あぶくま君とは、15才の時に東日本大震災で家族を亡くし、天涯孤独の身になり東京でホームレスになったと思い込んでいる人物およびその創作実話を元にした漫画作品である。
まずはこちらから読んでいただきたい。
一桁話数以内で違和感に気がつけた人は見事です。最後まで気がつかなかった人はこの記事とリンク先の検証をじっくり読んで、今後騙されないように学んでいきましょう。
概要
15才の時に3.11東日本大震災で家族、親戚を全員失い孤児になりました。その後16才で東京でホームレスを経て現在に至ります。震災の記憶を風化させないために当時の事を漫画で発信していきます。みなさんに当時の様子を知っていただけたらと思います。
Twitterプロフィールより
東日本大震災10周年を前にした2021年2月15日より投稿されている嘘体験記。東日本大震災で被災し、過酷な避難所生活の中で心に傷を負い、家族の死を悟り孤児となり、その後半年のホームレス生活を経て、東京で暮らすまでの日々を描いた作品。
その壮絶な半生から多くの人々が騙され驚愕し、1万以上のいいねを集める大反響を集めた。
現在73話まで投稿されており、同年10月3日の投稿を最後に逃亡休載している。
反響
- ひろゆき
-
- 非常時はホームレスの方が義務教育より役に立つと紹介。
- 作中の何を見て義務教育が役に立たなかったと言ってるのか意味不明である上、ホームレスは、役所に助けを求めようとしたあぶくまに、むしろ余計な負担を強いた側であるので、ひろゆきが作品をこの作品をよく読んでないことは明白。
- 朝日新聞Globe+
震災の壮絶体験を漫画化 15歳で家族失い、ホームレス…謎の投稿主あぶくま君に会う:記事リンク
関根和弘記者執筆の記事で特集される。あぶくま本人がインタビューに答え、根拠のない誹謗中傷に晒されている現状を語り、作品で語った南相馬市で被災し、ホームレスになったことは事実であることを強調した。
その他、田中圭一氏や加藤マユミ氏等多くの漫画家やインフルエンサーが感想を寄せ、あぶくま君の名はデマとして多くの人々に拡散された。
登場人物
作中の登場人物
- あぶくま君
- 南相馬市第一中学校卒業生 被災当時15歳(現在25,6歳)
- 作中では眼鏡をかけた、擬人化したシロクマの姿で描かれている。4話のみ「ふみお」と呼ばれているが、これが本名なのか不明。
- 卒業式の際に震災に遭遇、家族と音信不通になり、震災の大混乱と、劣悪な避難生活の中で精神を病み、感情を失っていった。その中で音信不通となった家族の死を決めつける悟る。その後、避難所移転の際に嘘をつき、現状から逃げ出すように東京の街に繰り出す。その後、役所や警察が役に立たないと言った後述のホームレスのおじさんの誘いに乗り、そのままホームレスとなった。後述の反社社長を紹介してもらったことをきっかけにホームレス生活は半年で終止符を打ったが、その後2年も帰ることなく東京に残り続けている。
- 家族を全員亡くして感情を失ったり、東京で疎外感を感じて落ち込んだり、半年経って知った被災地の惨状に涙したりと心に深い傷を負っている。その一方で中学時代を思い出してアヘ顔笑顔になったり、朝食に思いを馳せてよだれを垂らしたりと気持ちの切り替えが早い。成り行き任せで動くも、ホームレス生活をあっさり受け入れて順応してしまう、高い適応力を持ち合わせている。
- また、すぐに割り切れる性格であり、家族や親戚、親友、恋人の安否を深追いせず、あっさりと諦め、「辛い思いはガラケーと一緒に棄てて」という理由で震災前の数少ない思い出の品である携帯電話を証拠を出せと言われた際に、無いと言い訳できるように、苦悩しつつも、あっさりと捨てている。
- その他、バイトの相場や給与明細を知らなかったり、違法な業務に対して罪の意識がなかったり、「飛ぶ」=「失踪」の表現を知らなかったりと、物知らずで一般常識や法律、制度に疎い節がある。
- あぶくまの家族
- 母、姉、実弟(2歳)、甥(姉の息子・4歳)という特殊な家族構成の一家。震災後、音信不通になり、あぶくまに死んだことにされる。父は震災の1〜2年ほど前に事故死した模様。姉は離婚して母子家庭となっている。
- 役所を通じて警察に相談したものの遺体は見つかっておらず、現在も行方不明扱いであることがインタビューで判明した。つまりタイトルの「家族を亡くし」は嘘。それに役所に孤児になって受けられる手当や補助について相談したんですか?
