役人(ガールズ&パンツァー)とは (モンカショウノメガネとは) [単語記事]

役人(ガールズ&パンツァー)とは、アニメ「ガールズ＆パンツァー」シリーズに登場するキャラクター。
CVは景浦大輔。
劇場版でもなお彼の名前はクレジットに「役人」と記載されているが、劇中のシーンから本名と役職名は「文部科学省学園艦教育局長　辻廉太（康太？）」ではないかと推察されている。

概要

中学以上の教育施設が洋上の学園艦に存在する今作の世界観において、日本における学園艦の元締めともいえる「文部科学省学園艦教育局」に所属する男性。
七三分けの髪型と黒いセルフレームのメガネ、スーツで固めている典型的な「お役人」である。
公式ツイッターによると、「淡々といやな感じがにじみ出るように、と難しい演技を要求された」とのことで、出演する殆どのシーンではのっぺりとした低めの声で、要件のみを告げていくというこれまた非常に「役人」らしい行動を取る。

そんな彼であるが、実は彼こそがガールズ＆パンツァーの全ての元凶・黒幕であり、大洗女子学園にとってのラスボスなのである！！
・・・ある意味では。

アニメシリーズでの出番

第9話「絶対絶命です！」の冒頭で登場。この場面では、前話「プラウダ戦です！」のラストにおいて河島桃の口から暴露された、「戦車道大会で優勝しなければ、大洗女子学園が廃校になる」という話の顛末が描かれている。

主人公、西住みほが大洗女子学園に転校するより前、文部科学省学園艦教育局の薄暗いオフィス。
角谷杏以下大洗女子学園の生徒会のメンバー三名は、役人より大洗女子学園の今年度一杯での廃校を告げられる。元々学園艦は維持費が係るため統廃合を進める予定だったらしいが、その中で大洗女子学園が選ばれた理由は「学校としての活動実績に乏しく、生徒数も減少傾向にある」というもの。
だが、役人が「昔は戦車道が盛んだったようですが…」と口にしたところで、角谷杏が間髪入れず『活動』として戦車道を提案し、「まさか優勝校を廃校にはしないよね？」と述べて、戦車道全国大会で優勝したら廃校を撤回する、という口約束を役人に取り付けたと思っていた。

アニメ版での役人の出番はこれだけなのだが、言ってみれば彼はストーリーの発端を担ったキャラであり、その言動についてはあれこれ考察がなされた。

角谷杏たちに昔戦車道が盛んだったのを伝えたのは、大洗女子学園を廃校にさせないための助言だったのではないか？（役人良い人説）
廃校撤回の約束は口約束に過ぎない（そもそもアニメでは約束が果たされたのか明確に描写されていない）。大洗は大会で優勝したけど、実は廃校の危機は去っていないのでは？（廃校不可避説）

とはいえアニメシリーズ終了後は特に音沙汰もなく、役人の心情や行動については視聴者の想像に任された、と思われたが・・・。

劇場版での出番

なんと劇場版にて彼は、役人としての本領を発揮。冒頭のエキシビジョンマッチ終了後、封鎖された大洗女子学園の校門前で当惑する戦車道履修者達の前に姿を表し、「もう君たちは生徒ではない」と告げ、角谷杏に事態の説明を任せて去っていく。役人は以下の事柄を既に決定していたのだ。

廃校撤回を検討してみたが、やっぱり大洗女子学園は廃校。
廃校は年度末の３月の予定だったが、検討の結果、それでは遅すぎるので８月一杯で廃校。
もしも生徒たちが抵抗した場合、学園艦の一般の住民たちの再就職は保証しない、と圧力をかける。

もう何が何でも大洗女子学園を廃校にしてやるといわんばかりである。上記の助言説（良い人説）は完全に否定された。
角谷杏の抗議に対しても、「口約束にすぎない」「こちら（文科省）としても可能な限り善処した」と柳に風。杏が過去の裁判所の判例を持ち出して「口約束でも約束は有効である」と食い下がっても顔色ひとつ変えなかった。「『廃校撤回の確約した』ではなく、『廃校撤回を検討する』という約束だった」とはぐらかしている点とあわせ、良くも悪くも「役人」としての手腕は確かであるようだ。

