チュウワウィザード

チュウワウィザード(Chuwa Wizard)とは、2015年生まれの日本の元競走馬。青鹿毛の牡馬。

安平町・ノーザンファーム生産、栗東・大久保龍志厩舎所属
馬主は中西忍(大阪にある医療法人の理事長。冠名「チュウワ」を使用)

主な勝ち鞍
2018年：名古屋グランプリ(JpnⅡ)
2019年：JBCクラシック(JpnⅠ)、ダイオライト記念(JpnⅡ)、平安S(GⅢ)
2020年：川崎記念(JpnⅠ)、チャンピオンズカップ(GⅠ)
2022年：川崎記念(JpnⅠ)

名前は「冠名+魔法使い」。

概要

父キングカメハメハ、母チュウワブロッサム、母父デュランダルという血統。

父のキングカメハメハは最早説明不要の名種牡馬、詳しくは個別記事参照の事。母のチュウワブロッサムは現役時代ダートで4勝を挙げた。母父はマイルCS連覇など競馬界を賑わせた追い込み馬である。
4代母は重賞5勝を挙げたダイナフェアリーで、その孫にあたるオータムブリーズの一族は近年ダート界を中心に活躍馬を送り出しており、代表例が本馬のいとこにあたるルヴァンスレーヴである。
ちなみにリアルダビスタ企画の繁殖牝馬、シュシュブリーズが本馬のいとこにあたる。

砂の魔法使い

～4歳まで

デビューは比較的遅く、3歳2月の京都開催で初出走。ダート1800m戦で1番人気に推されここを快勝。昇級初戦を3着に入り、3ヶ月間を空けて続く500下条件を勝利。また昇級初戦を3着に入ると麒麟山特別(1000万下)、オークランドRCT(1600万下)と連勝し、12月の師走S(OP)を2着に入る。

その後年末の名古屋グランプリに出走。ダート2500mの長丁場戦では同期で既に重賞を勝っていたグリムに次ぐ2番人気となる。9頭立ての中道中は3番手に構え、最後の直線だけでミツバ、グリムを交わして重賞初制覇となった。

年が明けて東海Sに出走するがここでは好位から上がって行くもインティの逃げ切りを許し2着。しかし続くダイオライト記念では逃げるオールブラッシュを見る位置から進め、直線入口で先頭に立つと後は後続を放し、最終的に4馬身差で快勝。更に平安Sへと出走するが、ここでは16頭立ての11番手、控えて進んだ所勝負所でも上がっていかなったが、直線でモズアトラクションと競り合うように直線を上がり、最後にハナ差抜け出て重賞3勝目となった。

そして遂にGⅠの檜舞台、帝王賞へと出走。ここではインティが1番人気で、続く2番人気に本馬、3番人気にオメガパフュームという状況。レースでは4番手から進め、インティを捉え残り200mで一時先頭に立ったものの外からオメガパフュームに交わされて2着となった。

その後休養の後JBCクラシックに出走。2019年のJBCは浦和開催となり、クラシックは1800mで開催された。ケイティブレイブやゴールドドリームが不在ということもあり、戦前ではオメガパフュームとの一騎討ちとの見方が強く、1番人気はチュウワウィザードが推された。鞍上は川田将雅。
レースでは道中先頭のワークアンドラブ、シュテルングランツから離れた4番手から進めるが、小回りという事もあり向こう正面で進出を開始。3，4コーナー中間で既に先頭に立ち押し切りを図る所、直線ではオメガパフュームとの競り合いとなり、最後の直線はクビの上げ下げとなる。軍配が上がったのはハナ差でチュウワウィザード、統一GⅠ初制覇となった。

次走はチャンピオンズカップ。川田がクリソベリルに騎乗する為福永祐一に乗り替わった。ここではゴールドドリームが1番人気で、チュウワウィザードは5番人気となった。レースでは内目の枠から中団の前目につけて進めたが、直線で進路を無くし外へ切り替えて伸びたものの前には届かず、4着となった。

