魔神(とある魔術の禁書目録) 単語


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10万3000冊は、全て使えば世界の全てを例外なくねじ曲げる事ができる。

私達は、それを 魔神 と呼んでるの。

魔神とは、ライトノベル「とある魔術の禁書目録」に登場する魔術師・神格である。

用語の初出は旧約1巻。ただし、本物の魔神が登場するのは新約以降。

旧約禁書の概要

インデックスの頭にある「10万3000冊の魔道書」の知識を使えば届くという、世界の理を歪める存在。

旧約1巻の時点で、魔族の神や魔界の神などではなく「魔術を極めた末に神様の領域に到達した魔術師」の総称である事が語られている。

生き物は必ず死ぬ、上から落としたリンゴは下に落ちる、1+1=2……。
そんな、世界としては当たり前で、変えようのない『ルール』そのものを破壊し、組み替え、生み出す事ができる。1+1は3になり、下から落としたリンゴは上に落ち、死んだ生き物が必ず生き返る。
魔術師達は、その名を魔神と呼ぶ。
魔界の神ではなく、魔術を極めて神の領域にまで辿り着いた魔術師、という意味の。
魔神。

◆とある魔術の禁書目録 第1巻より抜粋

10万3000冊の魔道書を使う自動書記モードと呼ばれる状態のインデックスは、あくまでこの時点では「魔神」と同等の存在と言われていた。

SS2巻(16.5巻に相当)では、魔神のなり損ないである「オッレルス」が登場。魔神になる為には色々と手順を踏む必要があるらしく、オッレルスは魔神になるチャンスを逃している。

22巻でオッレルスが至る筈だった魔神の座は「隻眼のオティヌス」に奪われている事が判明した。

新約禁書の概要

魔術を極めて「神格」を得た魔術師。
紀元前から存在する神もいれば、割と最近の方の仏格までピンキリ。

世界を一瞬で書き換えたり、破壊したり、運命を作れる程の力を持つ。位相を組み替えることで盤上の世界を思いのままに歪め、破壊し、創造する規格外の存在である。

世の中にはどうしようもない運命というものがある。個人の選択を超えた強大なレールというものが。
じゃが結局はそれも、人間の預かり知らぬ所で『魔神』と『魔神』の意見がぶつかり合っているからに過ぎぬ。
いいや、そもそも。儂ら『魔神』には特定の個人を害しようなどという気概はない。
というより、ちっぽけな惑星にしがみつく個人など視界に入らん。
それでも儂らの行動は常に外界へ影響を与え、世界を大きく動かしてしまう。困った事にな。

◆新約とある魔術の禁書目録 13巻P55 魔神「僧正」の発言を抜粋

旧約禁書で語られた魔神の情報は、あくまで人間が想像できる範囲の断片的なものでしかない。

以下は新約で判明した設定である。

  • 魔術サイドの99.9%を占める
  • 運命論は魔神から生じた
  • あらゆる法則を超越した魔神の力は、その世界では説明できない
  • 魔神に設定された存在の容量は「無限」という言葉で表現するしかない
  • 完全な状態で世界に居ること自体が叶わない
  • 完全な魔神が世界に存在すると、世界は薄氷の如く崩壊する

その高すぎる容量ゆえ、本人(とても人とは言えないが)が意図せずとも、ただそこに「在る」だけで否応無しに世界に影響を与えてしまう。
それこそ世界に顕現する際には、バタフライ・エフェクト理論のように「自分達が現れた影響で世界の裏側で竜巻でも起こっていないか」などという話を大真面目に危惧しなければならないほどに。

上記の理由から、魔神は現世の外側にある「隠世」と呼ばれる別位相の神域を根城としている。

魔神と呼ばれる存在

オティヌス

作中で初めて出た魔神。容姿は金髪隻眼でやたらと露出が多い少女。
正体は北欧神話の主神「オーディン」。また新約9巻以降のヒロイン格である。

作中で初めて出た魔神であるこの少女は、それまでのパワーインフレの均衡を置き去りに、世界の創造・破壊・改変を一瞬でなし得るだけの力を行使し、世界でただ一人残した上条にトラウマを植え付けた。

