ワンダーアキュート(Wonder Acute)とは、2006年生まれの日本の競走馬・種牡馬である。鹿毛の牡馬。
現役時代は栗東:佐藤正雄厩舎所属。主な主戦騎手は和田竜二と武豊。トレードマークは白地に青と赤のストライプ柄のカラフルな面子。
通算成績48戦13勝[13-10-8-17]
主な勝ち鞍
2009年:シリウスステークス(GIII)、武蔵野ステークス(GIII)
2011年:東海ステークス(GII)
2012年:JBCクラシック(JpnI)
2013年:日本テレビ盃(JpnII)
2014年:帝王賞(JpnI)
2015年:かしわ記念(JpnI)
なお、この馬は2代目であり、初代は1996年生まれの鹿毛の牝馬である。岩手所属で111戦3勝。
この記事では実在の競走馬について記述しています。 この馬を元にした『ウマ娘 プリティーダービー』に登場するウマ娘については 「ワンダーアキュート(ウマ娘)」を参照して下さい。 |
概要
父:*カリズマティック 母:*ワンダーヘリテージ 母父:Pleasant Tap 半兄:ワンダースピード(父:*キンググローリアス)
父:*カリズマティックは種牡馬としての成績は今ひとつながら、現役時代は米国クラシック2冠を獲得しエクリプス賞を受賞した名馬。レース中に骨折したものの、応急措置として下馬した騎手が折れた脚を支え続け一命を取り留めたエピソードが有名。
母:*ワンダーヘリテージはJRAでデビューしたものの2戦0勝。半兄には東海ステークス、名古屋グランプリ2勝など重賞5勝を挙げたワンダースピードがいる。
2006年3月14日に、フクダファームにて生まれた。兄のワンダースピードは牧場時代からずっとやんちゃだったが、アキュートは牧場時代はおとなしい性格であったそうである。
競走馬として
2009年(3歳)
デビューは2009年の1月24日、京都競馬場3歳新馬戦(ダート:1800m、鞍上:小林徹弥)。7番人気と人気薄だったが先行からの逃げ切りが上手く決まり初出走初勝利。
その後、4戦目の500万下を差し切り2勝目を挙げ、芝のレース青葉賞(GII)に登録し重賞初挑戦。しかし入れ込んでいたため力を発揮できず10着に敗れる。以降のレースはすべてダートのレースであり、これがキャリア唯一の芝のレースとなった。
次走のあおぎりS(1000万下、鞍上:和田竜二)を競り勝ち3勝目を挙げ、ジャパンダートダービー(JpnI)に出走、結果は5着。続くレパードステークス5着、オークランドRCTを勝利の後、シリウスステークス(GIII)へ。先行策から上手く抜け出し2着に3馬身差の快勝で重賞初勝利。続く武蔵野ステークス(GIII)は一転してスタートから逃げ、最後の直線も粘りきり勝ち、重賞2連勝。
この勢いが評価され続くジャパンカップダート(GI)は3番人気に推されたが6着。
2010年(4歳)
この年初戦はアンタレスステークスを目標としていたものの、脚部の状態が思わしくなく出走回避。その後の検査の結果骨折が判明し休養に。
復帰戦は11月のみやこステークス、結果は6着。次走は賞金加算を目的にベテルギウスS(OP)に出走し1着。年末の東京大賞典(GI)にも出走したが5着に終わった。
2011年(5歳)
この年は2戦目の仁川S(OP)を勝利すると、5戦目の東海ステークス(GII)では、不良馬場を物ともせず3/4馬身差で勝利し重賞3勝目。みやこステークス4着、ジャパンカップダート2着と好走した後、東京大賞典へ。
ダート重賞7連勝と絶好調のスマートファルコンが単勝1.0倍という圧倒的な支持を受け、この他、シビルウォー、テスタマッタ、ヤマニンキングリーらが人気を集める中、3番人気に推された。迎えたレースでは、ハナを主張するスマートファルコンについていく形でレースを進行、最後の直線では逃げるスマートファルコンにじわじわと追い上げ並んだところでゴールイン。写真判定の末ハナ差、わずか3.5センチの差で2着に敗れた。
2012年(6歳)
年が明けての初戦フェブラリーステークスは3着、続くダイオライト記念4着。連覇を狙った東海ステークスでは10着と大敗し休養に入る。
