俺も鼻が高いよとは、インターネット上で「定型句」的に用いられる言い回しのひとつであり、いわゆるネットミーム。
ネットミームとして以外でも、普通に日本語として誰もが使いうる言葉ではある。例えば「以前から指導してきた相手が、その指導を元に大きな業績を成し遂げてくれた」ときなどには、相手を賞賛しつつ自分の喜びを伝える際に「指導者として俺も鼻が高いよ」と言った台詞を述べることもあるだろう。
だが、ネットミームとしては「ちょっと気持ち悪く厄介なオタクの台詞」といった感じで使用されている。
例えば「あまり有名でなかったころから自分が推していたアイドルが、最近広く人気を集めてきた」といったようなときに、「あの○○がこんなに人気になるなんてな。俺も鼻が高いよ」といったような感じで使う。別に対象がアイドルではなく、声優やYouTuberやアニメ・漫画・ゲームのキャラクターなどでも構わない。
時には人物・キャラクターではなく作品そのものに対しても使われる。「この作品がこんなに人気になるなんて昔から推していた俺も鼻が高いよ」といった感じである。
「人気になったことにお前関係なくない?」「なんでお前の鼻が高いんだよ」というツッコミが生じそうなセリフである。だが以下の元ネタでも既にそういった扱いであり、要するに「謎に彼氏ヅラをしだす気持ち悪いオタク」として自虐的におどける台詞として使われている。
おそらく直接的な元ネタは、漫画作品『トマトイプーのリコピン』の、『週刊少年ジャンプ』の2017年51号に掲載された「キュートピアのアイドル」の回(単行本1巻に収録)にて、色んなアイドルオタクを紹介するコマにおいて登場していた「後方彼氏ヅラ」であると思われる。
この「後方彼氏ヅラ」は、アイドルのステージパフォーマンスを後方の隅の方で腕組みをして見守りつつ(おれも鼻が高いよ)と考えている……というちょっと痛いアイドルオタクで、以下のような説明文が付されていた。
後方彼氏ヅラ
全然彼氏でもないくせに
まるで彼氏のように「へぇ頑張ってんじゃん」と
アイドルを見守る
ポストを読み込み中です
https://twitter.com/rintake_Aya/status/931440749895438336
この元ネタでは「おれ」はひらがななのだが、ネットミームとしての使用例では「俺」と漢字表記されていることの方が多いようだ。
ちなみにこの『トマトイプーのリコピン』のこのコマには更なる元ネタがあるようだ。2016年に発売された書籍『アイドルとヲタク大研究読本』内に掲載されている「ガチ恋王道系」オタクを解説する図解がこのコマとかなりよく似ており、これを参考にしていると思われる。
ポストを読み込み中です
https://twitter.com/idoltootaku/status/727704730747600896
こちらでも「後方彼氏ヅラ」オタクが登場しており、「アイドルのステージパフォーマンスを後方の隅の方で腕組みをして見守っている」という点も共通。吹き出しの台詞は「今日も頑張ってんな」というものだった。
ちなみに「別に自分が鼻が高くなるような要素はあまりないのに、推している対象が賞賛や注目を集めているとなぜか「俺も鼻が高いぜ」と考えてしまう」という現象は古くから存在するものであるようだ。
以下の引用文は1902年に出版された内田魯庵の小説集『社會百面相』(社会百面相)に収録された小説『犬物語』の一節である。
嬢様(ぢやうさま)のお美(うつ)くしいのは番長名代(ばんちやうなだい)のもので學校(がくかう)でも一番(いちばん)だ。街路(わうらい)の人(ひと)が、若(わか)い者(もの)は勿論(もちろん)爺(ぢい)さん媼(ばあ)さんまでが顧盼(ふりかへ)つて見る。随行(おとも)の俺(おれ)までが鼻(はな)が高(たか)いんだ。[1]
この独白をしているのはお金持ちの飼い犬で、「嬢様」とはそのお金持ちの令嬢であり、この犬はこの令嬢が外出するときにお伴をしており、ボディーガードのつもりであるらしい。彼氏ヅラというか騎士(ナイト)ヅラといったところか。
ただし、飼い犬であるということはこの犬と令嬢は一種の家族とも言える関係であるからして、上記のような「ただのファンなのに彼氏ヅラをしている」オタクよりは「鼻が高い」と思う権利がありそうだ。
急上昇ワード改
最終更新:2025/12/13(土) 20:00
最終更新:2025/12/13(土) 19:00
ウォッチリストに追加しました!
すでにウォッチリストに
入っています。
追加に失敗しました。
ほめた!
ほめるを取消しました。
ほめるに失敗しました。
ほめるの取消しに失敗しました。