半沢直樹 単語


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半沢直樹
半沢直樹シリーズ
ジャンル 経済小説
小説
著者 池井戸潤
発行元 文藝春秋・文春文庫(第2作まで)
ダイヤモンド社(第3作以降)
刊行期間 2004年12月5日 -
巻数 既刊3巻
テレビドラマ
放送局 TBS
放送時間 日曜日 21:00 - 21:54
放送期間 2013年7月7日 - 9月22日
話数 全10話

半沢直樹』とは、『オレたちバブル入行組』をはじめとする池井戸潤の小説シリーズの主人公、および、TBS系列のテレビドラマ『日曜劇場 半沢直樹』のタイトルである。これらは『半沢直樹シリーズ』と纏められている。

本記事では、テレビドラマ版を中心に説明する。

概要

『オレたちバブル入行組』『オレたち花のバブル組』は共に『別冊文藝春秋』で連載されたのち、単行本化された。

2013年7月7日より、これらを原作としたテレビドラマ『日曜劇場 半沢直樹』が放映されている。

日曜劇場 半沢直樹

テレビドラマ版は全10話構成で、第1話~5話が第1部・大阪西支店編(オレたちバブル入行組)、第6話~10話が第2部・東京本部編(オレたち花のバブル組)となる。原作と異なる設定が多々あり、見比べるのも面白い。

キャッチコピーは「クソ上司め、覚えていやがれ!」。また、半沢の「倍返し」発言が本作を象徴する台詞として流行し、様々な媒体で使用されている。

理不尽な仕打ちに対する「倍返し」に、「見終わった後、スカッとした」と感想を述べる視聴者が多い。
堺雅人(半沢直樹役)や香川照之(大和田常務役)の緊迫感ある演技や、一度見たら忘れられないであろう片岡愛之助(黒崎国税局統括官役)や緋田康人(小木曽人事部次長役)の熱演ぶりが視聴者に強烈なインパクトを与えており、高視聴率を記録している。

2011年に日本テレビ系列で放送された『家政婦のミタ』以来の大ヒット作として、視聴率の伸び具合が注目されている。

ストーリー(第1部 大阪編)

バブル期崩壊後、大手都市銀行である産業中央銀行は多額の不良債権を抱え、2002年に東京第一銀行と合併。世界第三位のメガバンク「東京中央銀行」として新生した――。

旧産業中央銀行出身の主人公・半沢直樹は、東京中央銀行大阪西支店の融資課長として優秀な勤務実績を上げていた。そんな最中、半沢は「西大阪スチール」社において、5億円もの融資事故[1]を起こしてしまう。

しかし、その実態は支店長・浅野による融資実行のゴリ押しであり、半沢に融資決定事項を精査する十分な時間が与えられなかったことが原因であった。当初は融資に関して「全責任を持つ」と発言していた浅野であったが、西大阪スチールの債権が焦げ付いた後は態度が一転。半沢に全責任を負わせ、人事権を行使して「担当者」である半沢を出向[2]させ、切り捨てようする。

粉飾決算による計画倒産をし、5億円を騙し取った西大阪スチール社長・東田。半沢の警告を無視し融資を強引に行った挙げ句、自分に汚名を着せ責任逃れをしようとする支店長・浅野。半沢は融資額5億円を回収せんと奔走しつつ、彼ら2人の罪過に対して倍返しをすると心に誓う。

果たして半沢は、5億もの金を回収し、倍返しを成すことが出来るのか――

主な登場人物(役者)

半沢直樹 -Naoki Hanzawa- (堺雅人)

主人公。旧産業中央銀行出身、現東京中央銀行のバンカー(銀行員)。大阪の四大支店の一つである、大阪西支店で融資課長を務める。優秀な行員であるが、融資先の会社とは、社長や社員と真っ正面から向き合うという人間くささも持ち合わせる。

そのため、どんな小さな会社でも、どれ程の経営赤字を出している零細企業でも、そこで働く人たちが真摯である限り、再建のため融資を行う。その一方で、会社建て直しのためにありとあらゆる手段を用いる、一種の冷酷さを見せることも。情と非情を併せ持つ希有のバンカーである。

生い立ち

金沢の零細企業・ネジ工場「半沢ネジ」のひとり息子として生まれ、小さな工場で、小さくとも軽くて丈夫なネジを作る父親の背中を見て育つ。「人と人とのつながりを大切にしろ。ロボットのような人間にはなるな」と教え諭す父に、大きな影響を受ける。

しかし、半沢が中学生の時、半沢ネジは倒産の危機に瀕する。銀行の担当者は、土下座して融資継続を嘆願する半沢の父親をないがしろにし、融資を凍結した。自社の倒産だけでなく、取引先が潰れてしまうという責任感に押し潰され、父親は自殺。その死の現場を、中学生の半沢は目撃してしまう。
銀行が父を殺した……。

