島津製作所とは、京都府に本社を置く高度精密機器を製造する企業である。
島津製作所は京都府京都市中京区に本社を置く精密機器メーカーで、分析計測機器、医療機器、航空産業機器などの高度精密機器を製造販売している。創業は1875年(明治8年)、創業者は島津源蔵氏。現在の従業員数は13,000名弱。神奈川県や滋賀県にも工場が所在する。
2002年、現在MALDI(マトリックス支援レーザー脱離イオン化法)として知られるタンパク質のイオン化法の開発で、従業員の田中耕一氏がノーベル化学賞を受賞した。これは、博士号をもたない民間のサラリーマンの受賞として当時大きな話題になった。なお、現在は東北大学名誉博士の称号を贈られている。
MALDIは、タンパク質などの高分子の質量分析法の一つ。分子の質量を分析するには、イオン化する必要がある。しかし、分子がイオン化するほどのエネルギーをそのままタンパク質に与えても、うまくイオン化されず分子が壊れてしまう。研究チームでは吉田佳一氏のアイデアをもとに、添加物を用いた温和な方法を模索しており、田中耕一氏がコバルトとグリセロールを使うとタンパク質がイオン化することを発見した。詳しくは、田中耕一の記事を参照。
2018年、0.5ccの血液からアルツハイマー病変を早期に発見する技術を確立したと発表された。数年前から微量血液からの早期発見の技術研究やアルツハイマー病のバイオマーカー同定の研究に取り組んでおり、それらが実った形となる。
アルツハイマー病(アルツハイマー型認知症)では、認知機能が低下する10年以上も前から原因物質のアミロイドβタンパク質の蓄積が始まるとされる。発症以前に早期発見することは発症を遅らせることにつながり、根本的な治療薬や予防薬の開発への貢献も期待されている。
2020年4月、東京大学や理化学研究所などと共同で、18桁の精度をもつ可搬型光格子時計(1秒ずれるのに100億年かかる高精度な時計)を開発した。この機器を用いて初めて、スカイツリーの展望台と地上では1日に10億分の4秒の差がある(展望台のほうが早く進む)ことが判明した。これは一般相対性理論、たとえば重力の強いところでは時間の進み方が遅くなることの検証でもあった。
2020年4月、PCR検査の工程の一部(核酸抽出)を省略でき、検査時間が半分で済む検出試薬キットを開発した。COVID-19の検査への活用が見込まれる。この方法は、島津製作所がこれまで赤痢菌やノロウイルスなどの検出試薬開発で培った、アンプダイレクト技術を応用して開発されたもの。
標準的なPCR検査において、検体に混在するタンパク質は酵素と結合し核酸増幅の妨げとなるため、事前に核酸のみを抽出する必要がある。しかし、本試薬を添加するとタンパク質が酵素と結合せず、核酸増幅が問題なく行えるようになる。PCR検査の迅速化に有用とみられる。
航空機器事業部において防衛省への過大な支払請求があり、2013年に指名停止措置を受け、違約金など216億円を納付した。遅くとも1960年代には、作業工数値を実際のものより多く報告することが行われ始めたとのこと。社内処分を行い、いくつかの再発防止策を講じた。
2017年、航空機の補助動力装置について適切な修理が行われていないことが内部告発により判明、防衛省に自発的に申告し、3か月半の指名停止措置を受けた。
2022年8月、子会社にあたる島津メディカルシステムズ株式会社の社員が、熊本県の公立病院に納入された医療用のX線撮影装置の保守点検において故障を装い、部品の交換費用として約228万円を不当に請求した疑いがあると報じられた。装置の電力供給回路にタイマーを設置して故障を装うという手口から、ソニータイマーの実例と話題にもなった。島津製作所は外部調査委員会を設置し、不正に関与した疑いの強い7人を特定した。業績目標の不合理な設定方法や厳しい業績目標によるプレッシャーが不正の背景にあると指摘されている。
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最終更新:2024/12/22(日) 20:00
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