明け初戦はJBCクラシック(JpnI)に挑戦。前戦の大敗や休養明け、相手関係もトランセンド、シビルウォー、テスタマッタ、ソリタリーキングと好メンバーが揃い、馬体重は二桁減の-21kgということもあり5番人気となっていた。
そんな不安を打ち消すように、ハナを切ったトランセンドについていくと最後の直線では一気の加速でトランセンド、シビルウォーを置き去りにし、5馬身差の圧勝、初のGI勝利となった。また、鞍上の和田竜二はテイエムオペラオーで天皇賞(春)を勝利して以来11年ぶりのGI級勝利、調教師の佐藤正雄にとっても初のGI級制覇であった。レース後、鞍上の和田は「11年ぶりにGIを勝てて、忘れていた味を思い出すことが出来て、震えています。やはりGIを勝つのは良いものですね」と、佐藤師は「GIを目標に頑張って来ましたから、今日は本当に良かったです。」とコメントを残した。
続くジャパンカップダートではニホンピロアワーズと酒井学のコンビの前に敗れ2着、次走の東京大賞典では3着となった。
2013年(7歳)
年明け初戦の川崎記念は単勝1.3倍の1番人気に推されたものの2着。2戦目フェブラリーステークスは3着に終わる。このレースではワンダーアキュートが外側に斜行したとして鞍上の和田が2日間の騎乗停止処分。
この騎乗で和田に対するオーナーの信頼が低下したか、続く帝王賞以降しばらくの間、オーナーの意向で鞍上が武豊に変更された。その帝王賞ではホッコータルマエに直線でかわされ3着に終わる。次走の日本テレビ盃(JpnII)はクビ差で競り勝ち1着、重賞5勝目。
以降は、JBCクラシック、ジャパンカップダート、東京大賞典と3戦連続で2着でこのシーズンを終えた。ちなみにこの年、同一GI3年連続2着という珍しい記録も達成している。
年齢的に引退を考慮する声も上がったが、まだまだ衰えていないと現役続行。
2014年(8歳)
始動戦となったフェブラリーステークスでは16番人気のコパノリッキーが勝利する大波乱、上がり最速タイムを記録するも6着に終わる。続くかしわ記念でもコパノリッキーに敗れ3着。だが次走の帝王賞(JpnI)では意地を見せ1着、コパノリッキーにリベンジを果たす。
だが続くJBCクラシックではコパノリッキーに敗れ3着、この年から名称が変更され中京競馬場開催となったチャンピオンズカップ、更に東京大賞典ではともにホッコータルマエの前に5着、7着と敗れた。
2015年(9歳)
年明けに現役続行が発表された。初戦はフェブラリーステークス、鞍上は短期免許で来日中だったF.ベリーに変更となったが9着と大敗。
次走はかしわ記念(JpnI)、鞍上は2年ぶりに和田竜二が騎乗することとなった。人気はベストウォーリア、サンビスタ、クリソライトに次ぐ4番人気であった。レースは中団でレースを進めながら徐々に位置を押し上げていき4コーナー出口でベストウォーリア、ハッピースプリントに並びかけるとゴール番前で競り勝ち、1馬身差で勝利。9歳馬によるGI級勝利は初の快挙であった。レース後和田は「レースは半信半疑でしたが、状態は良かったですし期待をしていました。とはいえ、正直びっくりしています。今日は久々にこの馬らしいレースが出来て幸せでした。」と語った。
その後は帝王賞8着、マイルCS南部杯3着、チャンピオンズカップ6着。チャンピオンズカップ後、東京大賞典に出走登録、そしてこれがラストランになることが明かされた。
ライバルのホッコータルマエ、前年のフェブラリーSで覚醒し、ダート界の王者となったコパノリッキー、勢いに乗る5歳馬サウンドトゥルーらに人気が集まり6番人気。レースはコパノリッキーが逃げ、ホッコータルマエとワンダーアキュートがついていく縦長の展開。最後の直線で抜けたホッコータルマエをゴール板直前でサウンドトゥルーが差し切り1着、ワンダーアキュートは2着ホッコータルマエに6馬身差をつけられたもののコパノリッキーらに競り勝ち3着を確保。レース後、鞍上の和田は「ラストラン、無事で良かったです。偉い馬です」とコメントし、相棒の健闘を讃えた。通算成績48戦13勝[13-10-8-17]。
