奥能登地震(おくのとじしん)とは、2023年5月5日に石川県珠洲市を襲った激震のことである。広い意味では(7ヶ月後の)令和6年能登半島地震の前震と考えられる。
2023年5月5日14時42分頃、石川県の奥能登地方(能登半島の最北部・最奥部・先端部のこと)を襲った激震。震央は北緯37°32.3′・137°18.2′。震源の深さは12km。地震の規模(マグニチュード)はM6.5。震源に近い石川県珠洲市で震度6強の激震を記録し、震害も同市に集中した。
石川県能登では長周期地震動階級3を観測した。震度6強を観測した珠洲市のKiK-net珠洲観測点では729gal(三成分合成)の加速度を観測した。防災科学技術研究所が発表した面的推定震度分布によると、珠洲市狼煙漁港付近では震度7相当の揺れとなっていた可能性がある。
この地震は内陸地殻内地震(内陸直下型地震)であり、発震機構は北西-南東方向に圧力軸を持つ逆断層型であった。本震から約7時間後(21時58分)にM5.9の最大余震が発生した。
珠洲市を中心とする奥能登地方に被害が集中したことから、石川県は本地震を「令和5年奥能登地震」と命名した。
GNSS観測によると、この地震に伴って、珠洲市のSZMT観測点(京都大学防災研究所)で西南西方向に9cm程度、M珠洲笹波観測点(国土地理院)で南西方向に8cm程度の移動、M珠洲狼煙観測点(国土地理院)で11cm程度の隆起などの地殻変動が観測された。また、陸域観測技術衛星2号「だいち2号」が観測した合成開口レーダー画像の解析結果によると、震央周辺では最大20cm程度衛星 に近づく地殻変動が検出された。
能登半島では2020年12月から地震活動が非常に活発な状態が継続しており(群発地震)、本地震はその活動の一部に過ぎない。本地震の1年前(2022年6月19日)にも最大震度6弱(M5.4)の地震がほぼ同じ場所で発生しており、これは奥能登地震の前震とみなすこともできる。さらに7ヶ月後(2024年1月1日)には、やはりほぼ同じ場所で震度7(M7.6)の巨大地震(令和6年能登半島地震)が発生。こちらが本震だとすれば、奥能登地震は広い意味での前震と考えられる。
すなわち奥能登地震は、発生当時は(令和6年能登半島地震が発生するまでは)2020年12月から続く能登半島(奥能登)の群発地震活動のうち最大の地震であったが、この記録は7ヶ月後にあっさりと塗り替えられてしまったわけである。
なお気象庁は、2020年12月から能登半島で続いている一連の地震活動(2022年6月の地震や2023年5月の奥能登地震を含む)および2024年1月に発生した巨大地震について、包括的に「令和6年能登半島地震」と命名している。
震度6強を観測した珠洲市正院町とその周辺に被害が集中した。正院町では65歳の男性がはしごから転落して死亡したほか、木造住宅の倒壊やタンスの転倒などによる負傷者が出た。 気象庁機動調査班(JMA-MOT)が実施した現地調査によると、震度6強を観測した正院町の震度観測点の周辺(観測点から概ね200m以内の範囲)では、次のような被害状況が確認されている。
石川県は、2市1町(輪島市・珠洲市・能登町)に対して災害救助法の適用を決定した。揺れが強かった地域では、激震で神社の鳥居が倒壊したり、国道249号などで落石や崖崩れが発生したりした。前年から強い揺れを伴う地震が続いていたため、修復完了直後の施設が再び被災したケースもあった。正院町小路の羽黒神社では2022年6月の地震により根元にひびが入っていた鳥居(高さ約4m)が完全に倒壊するなどした。鳥居は須須神社や須受八幡宮などでも倒壊したほか、2022年6月にも震度6弱の地震で被災している観光地の見附島では再び土砂が大きく崩落した。
ゴールデンウィーク中に発生した大地震ということもあり、北陸新幹線が一時運転を見合わせるなどの交通網の麻痺が混乱をもたらした。なお、震源から遠く離れた大阪では、震度はわずか1〜2にすぎなかったが、あべのハルカスのエレベーターが1時間ほど停止するなどの影響が出た。震度3を観測した富山県魚津市にある遊園地では観覧車の中でも揺れを感じた。
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最終更新:2024/12/22(日) 00:00
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