二軍の帝王とは、主にプロ野球において、二軍の試合では大活躍するにも関わらず、一軍では結果を残せないでいる選手を指す愛称。
概要
二軍では好成績を残しているのに、たまに一軍に上がると期待に反してさっぱり打てなかったり、別人のように打ちこまれたりして、結局は例年二軍にいる期間の方が長くなっている選手のこと。
能力は高いがメンタルが弱かったり、守備に難があって守るポジションが無かったり、同じポジションに不動のレギュラーが居たりする場合が多い。そんな選手は、ファンからは期待と諦観を込めてこう呼ばれる。また一軍の戦力が充実しているために、そもそも昇格の機会が与えられずに帝王化する場合もある(一昔前の巨人に多い)。
もちろん、帝王期間を卒業後、一軍レギュラーになる選手もいる。また移籍先で開花する場合もあるが、一軍の実績が全てのプロ野球の世界では、大半の選手は帝王のまま、そのうちひっそりと解雇されて消えていくことになる。
稀に、二軍でも大した実績を残しておらず、まして一軍出場など皆無に等しいにも関わらず、チーム事情から解雇されることなく7、8年~10数年ものあいだ二軍に居座り続ける選手がいる。それらは「○○の妖精」(○○は二軍の本拠地名が入る)と呼ばれる。
主な帝王
現役の帝王 ※2013年シーズン終了時までのプロ歴年数と一軍通算成績を付記している。
イースタンリーグ
- 加治前竜一(読売ジャイアンツ) 通算6年、一軍出場109試合(130打席 打率.210)
- 隠善智也(読売ジャイアンツ) 通算7年、一軍出場65試合(92打席 打率.230)
- 大田泰示(読売ジャイアンツ) 通算5年、一軍出場59試合(143打席 打率.197)
- 神戸拓光(千葉ロッテマリーンズ) 通算8年、一軍出場92試合(176打席 打率.198)
- 横川史学(東北楽天ゴールデンイーグルス→読売ジャイアンツ) 通算7年、一軍出場169試合(419打席 打率.213)
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柳田殖生(中日ドラゴンズ→横浜DeNAベイスターズ) 通算8年、一軍出場46試合(48打席 打率.174)
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小斉祐輔(福岡ソフトバンクホークス→東北楽天ゴールデンイーグルス) 通算8年、一軍出場131試合(262打席 打率.225)
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中川大志(東北楽天ゴールデンイーグルス) 通算5年、一軍出場10試合(31打席 打率.097)
- 糸数敬作(北海道日本ハムファイターズ) 通算6年、一軍出場27試合(先発登板25 防御率5.12)
- 尾崎匡哉(北海道日本ハムファイターズ) 通算11年、一軍出場21試合(36打席 打率.176)
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鵜久森淳志(北海道日本ハムファイターズ) 通算10年、一軍出場119試合(216打席 打率.225)
ウエスタンリーグ
- 會澤翼(広島東洋カープ) 通算7年、一軍出場125試合(254打席 打率.188)
- 迎祐一郎(オリックス・バファローズ→広島東洋カープ) 通算14年、一軍出場295試合(571打席 打率.197)
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竹原直隆(千葉ロッテマリーンズ→オリックス・バファローズ) 通算9年、一軍出場357試合(890打席 打率.204)
- 2005年イースタンリーグ本塁打王、2012年ウエスタンリーグ本塁打王
帝王を卒業した(と思われる)現役選手
- 畠山和洋(東京ヤクルトスワローズ)
- 角中勝也(千葉ロッテマリーンズ)
- 赤松真人(阪神タイガース→広島東洋カープ) ※阪神時代
- 吉川光夫(北海道日本ハムファイターズ)
- 中田翔(北海道日本ハムファイターズ)
- 新井良太(中日ドラゴンズ→阪神タイガース) ※中日時代
- 森岡良介(中日ドラゴンズ→東京ヤクルトスワローズ) ※中日時代
- 松元ユウイチ(東京ヤクルトスワローズ)
- 後藤武敏(埼玉西武ライオンズ→横浜DeNAベイスターズ) ※西武時代
- 江川智晃(福岡ソフトバンクホークス)
帝王を卒業したOB選手
- 山崎武司(中日ドラゴンズ→オリックスブルーウェーブ→東北楽天ゴールデンイーグルス→中日ドラゴンズ) ※中日時代の前半
- 牛田成樹(横浜DeNAベイスターズ)
帝王のまま引退した主な選手
- 大島裕行(埼玉西武ライオンズ) 2012年引退。通算13年、一軍出場406試合(本塁打23、打点106、打率.253)
