ニクラス・ルーマン(1927~1998)とは、社会システム論で有名な社会学者である。
概要
1927年ドイツのリューネブルクで生まれた。第二次世界大戦への従軍から捕虜収容所での生活を体験し、戦後ギムナジウムを卒業、裁判官助手からニーダーザクセン州の文部省を経る。しかしアメリカに留学しタルコット・パーソンズらと出会う。帰国後は博士号を取り、社会学者として活動、フランクフルト学派であるユルゲン・ハーバーマスとの論争でも有名である。
彼の思想的な出発点は、人間は制度によって負担を軽減するというアーノルト・ゲーレンの「哲学的人間学」、社会はあらかじめ構造が規定されておりそれに合わせて機能的な働きが必要になるというタルコット・パーソンズの「構造―機能的システム理論」などにある。これらを合わせてルーマンは、複雑な環境を人間はシステムによってその複雑性を縮減する、という社会システム論を展開したのである。ピエール・ブルデューが近代を階級分化した社会ととらえたのに対し、ルーマンは機能分化した社会ととらえたのである。
そしてルーマンのもう一つ大事なキーワードがウンベルト・マトゥラーナ、フランシスコ・バレーラから影響された「オートポイエーシス(自己生産)」である。人間はコミュニケートできず、ただコミュニケーションのみがコミュニケートできる、というあれである。
つまりルーマンは社会を成り立たせているのは人間でも行為でもなくコミュニケーションであり、システムはシステム自身が自分で生産しそれが延々と繰り返され続けている、ということを主張するのだ。社会システムから社会システムが生まれ、その新たな社会システムがまた新たな社会システムを生み、ということが続けられていくのである。
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関連項目
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