しかし、半沢は、父親を自殺にまで追い込んだ融資元・産業中央銀行に就職する。彼が敢えて産業中央銀行に就職した経緯は、劇中にて語られる。

性格

“責任の所在”を非情に重視する。責任逃れをしようとする人物に対しては、上司であろうと激しく糾弾する勇猛さを有する。同時に、自分に直接の非がなくとも、銀行が責任を負っていた場合は、最敬礼で詫びる正義漢。

相手が己の責任を軽視・転嫁したり、侮蔑的な態度を取ったが最後、常務レベルの役職者はおろか、国家権力であっても絶対に許さない強い執念深さも持つ。「やられたらやりかえす。倍返し」が流儀。ただ、半沢自身は「人の善意は信じる」と語る通り精錬な性格なので、主にその信条は悪者や敵役に対して発揮される。

一方、自らに厚意的な部下や同僚、同期には優しくかつ寛大。自分が危機的状況なのに同期を気遣ったり、立場上協力ができない、証言ができない部下がいても、その事情を汲み、責任を咎めることは一切しない。そのため、半沢に対する部下の信頼は非常に厚い。信賞必罰。

その他特徴等

並外れた洞察力を持ち、ほんの一瞬の光景や、わずかな一言から、重大な情報を引き出すことができる。その観察眼は、国家国税局をも出し抜くほど鋭い。また、生まれ育った環境もあり、町工場の技術力を正確に見抜く筋金入りの目利き。
行動力も桁外れで、時には脱法(すれすれの)行為も行う。ただし、それはあくまで悪を成敗する為に行うものであり、半沢自身の利益欲から来るものではない。半沢自身、「世の中にはカネで買えないものがある」という揺るぎない信条を劇中、幾度も口にしている(この「世の中にはカネで買えないものがある」という言葉は、このドラマのひとつのキーワードでもある)。

恐ろしく痰が切れる。たとえどんな苦境に立たされても、見事な啖呵を切り危機を乗り越える。逆に、一度追い詰めた相手には、恫喝でひるませ、巧みな弁舌でぐうの音も出ないほど叩きのめす。倍返しここに極めれり。

大学時代には、近藤直弼と同じく体育会剣道部に所属。近藤とは同大学、同期の“竹刃の友”であり、道場で汗だくになるまで手合わせする場面も。有段者であり、暴力で抵抗する敵には、剣道をもって迎え撃つ。

と、ここまで来ればただの怖い人ではあるが、妻・花の前では頭が上がらない。銀行での迫力はどこへやら、家庭ではまったりしている。良き夫であり、良き父である。

半沢花 -Hana Hanzawa- (上戸彩)

直樹の妻。明るく聡明な性格で、過酷な状況に向き合う夫・直樹を陰で支える良妻賢母。
彼女の言動や行動が、様々な面で半沢を救うことも多い。
とあるエピソードで、「この夫ありてこの妻あり」とつくづく感じるシーンがある。この二人の夫婦げんかは一体どういうことになるのだろうか……

渡真利忍 -Shinobu Tomari- (及川光博)

名字は「とまり」と読ませる。半沢の同期で親友。
第1部、2部を通して登場。シリアスな展開の多いこのドラマで、見た目に反し比較的コメディタッチで描かれている数少ない癒やし系キャラ。とはいえ、半沢同様、頭がキレる頼もしいバンカーでもある。演者の印象が強いのか、しっかり半沢を助けているのに、「裏切り役なのでは?」と疑惑を持たれる不憫な人。

近藤直弼 -Naosuke Kondo- (滝藤賢一)

半沢とは大学時代の剣道仲間。有能なバンカーであったが、人事部次長・小木曾の過剰なパワーハラスメントにより、ストレス性の統合失調症に。東京中央銀行からタミヤ電機へ出向させられる。しかし、その出向先でも嫌がらせを受けることに……。

第2部・東京編でも登場。より深く半沢の物語に絡む事になる。第6話は必見。

浅野匡 -Tadasu Asano- (石丸幹二)

東京中央銀行大阪西支店支店長。大和田派(旧産業中央銀行派閥)。名前の「匡」は「ただす」と読む。

大和田曰く「『部下の手柄は上司のもの、上司の失敗は部下の責任』、銀行に伝わるその名言に、そのまま服を着させたような、そんな男」。
西大阪スチールへの融資をまともな稟議もせず決定し、その結果として起きた融資事故の責任を半沢に押しつけて、遠方に出向させようとする。

小木曽 -Ogiso- (緋田康人)

東京本部次長。顔に比例して(?)陰湿な性格。机を一定の間隔でバンバン叩いて強烈なストレスを与え、近藤直弼を精神的に崩壊させた。また、旧産業中央銀行派閥であり、浅野の命令により、前々から敵視していた半沢を出向させようと謀略を巡らす。 

黒崎駿一 -Shunichi Kurosaki- (片岡愛之助)

東田の脱税事件を追う、大阪国税局査察部統括官。元は金融庁監査官だったが、イキすぎた行為が問題視され、現在国税局に在局中。エリートでプライドが高いオカマルサ特技はエアそろばん。オネエ言葉を話し、部下の不始末には股間をアッー!

