アルツハイマー病(Alzheimer disease)とは、認知症を主症状とする大脳皮質の変性疾患のひとつである。
概要
アルツハイマー病(Altheimer disease)は大脳皮質の神経細胞が異常老化によって広範に変性・脱落する疾患で、アルツハイマー型認知症(dimentia of Alzheimer type)ともいう。
◆危険因子◆
- 加齢、性(女性)、低教育歴、頭部外傷の病歴、遺伝子性危険因子(アポリポ蛋白のε4多型)などが支持されている。
◆発症年齢・頻度・病型◆
- 発病は40代からで、高齢になるにつれて発病率が高くなる。多くは孤発性で、女性の発症率が高い。40~65歳の発症を早発型、65歳以降の発症を晩発型というが、後者はアルツハイマー型老年型認知症(senike dementia of Altheimer type)とも呼ぶことがある。
◆症状と経過◆
- 初期では、記憶障害や失見当識が進み知的機能が全般的に低下する。被害妄想が形成されることもある。また、外出後に変えることができなくなるなど、視空間認知の障害もみられるようになる。しかしながら、この時期は表面的であっててもまだ疎通性はよく保たれて、会話も可能である。
- 中期では、了解が悪くなり、自分の意思を表すことができなくなる。失行・失認などが目立つようになる。日常生活の動作ができなくなる(着衣失行や概念失行)。生活面で介護が必要になる。また人をみても誰だか分からず(人物誤認)、自分や施設のトイレなどの位置がわからなくなることも頻繁になる。
- 末期では、精神機能が高度に荒廃した状態で、会話はほとんど消失し、疎通性も失われる。筋固縮や動作緩慢などのパーキンソン症候群や歩行障害も出現し、ついには失外套症候群に陥る。
◆診断◆
- アルツハイマー病の臨床診断にはNINCDS-ADRDAやDSM-Ⅳ-TRの診断基準がよく用いられる。これらの診断基準に加えCTやMRIによる脳萎縮、SPECTやPETによる脳血流や代謝の低下、遺伝子危険因子であるアポリポ蛋白のε4多型の情報を加味して診断する。
◆病理・病態◆
- 大脳は高度に委縮し、脳重量は著しく減少する。皮質の神経細胞は高度に脱落し、残存する神経細胞内には神経原線維変化という特徴的な変性所見がみられる。また、老人斑(senile plaques)が側頭葉から頭頂葉にかけて多量に出現する。神経化学的には、記憶・学習機能と密接な関係がある大脳皮質や海馬などでのアセチルコリン系機能の低下が指摘されている。
◆予防と治療◆
- 有効な予防法は無い。軽度から中等度のアルツハイマー病には脳内アセチルコリンを補充、または分解を抑制する抗認知症薬(塩酸ドネぺジル)が用いられる。
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