賭博覇王伝零(とばくはおうでんゼロ)は福本伸行による少年漫画作品である。
あらすじ・概要
義賊として世間を騒がせた少年宇海零とその仲間は、大富豪・在全が建設中のギャンブルと遊園地の融合施設「ドリームキングダム」に呼ばれる。在全が全財産を賭けて参加するギャンブルの代打ち、すなわち王を求めているため、零や他の者たちが集められたのだった。賞金1000億円で振り込め詐欺の被害者全てを救うため、王を目指して園内のギャンブルに挑戦する零だが、そこは生命を、精神を、肉体を賭ける究極のギャンブルばかりだった。
福本伸行の作風が色濃く出たギャンブル漫画である。ただし、『週刊少年マガジン』掲載と言う事もあり、暴力表現は(他の福本作品に比べれば)やや抑え気味になっている。
『週刊少年マガジン』2007年40号から連載開始され、2009年13号を持って第一部が完結した。 第二部は第一部終了時に2009年6月開始と予告されていたが、2009年9月現在開始されておらず、事実上の休載となっている。
登場人物
挑戦者側
- 宇海零(うかい ゼロ)
- 本作品の主人公。17歳。中学時代は超進学校である開難中学の特進クラスで、その中の三指に入る秀才だった。頭脳明晰且つ運動神経も良い上、窮地でも的確な状況判断が出来る。正義感も非常に強く、自分の利益を度外視して誰に対しても優しさを向ける。自殺サイトで知り合ったミツルら3人の自殺を強引に阻止し義賊になろうともちかけ、振り込め詐欺グループから金を盗み被害者に返すことに成功するも、三人をヤクザに攫われてしまう。そして助けに行った場で「在全グループ」の総統、在全無量と出会い、半ば強制的に命がけの「王への試験」を受けさせられることとなる。
- ミツル
- 零の仲間の義賊。零同様正義感が強く、代打ちとしての賞金を手にしたら振り込め詐欺の被害者全てを救おうと考えていたが、入場試験の鉄球サークルで事故が発生し、零を庇って鉄球に激突し瀕死の重傷を負ってしまう。その後は零たちに後を託し、戦線離脱した。
- ユウキ
- 零の仲間の義賊。眼鏡をかけており、気弱だが温和な性格をしている。当初は私利私欲を捨て切れない部分があったが、ゲームの過酷さと零の偉大さを体感する内に、零こそが王になるべきなのだと確信する。ゲームを続けるうちに零からこれ以上一緒に行動することは危険であると忠告を受けたものの、利益目的抜きにして零の行く末を少しでも長く見届け、出来ることなら彼の力になりたいという気持ちから共闘の続行を決意した。
- ヒロシ
- 零の仲間の義賊。やや小太りで、義賊仲間の中では最も私欲が強い様子。力不足により零抜きではまともに生き残れない状態にも関わらず、零にこれ以上一緒に行動することは危険であると忠告を受けて、半ば啖呵を切るように零と別行動することを決意した。
- 末崎
- 零たち義賊に一杯喰わされた振り込め詐欺グループの社長であるヤクザ。在全の気まぐれで王への試練の参加権を与えられた。コメディリリーフ的な役回りが多いが、彼の言動が零たちに閃きのきっかけを与えることも多い本作の狂言回し。本名は末崎さくら。
- 板倉
- 振り込め詐欺グループの一員で末崎と共に試験への参加権を手に入れた。慶應義塾大学出のインテリヤクザで、頭が切れる長身の男。末崎の弟分だが、末崎自身短慮な性格なためか、内心では彼のことを小馬鹿にしている。実力を持つ者には敬意を払うようで、前述の経歴ながら年下である零や標の能力を素直に認めている。
- 標(しるべ)
- 本名・年齢は明かそうとしないが、まだ年端もいかない少年。無表情かつ無口で、常に冷静な姿勢を崩さない。鉄球サークルでは一番にサークルへ踏み込んだり、零が25分以上かかって解いた難問をほんの7~8分で解くなど、恐ろしく頭が切れる。本人曰く、人や物などの事象の「滅び」を時々感じることができるという。彼の只ならぬカリスマ性に惹かれる者も多く、ドリームキングダム内で取り巻きが10人程ついた。彼等は従者同然の振る舞いで、標の守護や団体戦での頭数合わせといったサポートを殆ど自主的に行っている。一見冷めているようだが心中には熱いものを秘めており、零に対し、共に協力して在全をある秘策にかけて倒そうと持ちかけ、後の共闘を約束している。
主催者側
- 在全無量(ざいぜん むりょう)
- 在全グループ総統。81歳。「王への試験」主催者であり、個人資産だけでも3兆円以上所有している日本一の資産家。通称「金神」。零たちの素質を見込んで彼等の命を一人10円で末崎たちから買った(窮地にいた零たちを事実上救った)が、そのとき零は感謝している様子を見せなかったため、彼を毛嫌いしており、才能は認めながらも零が勝ち残っていることを快く思っていない。クォータージャンプで小細工するなどして、零を殺そうとするなど汚いことを企んでいる。
- 後藤利根雄(ごとう とねお)
- 在全グループの幹部。58歳。「王への試験」の進行をつとめる。「ドリームキングダム」を執り仕切り零たちに極悪なギャンブルを出題している。しかし、零の標への助言を内容から問題ないと判断したり、ザ・アンカーで勝敗は決しているのに意地でもルールを変えて零たちを殺そうと悪あがきする小太郎を制して終了を宣言したりと、ギャンブルそのものは基本的に公正な判断を下している。零が万人に一人の逸材である事を認め、監視すると同時に他の参加者より優遇している。
- ジャック
- 指切りギャンブルで零と対峙した老人。幼少期、顔の右半分に大けがを負ってしまい、あまりに惨いためそれを半身と髪で隠している。当のギャンブルに関しては1度しか敗北したことが無く(右手の小指のみ)、初心者には勝ち目など無いと豪語し、絶対的な自信を持って零を迎え撃つ。
- 小太郎
- ザ・アンカーのDJ。本人は本名を「小太郎・ヒルマウンテンウィリアムス・ハリソンジャガーサタケ・ジェームス城山」だと名乗るが、免許証には城山小太郎と記されている。後頭部の髪型が逆さの城の字になっている。学生時代に不良グループからいじめを受けていた過去をもつために取り乱すほど美談が大嫌いで、絆が壊れる瞬間や暗にヒントを与え、気付かない事をフレンドリーな言葉遣いで揶揄するなど性格は歪んでいる。
- 黒服
- 福本伸行作の漫画全般に登場するモブキャラ。ドリームキングダムの至るところに配置されていて、アトラクションの審判や、案内などの様々な雑務を行う。
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関連項目