二冠馬とは、競馬において3歳時に走る三冠競走のうち2つを勝利した馬のこと。
本項ではJRA(日本中央競馬会)のそれについて解説する。
日本の中央競馬では、3歳限定GⅠの皐月賞・東京優駿(日本ダービー)・菊花賞の3競走を「クラシック三冠」と呼ぶ。いずれも一生に一度しか挑めないこの3競走を全て勝利すると「三冠馬」と呼ばれ、競馬史においても特筆される記録として扱われる。達成したのは2022年までに8頭。詳しくは「三冠馬」の記事を参照。
その三冠には届かなかったものの、上記3競走のうち2つを勝利した馬を「二冠馬」と呼ぶ。歴代の二冠馬は2022年までに26頭おり、以下の通りである。
| 年 | 馬名 | 皐月賞 | 東京優駿 | 菊花賞 |
|---|---|---|---|---|
| 1943 | クリフジ | - | 1 | 1 |
| 1949 | トサミドリ | 1 | 7 | 1 |
| 1950 | クモノハナ | 1 | 1 | 2 |
| 1951 | トキノミノル | 1 | 1 | - |
| 1952 | クリノハナ | 1 | 1 | - |
| 1953 | ボストニアン | 1 | 1 | 2 |
| 1954 | ダイナナホウシユウ | 1 | 4 | 1 |
| 1960 | コダマ | 1 | 1 | 5 |
| 1963 | メイズイ | 1 | 1 | 6 |
| 1970 | タニノムーティエ | 1 | 1 | 11 |
| 1971 | ヒカルイマイ | 1 | 1 | - |
| 1973 | タケホープ | - | 1 | 1 |
| 1974 | キタノカチドキ | 1 | 3 | 1 |
| 1975 | カブラヤオー | 1 | 1 | - |
| 1981 | カツトップエース | 1 | 1 | - |
| グレード制導入 | ||||
| 1985 | ミホシンザン | 1 | - | 1 |
| 1987 | サクラスターオー | 1 | - | 1 |
| 1991 | トウカイテイオー | 1 | 1 | - |
| 1992 | ミホノブルボン | 1 | 1 | 2 |
| 1997 | サニーブライアン | 1 | 1 | - |
| 1998 | セイウンスカイ | 1 | 4 | 1 |
| 2000 | エアシャカール | 1 | 2 | 1 |
| 2003 | ネオユニヴァース | 1 | 1 | 3 |
| 2006 | メイショウサムソン | 1 | 1 | 4 |
| 2012 | ゴールドシップ | 1 | 4 | 1 |
| 2015 | ドゥラメンテ | 1 | 1 | - |
うち、クリフジは牝馬であり、優駿牝馬(当時は秋開催)も勝利している「変則三冠馬」である。
見ての通り、「皐月賞と日本ダービー」(16頭)が最も多く、「皐月賞と菊花賞」(8頭)がそれに次ぐ。なぜか「日本ダービーと菊花賞」の二冠馬は過去2頭しかおらず、グレード制導入以降は1頭も出ていない。無敗で二冠を達成したのはトキノミノル、コダマ、トウカイテイオー、ミホノブルボンの4頭。
菊花賞に出走していない二冠馬(8頭)は全て骨折や屈腱炎などの故障によるもの(うちトキノミノルは菊花賞前に破傷風で死亡)で、菊花賞を回避して天皇賞(秋)や凱旋門賞などに向かった二冠馬は今のところいない。ダービーに出走していない二冠馬2頭も故障で出走できなかった。
皐月賞に出走していない2頭は、クリフジはデビューが遅れて皐月賞に間に合わず、タケホープは弥生賞を7着に敗れて皐月賞を断念している。
なお、三冠のうち1つだけ勝った馬は「一冠馬」とは呼ばず、それぞれレース名をとって「皐月賞馬」「ダービー馬」「菊花賞馬」と呼ぶのが通例(後述の牝馬三冠についても同様)。