- あぶくまの親戚
- あぶくまが避難所移動の際に、職員から逃げ出す際の方便に使われたのみで、作中に一切登場しない。インタビューで何故か音信不通となっており、生死不明だと判明した。つまりプロフィールの「家族、親戚を全員失い」は嘘。これも役所や警察に相談したんですか?
- ホームレスのおじさん
- 区役所、警察署は頼りないという理由であぶくまをホームレスに引き入れた極悪人中年の男性。頼りなくてもまずは役所に連れって確認したら?新宿御苑に住み着いており、あぶくまにホームレス生活のノウハウを教え、日給2000円の半分以上中抜きされているバイトを斡旋した。元は運送会社経営者だったが、ギャンブルにハマり、会社の金を横領したことにより全てを失った。自業自得。ギャンブル依存症を患っており、ホームレスになっても稼いだ金をパチンコに費やしている。あぶくまがホームレスになって半年後、「ここにいるべきでない」と引き入れた分際であぶくまを後述の社長に紹介して送り出した。
- 反社社長
- ホームレス生活を終えたあぶくまを引き取ったどう見ても反社な強面の男。あぶくまに住処と仕事を与えた。
- すぐに怒鳴り散らしたり、暴力を振るったりと短気で粗暴な性格だが、心の底では孤独の身であるあぶくまのことを心配しており、その事をあぶくま指摘された際は赤面で怒鳴り散らしていた。また、彼なりに正義感もあり、福島差別を作中に盛り込むためだけに登場した連れの女性があぶくまに対し、「放射能が感染る」趣旨の発言した際は、彼女を殴打しつつ、自分のことのように激昂している。本人の普段の仕事内容は不明だが、あぶくまには、窃盗債券の取り立て、ホームページ制作(「2chの質問箱」で訊きながら制作)、深夜の警備業など違法な多様な仕事を斡旋していた。見た目や言動からニセジマと読者に呼ばれている。
- 彼とあぶくまを描いたイラストをゲイ向け同人誌作家がTwitterに投稿しており、あぶくまはこのイラストを唯一いいねしている。
- ヒデ君
- あぶくまの中学入学前からの友人。尺稼ぎのために急遽登場した。あぶくまを卓球部に誘い入れた。震災当日は一緒に帰る予定だったが音信不通になっている。なお。1話であぶくまに話しかけている人物と同一かどうか不明。あぶくまとの一緒に帰る約束を破ってない限り、ほぼ確実に生存している。
- カエデちゃん
- 1学年上の卓球部の先輩にしてあぶくまのガールフレンド。尺稼ぎと彼女自慢のために急遽登場した。彼女の誘いをきっかけにあぶくまとダブルスを組み、その後交際に発展した。デート中に先輩と呼ばれてキレる。あぶくまに同じ高校に進学することを提案したが、あぶくまからいわきの高校に行くことを告げられ、悲しそうにしていた。震災後、ヒデ君と同じく音信不通になる。なお、あぶくまがいわきの高校に行く設定は、無断転載したTwitterのベッダー画像がいわき市のものだったことを有志に指摘されたため、急遽設定した説が濃厚。
- 運送会社の兄ちゃん
- あぶくまと共に、夜逃げした経営者が残した備品や家財道具を窃盗運び出す仕事をしていた人物。珍しく再登場する人物。見た目が地味だったため、殆どの人が存在を忘れていた。本職は長距離トラックのドライバー。元ヤンらしく、タバコとケンカで高校を中退したらしい。夜勤明けのあぶくまと再会し、モーニングを共した際、あまりにも無知なあぶくまを心配して、勤務体系や社長の正体について忠告したが、あぶくまが意に介することはなかった。
朝日新聞Globe+関連の人物
- 関根和弘
- あぶくまを取材した朝日新聞記者。典型的な出羽守。朝日新聞の関西各地の支局を点々とした後、モスクワ大学留学、モスクワ支局や北海道報道センター等の勤務を経てハフポスト日本版に出向。2年半の勤務の後、現職の朝日新聞Globe+副編集長となったお察しな輝かしい経歴の持ち主。ハフポスト時代には、取材を「制限」された望月衣塑子氏の支援を呼びかけた中学生や、なでしこ寿司を取材。現職時にも車椅子乗車拒否問題の伊是名夏子氏を取材し、日本をdisる偏向記事社会問題に鋭く切り込む記事を執筆してきた。あぶくまから見せてもらった公的証明書[要出典]から、この作品を真実だと主張しており、ネット民にデマと決めつけられ、誹謗中傷に晒されているあぶくまに心を痛めている。
