ロサイル・インターナショナルサーキットとは、中東ペルシャ湾湾岸の産油国カタールにあるサーキットである。
3月下旬にMotoGPの開幕戦がナイトレースで開催される。
カタールは中東のペルシャ湾湾岸に位置する国家である。国旗・国章ともにえんじ色を採用している。
かつては真珠採取と漁業ぐらいしか産業がなかったが、1940年代に油田が発見されてから何もかもが一変した。
首都ドーハは高層ビルが林立する近代都市になっている。
ナショナルフラッグであるカタール航空は、常に最新の航空機を買いあさっており、それゆえ安全性が高い。
機内サービスも非常に充実しており、世界中の航空会社の中でも最高峰の格付けを誇る。
天然資源に頼った経済体制を危惧しており、現在の国策として観光業に力を入れている。
サッカーカタールリーグを経営したり、2022年サッカーワールドカップを誘致したり、
MotoGPを開催したりするのはその一環といえる。
さらに力を入れているのが教育で、首都ドーハに米国の大学のキャンパスを6つも誘致している。
「中東のCNN」と形容されるテレビ局企業アルジャジーラの本社が首都ドーハに置かれている。
ドーハ市内にはラクダ市場があり、柵に覆われた広場の中にラクダが多数飼われていて、売買されている。
いまだに乗りものとして市民の間で利用されているらしい。
首都ドーハは海に面した場所にあり、夜になって水分を乾かしてくれる日差しが無くなると湿度が急上昇する。
冷房の効いた部屋から一歩外に出ると眼鏡やカメラのレンズが一気に曇るほどの蒸し暑さで、旅行者を驚かせる。
カタールに限らず熱帯の国に共通することだが、冷房をガンガンに効かせることが富の象徴と考える風潮がある。
空港などの施設の中は冷房が効きまくっていてやたらと寒い。旅行の際にはジャケットを持っていきたい。
中東ペルシャ湾湾岸のカタール、バーレーン、UAE、オマーン、クウェートを「湾岸諸国」という。
そのなかでもカタール、バーレーン、UAEの三ヶ国には共通点が多い。列記すると
砂漠に囲まれて5月から10月までの昼は灼熱の暑さになり、外出することは危険。
主要都市が海に近く、湿度が非常に高くて蒸し暑い。
産油国で金持ち、巨大建築物を次々と建てている。
天然資源に頼った経済体制を危惧し、観光業に力を入れている。
モータースポーツに理解がありF1(バーレーン、UAE)やMotoGP(カタール)の誘致に成功している。
サッカー代表が地味に強く、W杯最終予選に残ってくるレベル。
イラク、イランとは国境を接しておらず比較的に安全なイメージがある。
サウジアラビアを盟主として仰いでいて、非常に親密。
米国、英国と仲良し。
となっている。
半島がカタール、島がバーレーン、国土面積が少し広くて第二の都市ドバイで競馬をするのがUAE、
とおぼえるといい。
カタールの首都ドーハから北に25km程度離れた場所に位置している。
周囲を砂漠に囲まれている。そして、海岸線から2kmしか離れていない海沿いのサーキットである。
海から吹き込む風によって砂がサーキットへ舞い込み、路面は常に砂埃で汚れている。
カタール全域が砂漠の平野であり、最も高い地点で標高海抜103メートルしかない。
こういう平坦なところには、風をせき止めるようなものが無いので、風がどんどん流れ込む。
5月から10月までの本サーキット周辺はとんでもない暑さになり、日中に外を出歩くのは危険なレベルになる。
MotoGPが開催される3月下旬の昼は最高気温26度程度で、夜は20度程度になる。東京の6月や9月に相当し、
わりと過ごしやすい。
2008年からMotoGPのナイトレースが定着している。
産油国特有の資金力を発揮し、1,000本の照明灯を立て、540万ワットの明るさを確保した。
サッカースタジアム70個分の照明というのがロサイルナイトレースの宣伝文句である。
闇夜にぽっかりとサーキットが浮かび上がり、マシンはキラキラと輝き、幻想的で美しい。
いつもの昼間のレースと違う点は、路面に映るライダーの影の様子である。
昼間のレースなら太陽が唯一の照明だから、一方向に伸びる影だけが濃く発生する。
ところがロサイルのナイトレースではライダーは2ヶ所以上の照明灯によって2つ以上の影が薄く発生する。
ライダーというのは「走っているときは後ろを振り返るな」と教育されているものであり、
レース中もあまり後ろを振り返らない。
自分の後ろに他のライダーが迫っていることは、路面に映る影を確認することで認識する。
その影が、いつもと違う。ライダーは少し戸惑うことになる。
雨が降ったら濡れた路面が乱反射してライダーを惑わせてしまい危険なので、レース開催自体が中止される。
