修、私うれしいです」
開戦後は二水戦としてダバオ上陸作戦、セレベス島メナド攻略戦などを支援し、蘭印方面で活躍。
1942年2月のスラバヤ沖海戦では第四水雷戦隊の「那珂」と共に参戦。この戦いで「神通」は偵察機により敵部隊の行動を補足し続けた。
しかし水雷戦隊としての働きは、射程距離の長い酸素魚雷を活かしたアウトレンジ戦法に拘った結果、艦隊全艦で188本の魚雷発射のうち命中したものは第五戦隊の放った僅か4本という惨憺たるものだった。「当たってください!」
これは信管が鋭敏すぎた、元より命中率の悪い魚雷の射程を伸ばしてもメリットが薄いなどの酸素魚雷の欠点を露呈するものでもあるのだが、勝利したにも関わらず二水戦司令の田中頼三少将らは「敢闘精神が足りない」などの批判を浴びた。これが後の田中少将の左遷に繋がるのだが、それについては「長波」の記事を参照して頂きたい。
ミッドウェー海戦にも護衛隊として参加するが、交戦の機会は無かった。
第二次ソロモン海戦には「陽炎」らと参加するが、米軍の空襲で爆弾を受けて中破。旗艦を一時「陽炎」に譲渡しトラック白地に帰投。その後本土で修理を行うべく前線から一旦外れる(その間の二水戦旗艦は「五十鈴」が務めた)。
修理を終えた「神通」は1943年に二水戦に復帰、ガダルカナル島撤退作戦支援に参加する。 そして二水戦旗艦として「神通」が最期の活躍をしたのが、この年10月のコロンバンガラ島沖海戦である。
コロンバンガラ島への兵力輸送を目的とする日本軍、「東京急行」と呼ばれる日本の輸送作戦を阻止しようとするアメリカ側とが激突したこの戦いは、夜戦となった。
二水戦は「三日月」を先頭に立てて「神通」「雪風」「浜風」「清波」「夕暮」と続く単従陣。対するアメリカ第36.1任務群の戦力は軽巡3隻、駆逐艦10隻といった陣容だった。
二水戦は水上偵察機の報告と「雪風」の逆探により敵船団を発見。ほぼ同時に第36.1任務群もレーダーにより二水戦の存在を察知。お互いに相手の存在を確認した上での戦闘開始となる。「神通、いきます」
レーダーが未発達(そもそも積んでないとか、積んでても敵か味方か判断できないとか)の当時の夜戦は、相手が目で見えなければ戦いにならない。そのため、先導艦として「神通」は、後続駆逐艦のために探照灯照射を敢行。
日本の水雷戦隊では伝統として「旗艦は先頭に出て後続の艦を守る」「そのため旗艦には駆逐艦より装甲の硬い軽巡を使う」という決まりがあった。
「神通」の行動は教科書通りの動きであったが、それは自分の位置をあからさまに相手に教えることにもなるわけであり、当然のごとくアメリカの軽巡3隻から多数の砲撃、雷撃を浴びせられ、「神通」の船体は瞬く間に炎上する。
「来ないでって言ったのにぃ!」
二水戦司令・伊崎俊二少将、艦長・佐藤寅治郎大佐ら司令部は艦橋への砲撃で戦死。航行不能となり落伍し、燃え盛る建造物が「雪風」の乗員から確認されながら、それでも「神通」は探照灯照射と砲撃をやめず、魚雷7本を発射するなど奮戦。「狙い撃ちされました。これじゃあ、戦いにくいです」
やがて再度魚雷を受けた「神通」は大爆発を起こし真っ二つになり沈没。しかし船体の前半分は夜が明けてもなお沈まず、白鉢巻姿の砲員が残った第一砲塔で激しく敵駆逐艦に反撃を続ける姿が日米両方の偵察機から確認されている。
そして、「神通」へのいじめ集中攻撃が意味することは、他の駆逐艦への攻撃がほぼなかったということになる。駆逐艦部隊は最大戦速で敵艦隊に肉薄、魚雷の一斉射でまず軽巡「リアンダー」を大破させ戦闘不能に陥らせると。そのまま反転離脱に移ることに成功。
