北条氏直

北条氏直（ほうじょう・うじなお　1562～1591）とは、日本の戦国時代の武将である。
北条早雲、北条氏綱に続く、後北条氏の第5代目当主であり、父親に北条氏政、祖父に北条氏康、武田信玄を持つ。

「五世の氏直君はずいぶん判断力に富んでいたが、惜しいかな虚弱な体質であったために
みずから裁決せず、人まかせにするあやまちをおかしたために、ついにその家を失うことになった」（北条記）

前半生

永禄5年（1562年）に北条氏政の次男として生誕。母親は信玄の娘である黄梅院、幼名は国王丸であった。
しかし1568年には武田信玄の駿河侵攻によって信玄の娘であった母親と離別、母である黄梅院は翌年
わずか27歳で死去した。この時今川氏真の猶子になったとも伝わっている。しかし駿河は武田信玄のものとなり、
うやむやのまま終わってしまった。
1577年に元服し、同年に里見義弘との抗争で初陣を飾る。里見氏に対しては三船山合戦で手痛い敗北を
受けていたものの、全体として北条氏有利の情勢に傾いており、同年和睦が成立する。1580年父親の北条氏政から家督を譲られ後北条氏の大名当主に就任する。しかし実権の一部は依然として北条氏政が握っていた。

1582年になると、前年より進められていた武田勝頼討伐の流れが激化した。同年2月、織田信忠を総大将とする
武田征伐軍が織田軍の中で編成され、これに武田家臣木曽義昌が追従。織田の同盟者である徳川家康も武田重臣の穴山信君を懐柔させ、武田領に侵攻を開始した。当時北条家は織田信長と友好関係にあったが、
信長からさしたる連絡もなく、武田勝頼攻めには遅れを取ることとなった。
しかし武田氏の拠点である上野を攻撃し、和田信業らを調略させるなど功績を立てた。
武田勝頼は3月になって織田信忠の率いる征伐軍の前に居城を捨て、
織田家臣の滝川一益に追い詰められる形で自刃した。戦後の論功行賞では、北条氏が攻め取った上野は
織田家臣である滝川一益に与えられることになった。

中半生

しかし同年6月、本能寺の変により織田信長と織田信忠が明智光秀の軍によって討たれた。これを好機と見た
北条氏政は北条氏直、北条氏邦らに軍を預けて上野に派遣。滝川一益の撃退して領土奪取を目論んだ。
滝川一益は織田軍歴戦の将であり、主君である織田信長の死にも動じず軍を纏め、北条氏邦を撃退する。
これを見た北条氏直は敗北した北条軍を吸収して滝川一益に逆襲をかけ、ついに滝川一益を敗走させることに
成功した。父親の北条氏政は重臣の垪和氏続に対して「氏直独立之出馬得大利」「子孫長久歴然」と書状を送り、
北条氏直の活躍ぶりをたいそう喜んでいる。

上野に残る織田軍残党を蹴散らした北条軍は、信濃甲斐に転戦し領土の奪取を目論む。しかし上杉景勝との
和議を成立させて転進してきた徳川家康と対峙。信長亡き後織田家に面従腹背の態度を取り、ひそかに
天下を狙った徳川家康は武田遺臣であった真田昌幸、曽根昌世を味方につけて北条軍を攪乱させ、
また家臣の鳥居元忠や平岩親吉などにも北条軍を襲撃させ、また北条と敵対している後方の佐竹義重とも
連絡を取っていた。

北条氏直も抗戦の構えを見せるが、既に中央では羽柴秀吉、織田信孝らによって明智光秀は
討ち果たされ、織田三法師を中心とする新たな体制が織田家で構築されつつあった。
ここに至り北条氏直は織田信雄、織田信孝を間に挟み徳川家康との和睦を決意。家康の娘督姫を娶り、領土を徳川と分担させることで軍を撤退させた。以降北条氏直は家康との関係を重視するようになる。

家康との和議を成立させた北条氏直は、翌年厩橋城の北条高広（姓読みは『きたじょう』）を攻め、これを降伏させると、下野に侵攻を開始した。これを危惧した佐竹義重、宇都宮国綱らが下野へ進み出て、
1584年両軍は沼尻で激戦となった。おりしも中央では、北条氏直が懇意とする徳川家康が、
佐竹義重や宇都宮国綱が懇意にする羽柴秀吉と小牧長久手の戦いを繰り広げていた時期であり、
それぞれ織田信雄、織田秀信を擁して、長宗我部元親、上杉景勝ら諸大名に援助を頼んでいた。
沼尻での合戦はその戦いの一環であったとも言われている。

後半生

1584年5月に開始された沼尻の戦いは、8月に両軍の和睦が締結される。これ以降北条優位の状況が続き、
叔父の北条氏忠を介して下野でも本格的に北条氏が勢力を拡大していくことになった。しかし、これに危機感を強めた佐竹義重、宇都宮国綱が日本の大部分を掌握して関白にまで上り詰めた豊臣秀吉の関東出陣を依頼。
秀吉は一旦、北条氏直や北条氏政に上洛を催促し、北条氏直も父である北条氏政を上洛させることで、
それを了承した。