2008年から2010年まではmoto3決勝が20時、moto2決勝が21時、MotoGP決勝が23時に行われた。
2011年から2014年まではmoto3決勝が19時、moto2決勝が20時、MotoGP決勝が22時に行われた。
2015年から2017年まではmoto3決勝が18時、moto2決勝が19時、MotoGP決勝が21時に行われた。
年を重ねるごとにレース開始時刻が早まっている。
(本当は2009年までmoto2ではなく250cc、2011年までmoto3ではなく125ccだが見やすくするためにこう書いている)
ロサイルサーキットは海に近く、夜になると湿度が上がって蒸し暑くなり、路面に夜露が発生する。
すると、転倒者が増えてしまうことがわかってきた。
そこで夜露を回避するため、レース開始時刻を早める措置がとられた。
時刻が進むにつれて気温と路面温度が下がっていくという、いつものレースとは真逆の現象が起きるので、
タイヤメーカーなどのメカニックたちは戸惑いやすい。
ライダーたちは体調管理にも気を遣う。
いつもなら朝早くに目を覚ましてホテルで食事してからサーキットに行き、日が暮れるまで忙しく作業して、
夕方にホテルへ帰って食事して、早めに就寝する。しかしロサイルのナイトレースは違う。
夜の22時まで走行し、それからチームのメカニックと打ち合わせして、ジャーナリストの質問に答える。
ホテルに辿り着くのは深夜1時~2時となり、レストランなど開いていない。
朝目を覚ますのは11時ぐらいであり、もうホテルのレストランは朝食を提供してくれない。
ホテルのレストランで食事するということが難しく、どこかで食べものを買い込んでそれを食べるしかない。
いつもは明るいうちに作業するのだが、ロサイルでは18時程度までひたすら何もしないで待たねばならない。
集中力を保つのが難しいという。
カタールの首都ドーハは年間降水量40mm(ちなみに東京の年間降水量は1,500mm)で、滅多に雨が降らない。
そのため、かつて2016年までは、タイヤメーカーもレインタイヤを持ち込んでいなかった。
しかしながらそんな土地でも、10年に1度ほどの確率で雨が降ってしまうようである。
雨が降ってしまうとライダーも主催者も大慌てになるハプニングレースになってしまう。
2009年4月12日(日)の125ccクラス決勝の3周目にいきなり雨が降り出し、わずか4周でレース成立となった。
雨が止んだ250ccクラスは13周でレースが終わったが、MotoGPクラス決勝の直前にまた雨が降って路面が濡れ、
MotoGPクラス決勝のみ翌日月曜日に順延された。
2017年3月25日(土)の夕方に雨が降って路面が濡れてしまい、そのまま日が暮れてしまった。
夜になって予選が始まる時刻になると雨が止んだが、日差しがないのでいったん濡れた路面がなかなか乾かない。
しかも排水のことを全く考えていないサーキットであるらしく、コース脇の人工芝やグラベルの下に水が溜まり、
そこから水がじわじわと湧き出てコースの中にどんどん進入してくる。
排水設備が完備されているサーキットでは考えられないような光景が展開された。
結局、この日の予選は全クラスで中止になった。
2017年3月26日(日)のMotoGPクラス決勝の直前にもパラパラと雨が降ってしまった。
本サーキットのナイトレースでは「路面が濡れたら即レース中止」なので、誰もが非常に神経質になる。
スタート前のウォームアップを2周(いつもは1周)行って路面が乾いていることを慎重に確かめるなど、
異例の進行となった。
2008年からMotoGPの開幕を飾ることが定着している。
すでにカタールとドルナ(MotoGP開催者)との契約が結ばれ、2026年までMotoGPが開催される事になった。
ナイトレースの開幕戦であることも変わらない。
カタールはドルナにとって大スポンサーであり、まさに御大尽様である。
カタールから支払われる金によって、全てのチームが年間を通じて移動に使用する経費を賄っている。
中東のペルシャ湾湾岸の産油国ということで、白い服を着た、いかにも産油国の富豪といった人たちが登場する。
かつてカタールは真珠の名産地であったから、トロフィーは真珠をかたどったものが恒例となっている。
イスラム教のお国ということで、アルコール類は御法度であり、2014年までシャンパンファイトは行われなかった。
しかし2015年になって、とうとうシャンパンファイトが解禁された。
ただ、中身はノンアルコール飲料であり、Freixenet社のAishalというドリンクで、いわゆるハラールである。
コースの形状は、体内で真珠を作り出すアコヤガイを模した形になっている。