牝馬の場合は、同じく3歳限定GⅠの桜花賞・優駿牝馬(オークス)・秋華賞の3競走を「牝馬三冠」と呼び、3競走全てを制すると「牝馬三冠馬」もしくは「三冠牝馬」と呼ばれる。達成したのは2022年までに6頭。
なお秋華賞の創設は1996年で、1976年~1995年は三冠目はエリザベス女王杯(1996年以降は古馬に開放)、1970年~1975年はビクトリアカップ(エリザベス女王杯に役割を引き継ぎ廃止)、1969年以前は牡馬と同じ菊花賞が三冠目だった。詳しくは「牝馬三冠」の記事を参照。
このうち2競走を勝利した牝馬二冠馬は2022年までに24頭おり、以下の通りである。
| 年 | 馬名 | 桜花賞 | 優駿牝馬 | 菊花賞 |
|---|---|---|---|---|
| 1943 | クリフジ | - | 1 | 1 |
| 1947 | ブラウニー | 1 | - | 1 |
| 1952 | スウヰイスー | 1 | 1 | 2 |
| 1954 | ヤマイチ | 1 | 1 | 3 |
| 1957 | ミスオンワード | 1 | 1 | 10 |
| 1964 | カネケヤキ | 1 | 1 | 5 |
| 年 | 馬名 | 桜花賞 | 優駿牝馬 | ビクトリアカップ |
| 1972 | アチーブスター | 1 | - | 1 |
| 1973 | ニットウチドリ | 1 | 2 | 1 |
| 1974 | トウコウエルザ | - | 1 | 1 |
| 1975 | テスコガビー | 1 | 1 | - |
| 年 | 馬名 | 桜花賞 | 優駿牝馬 | エリザベス女王杯 |
| 1976 | テイタニヤ | 1 | 1 | 4 |
| 1977 | インターグロリア | 1 | 14 | 1 |
| 1980 | ハギノトップレディ | 1 | 14 | 1 |
| グレード制導入 | ||||
| 1987 | マックスビューティ | 1 | 1 | 2 |
| 1993 | ベガ | 1 | 1 | 3 |
| 年 | 馬名 | 桜花賞 | 優駿牝馬 | 秋華賞 |
| 1997 | メジロドーベル | 2 | 1 | 1 |
| 1998 | ファレノプシス | 1 | 3 | 1 |
| 2001 | テイエムオーシャン | 1 | 3 | 1 |
| 2006 | カワカミプリンセス | - | 1 | 1 |
| 2007 | ダイワスカーレット | 1 | - | 1 |
| 2009 | ブエナビスタ | 1 | 1 | 3(2位入線降着) |
| 2013 | メイショウマンボ | 10 | 1 | 1 |
| 2015 | ミッキークイーン | - | 1 | 1 |
| 2022 | スターズオンアース | 1 | 1 | 3 |
うち、クリフジは前述の通り東京優駿も勝利している変則三冠馬である。また、ダイワスカーレットとメイショウマンボは同年のエリザベス女王杯も勝利しており変則三冠とも言える。
上記6競走のほか、3歳限定GⅠとしてNHKマイルカップがあり、NHKマイルカップと三冠競走のいずれかを勝利した馬を「変則二冠馬」と呼ぶことがある。以下の3頭の例がある。
| 年 | 馬名 | NHKマイルC | 東京優駿 |
|---|---|---|---|
| 2004 | キングカメハメハ | 1 | 1 |
| 2008 | ディープスカイ | 1 | 1 |
| 年 | 馬名 | 桜花賞 | NHKマイルC |
| 2005 | ラインクラフト | 1 | 1 |
また、1947年には牝馬トキツカゼが皐月賞と優駿牝馬での変則二冠を記録している。
急上昇ワード改
最終更新:2025/12/12(金) 21:00
最終更新:2025/12/12(金) 21:00
ウォッチリストに追加しました!
すでにウォッチリストに
入っています。
追加に失敗しました。
ほめた!
ほめるを取消しました。
ほめるに失敗しました。
ほめるの取消しに失敗しました。