- 吉川元浩(大阪近鉄バファローズ→読売ジャイアンツ→福岡ソフトバンクホークス) 2010年引退。通算13年、一軍出場45試合(本塁打2、打点5、打率.242)
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矢口哲朗(中日ドラゴンズ) 2005年引退。通算7年。一軍出場4試合(勝敗なし、防御率7.45)
- 山下勝充(大阪近鉄バファローズ→東北楽天ゴールデンイーグルス) 2008年引退。通算9年、一軍出場196試合(本塁打2、打点29、打率.222)
- 藤島誠剛(日本ハムファイターズ) 2004年引退。通算17年、一軍出場405試合(本塁打23、打点86、打率.198)
- 小野仁(読売ジャイアンツ→大阪近鉄バファローズ) 2003年戦力外。通算7年、一軍出場36試合(3勝8敗、防御率5.77)
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斉藤肇(横浜ベイスターズ) 2000年戦力外。通算9年、一軍出場無し
- イースタンリーグ通算最多登板の227試合という記録を持つ。
- 大森剛(読売ジャイアンツ→大阪近鉄バファローズ) 1999年引退。通算10年、一軍出場132試合(本塁打5、打点16、打率.149)
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斉藤浩行(広島東洋カープ→中日ドラゴンズ→日本ハムファイターズ) 1992年引退。通算11年、一軍出場228試合(本塁打16、打点41、打率.196)
- ファーム通算最多本塁打の161本という記録を持つ。
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河野亮(ヤクルトスワローズ→福岡ダイエーホークス→中日ドラゴンズ→オリックスブルーウェーブ) 2001年戦力外。通算7年、一軍出場185試合(本塁打17、打点58、打率.234)
- 吉本亮(福岡ダイエーホークス→東京ヤクルトスワローズ) 2011年引退。通算13年、一軍出場149試合(本塁打1、打点34、打率.227)
- 仲澤忠厚(中日ドラゴンズ→福岡ソフトバンクホークス) 2012年戦力外。通算13年、一軍出場142試合(241打席 打率.203)
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金剛弘樹(中日ドラゴンズ) 2012年引退。通算8年、一軍出場27試合 (0勝1敗、防御率8.16)
- 2007年、2009、2011年のウエスタンリーグセーブ王。ファーム通算最多登板数の282試合を記録。
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中西健太(福岡ソフトバンクホークス) 2013年戦力外。通算9年、一軍出場105試合(227打席 打率.210)
- 2013年ウエスタンリーグ最多安打受賞。しかしその年のオフに戦力外に。
主な妖精
野球における「妖精」とは、一軍出場がほぼ0にもかかわらず、なぜか毎年チームに残留する選手のことを指す。
代用のききにくい捕手が、チーム事情から比較的妖精化しやすい傾向にある。
本項では、「プロ入り8年目以上で、野手なら一軍出場10試合未満で無安打、投手なら一軍登板無し」を暫定的に妖精の定義とする。7年目に突入した選手は妖精候補として記載。妖精該当選手が移籍した場合、移籍先でも一軍出場機会が無ければ記載する。
引退した妖精
- 鮫島秀旗 (東京ヤクルトスワローズ・捕手。通算14年 一軍出場8試合、6打数無安打)
- 鈴衛佑規 (広島東洋カープ・捕手。通算11年 一軍出場2試合、打席なし)
- 牧谷宇佐美 (東京ヤクルトスワローズ・投手→外野手。通算11年 一軍出場2試合、2打数無安打)
- 駒居鉄平 (北海道日本ハムファイターズ・捕手。通算8年 一軍出場1試合、1打数無安打)
- 市川卓 (北海道日本ハムファイターズ・内野手。通算8年 一軍出場7試合、4打数無安打)
- 山本翔 (広島東洋カープ・捕手。通算9年 一軍出場なし)
- 荒川雄太 (福岡ソフトバンクホークス→埼玉西武ライオンズ・捕手。通算8年 一軍出場なし)
- 田村領平 (阪神タイガース→千葉ロッテマリーンズ・投手。通算8年 一軍出場なし)
- 水野祐希 (東京ヤクルトスワローズ・捕手・8年目 一軍出場なし)
- 山本大明 (東北楽天ゴールデンイーグルス・捕手・7年目 一軍出場なし)
- 橋本良平 (阪神タイガース・捕手・7年目 一軍出場なし)
- 辻内崇伸 (読売ジャイアンツ・投手・8年目 一軍登板なし)
- 「甲子園最速左腕」も度重なる怪我には勝てず、結局1軍登板なしで引退することに。
現役の妖精・妖精候補(2013年シーズン終了時点)
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