ところが、北条氏政が上洛を引き延ばしにしているうちに、北条家家臣の猪俣邦憲によって秀吉傘下となっていた
真田昌幸の領する名胡桃城を攻略すると言う事態が発生する。名胡桃城奪取には猪俣の独断とも
北条氏邦の裁可とも北条氏政の裁可とも言われているが、ともかくこの北条軍の動きに秀吉は憤慨、1589年に
諸大名に北条氏討伐の陣触れを出し、北条氏直もこれに備えて小田原籠城の備えをとる形となってしまった。
翌年の2月から小田原征伐が開始される。

既に日本の大部分を収める豊臣秀吉率いる征伐軍に、北条家は氏直の叔父である北条氏邦の籠る鉢形城、
北条氏規の籠る韮山城を中心に、大道寺政繁の籠る松井田城、成田長親の籠る忍城など、
局地的には奮闘を続けた。特に北条氏規の籠る韮山城は、北条早雲がかつて居城として使い、
小田原城を守る重要拠点であったが、約3ヶ月近く持ちこたえるという健闘を行った。しかし数に勝る豊臣軍の
攻撃は如何ともしがたく、大勢を見れば豊臣軍によって多くの北条方城塞が陥落降伏させられていった。

豊臣軍は豊臣秀吉を中心に黒田孝高、蜂須賀家政、蒲生氏郷、細川忠興、浅野長政など多くの豊臣家臣に加え、
かつて北条氏直が頼みとした徳川家康、織田信雄らが小田原城に詰めかけており、
前田利家、上杉景勝、真田昌幸、石田三成らが別働隊として北条諸城を攻撃、蹂躙するという状況であった。
小田原攻めの最中には南部信直、佐竹義宣、最上義光、伊達政宗らが秀吉に組するべく参陣しており、
秀吉の天下統一が間近に迫っていたのである。また秀吉は石垣山に陣城を築いて、小田原城に籠る北条軍の
動きをつぶさに見てとれるようにしたとも言われている。

小田原城に籠る北条氏直以下、北条軍もよく持ちこたえはしたものの、重臣松田憲秀の息子である松田政堯ら
敵軍への内通も目立ち始め、ついに北条氏直は7月、黒田孝高と滝川雄利の降伏勧告を受諾。自らの切腹と
引き換えに城兵の助命を受け入れた。しかし北条氏直は助命され、北条氏政、北条氏照、松田憲秀、大道寺政繁が切腹、助命された北条氏直は北条氏規らとともに高野山に入山する。

翌年、北条氏直は秀吉によって赦免され、大坂の織田信雄の屋敷で暮らすようになる。その後
秀吉から河内1万石の所領を与えられるが、任地に赴く前に死去。享年30歳。北条氏直の遺領は
北条氏規の遺領とともに北条氏規の嫡男である北条氏盛が相続、河内狭山1万石として江戸時代を迎える。

後世の評価

とにかく地味である。30歳と言う若さでこの世を去ったこと、前当主であった北条氏政が実権を握っていたことから、
北条家は4代目で滅亡した、と言う言い方をなされることが多い。北条記では「君」づけされているものの、やはり
パッとしない感は否めない。全体を通してみると後北条氏の当主として軍を纏め、
後方小田原で君臨する北条氏政をよく助けている。軍政両面の再評価が待たれるところであるが、最終的に
軍事力によって秀吉に屈した部分は評価の辛いところであろうか。叔父の武田勝頼に似ている節はあるが・・・

戦国大戦

「もう一度…我らに栄光を！」

Ver2.0にて父氏政に遅れて参戦。イラストレーターは父と同じなため、よく似ている。
父の氏政と比較して武力1上がって防柵が無くなった。総合的にはまあまあの能力。父親と同じく盾槍持ってないけど。

計略の「大筒攻勢の采配」は、自軍の大筒カウントが少ない程北条家の味方の武力が上がる大名采配。
大筒カウントに気をつけて戦う事を余儀なくされるため、かなり癖の強い上級者向け計略。
ちなみに、自軍の大筒が起動していないと対象にならない。 起動していないと士気5を投げ捨てる結果になるためくれぐれも注意。

信長の野望

「信長の野望」シリーズにおける北条氏直の能力一覧。

	軍事能力						内政能力
戦国群雄伝(S1)	戦闘			61			政治	66	魅力	90	野望	65
武将風雲録(S1)	戦闘			47			政治	52	魅力	79	野望	65	教養	64
覇王伝	采配	79	戦闘	57	智謀	64	政治	52			野望	69
天翔記	戦才	112(Ｂ)			智才	128(Ｃ)	政才	144(Ｂ)	魅力	81	野望	69
将星録	戦闘			50	智謀	64	政治	69
烈風伝	采配	71	戦闘	39	智謀	48	政治	60
嵐世記	采配	42			智謀	30	政治	48			野望	45
蒼天録	統率	37			知略	32	政治	52
天下創世	統率	37			知略	31	政治	52					教養	58
革新	統率	57	武勇	42	知略	35	政治	56
天道	統率	57	武勇	42	知略	35	政治	56

関連動画

関連項目

• 北条氏政
• 北条氏康
• 武田信玄
• 徳川家康
• 佐竹義重
• 織田信長
• 豊臣秀吉
• 戦国時代の人物の一覧