その期待に応えターフに放つ圧倒的な存在感。
「絶景」と名づけられた才媛よ、強さを極め、美しさを誇れ。
ブエナビスタ(Buena Vista)とは、2006年生まれの日本の競走馬・繁殖牝馬である。黒鹿毛の牝馬。
日本総大将スペシャルウィークの最高傑作で、GI6勝、4年連続GI勝利を挙げ、2010年の年度代表馬、JRA賞を4年連続受賞、引退時点で獲得賞金の牝馬歴代1位など数々の記録を打ち立て、2歳上のウオッカ・ダイワスカーレットが切り拓いた牝馬の時代を確固たるものにした名牝。
主な勝ち鞍
2008年:阪神ジュベナイルフィリーズ(JpnI)
2009年:桜花賞(JpnI)、優駿牝馬(JpnI)、チューリップ賞(JpnIII)
2010年:ヴィクトリアマイル(GI)、天皇賞(秋)(GI)、京都記念(GII)
2011年:ジャパンカップ(GI)
この記事では実在の競走馬について記述しています。 この馬を元にした『ウマ娘 プリティーダービー』に登場するウマ娘については 「ブエナビスタ(ウマ娘)」を参照して下さい。 |
概要
父は”日本総大将”スペシャルウィーク、母は1995年に阪神3歳牝馬ステークス(現:阪神ジュベナイルフィリーズ)を勝ったビワハイジと言う血統。祖父は大種牡馬サンデーサイレンス、母父には1989、1991年にリーディングサイアーになったカーリアンというなかなかの良血である。
半兄にディープインパクトのライバルの1頭で後のYogibo宣伝部長アドマイヤジャパン、ウオッカとダイワスカーレットの両方に勝った数少ない馬の1頭であり種牡馬として南部杯を連覇したアルクトスを輩出したアドマイヤオーラ。
半弟に13人もの外国人騎手を乗せたトーセンレーヴ、半妹に阪神JFを制したが4歳で予後不良になってしまったジョワドヴィーヴルと、フローラSを勝ったサングレアル……と、自身も含め実に重賞馬が6頭もいるという凄い兄弟姉妹の6番仔。
馬主はサンデーレーシング。草野仁が一口馬主として出資していたことでも知られる。
兄アドマイヤジャパンやアドマイヤオーラと同じ、栗東・松田博資厩舎に所属した。
2歳(2008年)
京都競馬場の芝1800メートルの新馬戦に安藤勝己とのコンビでデビュー。1番人気に支持されたが最後の直線で上がり3Fメンバー中最速の脚を使うもアンライバルド、リーチザクラウンに続く3着に敗れた。なおこの新馬戦は、5着までが後に重賞(うち3頭はクラシック)勝馬となり、最下位を除く10着までがJRAで勝ち星を上げているという、「伝説の新馬戦」である。
続く未勝利戦では最後の直線でやや斜行しながらも軽々と抜け出し、圧倒的1番人気に応えて完勝した。
その後、阪神ジュベナイルフィリーズに登録。抽選を通過し、JpnIの舞台に駒を進めた。1勝馬ながら1番人気に支持されると、スタートこそ良くなかったが道中最後方で脚を溜めると最後の直線で大外から他馬を抜き去り最後はダノンベルベールに2馬身半差をつけて快勝。母娘2代の制覇となった。
レース後、手綱を取った安藤は「直線で先頭に立つと、馬が遊んでいた」と語っている。
3歳(2009年)
チューリップ賞から始動した。単勝1.1倍の圧倒的人気に支持されるなか道中最後方に位置し、3角からマクリ気味に進出すると直線で逃げるサクラミモザを残り200mから豪快な脚で差し切り、1馬身差以上の差をつけて勝利。
4月12日、クラシック1冠目の桜花賞に出走。レースはスタートから後方を進み、4角を回ったところで他馬に挟まれる不利があったが、最後の直線では大外に持ち出してゴール目前で逃げ込みを図るレッドディザイアを交わして優勝し、クラシック1冠目を獲得した。
その後はトライアルを挟まずオークスに直行。初の2400mや長距離輸送などが懸念されたが、ここでも1.4倍の圧倒的支持を得た。レースでは桜花賞と同じく後方から進み、最後の直線で鞍上の仕掛け判断で抜け出しあぐねたがすぐに強烈な末脚を見せ、先に内から抜け出したレッドディザイアを鼻差差しきり優勝、史上11頭目、スティルインラブ以来の牝馬二冠を達成。二冠の勢いもあり5/26付けで凱旋門賞(GI、芝2400m、10月4日=仏 ロンシャン競馬場)への挑戦も決定した。
