チェンタウロ戦闘偵察車 単語


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チェンタウロセントウテイサツシャ

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チェンタウロ戦闘偵察車チェンタウロ戦闘偵察車とは、イタリアで開発されたイカした装輪装甲車である。
8輪の車体に大口径の戦車砲を積んだ「装輪戦車」の俗称で呼ばれる戦闘装甲車両の1つである。

ちなみに「チェンタウロ」とは、ギリシャ神話に登場する大弓を操る、馬の胴体に人間の上半身が付いた日本で言う「ケンタウロス」のことである。強力な打撃力と優れた機動性を持つ本車に、まさにふさわしい名前であると言える。

概要

一応『偵察車』を名乗っているが、実は偵察は主任務ではない

イタリアは細長い地形であるため、国家中枢のある北部から南部へ戦力を派遣する場合その距離が問題になる。
そこで、高速道路などを使い迅速な移動が出来て、かつ十分な火力を持つ車両が求められた。
こうして開発されたのが「チェンタウロ戦闘偵察車」である。

主砲には、74式戦車など第二世代戦車の主砲と同じ「105mmライフル砲」を搭載。
これを8輪全輪駆動の大型タイヤを履かせた装甲車に乗せて最高時速108kmでかっ飛ばす。
もちろん装輪車両なので装甲は薄く戦車との正面きっての殴り合いはご法度。主に装輪車両や敵陣地の撃破に精を出す。一応増加装甲も開発されているが主に対RPG-7用。
面白い機能として弾薬を降ろせば4人の兵士を乗せられるメルカバのような機能もついている(後期型)。
その重武装っぷりから「装輪戦車」と呼ばれることがあるがこれについては後述。

チェンタウロは400両が生産され、イタリア陸軍では320両を運用中。海外派遣もされているので使い勝手はいいようだ。現在までユーゴスラニア、ソマリア、イラク、レバノンなどに投入されており、イラクでは狙撃兵が隠れていた建物を自慢の105mm砲で吹き飛ばすなどの戦果を挙げている。

また、輸出成績もよくスペインとオマーンでも採用されており、現在スペインで84両、オマーンで6両(追加で3両)が配備・運用されている。変わったところでは、アメリカにはストライカー機動砲システムを導入するための実験・訓練用に16両をリースしたが、のちに全車が返還された。

チェンタウロの特徴

  • 高い戦略機動性
    戦車などの履帯(世間で言うキャタピラ)を履いた装軌式車両は長距離を移動する際、トランスポーター(戦車を運ぶ為のおっきなトレーラー)に搭載して運搬しなければならない。これらの積み下ろし作業は面倒で輸送部隊への負担も大きい。しかし、チェンタウロは装輪式の装甲車であるため、トランスポーターを使わず自走して素早く前線に向かう事が出来る
  • 優れた火力
    チェンタウロは車体前部右側にエンジンを配置し、後方に3名用の砲塔を搭載している。この砲塔には74式戦車などの第2世代戦車と同じ105mm戦車砲を装備している。(ちなみに改良型では120mm砲を積んじまった…gkbr)
    これはイタリアの名門火砲メーカーであるOTOメララ社製の52口径105mmライフル砲で、レオパルト1戦車と同じ徹甲弾を発射することができる。105mm砲弾の搭載数は砲塔内に16発、戦闘室に24発の計40発となっている。
    また、FCSはアリエテMBTと同じものが搭載され、車長と砲手それぞれに独立した夜間暗視装置(視察・照準装置)が設けられている。 レーザー測遠機やセンサーも装備されているので、夜間悪天候という劣悪な環境においても一発必中が狙える。 これにより歩兵支援は元より、装甲車などのAFVへも効果的な対処が可能となった
    (でも、装甲はアレだから主力戦車の相手は勘弁な!)
  • 優れた防御力
    チェンタウロは前面で20mm機関砲弾、その他は12.7mm機関銃弾を防ぐことが出来る。
    また、2種類用意された増加装甲パッケージを装着すれば、砲塔全周で25mm機関砲弾から防護でき、ゲリラ御用達のRPG-7からも全周で完全に防ぐことが可能だと言う。
    さらに、120mm砲を搭載した新砲塔では40mm機関砲弾にまで耐えられる複合装甲を備えるんだとか…
  • 優れた戦術機動性
    また、それら3tに及ぶ増加装甲を装着した状態でも機動性能が低下しないほどの強力なエンジンを搭載している。
    このエンジンにより路上最大速度108km/h以上、路上航続距離800kmの機動性能を発揮する事ができる。
    また、駆動方式に関しては8輪駆動だけでなく、後ろの6輪で走行する6輪駆動も選択できる。
    タイアの操向は前方の4輪が向きを変える4輪操向と、6輪操向(前方の4輪と最後部の2輪)を必要に応じて切り替えられる。 どのような場合に駆動方式と操向方式を選択して組み合わせるのかといえば、道路上での高速走行と不整地の踏破の場合にその使い分けが最大のパフォーマンスを発揮する。
    例えば、道路上を高速走行する場合は、燃費が良く、タイヤの摩耗も少ない6輪駆動と4輪操向の組み合わせがベストである。 より長距離を移動するのであれば、4輪駆動の方がなお良いだろう。逆に、不整地では大きな接地面積(低い接地圧)と駆動力が必要となるので、8輪駆動と6輪操向の組み合わせが適している。
    さらに、チェンタウロにはタイヤ空気圧調整機構が備えられている。
    これを使えば不整地ではタイアの空気圧を下げて接地面積を広げ、道路上ではタイアの空気圧を上げて路面との摩擦を低下させることができる。
    このようにチェンタウロは単に装輪式装甲車として整地でのスピードが速いだけでなく、駆動・操向方式の切り替え機構や空気圧調整機構を持つ高級な足周りによって、不整地での踏破力も戦車に近付いているのである
  • 優れた整備性
    戦車などの装軌式車両と言うのは、重量があり構造も複雑なのでとにかく故障し易い。さらに駆動装置である履帯(キャタピラ)が被弾などで切れれば行動不能になり、修理にも長い時間が掛かる。それに対して、チェンタウロは重量が軽く構造も簡素なので故障が少なく、お手軽に整備することが出来る。
    また、本車は8輪駆動であるため、仮に頑丈なラン・フラット・タイヤのうちの2つを地雷で吹き飛ばされたとしても走行を続けることが可能であり、4輪や6輪の装甲車に比べて足周りのダメージに強い。というか地雷に対する耐性は装軌式より地味に高い。車体左後部には牽引力10tのウィンチが取り付けられており、泥濘地で動けなくなっても自力で脱出できるようになっている。
  • 低コスト、低コスト
    大事な事なので2度言いました。
    戦車は非常に高性能な兵器であるが、高度なFCS、複合装甲、強力なエンジン(パワーパック)などを装備しているので調達コストが高く、さらに重量のせいで燃費は最悪なので運用コストも掛かる。
    対して、チェンタウロは戦車並みのFCSや戦車砲を備えるものの装輪式で簡素な構造であるため調達コストが安く、重量も軽く燃費が良いため運用コストも低く抑えることが可能となっている。ちなみに日本円でお値段約3億円。アリエテが7億5千万円ぐらいだから半値以下である。

