一方通行(アクセラレータ)とは、とある魔術の禁書目録、およびそのスピンオフ作品群に登場するキャラクター。
本作の主人公格の一人。本名が不明であるため、用いる能力の名称が彼(?)の名前として定着している。
CV:岡本信彦
学園都市に7人しか存在しない超能力者(レベル5)の第1位。学園都市最強の能力者、即ち学園都市の最優秀生徒であり、常人を遥かに超えた演算能力を持っている。
本名は本人ですら忘れており、不明。そのため自身の能力である「一方通行(アクセラレータ)」の通称で呼ばれる。本名は苗字2文字で名前3文字の、日本人らしいありふれた名前であったらしい。
初登場は『とある魔術の禁書目録』3巻(アニメは10話)。
レベル6を目指す絶対能力進化計画に参加し、1万人の妹達を殺害していたが、妨害に来た上条当麻に敗北。レベル0の上条に負けたことにより実験関係者の間で疑念が生じ、実験は永久凍結となった。この話は外伝作品「とある科学の超電磁砲」でも描かれている。
その後5巻の短編で再登場し、そこで初めて主人公としての活躍を見せる。打ち止め(ラストオーダー)を救出する際に脳を損傷し、以降は能力の使用に制限が加わった(後述)。
事件の裏側で暗躍する『第2の主人公』として人気は高く、 科学と魔術のいわば中間点に位置する上条当麻と違い、科学側の人物として描かれているが、物語が進むにつれて魔術の領域にも踏み込んでいる。
また、スピンオフ作品「とある科学の一方通行」では彼が単独で主人公を務めている。
エイワスは彼を3人のヒーローの内の一人に挙げており、「過去に大きな過ちを犯し、その罪に苦悩しながらも正しい道を歩もうとする者」と評している。
同じ科学側に属する『第3の主人公』浜面仕上の物語が、人間としての側面から展開するのに対し、こちらは能力者としての視点から展開する。
上述の5巻の一件で脳に損傷を受けて計算能力・言語能力を失ったため、ミサカネットワークの脳波を借りることでそれを補っている。ネットワークとの接続にはチョーカー状の専用機材を用いているが、専用バッテリーは代替が利かないため普段は日常生活に不自由しない程度(それでも杖をつく必要はあるが)に節約している。なお最大まで充電しても、節約状態では48時間、フルモードだと15分しか持たない。
演算の補助が失われると、能力を使用出来ないだけで無く、言葉を理解する事や歩行すら出来なくなるため、バッテリーの状態には常に気を使っている。
13巻では、木原数多との戦闘においてバッテリー切れに陥るも、常識外の『新たな法則』に目覚め『黒い翼』を顕現させた。半ば暴走状態ながら圧倒的な破壊力を見せた。
その後、学園都市暗部に確保され『グループ』に所属することに。土御門元春・エツァリ(海原光貴)・結標淡希と共に行動し『悪党』として精を出していたが、エイワスの現出に伴う打ち止め(ラストオーダー)の状態悪化を機に学園都市を脱出。彼女を完治させるための方法を探して第三次世界大戦中のロシアへ向かう。
ロシアにおいて、追っ手の駆動鎧を鎧袖一触したり番外個体にトラウマを抉られたり上条当麻と殴り合ったりするうち、『魔術』の存在に触れた彼はそれに打ち止め(ラストオーダー)を治すためのヒントがあると考え行動を開始。
カザキリから『歌』のヒントを得た彼は打ち止め(ラストオーダー)の救済に成功、自らの心にあった「何か」を取り戻す。
そして新たに『白い翼』を顕現させ、フィアンマの最後の一手である『ベツレヘムの星』の一撃を防ぐ事に成功。
彼の行動が世界を守る最後の一手を打ち、第三次世界大戦の趨勢を決める事となった。
能力名は自身の呼び名でもある『一方通行(アクセラレータ)』。
作中においては、『ベクトル』書き、『向き』とルビが振られており、運動量の方向を自在に操る能力なのであると理解できる。勘違いされがちではあるが、あくまでベクトル、それも向き限定の能力であり、スカラーの操作は行えない。
なので、より正確に記すると「運動量の絶対値は操れないが、持っている方向を操ることができる」能力となる。
普段は『反射』に設定されていて、生きる上で必要でないものや有害なモノは全て自動で無意識に反射される。
あくまでベクトル操作にすぎない為、余所からベクトルを集めても動かせる限界なども当然存在する。「1の力を無限には出来ない」という事である。
物理的な接触に対しては事実上無敵の力を持つため、最強と言われることもあるが、垣根帝督の『未元物質』は絡め手が用いられた事もあり、初見では反射できなかったほか、木原数多のように技術と体術ですり抜けた者もいる。