→詳細は「オティヌス」を参照。

僧正

老人の魔神。日本仏教の魔神である。容姿はミイラ。
平安の折、唐より帰国した弘法大師・空海によって日本仏教に新たな息吹を吹き込んだ革新的宗派「真言宗」。

厳しい修行の末に、人が一代で悟りを開き、六道を外れ、仏と認められた末に祀られる仏格「即身仏」。
ただし厳密には即身仏の要件を“信仰面以外”全て満たした、成り損ないの仏様らしい。

老人だが日本仏教の魔神なので、実は魔神としては若い方。

→詳細は「僧正(とある魔術の禁書目録)」を参照。

ネフテュス

古代エジプト・ヘリオポリス創世神話の女神。体に包帯を巻いている。元ネタでは「ヘリオポリス九柱神」の一柱。アヌビス神の母、セト神の嫁、イシス神の妹である女神。
とあるシリーズでは、ネフテュス自体が創作された神格と言われている。

→詳細は「ネフテュス」を参照。

娘々

中国・道教の神仙思想を具体化した仙人様。
4000年以上前の「尸解仙」なのだがキョンシーのように恐れられた事がある。

→詳細は「娘々(とある魔術の禁書目録)」を参照。

ゾンビ

新約10巻で名前が判明したブードゥー教の「ゾンビ」。通称:ゾンビ少女。

作中では魔神用の術式『鏡合わせの分割』を開発したが、新約12巻でアレイスターの力を送信する兵器「対魔術式駆動鎧」を装備した木原脳幹にやられてしまう。

彼女は理想送りで新天地に送られていない。禁書伝統の出落ち改め、出落ち未満キャラ。

キメラ

ギリシャ神話の怪物「キメラ」。名称は新約10巻で判明。本人は新約17巻で登場。

人間の身体の美に限界を見出し、遂には他の生物の因子・構造まで身体に取り込んだ怪物。
「ナルシストで自己破壊マニアの変態(娘々評)」

合成獣のような姿で描かれるのも肉体改造が原因とされている。人間はその姿を見ようとしても脳が理解することを拒み、視界が極彩色に点滅してまさに「目も当てられない」状態となる。
また、同じように魔神以外は言葉を理解することも叶わず、人間には甲高い金属音に聞こえる。上里からすれば声は思い浮かべるだけで吐き気がするらしい。
娘々いわく「徳の低い人間は見ただけで魂を焼かれる」。

ヌアダ(ヌァダ)

ケルト神話の軍神。
左腕に銀の義手を装着し、全身に戦化粧の刺繍を刻んだ上半身裸の青年。

新約13巻で左腕のみ、新約15巻で外見だけ似せた偽物、新約17巻で本人が登場。
新約17巻では『ダルヴ=ダオル』を披露。何億何兆にも及ぶ「神(ヌアダ)の銀の義手の隙間から、肩の傷に潜り込んで血肉を喰らった蟲」の事である。
「不遜にも神の血肉を喰らった蟲だ。無罪放免するほど私の天秤は甘くない。口にした分だけ働かせねば等価交換に反するだろう」
放たれた蟲達はヌアダが操り、ビルよりでかいサイコロやスタジアム球場よりでかいコインや巨大カードなど、様々な形状に寄り集まった。それらの破壊力も凄まじく、ビルを潰したり切り裂いたり、空から降り注いだ隕石じみたコイン(蟲)が学区全体をクレーターにしかねないほど。
形状がヌアダに由来しないギャンブル関係なのは、ヌアダ本人が遊び感覚で攻撃しているからなんだとか。

プロセルピナ

ローマ神話の豊穣神。
後に登場するミナ=メイザースと同じく黒い西洋喪服に身を包み、ヴェールで顔を覆う妙齢の美女。

名称のみ新約13巻、外見を似せた偽物が新約15巻、本人は新約17巻で登場。
新約17巻にて太陽を覆い隠し、世界全土をマイナス六十度の極寒の地にする惑星規模の神罰、人工氷河期発生魔術を使用した。
ギリシャ神話との習合、つまりペルセフォネーとの同一視の影響を諸に受けている(オティヌスみたいにペルセフォネーとの習合背景にエピソードがあるのかもしれないが)。
彼女の「神罰」は冥王に連れ去られ、母である豊穣神が怒って地上を「冬」にした事に由来する。

