全ての人を納得させる難しさ 単語

スベテノヒトヲナットクサセルムズカシサ

2.4千文字の記事
これはリビジョン 2797618 の記事です。
内容が古い・もしくは誤っている可能性があります。
最新版をみる

全ての人を納得させる難しさとは、2人の老夫婦とロバが登場する、「何をやっても全員を納得させることは難しい」ということを表す4コマ漫画である。

概要

この漫画の作者はナイジェリアの風刺漫画家 EB Asukwo (Mike Etim Bassey Asukwo)で、氏のFacebookアカウントで2012年6月に投稿されている。 → (この投稿)
コピーライト表記はナイジェリアの英字新聞BusinessDayのものなので、元々はそちらへ掲載するために作られたものだろう。Asukwo氏は他にも多数の風刺漫画をこの新聞に寄稿している。
元々の台詞は英語だが、後述するように各国語に訳されたものが多数存在する。

漫画の元ネタと思われる寓話が「ろばを売りに行く親子[1]」として伝わっている。こちらの話では登場人物は老夫婦ではなく、粉ひきとその子供。日本ではこの話が小学校3・4年の道徳教材に使用されている。

漫画の内容

左上のコマ
老夫婦がロバに乗って移動している。すると、通行人たちが「2人で乗るなんてロバがかわいそうだ!」と苦言を呈する。
右上のコマ
ロバがかわいそうだということで、おじいさんがロバに乗り、おばあさんはロバから降りて歩いている。すると、通行人たちが「爺さんだけ楽をして婆さんがかわいそうだ!」と苦言を呈する。
左下のコマ
おばあさんを楽にしようと、おじいさんがロバから降りておばあさんを乗せてあげた。すると、通行人たちが「爺さんを歩かせて自分がロバに乗るなんてけしからん女だ!」と苦言を呈する。
右下のコマ
結局、老夫婦はロバに乗らずに歩くことにした。すると、通行人たちが「あいつらはロバの正しい使い方も知らないバカだ!」と嘲笑う。

そして、この漫画の下には「全ての人を納得させる難しさ。」と大きく書かれている。

英語では「This is our society!」と呼ばれるなど、様々な言語に翻訳されてインターネット上に掲載されている。日本では2015年3月から、上記のツイートをきっかけとしてTwitterを中心に広まった。

原典「ろばを売りに行く親子」の概要と内容

ポッジョ・ブラッチョリーニの「笑話集/Facetiae」に収められている[2]。これは1438年から1452年にかけてラテン語で執筆され、作者の死後の1470年頃に刊行された。
教皇庁の秘書官がドイツで読んだ寓話(絵物語だったらしい)として紹介されている [3]

ウルリヒ・マルツォルフとリシャルト・ファン・レーウェンの「千夜一夜物語百科事典 (上巻)」によれば[4]、同様のストーリーで現存する最古の話は13世紀アンダルスの歴史学者イブン・サイード・マグリビーが書き記したもの。
この寓話が実際にいつ頃成立したのかはわかっていない。

原典の話では漫画とは左上と右下のコマが逆で、最初は2人とも歩いている状態だった。「元気な若者が楽をするな」「子供を歩かせるのはかわいそうだ」など、登場人物が親子であるためセリフに若干の違いもある。

漫画では省略されているが、原典にはその後の結末もある。「2人を乗せたロバがかわいそうだから、獲物を運ぶように、棒にロバの足をくくりつけて運んだらどうか」と言われた親子はその通りに運んだ。しかし、不自然な姿勢を嫌がったロバが暴れ、橋を渡っているときに縄がほどけて川に落ちてしまった。

この話が日本に伝わり、「ロバ」が「馬」になって掲載された『伊曽保物語』の「人の心さだまらぬ事」ではまた展開が異なる。通行人が「馬を持つより、皮だけをはいで運んだ方が軽くなるだろう」と言った結果、親子が実際に馬からはいだ皮を運び始めた。しかし、目や口が開けられないほどハエがたかって運べなくなってしまう。周りの人に笑われ、腹を立てた親は皮を捨てて帰ってしまった。

意図

「人の意見をいちいち気にするな」「周りの人の意見に流されすぎるな」という意図で使われることがあり、道徳教育でも「周囲の意見に流されない、自主や自律の大切さ」「節度や節制」をテーマに教えられることが多い。

一方で、周りの人の意見の方が本質を捉えていることもあるので、「周囲の意見を一切聞くな」ということでもない。周囲の意見に加え、自分の今までの経験や、これからの目的などを踏まえて、最後には自分で考えることが必要である。

また、「全ての人を納得させる難しさ」という言葉から、「全員を満足させる完璧な方法は存在しない」という意図で使われる場合もある。ただし大抵の場合、「その上でどうするか」を考えなければならない。

さらに、漫画の通行人たちが全て同じ人物として描かれていることから、「何をやっても批判することを目的にした人たちは批判する」という意図で使われる場合もある。

世の中がこうなればいいのに。

関連動画

関連項目

  • イソップ
    • イソップ寓話が元とされることもあるが、正確には異なる。詳しくは脚注参照
  • 道徳
  • 風刺
  • ロバ
  • 気にするな!

脚注

  1. *Wikipedia: ろばを売りに行く親子
  2. *イソップ寓話とも言われることがあるが、もともとはイソップ寓話が出所ではない。ヨーロッパでイソップ寓話に様々な話が付け加えられ、偶然「ろばを売りに行く親子」の話が入った版が鎖国前の日本に伝わり、『伊曽保物語』に「人の心のさだまらぬと云事」という名前で掲載された影響で「イソップ寓話」ともされるようになった参考
  3. *Googleブックスで『The Facetiae Or Jocose Tales of Poggio 英訳版 上巻』内を全文検索
  4. *Googleブックスで『The Arabian Nights Encyclopedia 上巻』内を全文検索

おすすめトレンド

ニコニ広告で宣伝された記事

記事と一緒に動画もおすすめ!
もっと見る

急上昇ワード改

最終更新:2025/12/15(月) 00:00

ほめられた記事

最終更新:2025/12/15(月) 00:00

ウォッチリストに追加しました!

すでにウォッチリストに
入っています。

OK

追加に失敗しました。

OK

追加にはログインが必要です。

           

ほめた!

すでにほめています。

すでにほめています。

ほめるを取消しました。

OK

ほめるに失敗しました。

OK

ほめるの取消しに失敗しました。

OK

ほめるにはログインが必要です。

タグ編集にはログインが必要です。

タグ編集には利用規約の同意が必要です。

TOP