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エボラ出血熱とは、エボラウイルスに感染することで起こる感染症の1つである。焼肉のたれとは無関係である。
エボラ出血熱はその名の通り、感染者の全身から出血を伴う感染症であり、致死率は50%から80%とされる。
出血以外の主な症状には、38℃以上の急性発熱や頭痛・嘔吐・下痢・筋肉痛・関節痛・疲労感があり、出血は口鼻腔・消化管・皮下にみられる。症状は急速進行性。これらの症状は、エボラウイルスがタンパク質を分解する毒素を出すことで、体内のコラーゲンが分解されるためである。
重症化すると嘔吐や下痢による脱水が急激に進み、補液を供給しても衰弱が進行したり、意識障害が起こる。現地の医師が見た例の一つに、午前中には会話や歩行が可能だったにもかかわらず、午後には息絶えていたというケースもある。
人から人への感染は主に接触感染であると考えられており、感染者の嘔吐物・排泄物・血液・汗に触れなければ感染しない。そのため、症状がある程度改善された患者は、感染対策をしたうえで家族との面会が許される場合もある。
感染後の潜伏期間は2~20日間と他の感染症よりも長く、日本などの先進国では、まだ症状が出ていない感染者が不特定多数の人物と接触し、ウイルスが広がることが懸念されている。ちなみにインフルエンザの潜伏期間は2~3日間。
エボラウイルスは、日本では一類感染症という最も高リスクな感染症として扱われているほか、世界保健機関でもバイオセーフティーレベルが最高のレベル4(BSL-4)として扱われている。BSL-4の病原体を実験に用いる際は専用の施設が必要となるが、2014年現在日本でBSL-4を扱うことのできる施設は、色々な事情で停止されている(理化学研究所と国立感染症研究所)。
現在、エボラ出血熱の感染者には、主に対症療法を用いる。
感染者は重篤な脱水症状や激しい痛み、血液内で無造作に血栓ができる播種性血管内凝固症候群を併発するため、対症療法として「栄養点滴」「鎮痛剤投与」「抗凝固剤投与」などが行われ、病原体そのものへの対処は感染者の免疫任せとなる。
もし一命を取り留めたとしても、脳機能障害や失明といった重い後遺症を残すことが多い。
根本的な治療法は2014年10月現在、西アフリカでのエボラ出血熱の流行を受け、世界各国で抗生物質の開発が進行中である。
米国のマップ・バイオファーマシューティカル社が開発した「ZMapp」や、日本の富士フィルムが本来は抗インフルエンザ薬として開発した「アビガン」などが感染者に用いられ、症状が回復したとの報告も出ているが、また明確にエボラウイルスを完全に殺すことが出来るかまでは証明されていない。
感染していない状態であれば、エボラウイルスは石鹸やアルコール消毒で簡単に殺菌できるので、季節に関わらず手洗いうがいはしっかりしよう。
エボラ出血熱の原因であるエボラウイルスは、コウモリが宿主とされている。すなわちコウモリは常にエボラウイルスに感染していることになるが、エボラ出血熱が発病することはない。このようにウイルスに感染しておきながら症状が出ず、ウイルスと共存している動物を自然宿主と呼ぶ。
これに対して、エボラウイルスはヒトやサル、ゴリラといった動物に感染するとエボラ出血熱を発病させ、その個体を死に至らしてしまう。このように、ウイルスが感染すると症状が発現する、もしくは死んでしまう動物を終末宿主と呼ぶ。
ウイルスは、自らエネルギーを産生できる細菌類とは異なり、宿主に寄生することで初めてエネルギーを生むことができる生物であり、宿主を殺してしまうと自らも死んでしまうことになる。
これは生物的には重大な失敗であり、このように感染者を死に至らしめるウイルスは不完全な生物ともいえる。
※言葉の便宜上、ウイルスを生物と定義しています。詳細はウイルスの個別記事参照。
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最終更新:2025/12/21(日) 12:00
最終更新:2025/12/21(日) 12:00
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