郭淮(カクワイ)、字を伯済は三国魏の人物。曹操~曹髦5代に仕えた軍人・政治家。生年不明~255年没。
出自~曹操時代
并州太原郡陽曲県の出身。祖父の郭全は大司農、父の郭縕は雁門の太守を務めた。郭淮も建安年間(196~211年以前)に孝廉に推挙されて平原府の丞となり、将来を嘱望されていた。
211年に曹丕が五官将・副丞相となると幕下に招かれて、門下賊曹となった。続いて曹操の下に配属されて丞相府に入り、兵曹議令史に任ぜられた。
漢中征討では従軍して駐屯軍司令官の夏侯淵の司馬となる。しかし、劉備との戦闘では、病にかかり出陣できなかった。この戦闘により夏侯淵が定軍山で討たれると、軍は動揺した。その中で郭淮は動じず、張郃を主将に推し立て軍をまとめて迎撃の計略を練り、劉備に乗ずる隙を与えなかった。報告を受けた曹操は郭淮の手際を賞賛した。
曹丕時代
220年、曹丕の王位襲封にともない、関内侯の爵位を賜り、鎮西長史に転任した。さらに行征羌護軍も兼務し、張郃、楊秋の二将軍の監督も行い、関中に跋扈していた賊を討伐して全滅させ、民心を安んじた。
曹丕が皇帝に即位する時、奉賀する為に上京したが途中で病気になった為、遅れてしまう。気分を害した曹丕は恫喝めいた詰問をしたが、郭淮は今は尭・舜の時代になったのだから、刑罰は免れるものと思ってましたと、巧みに申し開いたところ、曹丕は上機嫌となり、雍州刺史の代理と射陽亭侯に封じられた。
雍州は漢中を南に望む位置にあり、蜀との最前線にあたる。また、羌族の叛乱が頻発している治め難い土地でもあった。 しかし、郭淮は手腕を発揮して無事に務める事5年、正式な刺史となった。羌族の反乱を鎮圧し、また彼等の立場にも配慮して統治を行った。
曹叡時代
諸葛亮が出師を起こすと中央軍に合流し、司馬懿麾下の諸将に名を連ねた。司馬懿の有能な幕僚を務めつつ、たびたび起こる羌族の叛乱にも対処し鎮圧した。一時魏軍では食料が不足していたが、郭淮は羌族の協力を取り付けて兵站を整えた。これらの功績により建威将軍、続いて揚武将軍に位を進めた。その後も蜀軍の動き看破して防御を行い、鋭鋒を阻んだ。
曹芳~曹髦時代
諸葛亮の死後、今度は北伐を継承した姜維の侵攻が始まる。司馬懿は中央に帰還したので、郭淮が防衛を行った。240~248年に行われた蜀軍との戦闘では優位に戦況を進めて撃破・撤退させている。時には蜀と連携した羌族との二正面作戦を強いられる事もあったが適切に対処し、知略を用いて対抗した。
244年の夏侯玄による蜀への侵攻には、諸軍を率いて先鋒となったが、戦機無しと判断して撤退を行い、損害を抑えた。
これらの功績により前将軍、都郷侯と昇進を重ね、249年には征西将軍・都督雍涼諸軍事(対蜀総司令官)にまで至った。後任の雍州刺史は陳泰となり、彼と協議して蜀の城のひとつを攻め落とした。
250年には長年の関西方面での実績が決算されて、車騎将軍・儀同三司・陽曲侯に昇進し、領邑は2,780戸を数えた。255年に亡くなり、大将軍を追贈された。諡は貞侯。後を息子の郭統が継ぎ、孫の郭正が継いだ。
人物
辺境と国境にあって名をあげた人物。魏における西部方面の将軍・行政官・異民族政策者として30年来の実績を重ねた。部下や州民達だけではなく、羌族にも恩威をもって遇したので人望は篤かった。
優れた用兵により、タカ派の羌族を撃破すると同時にハト派の人々には温厚に接した。羌族が来降するたびに、前もって彼等の身辺を調べておき、会見する時は行き届いた質問して心情を察知したのでの、人々は神のごとき明察と賞賛した。また、西州都尉を設置して、羌族の為に土地を解放した。
戦術眼に優れ、敵軍の行動を先読むのに長けていた。姜維や廖化相手には優勢に戦えたが、諸葛亮、魏延相手には敗れている。陳寿は三国志の評で、郭淮は方略(計略)に精通し、秦・雍州において名声を流したと評している。
曹真とは仲が良く親友であったという。夏侯覇とは不仲であった。後に夏侯覇が蜀に亡命した一因には、郭淮が顕職に登ったことにより、将来に不安を感じたからとも。
姜維は、元々部下にあたる、姜維の上司の天水太守の馬遵が郭淮の配属下にあった。
一族
妻は王夫人で王凌の妹。王允の姪にあたる女性で、郭淮との間に5人の男子を儲けた。
後に王凌はクーデターを画策した末に自殺する事件が起きる。系累者は三族皆殺しとなり、王夫人も連座して逮捕される事となった。この事は羌族や州民、郭淮の部下等多くの人々の反発を買った。彼等から兵を挙げて、中央に叛逆するように勧められたが郭淮は断る。王夫人を送り出しものの、息子達も母に殉じる覚悟を示したので、郭淮も翻意して、妻を連れ戻して司馬懿に許しを乞う文書を送った。切々たる文面に司馬懿も追求せずに、これを特赦した。王夫人を連れ戻すデモは数千~数万人を数えたという。
弟に郭配、郭鎮、郭亮がおり、甥たちも含めた郭一族は魏晋において栄達した。郭配の娘達は賈充と裴秀に嫁ぎ、孫娘は王衍に嫁いでいる。賈充に後妻として嫁いだ郭槐が生んだのが賈南風である。賈南風は郭淮の又姪となる。
