令和6年能登半島地震(英語:The 2024 Noto Peninsula Earthquake)とは、2024年1月1日に日本の石川県能登地方で発生した大きな地震である。
なお、歴史上何度も発生している同地域の地震については「能登半島地震」の別記事を参照。平成19年(2007年)に発生した、同地域の地震については「平成19年能登半島地震」の別記事を参照。
概要・解説
この項目は現在進行中の事象を取り上げており、絶対的に内容が不足しています。
加筆、訂正などをして下さる協力者を求めています。
なお、津波情報や避難所の開設状況、交通機関の運行状況など、より最新の/正確な情報については、テレビ・ラジオの報道や防災無線、公的機関のWebサイト・SNSアカウントなどを参照してください。
本地震は日本時間で2024年1月1日、16時10分ごろに発生した。震源は輪島市から東北東へ30kmほどの珠洲市北部。深さはごく浅く、マグニチュード7.6・最大震度7と大規模地震に分類される。震度7を石川県羽咋郡志賀町香能および輪島市門前町走出で観測したほか、震度5弱以上も広い範囲で観測され、各自治体(他の地方)の新潟県・富山県・石川県(加賀地方)・福井県・長野県・岐阜県に影響が及んだ。
16時06分、最初に震度5強の地震が発生した。NHKではサッカー日本代表の試合のテレビ中継中で、試合終了後の森保一監督へのインタビューが行われていた。その最中緊急地震速報が発令され、即座にニュースへと切り替わった。
そしてそのすぐ後に再び緊急地震速報が発令され、最初の地震を上回る震度7の大地震が発生。津波警報・大津波警報も発表され、最大5m程度の津波の到達予想とともに避難が呼びかけられた。大津波警報が発令されたのは2011年(平成23年)3月11日の東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)以来13年ぶりとなる。
この地震は、気象庁によって発生当日中に「令和6年能登半島地震」と名付けられた。また、被災地の地元新聞である『北國新聞』や被災した自治体の広報などで「1.1大震災」という呼称を用いている例もある。
余震も多数発生し、気象庁の発表によれば1月1日16時~2月8日8時の間に発生した震度1以上の地震は1608回とされている。なお、2020年12月から能登半島では地震活動が活発化しており、2021年9月にはM5.1・最大震度5弱、2022年6月にはM5.4・最大震度6弱、2023年5月にはM6.5・最大震度6強の地震(奥能登地震)が発生している。気象庁が名付けた「令和6年能登半島地震」という名称は、これらの2020年12月以降の一連の地震も含めて名付けられたものとなっている。
被害
概要
24年7月の時点で、石川県からの発表として死者299名・負傷者1209名・安否不明者3名・住家被害約8.6万棟とされる。富山県では負傷者54名・住家被害2.1万棟、新潟県では死者2名・負傷者52名・住家被害2.2万棟と発表されている。
地震発生時点で複数の建物の倒壊が確認されたほか、石川県輪島市では大規模な火災が発生した。また、新潟県などで液状化によると思われる被害も報じられた。加えて北陸新幹線や、北陸自動車道の一部区間、能越自動車道などの交通機関も運転見合わせ・通行止めとなり、停電や断水、通信障害も発生した。
個別事例
本節では被害の事例を震源に近い順に列挙する。
奥能登(輪島市・珠洲市・鳳珠郡)
震源より半径50kmほどの範囲について述べる。
- 液状化現象によって激しい地盤沈下が生じた。周辺の地面が沈下したことでマンホールが"路面から飛び出る"現象が報道された。
- 輪島市河井町ではビルの倒壊が確認された。7階建てのビルが根元から横倒しに倒れ、隣家を押しつぶすという凄惨な事態となった。
- 同市同町で大規模な火災が発生。一晩中延焼が続き、7.8ヘクタール・200棟ほどが焼け、焼け野原と言って過言ではない範囲で建物が焼失した。
- 朝市通り。観光名所で季節の折々の海産物販売で賑わっていた。前述の火災の中心であり、元日夜から一昼夜延焼の状況が報じられた。
- 永井豪記念館が焼失。2009年に開館し、同氏の創作キャラクターグッズや原画などを展示していた。展示棟の防火対策が奏功したか、原画やフィギュアなどの収蔵品は現存が確認されている。