5歳

明け5歳となった初戦は川崎記念が選択された。鞍上は再び川田に戻り、相手にケイティブレイブやデルマルーヴル等がいた中単勝1.6倍の1番人気に推された。レースでは3番手から3コーナーから押し上げて直線入口で先頭に立つと、後は後続を突き放すばかり。2着ヒカリオーソに6馬身差を付ける快勝となった。
その後ドバイワールドカップへ出走予定だったが、現地入りした後に新型コロナウイルス感染拡大に伴いドバイミーティングが中止となり日本へ帰国。次走の帝王賞ではルメールとコンビを組み、クリソベリルを見る形で道中中団を進んだが、4コーナーで窮屈になる所もあり、クリソベリル、オメガパフューム2頭に届かず3着となった。

休養の後、秋初戦にJBCクラシックに出走。ここでは帝王賞上位3頭の再戦ムードが大勢を占め、3番人気に推された。レースではハナを切るダノンファラオのぴったり真横につけ、直線に入ってダノンファラオを競り落としにかかったが後ろからクリソベリル、オメガパフュームに交わされてまたも3着となった。

次走はチャンピオンズカップ。国内無敗のクリソベリルが圧倒的1番人気に推される中、3歳馬カフェファラオ、古豪ゴールドドリームに次ぐ4番人気となった。鞍上は戸崎圭太。
レースが始まるとエアアルマスとインティが馬群を引っ張る中、中団の前目に位置取る。淀みなく流れる展開の中徐々にポジションを上げる。直線入口で5番手、クリソベリルの真横に位置取るが末脚の勢いはチュウワウィザードが勝り、逃げ込み態勢のインティを捉え、追い込むゴールドドリームを2馬身半封じてゴール。統一GⅠ3勝目となり、鞍上の戸崎圭太は昨年11月の大怪我から復帰後初となるGⅠ制覇となり、また中西オーナーも中央GⅠ初制覇となった。

ダートGⅠを4戦し2勝、2着3回と好走した事もあり、2020年度最優秀ダートホースに選出された。

6歳

明け6歳となり、春はサウジカップ→ドバイワールドカップと中東遠征する事が決まった。
迎えたサウジカップではペガサスワールドカップを勝ったKnicks Goや米GⅠ馬Charlatanなどが人気となり、本馬はブックメーカーで5番手評価だったが、レースでは内枠から行き脚が付かず9着に敗れた。

続くドバイワールドカップでは米国馬、ドバイ馬からGⅠ勝ち馬が出走せず、レーティング順で本馬がトップ(117ポンド)と混迷模様となった。レース前に馬場入りで1頭、枠入りで1頭と計2頭が放馬するアクシデントで発送時間が遅れた事もあり混迷は一層深まった。
レースでは今度は好スタートから先団の内目を確保し、最後の直線では追われてしぶとく伸びる持ち味を生かし、勝ち馬のMystic Guideから3馬身3/4差離されたものの2着に入線。日本馬による同レース連対は2011年の日本馬ワンツー以来、ダートでの開催だと2001年トゥザヴィクトリー以来となった。

帰国後帝王賞へ出走。ここでは大井2000巧者のオメガパフュームに次ぐ2番人気に推され、レースでは中団から進めたものの直線では脚が伸びず、テーオーケインズの6着に敗れ、国内で初めて掲示板を外す結果となり、更にレース後右第一指骨の剥離骨折を発症。3ヶ月以上の休養が必要とされた。

骨折の為休養を挟んで、金沢2100のJBCクラシックより始動。1番人気には帝王賞を勝ったテーオーケインズ、続いてオメガパフューム、それに続いて本馬が3番人気となる。レースでは人気2頭が出遅れる波乱のスタート。チュウワウィザードは終始インの4番手を追走。直線でテーオーケインズとカジノフォンテンの間を割って伸びたものの、先に抜け出たミューチャリーと外から捲り上げたオメガパフュームには届かず3着となった。