- 一方で南相馬市に裏取りをしたか否か質問した人や、あぶくまを否定する被災者を悉くブロックしたり、その際に批判ツイートを晒しあげたり、自作記事の肯定派ツイートと片っ端からリツートする中で「こいつらが流されて死ねばよかったのに」という過激なツイートをリツイートする等ツイカスじみた記者としてあるまじき行動を起こして失笑を買っている。→参考
- あぶくまの友人
- 関根の取材時にあぶくまに付き添っていた友人。作中に登場した人物であるか不明。インタビューによると、この作品は、酒の力を借りて、彼とアイデアを出し合いながら描いたものらしい。どうりで無茶苦茶な内容になるわけだ。
問題点
ここまで読んでもうお分かりだろうが、この漫画、事実誤認や記憶違いでは言い逃れできないレベルで矛盾点や誤りが多い。被災者なら嘘と断言できるものから、被災していない一般人でもおかしいとわかるレベルで矛盾が存在する。むしろ事実と一致する部分を探す方が困難なレベル。
これまでに有志により検証が行われており、自治体、報道機関等の記録・統計と照合したり、南相馬市や関係団体に問い合わせたり、南相馬市で被災した人々の証言を集めたり、現地に赴いたりと様々な調査が行われたが、いずれも漫画の描写と反する結論が得られている。
以下一例
- 卒業式の際に被災
- 南相馬市の全ての中学校でこの日に卒業式があったのは事実だが、卒業式は午前で終了したため、生徒が学校に残ることは不自然。(むしろ沿岸部では、帰宅したために津波に巻き込まれ、亡くなったという例がある)
- 市街地は壊滅状態・市役所は麻痺状態
- 津波の到達していない南相馬市中心部は建物の倒壊被害が少なく、壊滅状態にならなかった。また市は災害対策本部を15時14分には設置しており、充分に機能していた。
- 指示を仰ぐため、教師が中学校から市役所に生徒を引率して移動
- 作中の舞台である第一中学校は広域指定避難区域だったため、わざわざ移動することはありえない。むしろ瓦礫が散乱しているなら危険な行為。第一中教師を無能として描き、著しく中傷している。
- 避難所では毛布が配られず、寒い中寝た。
- その日のうちに毛布が配られた上、市民からの寄付で多数の毛布が集められた。震災発生当日夜の写真を見ても毛布で暖を取る人や、ストーブか焚かれている様子が写っており、作中のような劣悪な環境にはならない。なお、あぶくまは、精神的に疲弊し、ホームレスになった重大なきっかけとしているからか、この点については恨んでるかのように作中で執拗に掘り返してる。
- 救助隊員が遺体を見せびらかす
- 遺体は丁重に扱われ、洗浄を経て安置されため、作中のように死者の尊厳を踏み躙る行為が行われることはありえない。また、遺体安置所は避難所とは別の学校、施設に設置されていた。このシーンは遺体安置の従事者を著しく侮辱しているシーンとして有名。
- 新宿御苑にホームレス
- 新宿御苑は入場が有料でホームレスが住めるような場所ではない。入口に住居を構える例はあったようだが、作中のように大勢のホームレスが居座ることはまず不可能。また、問い合わせた有志は、2011年当時から御苑を管理していた人から、そのようなホームレスはいなかったとの回答を得ている。
- 住民票を「取る」
- 住民票は「移す」もの。住民票を移した場合、半年間消息不明だった15歳の少年が1人で移動したという異常事態が南相馬市に確実に捕捉されるため、放置されるとは考えにくい。
- あぶくま本人がその場にいない会話やあぶくま以外の人物の心の声が描かれてる
- 自信が見聞したままである実体験を描く漫画の描写として不自然。
……他矛盾点を挙げるとキリがない