8月23日、古馬との初対になる札幌記念に参戦したが、大外から追い込むも2着に惜敗する。小回りコースの札幌で大外から伸びたので、それなりの洋芝適性を示す結果になった。
しかし、札幌記念で負けたので凱旋門賞挑戦は白紙に。おりしもこの年、同年GI6連勝と勢いに乗りまくっていた名馬シーザスターズが完勝したことにより、ニコニコ動画では「ブエナ行かなくてよかったな(笑)」というコメントもチラホラ。
10月18日に秋華賞に挑戦。牝馬三冠がかかったレースだったが、内側で包まれ苦しい状態になり、直線で追い込むも、桜花賞・オークスで2着に下したレッドディザイアにハナ差2着で敗れる。しかも、審議の結果4コーナーで他馬を妨害したことが分かり3着に降着。連を買ってた人たち涙目。妨害されたローズステークス勝ち馬のブロードストリートはその後しぶとく追い込み3着に入線し、ブエナ降着で2着となった。
敗れはしたもののエリザベス女王杯ではレッドディザイアが出走しないこともあり圧倒的1番人気に支持された。しかしクィーンスプマンテ、テイエムプリキュアの大逃げを舐め切ってスローペースで追走、上がり3Fを32秒台で猛追するも捉えられずに3着。
横山騎手に乗り替わりとなった有馬記念も軽量ということもあり1番人気。先行して好位に着け直線で馬群を突き放したものの、最終コーナーから捲ってきたドリームジャーニーの末脚に屈し半馬身差の2着に終わった。
4歳(2010年)
ドバイの叩き台として選んだ京都記念で快勝するとドバイシーマクラシックでも2着と好走。帰国初戦となったヴィクトリアマイルでは本調子ではなかったものの勝ち、ファン投票1位で宝塚記念に挑んだが8番人気の伏兵ナカヤマフェスタ(のちの凱旋門賞2着馬)に敗れ2着。
秋は前哨戦を使わずに天皇賞(秋)へ。騎手はスミヨンへ乗り替わりとなった。危なげない競馬で完勝すると、ジャパンカップでも単勝1倍台の人気に応える競馬で1着入線。しかし最後の直線で2着入選のローズキングダムの進路を妨害していたため2着に降着となってしまった。
有馬記念からジャパンカップまで7走連続で2着、1着を繰り返している。
5歳(2011年)
初戦にはドバイワールドカップを選択。鞍上にライアン・ムーアを迎えヴィクトワールピサとの二枚看板、この年の帝王賞でスマートファルコンとの名勝負を繰り広げたトランセンドという体制で臨むも、捲ったヴィクトワールピサと逃げたトランセンドがワンツーを決めるスローな流れを追い込み切れず8着に敗れる。帰国後ヴィクトリアマイルに出走するが一個下で牝馬三冠を達成したアパパネを差し切れず2着、宝塚記念でも積極的な競馬でレコードを叩き出したアーネストリーに敗れ2着と詰めが甘いところを発揮してしまった。シルバーコレクターっぷりは父から遺伝したのだろうか。
秋は前年同様天皇賞(秋)にぶっつけで臨むが、シルポートがアホみたいなペースで大暴走し、末脚自慢の彼女には向いてるペースになったと思われたが伸び切れず4着に敗れ、年齢的なこともあって限界説がいよいよ本格的に言われるようになった。しかしそれを跳ね返すかのようにジャパンカップを制覇し、父スペシャルウィークとの親娘制覇、そして前年の後味悪いレースを帳消しにしてみせた。
そして引退レースの有馬記念、二個下の三冠馬オルフェーヴルについに一番人気を明け渡しデビュー以来の連続一番人気記録を途切れさせ、レースでも超絶スローにもかかわらず全く伸びず7着に敗れ、ターフを去った。
総評・引退後
その姿こそ絶景
誇れるものがいくつもある。
男を蹴散らした自信と
世界と戦った経験と
最強女王のプライドと。そのすべてを守りたいから
とどけ! とどけ! とどけ!