続いてチャンピオンズカップに出走。ここではテーオーケインズが1番人気となり、続いて白毛の桜花賞馬ソダシ、ディフェンディングチャンピオンの本馬は3番人気となった。レースでは13番枠から中団を追走。直線に入って外に持ち出して脚を伸ばしたものの、好位の内目から先に抜け出たテーオーケインズが剛脚を披露。チュウワウィザードは6馬身離されたものの2着に入った。

7歳

明けて7歳となった2022年は始動戦として川崎記念に出走。前々年にこのレースを勝って以来となる川田将雅とのコンビで出走したこのレースでは単勝1.2倍の支持を受けると好位から進め、直線あっさり抜け出すと一旦は先に抜け出していた2着エルデュクラージュに4馬身差をつけて圧勝した。レース後、川田と管理する大久保師の両名がそれぞれインタビューで次走はドバイになる見込みと発表した。

そのドバイワールドカップでは7戦6勝2着1回でペガサスワールドカップを逃げ切ったLife Is Good、2021年ハリウッドゴールドカップ(GI)の勝ち馬で当年のサウジカップでは2着だったCountry Grammer、2021年のペンシルベニアダービー(GI)の勝ち馬Hot Rod Charlieらと並ぶ有力勢の一角に名を連ねた。最有力と見られたLife Is Goodが逃げるのを後方から追走する展開となったが直線ではよく脚を伸ばし、先行して抜け出したCountry GrammerとHot Rod Charlieには届かなかったものの最後に失速したLife Is Goodを短頭差で交わして3着に入った。

帰国後は帝王賞へ。9頭立て(うちJRA馬7頭)という少頭数で、3番人気に支持される(1番人気は前年の覇者テーオーケインズ、2番人気は東京大賞典4連覇中で3年前の覇者オメガパフューム)。だが、上がり最速の36秒6を叩き出すが、上がり3位の37秒0で行く5番人気の伏兵メイショウハリオにはクビ差届かぬ2着に終わった。

その後、秋のJBCクラシックを目指していたが、10月に競走馬登録が抹消、電撃引退となった。原因は右前繋靭帯炎を発症したため。大久保師は「ひとつ悔やむことがあるとすれば、新型コロナウイルスによる影響で5歳時にドバイへ行けなかったこと。あの時が一番状態が良かったから…。でも、本当によく頑張ってくれました」とのコメント。
最後は急な引退となってしまったが、今後は優駿スタリオンステーションにて種牡馬になる予定。キングカメハメハの後継として、今後は種牡馬としての活躍に期待したい。

血統表

キングカメハメハ 2001 鹿毛	Kingmambo 1990 鹿毛	Mr. Prospector	Raise a Native
			Gold Digger
		Miesque	Nureyev
			Pasadoble
	マンファス 1991 黒鹿毛	*ラストタイクーン	*トライマイベスト
			Mill Princess
		Pilot Bird	Blakeney
			The Dancer
チュウワブロッサム 2007 鹿毛 FNo.9-f	デュランダル 1999 栗毛	*サンデーサイレンス	Halo
			Wishing Well
		サワヤカプリンセス	*ノーザンテースト
			*スコッチプリンセス
	オータムブリーズ 1998 鹿毛	*ティンバーカントリー	Woodman
			Fall Aspen
		セプテンバーソング	*リアルシャダイ
			ダイナフェアリー

クロス:Mr. Prospector 3×5(15.63%)、Northern Dancer 5×5×5(9.38%)、ノーザンテースト4×5(9.38%)

主な近親

• アイアンテーラー(叔母):クイーン賞
• ルヴァンスレーヴ(従兄弟):チャンピオンズカップ含めダートGⅠ4勝
• 他、ローゼンカバリーやアドマイヤマックス、ラインクラフト、ソングオブウインドなど

関連動画

関連項目

• 競馬
• 競走馬の一覧
• 2018年クラシック世代