カーインライジング(中:嘉慶高昇、英:Ka Ying Rising)とは、2020年ニュージーランド生まれ香港調教の競走馬である。香港調教だからだいたい分かると思うがセン馬。
国外に打って出た最強馬精英大師の時代より20年余り、ついに現れた彼に迫り追い越す者。2020年代香港最強最速候補。
主な勝鞍(特筆が無いものは香港のレース)
2023/24シーズン: シャティンヴァーズ(G3)
2024/25シーズン: プレミアボウル(G2)、ジョッキークラブスプリント(G2)、香港スプリント(G1)、香港短距離三冠[センテナリースプリントカップ(G1)、クイーンズジュビリーシルバーカップ(G1)、チェアマンズスプリントプライズ(G1)]、スプリントカップ(G2)
2025/26シーズン: ジ・エベレスト(
G1)
※香港は南半球と同じく9月からの年度切り替わりのためシーズン表記としています。
父はShamexpress、母はMissy Moo、母父Per Incantoという血統。
……解説しないと何が何やらな血統だが、父系は今オセアニア地域でデインヒル王朝を崩しにかかる勢力の一つである*ラストタイクーンの流れ、その中でもニュージーランドで種牡馬として成功した……が今流行りのWritten Tycoonの系統からは外れたO'Reillyの産駒。オーストラリアのG1ニューマーケットハンデで6番人気ながら快勝したものの、それ以降はG1で2着こそあったものの勝ち星は得られなかった一発屋と言っていい馬。
母の父はオセアニアでほぼ唯一と言っていいほどに成功し定着しつつあるミスプロ系・Street Cryの産駒で、現役時代はイタリアを振り出しに欧州やアメリカで走ったものの、イタリアでG3を1勝したのみという結果に終わった。南半球では種牡馬として成功したが、それはひとえに父の功績から血を求められて牝馬が集まった結果であろう。
まあつまり、オセアニアでは去勢を受けず種牡馬になれるかは微妙な血統である。遡ればSir Tristramの代表産駒であるSovereign Red・Gurner’s Lane兄弟の全妹であるHer Dynastyに当たるので、牝系はそんなに悪くはないようには見えるが……。
さて、そんな生まれの彼はニュージーランドのGrandmoral Lodge Racingにより生産され、香港の馬主であるKa Ying Syndicateに買われて香港でのデビューに向かうこととなった。
お察しの通り、彼の名前に付いている「Ka Ying(カーイン)」は冠名である。海外では冠名は珍しい傾向にあるものの、香港では日本と同じく冠名が使われることも多いのだ(ちなみに、日本でも有名なロマンチックウォリアーの「Romantic」も冠名である。他には香港の大競走でよく見かける「Beauty」一門などが居る)。
かつてオーストラリアでベタールースンアップを手掛け、今は本国の厩舎を息子に任せて香港で厩舎を開いているデヴィッド・ヘイズ調教師に預託されたが、デビューはそこそこ遅く2023年の12月、3歳にとっくになった頃合いだった。思えばSilent Witnessもそうだった。
そのデビュー戦を主戦騎手となるザカリー・パートン騎手を背にスプリント戦では結構つけたと言われる0.45差をつけて快勝。注目されるかに思われたがクラスが上がるとWunderberに僅差で連敗する。
しかしクラスの水に慣れたか4戦目からは更に上のクラスも含めて破竹の3連勝。
シーズンの締めくくりの試金石としてG3のシャティンヴァーズに挑戦。パートン騎手を欠きカリス・ティータン騎手に乗り替わりとなったが、Flying Aceを打ち破り4連勝で23/24シーズンを飾った。やっぱりSilent Witnessっぽいな。
このシーズンはまず最上位クラスのハンデ戦で61kgを背負いつつ叩きで出走。0.21差で快勝した。もうすでにドン引きレベルに強いんじゃないか?しかし本領はここからであった。
香港スプリントへの道にあたるプレミアボウル、ジョッキークラブスプリント(ともにG2)ではそれぞれ香港のクラシック路線、Romantic WarriorとCalifornia Spangleが若き日に覇を競った路線から転向してきたHelios ExpressとHowdeepisyourloveを2着に下し快勝。ジョッキークラブスプリントではコースレコードとなる1分7秒43を叩き出し、まさに蹂躙するかのような強さを見せた。
こうなるとG1初挑戦となった香港スプリントでも当然圧倒的な1番人気となった。相手は前哨戦で2着に負かした2頭の他にも前シーズンにはドバイでアルクォーツスプリントを勝利した香港最強世代まであるRomantic Warrior世代のマイル担当にしてスプリント路線にも進出しているCalifornia Spangle、日本に春秋来襲したVictor the Winner、日本からはテスコボーイの末裔トウシンマカオ、香港で戴冠式を行った龍王・ロードカナロアの息子サトノレーヴ、破天荒の息子ルガルとメンバーが揃った。