5歳シーズンは衰えとの戦いであったが、遠征のドバイワールドカップ以外はジャパンカップまで上位で駆け抜け古馬総大将として恥ずかしくないレースを見せ、オルフェーヴルにバトンを渡し舞台を降りた彼女はやはり2011年も主役であった。 デビューから同年秋天まで、歴代1位となる19戦連続で1番人気に支持されたという安定感がそれを物語っている。流石はスペの娘。
有馬記念は案外だらしない負け方になったが、ジャパンカップ制覇で燃え尽きたのかも知れないし、もしかすると妹のジョワドヴィーヴルがGIを勝ったから安心したのかも知れない。真相は神のみぞ知る。
ちなみにこの年、生産者ノーザンファームの観光施設ノーザンホースパーク内にオープンしたレストランの名前が「ブエナビスタ」だったり。
そして2012年から繁殖牝馬入りし、2023年1月現在4頭の子がデビューしている。そのうち2頭が新馬戦で勝利し、もう2頭も2戦目で勝ち上がっている。第1仔こそ500万下で引退したが、第2仔のソシアルクラブは最終戦で勝ち上がりオープン格として引退。第3仔のタンタラスはオープン入り後、クラブ規定での引退間近に京都牝馬ステークスに挑み3着となった。第5仔のブエナベントゥーラは初めて牡馬で走った産駒で、1勝クラスだが、4歳春までは掲示板を外すことはなかった。今後重賞を勝ち上がる産駒は出てくるだろうか?
産駒実績
年 | 父 | 馬名 | 性別 | 実績 | 賞金額 |
---|---|---|---|---|---|
2013 | キングカメハメハ | (流産) | |||
2014 | キングカメハメハ | コロナシオン | 牝 | 12戦1勝(繁殖) | 1293万円 |
2015 | キングカメハメハ | ソシアルクラブ | 牝 | 19戦4勝(繁殖) | 7889万円 |
2016 | ルーラーシップ | (不受胎) | |||
キングカメハメハ | タンタラス | 牝 | 21戦4勝(繁殖) | 7731万6000円 | |
2017 | キングカメハメハ | (馬名未登録) | 牡 | ||
2018 | モーリス | ブエナベントゥーラ | 牡 | 9戦1勝(引退) | 1329万2000円 |
2019 | ルーラーシップ | (不受胎) | |||
ロードカナロア | ブエナエルドラード | 牝 | 不出走(繁殖) | 0円 | |
2020 | ロードカナロア | アルタビスタ | 牝 | 10戦2勝(現役) | 1443万円 |
2021 | モーリス | (不受胎) | |||
2022 | レイデオロ | オブラマエストラ | 牡 | デビュー前 | |
2023 | ドレフォン | (馬名未登録) | 牝 | ||
2024 | ルーラーシップ | (血統未登録) | 牡 |
血統表
スペシャルウィーク 1995 黒鹿毛 |
*サンデーサイレンス 1986 青鹿毛 |
Halo | Hail to Reason |
Cosmah | |||
Wishing Well | Understanding | ||
Mountain Flower | |||
キャンペンガール 1987 鹿毛 |
マルゼンスキー | Nijinsky II | |
*シル | |||
レディーシラオキ | *セントクレスピン | ||
ミスアシヤガワ | |||
ビワハイジ 1993 青鹿毛 FNo.16-c |
Caerleon 1980 鹿毛 |
Nijinsky II | Northern Dancer |
Flaming Page | |||
Foreseer | Round Table | ||
Regal Gleam | |||
*アグサン 1985 青毛 |
Lord Gayle | Sir Gayload | |
Sticky Case | |||
Santa Luciana | Luciano | ||
Suleika | |||
競走馬の4代血統表 |
クロス:Nijinsky II 4×3(18.75%)、Hail to Reason 4×5(9.38%)、Turn-to 5×5(6.25%)
関連動画
関連項目
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