前半は低速コーナーが多いストップアンドゴーのレイアウトで、
後半は高速コーナーが並ぶテクニカルコースであり、二面性を持つ。
メインストレートは1,068mと長い。
流れるような高速セクションから長いメインストレートに入っていくので、最高速が良く伸びる。
MotoGPが開催される18ヶ所のサーキットの中でもトップクラスの最高速の高さになる。
ドゥカティの成績が良いサーキットとしても知られる。
開幕戦のこのレースで躍進して「今年のドゥカティは違うぞ」と印象づけることが毎年の恒例である。
路面の起伏は少ない。
パッシングポイントがかなり多い。
メインストレート、メインストレートエンドの1コーナー、4コーナー、6コーナー、10コーナー、
12~14コーナー(右3連発)、15コーナーあたりが主なパッシングポイントである。
いつも砂埃にまみれているサーキットであり、タイヤに厳しい。
路面の砂埃がサンドペーパー(紙やすり)のようにタイヤをこすり、タイヤをすり減らしてしまう。
さらにはアブレーション(ablation 宇宙工学でも使われる言葉)といって、タイヤが荒れる現象が発生する。
タイヤが荒れてしまうと、その荒れた部分を中心にどんどん消耗が進んでしまう。
コース脇の人工芝がたっぷりと砂を含んでいる。
ライダーがコースを外れてコース脇の人工芝に乗り上げると砂がパッと舞い上がる。
レースウィーク序盤は路面に砂埃が多いため、マシンが砂埃を巻き上げながら走ることになり、滑りやすい。
決勝当日になると、多くのマシンによって路面の砂埃が掃除された格好になり、
さらには走行ラインの路面の上にべったりとタイヤのラバーが乗って黒くなり、グリップが良くなる。
多くのマシンが通った走行ラインは砂埃が少ないが、その走行ラインを外してしまうと砂埃が多く、滑ってしまう。
2013年はとくに砂埃の量が多く、走行ラインを外すだけで砂埃が巻き上がっていた。
パッシングは走行ラインを外れ気味になる行為なので、やや難しく、慎重に行わねばならない。
メインストレートエンドの1コーナーから10コーナーまでは直線と低速ヘアピンコーナーが続き、
ブレーキング性能を問われるストップアンドゴーのレイアウトとなっている。
メインストレートは長い。moto3だとスリップストリームを使ったパッシングが多く、順位変動が盛んに起こる。
1コーナーはMotoGP有数のハードブレーキングポイントになっている。
ナイトレースの場合は、ブレーキディスクが赤熱する様子がテレビカメラによって映し出される。
2コーナーは、使用頻度が低いタイヤ左側を久しぶりに使う場所であり、転倒が多発する場所である。
3コーナー直前は、僅かながら上り勾配になっている。
4コーナーは有力なパッシングポイントで、ブレーキングしつつ先行するライダーのインに入りこむシーンが多い。
6コーナーは本サーキットでもっとも低速になるコーナーで、パッシングポイントの1つになる。
7コーナーを立ち上がると下り勾配になり、緩やかなS字となっている8~9コーナーを切り返す。
9コーナーの立ち上がりは上り勾配になっている。
10コーナーもまた低速のヘアピンコーナーで、パッシングポイントになっている。
10コーナーから最終コーナーまでは、高速コーナーリングが続くテクニカルなレイアウトになっている。
10コーナー立ち上がりから11コーナーは典型的な「アクセルを開けてパワーを掛けていくコーナー」である。
電子制御が統一化されて低レベルとなった2016年は、ここで各車のリアタイヤから白煙が上がっていた。
緩やかな11コーナーで加速し、先行するライダーの背後にぴったりと付け、スリップストリームを使って加速し、
12コーナーでズバッとインに入っていくのが多く見られるパッシングシーンである。
12~14コーナー(高速の右3連発)は世界でも珍しいほどのコーナー連続地帯で、
最大排気量クラスではずっとマシンが右に傾き続けることになる。
14コーナー立ち上がりから下り勾配になっており、ここで勢いを付けて高速の15コーナーに突っ込んでいく。
最終コーナーにはしっかりとカント(傾斜)が付いており、高速コーナーリングが可能になっている。
最終コーナーではパッシングを仕掛けずに綺麗なラインを通ることに専念し、
メインストレートでの加速を伸ばしつつメインストレートで抜くのがセオリーとなっている。
急上昇ワード改
最終更新:2025/12/13(土) 19:00
最終更新:2025/12/13(土) 18:00
ウォッチリストに追加しました!
すでにウォッチリストに
入っています。
追加に失敗しました。
ほめた!
ほめるを取消しました。
ほめるに失敗しました。
ほめるの取消しに失敗しました。