ロマンス島とは、手塚治虫の未発表作品である。タイトルの正式な読みは「ロマンスとう」「ロマンスじま」なのか不明で、後に出版された際には英題で「THE ROMANCE ISLAND」とも表記されている。
概要
手塚治虫が『新寶島』以前に執筆していたとされる長編漫画。1946年8月前後に執筆作業を行っていたことが手塚の日記より読み取れる。
元々、本作は出版されるあてもない『ロストワールド(私家版)』に続いて描き上げられた作品で、手塚の日記8月26日の項に「不二書房ははじめロマンス島を出したかったが、薄墨が原稿にかかっていて製版不可能とのことで、とりあえず12ページの絵本型のミニマンガを依頼していった。これがタカラジマである。」と記されている。この為、製版が可能であれば本作は手塚治虫の単行本デビュー作となった可能性も指摘されている。
当時の技術では製版ができなかったことが幸いして、肉筆原稿が100枚以上現存しており、手塚の生前も原画展などで公開された記録が残っている。
後に2009年の手塚治虫文庫全集発行時に全巻購入特典として製本化されたものが配布されたが、全集は全200巻と膨大な冊数な上、それを全て新品で購入すると当時の税込みで189,814円かかり、さらに各巻に付いている応募券を送って一期ごとに送られてくる複製原画に付いてくる応募券をさらに4枚集める、という大変面倒な手順を踏んだため、実際に配布されたのは800部ほどだと言われている。また、このバージョンは一部を書き損じ原稿のページを用いてデジタル処理で本編原稿に組み込んだ部分が存在する。
後に2020年4月になり888ブックスという出版社から『手塚治虫アーリーワークス』の名でデビュー作「マァチャンの日記帳」やこれまで現存が確認されていなかった「ロストワールド(関西輿論新聞版)」などと共に正式に商業出版物として復刻され、国立国会図書館にも納本されたため、現在では比較的容易に拝読可能となっている。こちらのバージョンは書き損じ原稿や執筆途中とみられる部分も完全収録となっている。
関連項目
- 0
- 0pt