その後、次発装填装置の無い睦月型の「三日月」を除く船は魚雷装填を行い戦線に復帰。もう日本軍の雷撃は無いと油断し突撃してきたアメリカ艦隊に対し再度の魚雷斉射を行い、軽巡「セントルイス」「ホノルル」を大破。駆逐艦「グウィン」を大破のち沈没に追い込む。さらに駆逐艦「ブキャナン」と「ウッドワース」が衝突事故を起こして大破。鮮やかに大打撃を与えると、再び戦場から離脱していった。「油断しましたね。次発、装填済みです」
また大破した「リアンダー」は損傷が酷く二度と前線に戻ることが出来ず、第36.1任務群は事実上戦力外に追い込まれた。でもすぐお代わりが来るのが米帝クオリティ。
駆逐艦部隊は「雪風」に砲弾が直撃するも不発だった幸運が起こった以外は全くの無傷、コロンバンガラ島への輸送も無事遂行され、日本軍の完勝だったが、「神通」の救助を行う余裕は無く、輸送完了後「皐月」と「水無月」が捜索に向かったが、何も発見できなかったという。「こんな私でも、提督のお役に立てて・・・本当に嬉しいです」
二水戦司令部を含む482名が死亡、生き残ったのはアメリカ艦隊に救助された2名。また、21名が潜水艦「伊185」に救助されたともいう。
「華の二水戦」の名に恥じぬ執念を見せ、「ホノルル」1110発、「リアンダー」160発、「セントルイス」1360発。合計にして2630発の砲弾を一手に引き受け、旗下の駆逐艦に全く被害を与えず、勝利と引き換えに壮絶な最期を遂げた「神通」。
この艦をアメリカの戦史研究家サミュエル・E・モリソンは「神通こそ太平洋戦争中、最も激しく戦った日本軍艦である」と評した。
2019年4月26日、コロンバンガラ島付近の戦没艦艇の捜索活動を続けていた[3]故・ポール・アレン氏らの調査チームが、コロンバンガラ島沖クラ湾に眠る神通の艦体を発見したと発表した。
海上自衛隊の艦艇は往々にして旧海軍のそれから、名前を引き継いでいるものが多い。「神通」も例外ではなく、乙型警備艦(地方隊向けの小型護衛艦)の最終世代である、あぶくま型護衛艦2番艦「じんつう」に引き継がれた。
主力である甲型警備艦(汎用護衛艦)の技術進展のため、当面は最後の乙型警備艦クラスの1隻として、長らく地方隊付護衛隊。艦隊再編後は護衛艦隊直轄の護衛隊にて、主に沿岸警備活動に活躍している。
このクラスは「シースパローと哨戒ヘリがないことを除けば、はつゆき・あさぎり型と同等」と言われるほど高性能[4]で、居住性や航続距離も良好である[5]。第二水雷戦隊旗艦として華々しく散華した先代に比較すると地味だが、艦これの神通さんの控えめだが仕事はきっちりこなす性格に、少し似ているかもしれない。
因みに最近色々とアレな隣国の軍拡、そして護衛艦総数の減少傾向から延命措置工事が予定されており、二代目「じんつう」はこれからも長く日本領海の防衛に貢献することになるそうである。因みに嘗ての姉妹艦「川内」も、同じあぶくま型の4番艦として名前を引き継いでいる。
また、同じ川の名を継ぐものとして、富山市消防局富山北消防署上分遣所所属の消防艇「神通」が代々その名を襲名している。
毎年年始の出初式では一斉放水のデモンストレーションを行っており、防火に際するイベントなどでは幼稚園児によじ登られたりと何かと地域に親しまれている神通さんである。
「神通」を含む川内型三姉妹の史実での物語。特に後編は彼女の壮絶な最期を伝えてくれる。ハンカチ必須。
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最終更新:2024/12/02(月) 23:00
最終更新:2024/12/02(月) 23:00
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