全ての人を納得させる難しさとは、2人の老夫婦とロバが登場する、「何をやっても全員を納得させることは難しい」ということを表す漫画である。
元ネタは1470年ごろに刊行されたポッジョの『笑話集』に収められた[1]、「ろばを売りに行く親子」という話である。もともとは登場人物は老夫婦ではなく、粉ひきとその子供だった。日本ではこの話が小学校3・4年の道徳教材に使用されている。
これを4コマ漫画に編集した画像がインターネットで出回っている。
そして、この漫画の下には「全ての人を納得させる難しさ。」と大きく書かれている。
この漫画の出所は不明である。英語では「This is our society!」と呼ばれるなど、様々な言語に翻訳されてインターネット上に掲載されている。日本では2015年3月から、上記のツイートをきっかけとしてTwitterを中心に広まった。
原典のストーリーでは左上と右下のコマが逆で、最初は2人とも歩いている状態だった。「元気な若者が楽をするな」「子供を歩かせるのはかわいそうだ」など、登場人物が親子であるためセリフに若干の違いもある。
漫画では省略されているが、原典にはその後の結末もある。「2人を乗せたロバがかわいそうだから、獲物を運ぶように、棒にロバの足をくくりつけて運んだらどうか」と言われた親子はその通りに運んだ。しかし、不自然な姿勢を嫌がったロバが暴れ、橋を渡っているときに縄がほどけて川に落ちてしまった。
この話が日本に伝わり、「ロバ」が「馬」になって掲載された『伊曽保物語』の「人の心さだまらぬ事」ではまた展開が異なる。通行人が「馬を持つより、皮だけをはいで運んだ方が軽くなるだろう」と言った結果、親子が実際に馬からはいだ皮を運び始めた。しかし、目や口が開けられないほどハエがたかって運べなくなってしまう。周りの人に笑われ、腹を立てた親は皮を捨てて帰ってしまった。
「人の意見をいちいち気にするな」「周りの人の意見に流されすぎるな」という意図で使われることがあり、道徳教育でも「周囲の意見に流されない、自主や自律の大切さ」「節度や節制」をテーマに教えられることが多い。
一方で、周りの人の意見の方が本質を捉えていることもあるので、「周囲の意見を一切聞くな」ということでもない。周囲の意見に加え、自分の今までの経験や、これからの目的などを踏まえて、最後には自分で考えることが必要である。
また、「全ての人を納得させる難しさ」という言葉から、「全員を満足させる完璧な方法は存在しない」という意図で使われる場合もある。ただし大抵の場合、「その上でどうするか」を考えなければならない。
さらに、漫画の通行人たちが全て同じ人物として描かれていることから、「何をやっても批判することを目的にした人たちは批判する」という意図で使われる場合もある。
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最終更新:2025/12/15(月) 00:00
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