それらとは別に、魔術に対しては上手く力が働かず、当初は攻撃を逸らす事で凌いでいた。
科学天使であるヒューズ=カザキリに関しては彼女の根源がAIM拡散力場であった為、ある程度通じたが、根源が『天使の力(テレズマ)』であり圧倒的な力を持つ『神の力(ガブリエル)』の『一掃』には全く力が通用しなかった。その他にもエイワスの謎の力に対しては認識すら出来ず、全く異なる次元の能力で反射そのものを全て無効化されていた。
脳を損傷する以前は「世界が滅んでも自分だけは立っていられる」と豪語していたが、彼はあくまで人間であるため、飢餓・酸欠などの状況に陥れば当然ながら無事では済まない。さらにバッテリーの限界時間も考慮すると、絶対無敵の能力でないことが窺える。
しかし、ベクトル操作等の能力は単なる付加価値に過ぎず、彼の能力の本質は『自身が観測した現象から逆算して、限りなく本物に近い推論を導き出す事』・・・能力名が示す通り、粒子加速機(アクセラレイター)の如き演算能力である事が判明する。
宇宙の始まりとされるビッグバンも、未だに大爆発そのものが証明された訳ではない。
爆発直後にあったであろうと仮定される、いくつかの物理的な現象が巨大なリング状の粒子加速装置内で再現・確認されただけだ。 物理学者はそこから逆算していき、原初の爆発を可能な限りリアルに頭の中で思い浮かべる作業を繰り返し、細部を少しずつ詰めていく訳である。
同じ事をすれば良い。
力の『向き』を集中制御して攻撃力に変換するスキルなど、単なる付加価値に過ぎない。おそらく彼の存在理由の核はここにこそ眠っている。
その能力の名を。
自然とつけた時点で、きっと自分は本能的に知っていた。一方通行はもう一度、それを改めて強く自覚し直しただけだ。とある魔術の禁書目録22巻 第十一章 『黄金に輝く天空にて』 P.121地の文から抜粋
一方通行がこの名を冠したのは、自身の能力の核たる部分を本能的に知っていたため。作中では、未元物質や羊皮紙をはじめとする未知の存在の解析・再定義において、その力を垣間見る事が出来る。
副次的な問題点として、戦闘時は超能力に頼りきっているため身体能力が低く、単純な肉弾戦では上条のストレートを一発もらっただけで吹っ飛んでしまう程に弱かった(もっとも上条のパンチは常人のそれよりはるかに強力なのだが)。暗部で活動するようになってからは、銃器の使用を学んだりと改善傾向にある。
無意識のうちに紫外線なども反射しているためかホルモンバランスが崩れ、髪は白くて眼は赤、体つきも男か女かわからないものになっている。⇒ 鈴科百合子
原作13巻(アニメでは2期22話)の木原数多戦で発現した、一方通行の新たな能力。戦闘で発現したのは木原数多戦、垣根帝督戦、エイワス戦、ロシアでの上条当麻戦の4回。
一方通行の意思が変調を来した時に発現する。先述の<ベクトル操作>との因果関係は不明。
この力を発現してる時の彼は、翼の色の通りどす黒い「殺意」に塗りつぶされており、相手に対し一切の容赦がない。ただし、上条当麻戦においては、彼の意志によって再優先すべき打ち止めへの安否を気遣う感情があったため、比較的理性を持って行動・思考していた。
この状態であってもベクトル操作は可能であり、垣根帝督と対峙した際には黒い翼の持つ未知の領域から発生した『何らかのエネルギー』を操作して、垣根を一方的にたたき潰している。逆にエイワスに対してはこの状態でも一切の攻撃が通じず、完敗している。インデックスによれば力場としては『天使の力(テレズマ)』に酷似していたが、実質が異なるものであったとのこと。エネルギー量は聖人ですら操りきれるか分からないレベルにまで達していた。
この能力と『レベル6(絶対能力)』は別ラインである様子を伺わせている。レベル6が現状では到達不可能なのに対して、こちらはヒューズ=カザキリ・打ち止め・一方通行を三位一体とする事で達成できるらしい。
原作22巻 - 第三次世界大戦の終局、生まれ変わったかのように一方通行の黒い翼は純白の翼へと変化し、頭上に純白の光臨が発生した。 黒い翼ですら謎が多い力であった為、こちらは更に謎に包まれているが、本質的にはやはり禁書世界に存在する最強存在『天使』と同一のものである可能性が高い。
天使の持つ音速を遥かに超える超高機動性と莫大なテレズマを保持している。
その力の一端として、
という描写がされている。
こちらは自動人形となっている十字教の天使と異なり、一方通行の意識は残っており、ヒューズ=カザキリと同じ状態と言える。この状態であってもベクトル操作能力は使えるが、テレズマに関しては未だ操作不可能である。
