言い出しっぺの法則 単語


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イイダシッペノホウソク

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言い出しっぺの法則とは、

  1. 「言い出しっぺが担当者になる羽目になりがち」というマーフィーの法則的な人類の経験則。
  2. 転じて、「言い出しっぺは自ら担当者たれ」という崇高な理念。
  3. 更に転じて、厄介事を回避する時の為の決まり文句。

概要(理想)

DIY(Do It Yourself)を是とするネット社会の基本理念にして、暗黙のルールのひとつ。

「誰かがやってくれるだろう」というお客様気分や他力本願な姿勢では「様々な人間の意見が集まり、反映される事でよりよい進化を遂げる」オープンソースを前提としたインターネットは成り立たない。それを言い出したまさにその人物こそが先陣を切ってそれをやるのが「一番望ましい」のである。この理念の元に集合知やCGM、UGCといった概念が発達してきた…という背景を持っていた言葉なのだ。

理念自体はwww成立当初からの普遍的なものであるが、「言い出しっぺの法則」という名称は、1990年代のパソコン通信で、主に"フリーソフトを探す質問"に返す言葉として広まった。その後2006年には、白田秀彰による『インターネットの法と慣習』としてまとめられた。

A 「○○って見てみたいかも」
B 「○○いいかもしれんね」
C 「は更に□□があればいいと思うんだが」
D 「、□□ならやってもいいけど○○は無理」
E 「だったら××で募集かけてみれば?」
F 「××で呼ばれてきました。○○ならおk」
B 「んじゃあわせてみっか」
C 「場所どうするよ?」
A 「んじゃ俺作るか?」
G 「とかいいんじゃね?」
A 「んじゃやっか」

概要(現実)

しかし、これらの概念は少数かつ一部の生産能力を持つ者同士の集団においてのみ通じる物であり、ユーザーの絶対数が増加するにつれて、相対的に技術者の割合は減少し、理想は自然と薄れていった。またかつてのフリーソフトなどの時代と比べて必要要求の規模も膨れあがることにより、人々が集まり意見を反映し合う構図の先陣を切ることすら容易ではなくなってきてしまう。その結果、言う相手によっては不毛でしかなく、時代の流れと共にこの言葉も「口にする者にとって都合の良い記号」になってしまった。1を見れば分かるとおり、本来の意味に戻ったといえばそれまでなのだが。

インターネットの普及によるユーザー数の飛躍的増加によって、ネット社会の性質にも変化が生じ、不特定多数との接点の増加や匿名文化の普及などが起こると、より無責任を是とする空気が広がっていった。それらにとって「言い出しっぺの法則」は非常に口にしやすい常套句となったのである。

また、自分では何もする気がない、失敗や面倒、他力本願や誹謗中傷を恐れる者は、(自覚の有無に関わらず)アイデアを口にした人間をスケープゴートに仕立て上げ「言い出しっぺの法則というものがあってだな…」とその話題を安易に断ち切ってしまうという現象が見られる。

A 「○○って見てみたいk…」
Z 「言い出しっぺの法則というものがあってだな(キリッ」

B (同意したかったけど、しづらくなったなぁ…)
C (アイデアがあったけど、言わないでいっか)
D (□□なら出来るけど、どうせAがやるんだろ)
E (××でググればすぐなのに。情弱

これではよりよいアイデアを生み出す為のコミュニケーションが成り立たない。

その結果、何の進歩も見られず衰退してしまったり、いざ実行に移されたとしても、成果のただ乗りを期待する非協力的な人間を厭うあまりに閉鎖的な空間が出来上がってしまったりもするのだ。

2ch以前からコンピューター業界用語などにあった「○○と言ってみるテスト」「○○と思われ」という言葉は、この手の押し付けを回避しつつ反応を見ながら意見を交わす為の常套句だったのだが、現在ではあまり使われなくなっているようだ。

活発なコミュニケーションとDIYを前提とした理念も、現実の前では本来の意味、他力本願や都合のいい押し付け合いの為の言葉に回帰してしまった。なんとも皮肉な話である。

凡例

  • 「なんで○○がないの?」 → お前がやれ
  • 「オフ会とかあればいいのに」 → 幹事よろしく
  • 「まとめサイト作ろうぜwww」 → お前がな
  • 「誰か通報しろよ」 → お前がな

じゃあどうすればいいの?

「言い出しっぺ」を発見しました!

他人からアイデアが出たからと即「言い出しっぺの法則」を振り翳すのは、見知らぬ相手にいきなり銃口を突きつけるようなもの。大多数の人間は萎縮し会話は途切れ、折角のコミュニケーション機会も失われてしまう。言い出しっぺの全てが他力本願とは限らない。言葉を選んで頼めば快く引き受けてくれる人物が現れるかもしれないのだ。安易にネットの常套句に頼るのはやめよう。

ちょっと意見を言っただけなのに「言い出しっぺ」にされた!

あなたの言い回しが過度にネガティブだったり刺々しいものでなければ、囃し言葉と思ってスルーするのが一番。

法則は守ってもいいけど、あれもこれもと押し付けられるのは嫌だなぁ…。

いざ自分が「言い出しっぺの法則」を守る側になった場合、すぐさま行動に移さずにある程度腰を据え、自分以外の多数と円滑なコミュニケーションをとるように心がければいい。自分以外にも需要が期待でき、その時点での代替品はあるのか、その場の雰囲気を見極め、言葉を選んだ上でアイデアを出したり、自分に出来ることと出来ないこと等を発表していこう。こうすることで初案をよりよいものにするためのコミュケーションが成立し、作業分散のきっかけにもなる。ある程度のトラブルにも対処しやすくなるはずだ。あなたはひとりではないのだから。

アイデアはあっても自分にはそんな能力がないよ…。

そう思っているのはあなただけかも知れない。
変に肩肘を張らなければ、趣味的なことはいくらでも挑戦することが出来る。理想的な「言い出しっぺの法則」は、言い換えれば「全てはチャンス」の精神と、少しの勇気で支えられてきたのだ。能力を持った人に任せるより時間はかかるかもしれないが、ある程度は自分の思った通りにコトを運べるという最大のメリットがある。
逆に言えば、安易に人任せにしてでも見たい、欲しいものに本当に価値があるのかどうか、軽い気持ちで意見を述べる前に考えてみよう。

…それでも駄目だった場合、かつ自分以外にもある程度の需要がありそうな場合は「お願い」をしてみよう。「○○があればいいのに誰もやらないからいいや」「さっさと作れよボケナス」などとネガティブな、刺々しい言葉は使わず、自分が出来ないことを公表した上でそのメリットを説明し、依頼や公募をしてみよう。
そして、自分に出来る範囲での協力を惜しまないこと。同時に分を弁え、出来たものに対しての一方的な文句は控えよう。

そんなのいちいち面倒だ! ネットなら人がいっぱいいるんだしすぐ出来るだろ!

今すぐ目の前の箱の電源を落として頭を冷やしましょう。
ネットの向こうにいるのはあなたとは違う生活を持った人間であって、あなたにとっての便利屋ではありません。

例外(超重要)

  • 「お前らの嫁だろ、早くなんとかしろよ」→どうぞどうぞ

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