このメンバーでさえ彼にとって大したことのない障害であったか、California Spangleの逃げを2番手から静観しつつ正攻法で仕掛けると追い込む2着Helios Expressとマジックマンがインで脚を溜め弾けた3着サトノレーヴを半馬身抑え込みG1初制覇を決めた。8連勝で一気に国際舞台に最強馬として名乗りを上げたのである。
この勝利で世界屈指のスプリンターとして世界中に名前を大々的に売ったが、次走に選んだ香港短距離三冠第一戦センテナリースプリントカップ(G1)でさらにその名声は高まる。
例年通り香港スプリントに出走した地元勢がほぼスライド出走したが、このレースの走りっぷりがまあ凄まじかった。
好スタートから積極策でハナを切ると誰も追いつけず残り150あたりで流しに入るほどの余裕で圧勝。1分7秒20のコースレコード付きで。
実況も「He is different class...(カーインライジングは格が違う……)」と感嘆するほどであり、日本でもその衝撃的な勝ちっぷりに公開調教かという意見も見られた。それでレコードなんだから困っちゃうナ。
続く三冠第二戦クイーンズシルバージュビリーカップ(G1)では主戦のパートン騎手が負傷離脱で二度目のティータン騎手への乗り替わりに加え、今までの出走は1200mまでだったため初の1400m対応を迫られるということで注目されたが、+200mの距離延長では全くもって鈍ることはなくCalifornia Spangleを行かせて差すいつものパターンで抜け出し、残り100mで迫ってきたHelios Expressの末脚を二の脚で突き放して快勝。Helios Expressはこれでプレミアボウル2着以来5連敗である。こいつさえいなけりゃG1三連勝はこっちのものだったのに…みたいな感じになってきている。
3月は4月の香港短距離三冠最終戦チェアマンズスプリントプライズを目指し前哨戦のスプリントカップ(G2)に出走。鞍上もパートンで1200mに戻ってしまえばなんの不安もなし、最早California Spangleをペースメーカーにしているかのようにいつものパターンで2番手につけ抜け出すと残り150mあたりから流し圧勝。また公開調教を世界に披露してしまった。
これで11連勝となり、無敗でこそないがあと6つでSilent Witnessの記録に並ぶほどの大型連勝に伸ばした。ちなみに2着Helios Expressは対カーインライジングの連敗を6連敗に伸ばしてしまった。
このあとは前述の通りチェアマンズスプリントプライズ(G1)に出走。香港短距離三冠が懸かる舞台で、骨折からの復帰戦を迎えるかつての香港最強・最新の(2022/23シーズン)三冠馬・Lucky Sweynesseが最後の一冠に未対戦勢最後の大物として立ちはだかる。さらには高松宮記念を勝って箔をつけたサトノレーヴも遠征しこの馬に再び挑む。他にもHelios Express他香港のいつメン、日本からやってきたルガル・エイシンフェンサー・ダノンマッキンリーなど、前走限りで引退したCalifornia Spangleを抜いてもメンバーは揃ったものの、今の充実度の彼の前には敵ではなかった。
道中は5番手付近といつもより後ろに構えたものの、ゴーサインが出るとあっという間に抜け出し2着に来たサトノレーヴを最後流しながら2馬身後方に置き去りにし圧勝。香港短距離三冠+香港スプリント勝利で24/25シーズン最強を決定づけ、香港の、いや世界の競馬史に大きく刻まれる存在への道をさらに進んだのであった。なおこのレースにてロンジンワールドベストレースホースランキングではレーティング126を獲得し、フォーエバーヤングの127まで1ポンド差に迫っている。この後のレース次第では更なる数値上昇もあるため、2025年度の世界最強ホースの座も見えてきた。
そしてこのシーズンの圧倒的な成績が認められ、カーインライジングは24/25シーズンの香港馬王(香港の年度代表馬)に選出。来シーズンは秋にオーストラリアへ遠征に向かい、芝スプリントの世界最高賞金競走ジ・エベレスト(豪G1)に出走、戻っての香港スプリント(G1)へ転戦するプランで挑むことが発表された。
ジ・エベレストを制すれば、新時代の短距離魔王として世界にその名が轟く事は間違いないはず。香港と並び世界に名だたる短距離競馬の本場・オーストラリアでも圧倒的な存在となっていくのか、注目が集まるところとなった。
半年の休み明けという事もあり、このシーズンはバリアトライアル(実戦形式の調教)を経て始動戦にシーズン開幕週の香港特区行政長官盃(C1)を選択。
バリアトライアルでは10馬身以上他馬をちぎり捨て、本番では135ポンド(約61.2kg)ものぶっちぎりのトップハンデを背負い、スプリンターズS前の叩きで出走してきたLucky Sweynesse(126ポンド・57.1kg)、116ポンド(52.6kg)を背負う1頭、最低斤量115ポンド(52.1kg)を背負う9頭を迎え撃つことになった。