郭亮の子孫の郭祚は、南北朝時代に北魏の謀臣として知られ、彼の功績を嘉んじた孝文帝により、郭淮の廟を祭祀した時が記録されている。
司馬一族との関係
王夫人の件で司馬懿は郭淮に厚意を示したものの、魏晋革命期における郭淮の立場は複雑なものがあった。後に司馬師に叛逆した文欽は郭淮に書簡を送り、共謀を依頼したという。郭淮には蜀に降ってもらい、私が降った呉と共に東西から攻め入りましようという内容で、曹真の息子の曹爽や、王凌が司馬懿に殺された事にも触れられており、親友の息子や義兄の復讐をけしかけている。しかし、書簡が届く前に郭淮は亡くなっていた。
三国志演義
曹真の副都督(副将)となっている事や、反司馬の兵を起した夏侯覇を討伐している事などが追記されている。
対蜀の矢面に立っているだけあって出番は比較的多い。しかし、史実程に切れ者には描写されていない。
最期は戦死に変更されており、姜維に射掛けた矢を、射返されて射殺された。
三國無双
真・三國無双6より参戦(CV:蒲田哲)。所属勢力は晋。
夫人が司馬懿に助けられた事も反映されているが、貂蝉との関係(無双シリーズでの夫人が王夫人とすれば貂蝉とは義理の従姉妹)は不明。
司馬懿に強い恩義と忠誠心を抱いている他、夏侯淵を非常に尊敬しており、その息子である夏侯覇のことも気にかけている。
身長は176cmと長身ではあるものの、顔面蒼白で線も細く、事あるごとに咳き込むなど病弱で不健康そうなキャラクター(恐らく正史で二度病に伏したことが元ネタ。実際は比較的長生きだった)。
この容姿が原因で、無双OROCHI2のとあるストーリーでは黒田官兵衛共々亡者と勘違いされる羽目に。なお、官兵衛とはいろいろ意気投合している模様。
しかしモーションを見るとお前のような病人がいるかと言いたくなるほどアグレッシブ。得意武器は連弩砲、つまり片手持ちのガトリング砲(銃剣付き)。とても病人の持つ代物ではない。
また、旋風特性の武器が天稟(非常に上手く扱える)という特徴がある。旋風特性の武器は連弩砲以外では螺旋槍(鄧艾)、方天戟(呂布)、鉄舟(黄蓋)等見た目もパワータイプな面々の、大振りでゴツい得物が勢揃い。
サブウェポンでこいつらを持たせると非常にシュールな絵面になること請け合い。
無双乱舞(無双6〜)
無双7で追加された空中無双乱舞以外すべて「投げ技」タイプである。
特に回復技の吸気掌のおかげで余程のミスをやらかさない限り倒れにくいなど病人とは思えないほどタフ。
- 吸気掌:「はぁ…はぁ…」
ガード不能。敵を捕らえHPを回復し、吹き飛ばす。
一部で「お前のような病人がいるか」とささやかれている原因がこの技とも言われている。 - 捨身鬼人突:「これが…本当の…捨て身だぁー!!」
ガード不能。敵を捕らえ、連続砲撃を浴びせる。その後倒れてしまい、少しの間操作不能になる。 - 空殉砲:「命燃やして、いざ!だーっ!!!」
無双7で追加された空中無双乱舞。
空中で連弩砲を構え、フルオート射撃。
補足
コーエーの三國志シリーズにおける郭淮の能力一覧。Ⅰ~Ⅲでは凡将扱いだったが、Ⅳ~Ⅴと次第に評価が上がっていき、Ⅵ以降は全ての能力が70以上の万能タイプの武将となっている。防戦の強さや、異民族対策の補正がないのが残念。11では兵科により高い防御力となっている。Ⅸをプレイすれば、史実での郭淮の苦労が体験できる(ゲームなので極端になっているが)。
能力一覧 | 統率 | 武力 | 知力 | 政治 | 魅力 | 陸指 | 水指 | 身体 | 運勢 |
三國志Ⅰ | - | 50 | 48 | - | 45 | - | - | 74 | 76 |
三國志II | - | 54 | 64 | - | 51 | - | - | - | - |
三國志III | - | 58 | 66 | 67 | 50 | 53 | 20 | - | - |
三國志IV | 79 | 72 | 67 | 65 | 54 | - | - | - | - |
三國志V | - | 79 | 72 | 65 | 66 | - | - | - | - |
三國志VI | 77 | 75 | 71 | 71 | 70 | - | - | - | - |
三國志VII | - | 80 | 82 | 76 | 70 | - | - | - | - |
三國志VIII | - | 78 | 83 | 76 | 75 | - | - | - | - |
三國志IX | 84 | 77 | 82 | 73 | - | - | - | - | - |
三國志X | 86 | 77 | 82 | 75 | 78 | - | - | - | - |
三國志11 | 87 | 78 | 81 | 75 | 77 | - | - | - | - |
三國志12 | 87 | 78 | 81 | 75 | - | - | - | - | - |
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