ダート戦線で息長く活躍し、キャリア48戦中27戦がGIでの戦いでありながら5割近い連対率を残すなど、強豪ひしめくダート戦線の中でも世代を代表する一頭と言って差し支えないであろう。GI級競走通算27戦はコスモバルクと並ぶ最多記録タイである。
引退後
引退後はアロースタッドにて種牡馬として繋養。種付料は初年度は50万、2022年は30万。
しかし、種付け数は現役時代に凌ぎを削ったスマートファルコンやホッコータルマエ、エスポワールシチーらほど集まらず2022年末時点で産駒数は53頭、産駒のJRA勝利数は8勝と思わしくないが、少ない産駒の中から2023年にはアキュートガールが地方重賞の新春賞を勝利するなど意地を見せている。
貴重なカリズマティック産駒の活躍馬だけに、少ない産駒の中からスターホースが生まれ、血が次の世代に繋がることを祈るばかりである。
2024年にアロースタッドを退厩し種牡馬引退、Yogiboヴェルサイユリゾートファームにて功労馬として迎え入れられることになった。
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エピソード
- レーススタイルは先行が多く、最後の直線前から長く良い脚を長く使えるタイプ。競りかけられても強さを見せる勝負根性や馬場状況に左右されない強みもあった。
- 普段は大人しいがレース前になるとスイッチが入ったように入れ込む癖があり、騎手や厩務員らが手を焼く場面も多かった。担当の並床恵二調教助手は、「(レース前に入れ込む癖があるが)それが本来の姿ですね。気合が漲っているというか」と語っている。また、「レース前にはなかなか水を飲もうとしないため体重管理が大変だった」と佐藤師は語っている。
- 主戦を務めた和田竜二騎手が鞭を入れまくってる場面が動画等で映ると「ズブい…」とコメントされがちではあるが上記の様にむしろ激しい気性の持ち主であり、8歳時に武豊騎手が騎乗して帝王賞を勝った際にもレース後に「馬が行きたがったので勢いを付けて行った」と語ったほどであった。長らく現役を続けられたことや勝負根性の強さは、その激しい気性から来ていたともいえよう。上記にあるように馬名の意味(Acute=鋭い、激しい)らしいというべきか。
- GI級3勝ながら、GI2着7回、GI3着8回とシルバーコレクター、ブロンズコレクターでもあった。GI級競走3着8回はぶっちぎりの最多記録である(2位はナリタトップロード・サウンドトゥルーの5回)。
- 幼駒時代、牧場ではトーヤマノキンサンと呼ばれていた。
血統表
*カリズマティック 1996 栗毛 |
Summer Squall 1987 鹿毛 |
Storm Bird | Northern Dancer |
South Ocean | |||
Weekend Surprise | Secretariat | ||
Lassie Dear | |||
Bali Babe 1980 栗毛 |
Drone | Sir Gaylord | |
Cap and Bells | |||
Polynesian Charm | What a Pleasure | ||
Grass Shack | |||
*ワンダーヘリテージ 1995 黒鹿毛 FNo.1-a |
Pleasant Tap 1987 鹿毛 |
Pleasant Colony | His Majesty |
Sun Colony | |||
Never Knock | Stage Door Johnny | ||
Never Hula | |||
Casa Petrone 1984 鹿毛 |
Petrone | Prince Taj | |
Wild Miss | |||
Grand Tania | Grand Central | ||
Good Hart |
クロス:Somethingroyal 5×5(6.25%)、Bold Ruler 5×5(6.25%)
主な産駒
関連動画
関連項目
外部リンク
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