……と、一見イロモノキャラに見えるのだが、強引で非道な捜査やセリフ、憤怒に満ちた表情と普段のオカマな容貌のギャップにより、圧倒的な存在感を醸し出している。
西大阪スチールの件では、黒崎は、「(脱税容疑のかかった)東田の資産を差し押さえる」、半沢は「(融資金額回収のために)東田の資産を差し押さえる」という点で、半沢と対立する。

第2部では金融庁検査局主任検査官に戻り再登場。オカマルサではなくなったが、オカマ検査官として半沢と再度対峙する。

東田満 -Mitsuru Higashida- (宇梶剛士)

西大阪スチール社長。粉飾決算により、東京中央銀行から5億円の融資を騙し取り、行方をくらます。

性格は傲慢で横暴。見た目通りジャイアニズムの塊のような悪党だが、脱税や粉飾決算、計画倒産に資産隠蔽等々、奸計に長けた詐術家でもある。 言うまでもなく、第1部・大阪編のボスキャラ。

竹下清彦 -Kiyohiko Takeshita- (赤井英和)

竹下金属社長。西大阪スチールが主張取引先だったため、自社が連鎖倒産。その責任を取ろうと自殺しようとしていたところを半沢に助けられる。半沢が知り合いの零細企業を融資して救っていたことと、「東田に倍返しする」という半沢の心意気に打たれ、半沢とともに東田をいてこましたろうと奔走。第1部での半沢のパートナーになる。

見た目は汚いオッサンだが、彼の助力により、様々な事実が明るみに出ることになる。物語の筋が比較的難解な本ドラマにあって、「今何が起きているか」を分かりやすく視聴者に教えてくれるというメタ的な役回りも持つキャラクター。

大和田暁 -Akira Ohwada- (香川照之)

旧産業中央銀行出身。最年少で常務の座に就任した野心家で、東京中央銀行頭取の座を虎視眈々と狙っている。

他人を駒のように扱い、保身のためなら何のためらいも、良心の呵責もなく部下を切り捨てる。行員の危機を笑いながら観覧する男。まさに外道。

半沢の父親が経営する「半沢ネジ」の融資を取り止め、自殺に追いやった張本人でもある。融資継続を土下座して求める半沢の父親を無視し、「私の前で土下座した奴は無能ばかりだった」とのたまう。まさに外道。

5億の融資事故を起こして回収に奔走する半沢に興味を持ち、裁量臨店[3]で窮地に立たされる半沢に助け船を出してくれるかと思いきや、発したセリフは「徹底的にやって彼が乗り切れるか見てみたい」。まさに外道。

第2部でも登場し、半沢に深く関わる事になる。「半沢ネジ」の事などすっかり忘れた彼と、半沢が会食する6話は必見。(まさに外道的な意味で)

スタッフ

脚本 八津弘幸
脚本協力 坪田文
音楽 服部隆之
主題歌 なし
演出 福澤克雄 棚澤孝義 田中健太
プロデューサー 伊與田英徳 飯田和孝
製作著作 TBS

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原作

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巻数 タイトル 初版発行日 商品
第1作 オレたちバブル入行組 2004年12月5日
第2作 オレたち花のバブル組 2008年6月15日
第3作 ロスジェネの逆襲 2012年6月29日
第4作 銀翼のイカロス (連載中)

ドラマ

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関連項目

  • 池井戸潤
  • 小説作品一覧
  • テレビ番組の一覧
  • テレビドラマ
  • TBS
  • 理想の上司
  • 男優の一覧
    • 堺雅人
    • 及川光博
    • 香川照之
  • 女優の一覧
    • 上戸彩
    • 壇蜜

外部リンク

脚注

  1. *融資した会社が倒産・破綻し、銀行が貸したお金を回収できなくなる事。
  2. *籍を残したまま関連企業へ従事すること。本作における「出向」は追放、目障りな人物を隔離する意味合いで使われる。一般の「出向」が全てそうであるわけではない。
  3. *本部の監査セクションから検査役が来て、きちんとした会社に融資しているか審査されること。砕くと、成績評価のようなもの。

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