このようにチェンタウロは撃ってよし、撃たれてよし、走ってよし、と三拍子そろった傑作偵察戦闘車なのである!

えっ?「偵察車」なのに偵察してないって?
車体サイズが74式戦車とほぼ同じ大きさであり、もはや隠れる気すらない時点でお察しください。
まあ、開発経緯からしてそもそも偵察目的じゃないし仕方ないね!

チェンタウロのバリエーション

大きさはどうであれ、他の装輪装甲車に漏れずチェンタウロにも多くも派生車両がある。

B1 チェンタウロ戦闘偵察車

ここまでに説明してきた105mm砲を搭載したチェンタウロの基本型。
後期型の150両、車体後部が22cm延長されており、車体後部の主砲弾ラックを外せば4人の兵員を搭載できる。

イタリア陸軍で320両が運用されているほか、スペインでも採用され84両が配備されている。

B1 チェンタウロ 120mm砲搭載型

チェンタウロ 120mm砲搭載型

OTT社が開発した新型砲塔「HITFACT」を搭載した車両。オマーンが採用・配備した6両はコレ。
主砲には「OTT社製 45口径低反動120mm滑腔砲」が搭載されており、NATO規格の各種120mm砲弾が
使用可能となっており、火力が大幅に向上している。ベトロニクス類も新型に交換されており、新型FCSにより行進間射撃の命中精度が向上しているほか、従来砲手用サイトにしか搭載されていなかった赤外線暗視装置が車長用全周旋回式サイトにも搭載されており、夜間悪天候時の索敵能力も向上している。砲塔前面には複合装甲を備えており40mm機関砲のAPFSDS弾射撃にも耐えられ、側面も14.5mm重機関銃弾に耐えられるとか。
また、エンジンも650馬力を発揮する新型が採用されている。

チェンタウロ Ⅱ

チェンタウロ Ⅱ

チェンタウロ120mm砲搭載型を基に全体的に性能を向上させた車両。
120mm砲搭載型が砲塔を乗せ換えただけだったのに対して、チェンタウロⅡは車体部分も含めて改良が加えられており、特に車体には増加装甲が取り付けられたほか、IED対策として底部にV字型の装甲が取り付けられている。
また、ソフト面においてもセレックスES社のC4Iシステム「FORZA NEC」を搭載することにより、リアルタイムでの情報共有能力を得ることで交戦能力が大幅に向上している。