- 輪島ドラマ記念館。能登半島は2015年連続テレビ小説の「まれ」の舞台であったことから2016年に建設された。シンボルでもある「まれケーキ」のオブジェが奇跡的に無傷であった他は建屋は全焼した。
- 陸・空の便共に大きな影響を受けた。
- 七尾市御祓町から鳳珠郡穴水町までをつなぐ「のと鉄道七尾線」は線路施設の損傷により全線運休となった。七尾駅~能登中島駅は2月15日に再開。能登中島駅~穴水駅間は4月6日に再開した。
- 能登空港では滑走路上にひび割れが生じ、羽田空港との運航は終日欠航。1月末から臨時便として本数を限った運航となっており、震災以前のような定期便は4月以降もめどが立っていない。
- 能登半島北岸で大規模な隆起が発生。日本地理学会の検討では海岸一帯の隆起により4.4平方キロメートルが露出したとされた。海岸線が移動したことにより使用できなくなった漁港が複数確認された。
中能登・口能登・富山県北部
震源より50~100kmほどの範囲について述べる。
- 羽咋郡志賀町にある志賀原子力発電所では冷却ポンプが一時的に停止していた。また、新潟県の柏崎刈羽原発では燃料プールから水が溢れるなどしていた。いずれの原発も、放射性物質の建屋外の屋外流出や被害確認はされていない。
- 七尾市にある「ゲームセンターベティ」。店舗、所蔵筐体及び店主自宅が壊滅的被害を受け4ヶ月間休業、3月29日に営業を再開している。店舗は漫画「君は放課後インソムニア」に登場する聖地として知られる。
- 七尾市にある温泉旅館「和倉温泉 加賀屋」は旅館外壁が大きく剥がれるなどの被害を受けた。「加賀屋」を含む加賀屋グループ所属旅館全館で営業休止を決定。26年中の再開を目指している。
- 富山県では建物の損壊・家具や灯籠などの倒壊で多くの負傷者が出た。射水市では大規模な断水が発生し、約1万世帯に影響が及んだ。道路の崩壊も生じており、国道359号線・471号線では道路の崩落・電柱の傾きなどが起こり、区間通行止めが行われた。
- 富山城址公園では、地面に亀裂が入るなどの被害を受けたが、公園内にある富山市佐藤記念美術館及び富山市郷土博物館は、年末年始の通常休館後に通常通り開館している。
- 北陸新幹線は地震発生時から長野駅から金沢駅までの間を運転見合わせとした。金沢と富山の間で列車4本が停止し、1400人が車内で復旧を待つこととなった。翌日2日11時には運転を再開し、15時に全線復旧した。
- JR七尾線の金沢~高松間は再開後は減便運行していたが、高松~羽咋間が1月15日、羽咋~七尾間が1月22日に再開。残る七尾~和倉温泉間は2月15日に再開。特急については地震直後から全線運休していたが、大阪-金沢-和倉温泉を走る特急「サンダーバード」は3日には金沢、22日には七尾、2月14日には和倉温泉まで復旧し全線再開している。特急「能登かがり火」は22日から金沢~七尾、2月14日から和倉温泉までを再開(ただし一部車両の発着駅は異なる)。特急「花嫁のれん」は7月時点でも全線運休となっている。
- JR西日本は1月2日に大阪~金沢間に臨時特急列車を運行。奇しくもこの区間の特急が「サンダーバード」であったことから、このJR西日本の早期復旧や特別対応を同名テレビ番組に擬える者も多かった。
- 元北陸本線の第三セクターIRいしかわ鉄道、あいの風とやま鉄道も3日以降順次通常運行を再開している。
加賀地方・他
- 河北郡内灘町では液状化現象が発生。道路が地盤沈下したり電柱が倒壊するなどして、生活に支障をきたす被害が出ている。西荒屋・室(むろ)地区にて顕著な被害が報告された。
- 金沢市田上新町では住宅地斜面が崩れ、住宅4棟が全壊。市は32世帯89人へ避難指示を出した。
- 金沢城では「いもり堀」石垣など4か所で石垣崩壊が確認された。地震後、2日から兼六園とともに臨時休園をしていたが、兼六園は5日8時より通常開園した。
- 新潟県新潟市ではJR越後線に被害。越後赤塚駅から関屋駅の間で運転見合わせとなり、復旧に5日を要した。
- JR西日本では氷見線(富山県)・大糸線(新潟県)が設備損傷でいずれも1月5日まで運転を見合わせた。
社会への影響
Web・SNS
- X(旧Twitter)をはじめとするSNSでは救助要請の旨が投稿された。この中にはデマや既に救助完了したものもあり、安易な拡散は控えるべきとの声明が出されている。この他にも東日本大震災時の映像を使った津波デマ、理論根拠のない人工地震陰謀論、他国での心ない投稿を翻訳して対立を煽るようなアカウントも確認されている。
