星を継ぐもの(原題:Inherit the Stars)とは、ジェイムズ・P・ホーガンの長編SF小説である。
舞台は近未来。ある日、月で謎の人間のミイラが発見される。ミイラは赤い宇宙服を身につけており、装備は地球の技術よりもやや進んでおり、また使われていた言語はどこのものでもなかった。
さらに調べてみると、その人間は約5万年前に死んだことがわかった。全世界の科学者達が集結してこのミイラの謎に取りかかる。ミイラは生前どんな環境で生きていたのか。大気は、重力は? 暗号を解読するように言語の解析も進められる。そんな中、木星のガニメデでは宇宙船の残骸が見つかって……
日本では1980年に池央耿訳で創元推理文庫から刊行され、翌年の星雲賞海外長編部門を受賞した。
現在は創元SF文庫で出ており(1991年に創元推理文庫のSF分類が「創元SF文庫」として独立した際に移動)、初刊から途切れることなく増刷を重ね、2018年には100刷に到達。2024年でシリーズ累計154万部だそうで、創元SF文庫最大のベストセラーとなっている。2023年にはシリーズ続編ともども新版に切り替えられた。
「月面で発見された5万年前の人類の死体」という極めて魅力的な謎を出発点に、科学者たちが知恵を絞って様々な謎を検証していき、それがやがて人類という種族全体の謎の解明へと繋がっていくという壮大なSF小説。1980年の邦訳当時でさえ「古臭い」「大時代的」と言われたほど古典的なSFの文法に忠実な作品だが、逆にそれが古典的なSFのもつ興奮を蘇らせ、幅広い層から支持を集めた。
またその謎の魅力と緻密な謎解きの過程、そして単純明快かつ壮大な解決の衝撃は、ミステリーとしての評価も高く、SFミステリーとしてはアイザック・アシモフのロボットSFミステリー『鋼鉄都市』に並び称される。SF作家の堀晃は「5万年のアリバイ崩し」と評し、ミステリ評論家の瀬戸川猛資は「SFとしても本格ミステリとしても傑作」と讃えた(リンク先は当時の書評)。
というわけでSFとしてもミステリーとしても日本では極めて評価が高く、2014年の「S-Fマガジン」のオールタイムベストSF投票では海外長編部門11位にランクイン。2012年の「週刊文春」のオールタイムベストミステリー投票「東西ミステリーベスト100」では海外編26位にランクインしている。なお、イギリスやアメリカでは日本ほど評価は高くなく、既に入手不能になっているとか。
本作に続いて『ガニメデの優しい巨人』(1978年)、『巨人たちの星』(1981年)と続編が書き継がれ、三部作として完結していたが、後年続編である『内なる宇宙』(1991年)、『ミネルヴァ計画』(2005年)が発表された。
ちなみに『内なる宇宙』までは原書刊行から数年内に邦訳されていたが、なぜか『ミネルヴァ計画』だけなかなか邦訳されず、原書刊行から19年経った2024年にようやく邦訳が出た。『内なる宇宙』までの翻訳を担当した池央耿は2023年に亡くなったため、『ミネルヴァ計画』は内田昌之が翻訳を担当している。
2011年~2012年にかけてビッグコミックスにて、SF・伝奇漫画で評価が高い星野之宣による漫画版が連載された(単行本は全4巻)。3部作『星を継ぐもの』~『巨人たちの星』を基にしており、”月”の存在が地球の生物進化に与えた影響など、最新の科学知識を用いて作品世界の考察が新たに行われている。こちらも2013年に星雲賞コミック部門を受賞している。
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掲示板
49 ななしのよっしん
2021/08/19(木) 06:01:58 ID: jW3CQiWnXy
この小説を読んだ人は、是非 Outer Wilds をプレイして欲しい(ネタバレが本当に致命的な作品だから、検索する際には気をつけて!)
50 ななしのよっしん
2021/09/15(水) 23:00:57 ID: YUdpHaenNt
オーディオブック版のクオリティが素晴らしいので、小説読了済みの人にも是非聞いてほしい。
朗読の森田順平さんのナレーションは聞き取りやすいし、何より演じ分けが見事。
51 ななしのよっしん
2023/04/21(金) 04:59:56 ID: uz4kXoXxYt
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ようやくMission to Minervaが出るらしい
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最終更新:2025/04/09(水) 22:00
最終更新:2025/04/09(水) 21:00
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