テスカトリポカ

片足に円形の大きな鏡(義足)をはめた筋骨隆々の大男。
新約13巻で名前のみ、新約15巻で外見だけ似せた偽物、新約17巻で本人が登場。

元ネタはアステカ神話の太陽神。
魔神テスカトリポカは神話のテスカトリポカその物ではなく、大航海時代にケツァルコアトルと認識されたスペイン人に対抗するためにアステカ人が作り上げたテスカトリポカである。

ただし、その性質は本物と同じで世界創造を実行に移すだけの力も持っており、人類抹殺に走った。故に彼は本物と同じように太陽神・死神と呼ばれている。

忘れられた神

新約17巻で登場。元ネタは恐らくクトゥルフ神話。

クトゥルフの創始者である「ハワード・フィリップス・ラヴクラフト」が小説執筆の際に原典としていた資料に登場するが、フィクションとノンフィクションがごっちゃになりすぎた結果、もはやどこからどこまでがラヴクラフト製なのかも分からなくなり原典が忘れられた変な魔神。

人間では正しく意識できず、上里には黒いクレヨンで描かれた棒人形のように見えた。その攻撃も同様、魔神以外では認識すらできない「何か」を操る。


魔神の容量

オティヌスは魔神達から「失敗」だったと言われている。

まず、彼女達とオティヌスの違いとして以下のような事が挙がった。

娘々:でもさー「僧正」。「ゾンビちゃん」が持ってきた理屈って、ようは合わせ鏡でしょ?わたし達の「力」を無限に分割する事で意図して弱体化を促し、手足を振り回しても世界ってヤツが壊れないようにする。

僧正:「娘々」、それがどうしたね?

娘々:いやあ、∞って記号をいくつ分割しようが本当にきちんと弱体化出来るのかねってハナシ。やだよー、一歩踏み出した途端にステンドグラスみたいに世界が粉々になるだなんて。わたし達はさ、「オティヌス」なんかとは違うんだから。


娘々:無限と呼べるわたし達の力を無限に等分する事で、この世界で許容可能なギリギリのレベルに自己を留める。 ……でもこれ、見方によっては最悪の変容じゃないかなあ? 何しろこれ、殺しても殺してもキリがない。 マトリョーシカやタマネギみたいに、わたし達を完全に殺すには永遠に等しい戦闘を繰り返さなくちゃならなくなったんだから

◆新約とある魔術の禁書目録12巻より一部抜粋


世界に存在できたオティヌスは、彼女達が言う「無限」の容量を持つ存在ではなかったのかもしれない。

鏡合わせの分割

「完全な魔神は容量の問題で世界に存在できない」
この問題を解決する為にゾンビが開発した「無限の容量を持つ魔神を無限に等分」し、世界を騙す術式。

あくまで「その世界で説明できる程度の力」に抑えられるが、魔神を殺すには永劫に等しい戦闘を繰り返す必要があるのに、一兆回でも一京回でも殺しきらない限り、魔神の存在が消えることはない。

娘々いわく、見方によっては最悪の変容を遂げる。

魔神になるために

魔神に至るためには文字通り魔術を究める事が前提条件である。
自身の弛まぬ努力・研究を昇華させ、膨大な知識を頭に叩き込んでおく必要がある。または禁書目録の【10万3千冊の魔道書】をフル活用し、魔神の力を手に入れるというのが近しい道とされてきた。

ただ、それには読むだけで廃人となる魔道書の『原典(オリジン)』を何万冊分も頭に入れる事になる。故に自動書記モードのインデックスこそが魔神に近い存在とされている(新約8巻、北欧の魔神編でもこの設定は健在)。

そういう意味で、作中の世界における魔神とはキリストや仏陀のような分かりやすい「神」というわけではない。
10万3000冊の魔導書を全て理解し、世界の理を歪めるほどに魔術を追究し、遂には人間の範疇を超えて神の領域にまで脚を突っ込んでしまった存在。それこそを『魔神』と呼称する。

関連動画

オティヌス戦

真のグレムリン

関連項目

  • とある魔術の禁書目録
  • オティヌス
  • 僧正
  • 娘々
  • ネフテュス

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