- X(旧Twitter)ではかつて、東日本大震災や熊本地震の教訓として「#被災地いらなかった物リスト」「#震災時役に立ったもの」といったタグが作られていた事もあるので、これからボランティア活動や物資支援を行おうと考える人々は今一度これらを確認してみると良いかもしれない。
- 特に前者では、毎回のように送られてくる千羽鶴、寄せ書き、古着、生鮮食品などの処分には困り果てたという声が多数あるので、決して同じ轍を踏まないようにしよう。
- 後者では、ベビー用品、女性用生理用品などは不足しがちであったことが語られている。水分やトイレ用品も同様であるが、こちらは基本的に公的支援による配給が行われるため個人支援は全く不要だったとの声も多数あった。
- へずまりゅう・煉獄コロアキ・ガッツch今野蓮などの(所謂"迷惑系")YouTuber、山本太郎・佐藤まさゆきらの現役議員、津田大介ら著名人の行為が問題視された。石川県は震災直後から個人の支援活動を“現時点では受け入れない”と表明していたが、彼らはSNSや街頭活動を通じて「個人的な現地入り」を行うと高らかに宣言していた。彼らのアカウントにも「石川では受け入れを拒否している」「現地の道路事情が悪く、行くだけで渋滞を誘発する」という旨の意見や忠告が何度も送られていたが、彼らは基本的に聞く耳を持っていなかった。
テレビ・ラジオ
- 元日に発生したこともあり、放送中の元日特番は報道特番に差し替えられて打ち切られた。その後の夜に放送予定だった元日特番も一部は取りやめ・延期となったが、18時半から「出川哲朗の充電させてもらえませんか?」(テレビ東京系列)を皮切りに、民放は津波警報の地図テロップ付きで徐々に当初の編成に復帰していった。NHK総合では報道特番を長く続けたが、翌日の21時の「歴史探偵」から被災地の地方局を除いて通常編成に戻った(当時のX(SNS)より)。
- しかし、1日23時に誤報として震度7の緊急地震速報が発せられると、一部の局で再び臨時ニュースに切り替わった。テレビ朝日系列ではドラマ「相棒 Season22」第10話を放送中であったが中断、一部が未放送となった。3月27日に再放送された。
- WOWOWシネマでは1月1日に映画「すずめの戸締まり」のテレビ初放送が行われた。作中に震災を想起させるシーンがあるが、放送冒頭に注意テロップ表示と津波情報の地図を常時掲示の上で、本編へ特に編集なく放映された。
- 基本的に有料のBSやCSの衛星放送は一部の局で速報テロップが出る以外は当初の予定通り編成で構成されていた。但し、無料BSデジタル放送や日テレプラスなどの民放系直系のCSチャンネルはニュースに切り替わっている。
- 1月3日にEテレにて放映予定だった「映画大好きポンポさん」は震災ニュースへ代替されて放送日が変更された。予定では副音声にてオーディオコメンタリーを同時放送することになっており、震災関連ニュースで副音声利用の可能性があるためである。同様の理由で1月6日の「キングダム」第5シリーズ第1話も放送延期となった。
- ラジオ放送においては、AM放送では、ニッポン放送が地震直後の時間帯の番組を変更して20時頃まで帯番組を臨時ニュースに切り替え、被害状況や津波情報を伝えている。TBSラジオは18時からJRN報道特別番組を放送した。FMではTOKYO FMが20時~24時までを報道特別番組に切り替えてニュースを報じた。
- 直接的被災地域の局である北陸放送・北日本放送・新潟放送・FM-NIIGATAは通常放送を中断して地震関連の情報を伝えている。なお、エフエム石川やFMとやまでは「A・O・R」など通常編成の放送を届けている。
交通機関
- ジェットスター・ジャパンでは前年12月22日から労働組合によるストライキが行われており、1月7日まで実施する予定であった。しかし、地震の影響で2日から中止となった。
- 1月2日17時47分頃、東京国際空港(羽田空港)にて衝突事故が発生した。C滑走路上にて「着陸直後の日本航空の航空機」と「離陸しようと待機していた海上保安庁の航空機」が衝突・炎上。日本航空側は乗客・乗員全員が脱出したが、海上保安庁側は乗員6人中5人が死亡した。海保機は地震の支援物資を輸送するために、新潟航空基地に向かう予定であった。
イベント・催し
- 1月2日には皇居にて「新年宮中一般参賀」が執り行われる予定であったが、地震の発生により中止となった。
- 顕著な被害を受けた県にて音楽ライブなどの公演が延期される事となった。(Dragon Ash, Travis Japan, アイドルマスター シンデレラガールズなど)