また、悪意の有無は不明だが、その矛盾が結果として、自治体名を名指しされた南相馬市の職員や救助隊員など、当時対応に尽力した人々を激しく侮辱、名誉毀損している。特に、南相馬市に対しては明確な記録が残ってるにもかかわらず、あぶくまがホームレスなるというストーリー上都合よく、徹底して無能として描かれている。災害派遣で来ていたはずの自衛隊に至っては存在すら描かれていない。
前述の朝日新聞Globe+の記事は、これらの誹謗中傷指摘に対して反論を狙ったつもりだったようだが、インタビュー内容は作中の描写が事実だという追認と補足に終始し、矛盾を解消するどころか、補足によって作中描写との新たな矛盾が生じて、逆効果となった。その上、「南相馬市で被災したこと」を事実と主張し、中傷とも取れる数々の記録との齟齬が「実はフィクションだった」と言い訳する逃げ道を自ら封じている。記事を読む前に朝日新聞の名と関根和弘記者の経歴を見た時点でこうなることは既に察した人も多くいた模様。
仮に創作だったとしても、本筋と無関係な回想や脱線が多く(特に37話以降)、考証が杜撰でリアリティに欠けて、都合よく家族を失いホームレスになるご都合主義的展開な上、あぶくまの行動原理がブレブレで感情移入できなく、という理由から面白くないという声も多い。
しかしながら、東日本大震災から10年目という節目だったことに加え、孤児、ホームレスというセンセーショナルな単語を並べたタイトル、紹介文を添えていたことや、漫画というわかりやすい媒体だったことから、確認や検証を行わずに信じてしまうバカで情弱な人々が多く生み出し続けることとなった。その結果、「南相馬市はホームレスになった孤児を放置している」「終戦直後と何も変わっていない」「日本は震災孤児1人ですら救えない貧しい国」等、南相馬市、ひいては日本全体にあらぬ風評被害を生んでしまっている。
これに対して南相馬市は、有志の問い合わせに対して、「そのような事実は認識していない」と一貫して回答している。また、朝日新聞Globe+記事公開の2日後に『東日本大震災記録誌-100年後へ届ける記録-』をPDFで無償公開した。この動きは先の記事を意識したものに見えるが真相は不明。どのみち、震災当時の様子を正確かつ克明に知り、記憶を風化させない資料としてはあぶくまの漫画よりも遥かに優れている。
ハッシュタグに注目 「#デマ」
こうした問題を抱えているものの、あぶくま本人は2021年10月16日に、朝日新聞Globe+の公式アカウントにリプライした否定派に逆ギレ反論したのを最後に沈黙を続けており、この矛盾だらけの漫画を投稿した真の理由・目的は現在も闇の中である。一方の関根記者は記事の調査不足疑惑や、風評被害の加担に対して何の釈明もないまま、今も日本をdisる記事を書き続けている。
あぶくまによる最後のツイート
当時の様子をを知ってもらいたいなら、記録との齟齬に対してもっと納得のいく説明をしてはいかがですか?そして早く更新しないと読者から震災の記憶が風化してしまいますよ?
総括
あぶくまの作品は、東日本大震災10周年を控えていた時期に投稿されたことに加え、孤児、ホームレスとセンセーショナルな設定だったために、多くの人に衝撃を植え付けると共に、碌に検証もされないまま拡散されてしまった。その結果、デマは瞬く間に広がり、南相馬市を始め、多くの人に風評被害をもたらした。
本件に限らず、デマ・偽情報に騙されないために、信用できる情報筋から調査・吟味し、情報の真偽を見極める、メディアリテラシーを身につけることが重要である。
この作品は震災を語り継ぐ資料ではなく、デマが流布する過程ともたらす悪影響の実例を知り、デマに流されない、メディアリテラシーを学ぶ教材として閲覧すべきである。
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関連項目
- 東日本大震災
- ホームレス
- 朝日新聞
- デマ
- 嘘松
- うそはうそであると見抜ける人でないと(掲示板を使うのは)難しい
-
100日後に死ぬワニ
- ステマ疑惑・主人公が擬人化した動物という共通点から連想する人多数