また、新約6巻でフロイライン=クロイトゥーネに打ち止めが捕食されたと勘違いした際、『グロテスクな何かに染め上げられた翼』が噴出しかけた。黒白に性質を変える翼は一方通行の心理状態からも左右されており、この時の彼の精神は狂気に満ちていた事が分かる。
しかし寸前のところで打ち止めに止められ(彼女の生存を確認し)、事なきを得た。
ロシアからの凱旋後は打ち止め(ラストオーダー)、番外個体(ミサカワースト)、芳川桔梗と共に黄泉川宅に転がり込んでいる。学園都市の『暗部』を解体させた影響で、彼が所属する『グループ』も事実上の活動休止となっている。
新約1巻ではようやく掴んだ『表』の世界の日常に溶け込む努力をしている模様。番外個体と買い物に行っただけで精神的に疲弊しており、前途多難な様子を見せた。
後に上条当麻、浜面仕上とアドレスを交換。やったね一方さんお友達が増えたよ! 上条宅にてレイヴィニア=バードウェイから上条や浜面共々、正式に『魔術』の存在、魔術サイドの構成について教わる。
ハワイでは上条に連れだって来ていた美琴と共闘。実験について彼女も「加害者」の一人と発言した。ただし、一方通行はDNAマップ提供の経緯を知らないため、美琴への認識にも若干齟齬があると思われる。当然険悪な空気だったが番外個体によると双方ツンデレなだけらしい。
二度目の垣根帝督戦では、能力によって複製された妹達と戦う事に。妹達を傷つけないとする一方通行の攻撃意欲を削いだが、駆け付けた麦野沈利の言葉で立ち直る。最後はカブトムシ05(白垣根)に『垣根帝督』としてのシステム権限を乗っ取られた垣根の崩壊に、トドメを刺す形で辛勝する。
その後、ミサカネットワークの総体意思から、今の自身の在り方に疑問を抱いている事が指摘されている。曰く、罪の償いの為に闘争の日常に浸る事を逃避としている。この傾向を踏まえ総体意思は「楽な方へ流されるな」と叱責した。
総体は『学園都市の秘密に迫る戦いに身を投じれば、何かしらの善に近づける』、『自分が地獄に落ちるのは全てを片付けてから』など、如何にも彼が陥りそうな要素を見抜き「誘導された意見だから気にすんな/return。ていうか別に格好良くも何ともないよそれ/return」と一言で両断している。
垣根帝督戦やこの総体の言葉は、今後一方通行にどう影響を与えていくのだろうか。
と思ったら新約7巻では扱い自体が悪く、浜面からフレメアの救助を任された上条を中二病全開の台詞と共にサポートするだけに留まる。
新約9巻で魔神オティヌスによって世界が消滅していたが、彼も例外ではないだろう。
また、オティヌスが上条を絶望に追い込むために創り上げた幾万・幾億もの世界の一つ「世界Ω」では美琴と完全に和解していた。というよりも、この世界では妹達は約2万人全員が生存しており、彼女達の会話から妹達事件はそもそも起こる前から一方通行に潰されていたと目される。
先述の通り、彼は打ち止めを大切にしているダーティなナイスガイである。
で、ついたあだ名が一方通報(アクセロリータ)。
他にも原作準拠での打ち止めとの関係から、一方好意(ナツカレータ)
とあるMADでの「ラストオーダーの毛布を剥いだ後警察を呼ばれピーポーピーポーの例の音をBGMに超ダッシュで逃げるシーン」で作られた物だと思われる、一方通報(サツヨバレータ)
同じく上記のシーンでサツからバックレタ(逃げてるだけであり、約束もしていないのでばっくれる、という言葉の意味としては正しくは無いが語呂がよければ全てよし!)ので一方逃走(バックレータ)
他にも、MADなど各種動画にて独自の呼び名が登場している。が、中でもロリコン扱いはもはや定番ネタとなっており、ロリコン四天王の一角に挙げられるほどである。
当然ながら、あくまでネタである。彼が本当にロリコンであると作中で示唆されたわけではない。
また、結標淡希と戦った際に「こっから先は一方通行(いっぽうつうこう)だ」という台詞を放った動画が有名であるが、特に決め台詞として定着しているわけでもない。
原作小説8巻では「侵入は禁止ってなァ!!」と続いていたりするが、残念ながらアニメ二期ではカットされている。その事を残念がっている彼のファンもいるとかいないとか。
「とある魔術の禁書目録」「とある科学の超電磁砲S」それぞれで初登場した回(公式チャンネルより)
音MADについては「クソヤロイド」の記事を参照してください。
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