時系列
気象庁、特務機関NERV、内閣府および石川県の発表、報道機関刊行物より抜粋。
- 2024年1月1日
- 16:06 石川県能登地方にてM5.7の地震発生。珠洲市にて震度5強を観測。
- 16:10 同地域にてM7.6の地震発生。志賀町(しか-まち)にて震度7を観測。
- 16:12 津波警報発令。
- 16:22 石川県能登を対象に津波警報が大津波警報へ変更。気象庁の第1報より。
- 第2報にて本地震活動を「令和6年能登半島地震」と定めたと発表
- 16時 自衛隊による災害派遣を実施(16:30)。石川県知事からも災害派遣要請が出され、受理される(16:45)。
- 20:30 大津波警報から津波警報へ切り替えられる。対象は山形県・新潟県・佐渡・富山県・石川県・福井県・兵庫県北部。気象庁の第3報より。
- 22時 新潟県・富山県・石川県・福井県は47市町村への災害救助法の適用を決定。内閣府の第2報より。
- 1月2日
- 1:15 全ての津波警報が津波注意報に切り替え。
- 10:00 津波注意報を含めた全ての津波関連の注意情報が解除される。
- 1月3日
- 午後 官房長官臨時記者会見。石川県の発表によれば死者62名・重傷者26名・軽傷者110名とされていることを発表。
- 21時 石川県危機管理監室より安否不明者リストを公表。
- 1月5日
- 14:00 石川県危機管理監室より現在の被害状況の第15報が発表。死者94名・負傷者464名・安否不明者222名・住家被害356棟とされる。
- 1月6日
- 16:00 県知事から非常事態宣言が発出。全県庁職員が災害対策を行うこととした。
- 1月11日
- 本地震を激甚災害として指定することが閣議決定。関連する法律・政令と併せて公布・施行される。
- 1月19日
- 10:15 首相は本地震を「非常災害」に指定。大規模災害復興法に従いインフラ工事が国・県が代行できるようになった。
- 集落孤立がほぼ解消。この時点での被害は死者232名・負傷者1061名・安否不明者22名・住家被害約3万棟とされる。
- 1月27日
支援・寄付
これを読まれる、罹災地域以外にお住まいの方へ
- 2024/03/24 現在、石川県では個人からの義援物資を受け付けていない。
- 企業または団体からは受け付けている。手続きについては県ホームページを参照されたい。
- ボランティアは特設サイトにて募集状況が随時更新されている。参加を希望される方は募集要項を確認の上ご登録願いたい。
- 2024/02/23 現在石川県は、個人での能登地方へ不要不急の移動を控えることを、強くお願いしている。これは渋滞予防・緊急車両の優先・未舗装道路などでの二次災害を予防するためである。一部区間の道路ではによる交通規制が行われている。
各地の義援金募集の動き
日本各地で、義援金の募集窓口が設置されている。なお、義援金募集を詐欺手口とする火事場泥棒まがいの悪質な窓口も存在するため、義援金は以下の公的で被災者の方々へ使われることを表明している窓口へ振り込むことを要推奨する。
なお、石川県などの各自治体特設義援金口座に2000円以上振り込むと、確定申告の際に2000円から超える部分が所得税法や地方税法の法令によって所得税や住民税の一部控除が受けられる。なお、控除額には限度があるので注意してほしい。
ニコニコ公式の募金動画
1月5日14時に、ニコニコ公式から募金を呼びかける動画が投稿された。この動画にギフトを贈呈することによって、被災地への寄付金として贈呈される仕組みである。
募金は2024年1月5日~2024年2月29日に渡って行われ、ニコニコ運営が算出した結果5,041,130ポイント(円相当)のギフトが集まった。
3月19日、栗田穣崇氏から日本赤十字社へ上記「ギフトの量に応じた金額」の寄付報告とお礼の言葉が公開された。また、4月18日にこれまでの動画ギフトによる寄付に対してその功績が認められ、日本赤十字社より金色有功章が贈られたことも公開された。
これらの内容は各ニコニコインフォにても公開されている。
⇒詳しくはこの動画記事を参照
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関連項目
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