斤量差最大20ポンド、実績馬のLucky Sweynesseにすら9ポンド差を与えるという超重ハンデ、かつあまり得意ではない雨が降りしきるなど条件は良くない中、1番枠からスタートを決めると2番手で折り合い、直線では馬なりでスムーズに進出すると2着Lucky Sweynesseを置き去りにし、またも公開調教にも例えられるほどの余裕を持って圧倒。大きな弾みをつけて世界に発進となった。
検疫を経て無事オーストラリアのロイヤルランドウィック競馬場に到着した後は、1000mのバリアトライアルを全く追わずに横並びの3着。香港では圧倒することが大半のバリアトライアルで3着で、発汗が酷かったりと疑義を呈される部分があったりもしたようであった。
そうして迎えた本番、10月18日のジ・エベレスト。迎え撃つ現地勢も前哨戦のザ・ショーツを快勝してきたG1・3勝の5歳牝馬Joliestar、転厩後G1を含む4連勝でやってきた5歳セン馬War Machine、他にも前シーズンにG1を勝った履歴のあるBriasa(5歳セン馬)、Jimmysstar(6歳セン馬)と有力どころが揃い、日本に縁のある馬のMazu(モーリス産駒。7歳セン馬)も出走するなど、カーインライジングを含め計12頭の実力馬が揃った。その中でも彼は現地オッズ単勝2.0倍の圧倒的人気を集める。
開催9回目ながら定番となったスタート直前の”Sweet Caroline”の大斉唱に送られスタート。7番枠から飛び出すと3番手で折り合い、直線では逃げたOverpassとMazuの抵抗を受けるが残り200mあたりでMazuが脱落、そして残り150m付近でOverpassを完全に捉え、グッと抜け出すと差してきた後続も悠々と退けて最後はいつものように流しながら2着Temptedに1馬身1/4差をつける完全勝利となった。
坂のあるハッピーバレーは未出走で平坦なシャティンしか知らなかったため、「ロイヤルランドウィックの坂はどうか?」と思われたがあっさりと克服し、世界最高賞金のスプリント戦をも軽々と登頂してみせたのだった。勿論ジ・エベレストを豪州以外の馬が制覇するのは史上初。表彰式後、祖国で大偉業を成し遂げたヘイズ師は観衆に「See you next year! (また来年来るよ!)
」と宣言。この馬ならばこのレースも連覇できてしまうのではないか……。そう思わせるほどの圧倒的なレースぶりであった。
この後はシドニー側が新たに設立した高額賞金レース「ラッセルボールディングステークス(重賞・格付け無し)」にも出走する可能性も示されていたものの、今回は寄り道せずそのまま帰国。連覇の懸かる香港スプリントへ備えることとなった。前哨戦のジョッキークラブスプリントは前走プレミアボウルを制した7歳馬Tomodachi Kokoroeとの対決となったが、歯牙にも掛けずいつも通りの公開調教で連勝を15に伸ばす。本番は日本からの参戦となる8歳馬ウインカーネリアン、ジューンブレアというスプリンターズステークス1,2着馬と、ライアン・ムーアとの新コンビとなるサトノレーヴを迎え撃つ事になりそうだ。
歴代最強スプリンターへの階を着実に駆け上がり続けるカーインライジング。その称号を確固たるものにするべく、年末のホームにて再び世界を迎え撃つ。
)。その当時は「ミスターエクスプレス」と呼ばれていた。
」と返していた。| Shamexpress 2009 鹿毛 |
O'Reilly 1993 鹿毛 |
*ラストタイクーン | *トライマイベスト |
| Mill Princess | |||
| Courtza | Pompeii Court | ||
| Hunza | |||
| Volkrose 2002 黒鹿毛 |
Volksraad | Green Desert | |
| Celtic Assembly | |||
| Rose World | Grosvenor | ||
| Geraniums Red | |||
| Missy Moo 2012 鹿毛 FNo.7-d |
Per Incanto 2004 黒鹿毛 |
Street Cry | Machiavellian |
| Helen Street | |||
| Pappa Reale | Indian Ridge | ||
| Daffodil Fields | |||
| Royal Rhythm 1998 鹿毛 |
*リズム | Mr. Prospector | |
| Dance Number | |||
| Her Dynasty | Sir Tristram | ||
| Taiona |
クロス:Mr. Prospector 5×4(9.38%)、*トライマイベスト 4×5(9.38%)、Sir Tristram 5×4(9.38%)、Northern Dancer 5×5(6.25%)
YouTubeにはもっと凄まじいレースが上がっているので見てみるといいぞ…
▶もっと見る
掲示板
急上昇ワード改
最終更新:2025/12/05(金) 22:00
最終更新:2025/12/05(金) 21:00
ウォッチリストに追加しました!
すでにウォッチリストに
入っています。
追加に失敗しました。
ほめた!
ほめるを取消しました。
ほめるに失敗しました。
ほめるの取消しに失敗しました。