いろは坂事件とは (イロハザカジケンとは) [単語記事]

いろは坂事件とは、絶叫マシンである。

概要

いろは坂事件とは、佐藤康光九段の運転する車に同乗した羽生善治三冠と森内俊之竜王名人を恐怖のどん底に陥れた事件である。

　事は羽生善治が初めて七冠に挑戦する王将戦の最中に起こった。

　当時免許を取ったばかりであった佐藤は、王将戦の観戦を名目に森内をドライブに誘う。
　王将戦が行われていたのは冬まっさかりの、日光中禅寺湖。ここにはカーブの多いことで有名ないろは坂があり、当然路面は凍結していたが、チェーンを用意していなかった。

　その時、佐藤は免許取りたての人によく見られる、とにかく運転したいという欲望と根拠のない運転技術への自信に取り付かれおり、そのまま会場に直行しようとする。

　が、慎重派の森内は冬装備無しでのいろは坂越えという無理攻めを咎め、日光駅に車を乗り捨ててバスかタクシーで会場入りすることを要求。佐藤は大丈夫と強気に応戦するも、森内に寄せ切られて結局２人は日光の駅の駐車場で乗り換え、会場へと向かった。・・・しかし、遠足は帰るまでが遠足である。

　対局は谷川王将の圧勝により早く終わり、その日のうちに帰りたくなった羽生を含めた3人が佐藤の車で東京に戻ることとなった。そこから恐怖のドライブが始まる。

　帰りは、夜の首都高速。初めての夜の高速道路ということもあり、佐藤は周囲の車の速度に動揺し、車線をウロウロ（高速の寄せ）する。さらに、トラックに囲まれ（トラック囲い）、佐藤の緊張はピークに。

　その緊張は同乗者に伝染し、弾んでいた会話も途切れ、羽生の自宅に着いたころには、車中はお通夜状態となった。この事件がトラウマとなり羽生が佐藤の車に乗ったのは、この時が最初で最後になっている。