イタリア陸軍は、旧式化が進む750両のレオパルド1をチェンタウロⅡで更新することを計画しているとか。

フレッチャ歩兵戦闘車

フレッチャ歩兵戦闘車チェンタウロに随伴する機械化歩兵部隊の為に人員輸送能力を強化した本格的な装輪装甲歩兵戦闘車。
いわゆる陸自の89式装甲戦闘車みたいなIFV型。
チェンタウロ後期型を基に車体を80mm延長し車高も嵩上げして、歩兵8名を搭載できるようすると共に、後部に
ランプドアが装備され迅速に歩兵部隊を展開させることが可能となっている。
また、IED及び地雷対策として車体下面はV字型になっており、車体下で6kgの爆薬の爆発に耐えることが出来る。
最初から増加装甲が取り付けられており、正面が30mm機関砲弾、側面が14.5mm機関銃に耐えることが可能。

砲塔には、同じくイタリア陸軍のIFVである「ダルド歩兵戦闘車」に搭載されている「HITFIST」砲塔が搭載されており、エリコン社製25mm機関砲、またはブッシュマスターⅡ30mmチェーンガンと、同軸に7.62mm機関銃を装備している。25mm機関砲は200発を搭載できる。
また、オプションとしてイスラエル製対戦車ミサイル「スパイクML/LR」2基と80mm発煙弾発射も装備可能。

通常の装輪装甲車(米軍のストライカーとか)はIFV型をベースに大口径砲を搭載した機動砲型などを開発することが多いのに対して、チェンタウロは逆の課程で開発された珍しい車両である。イタリア陸軍に採用され、通常型172両、スパイクML/LR搭載型36両の配備予定が予定されており、スペイン陸軍も導入を検討している。

ポーキュパイン155mm自走榴弾砲

ポーキュパイン155mm自走榴弾砲

現在開発が進められている自走榴弾砲型。外観がかなりキモい。ちなみにPorcupineは山嵐のこと。

チェンタウロの車体に155mm39口径榴弾砲『FH70』を装備した自走榴弾砲。
アーチャー自走榴弾砲ばりの完全無人化・自動化された砲塔を搭載した車両であり、155mm砲弾は車内に15発搭載できる。砲塔が自動化されたことで乗員は3名まで削減されており、全て車体前方に集中配置されている。

高度なFCSを搭載しており、発射した4発の砲弾を同時に着弾させることが可能。最大で毎分8発を発射でき、OTTメララ社が新開発したGPS誘導砲弾、また通常の無誘導砲弾を発射でき、誘導砲弾は射程60kmを誇る。ただし、他の装輪式自走砲と同じく砲塔の旋回は左右15度に限られている。

イタリア陸軍は本車で現在配備されているPzH2000自走榴弾砲を更新する予定だとか。

チェンタウロ・ドラコ

チェンタウロ・ドラコ

チェンタウロの車体に対空砲塔『ドラコ』を搭載した車両。
ドラコとは海自の護衛艦にも搭載されているOTTメララ社のベストセラー艦載砲、76mm速射砲を戦闘車両に搭載できるよう軽量化を施したものであり、砲塔には76mm砲に加えて7.62mmもしくは12.7mm機関銃を装備することも可能。76mm砲は対空捜索レーダー、電子光学照準システム、遠隔測定レーザーなどを組み合わせた高度なFCSに制御されており発射速度は毎分80発で、航空機はもちろん高速艇などの軽目標、戦車やIFVも攻撃できる。

余談だが対空砲塔ドラコとは、笑い話として伝説になったオトマティック自走対空砲の砲塔を元に製造コストを削減したやつだったりする。

実際のところ装輪『戦車』なのか?

おっきな大砲を積んで、8輪の車体でかっ飛ばすイカした装輪装甲車「チェンタウロ」。
一部ではチェンタウロのような大口径砲を搭載した装輪装甲車は「装輪戦車」と呼ばれているようである。
では、チェンタウロはホントに「戦車」なのか?、と問われれば、その答えは「NO」である。

この手の車両はあくまで「戦車相当の火力を持った『装甲車』であって「戦車」では断じてない

火力は高いが装甲薄いので戦車と言い切っちゃうのはどーかと思う。日本でもよく似た機動戦闘車なるものを配備して戦車を減らそうと財務省が蠢動しているが、ぶっちゃけ、戦車の代用品にはならない。
ここらへんは、詳しいことを懇切丁寧に説明してくれている90式戦車や10式戦車の記事を見て頂きたい。

装輪戦車とは「高火力の砲」を「迅速に展開して敵を迎撃する」のがコンセプトであり、正面から敵を殴りに行くものではありません。軍事解説者や政治家にはこれがわかってない人が多いので注意すること。

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動いてますよ。

なぜかあるプラモ製作動画。

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上記動画で作ってるのがこのキット。

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ニコニコミュニティは2024年8月に終了しました。

関連項目

  • 軍事 / 軍事関連項目一覧
  • イタリア / イタリア軍
  • 軍用車両の一覧
  • AFV / 装甲車
  • 87式偵察警戒車←日本陸上自衛隊の偵察車
  • ストライカー装甲車 / ルーイカット装甲車 / 機動戦闘車←チェンタウロとよく比較される類似車両たち
  • オトマティック自走対空砲
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