しかし後日、角谷杏は再度文科省を訪れる。今度は以下の面子を伴ってである。

日本戦車道連盟理事長
蝶野亜美（日本戦車道連盟強化委員）
西住しほ（西住流家元、戦車道プロリーグの委員長に就任予定）

西住しほが廃校問題で大洗女子学園側についたことは、役人にとって想定外であったようだ。文科省は劇中時間で二年後に設置される予定のプロリーグの設立に躍起になっており、その委員長に著名な西住流家元を置けなくなるのは重大問題だったのである。
西住しほは「若手の育成なくして、プロリーグの活性化はありえない」と全国大会優勝校である大洗女子学園の廃校撤回を要望し、受け入れられない場合プロリーグの委員長に就任しないことを示唆してくる。
それに対して役人はうっかり「まぐれで優勝した学校を・・・」と口を滑らせたことがしほの逆鱗に触れ、ついに、「大洗女子学園が大学選抜チームに勝ったら、廃校は撤回する」という誓約書にサインさせられることになってしまう。

しかし、それでもなお彼は大洗女子学園を廃校にすることに全力を尽くした。

大洗女子学園が戦車８両しか出せないところに対し、大学選抜チームに３０両出させる。
「プロリーグのルールに合わせる」ことを名目に、試合のルールを全車両の撃破が勝利条件の殲滅戦ルールにする。すなわち、８両で３０両を殲滅するよう、大洗女子学園に要求した。
大学選抜チームの車両は、パーシング、チャーフィー、そしてセンチュリオンといった戦車道のルール上最も高性能な物を用意した。
戦車道のルールに適合するか検討中だったカール自走臼砲を、高校チーム側が登録申請を取り下げたタイミングを見計らって承認し、大学選抜チームが使用できるようにした。

最早、文科省の方針というより私情でやっているんじゃないか？と疑われるレベルで大学選抜チームに肩入れし、万全の体勢を整えたが、その結果はというと・・・。
１つだけ言えるとすれば、彼はショックなことがあるとメガネがズレ落ちるクセがある。このことは視聴者によく知られることになった。

代表的な台詞

「今納得していただかなくても、今年度中に納得していただければ、こちらとしては結構です。」
「口約束は約束ではないでしょう」※暗に大洗女子学園生徒会の詰めの甘さを指摘している？
「考え方次第ですよ・・・。」

彼だけが悪いのか？

約束を反故にし、徹底して大洗女子学園を廃校に追い込もうとする彼は、ガールズ＆パンツァーにおける憎まれ役（悪役）と言えるかもしれない。だが、彼だけの責任であろうか？人間には、それぞれの立場や事情があり、また、物事は多面的なものである。「考え方次第ですよ・・・。」

もともと学園艦の存在理由としては、「大きく世界に羽ばたく人材を育てるため」と「生徒の自主独立心を養うため」というもので、特に学園艦である必要性は薄く、学ぶ生徒たちすら「無策な教育政策の反動なんですかね」と笑っていたほどである（アニメ第7話）。そして大洗女子学園が廃校、学園艦が廃艦になる予定だった理由は、改めて述べると、主に以下の２点である。

学園艦は、維持と運営に多額の予算を必要とするため、統廃合を進める必要がある。
大洗女子学園は近年、生徒数が減少傾向にある上に、目立った活動をしていない。

つまり、予算に見合うだけの成果が見込めないから廃止する、という簡単な話にすぎない。昨今の財政状況が厳しい中、税金の無駄遣いを改めるのは、必要な改革である。聖域なき構造改革という言葉に表されるように、教育分野とて例外ではいられない。その現実を突きつけられて、生徒や住民が慌てて重い腰を上げたところで、「何を今さら・・・」というものである。なぜ、手遅れになる前に行動しなかったのか。

また、議論になっている口約束に関しても、「全国大会で優勝したら廃校を撤回する」と役人が明言・確約した場面は、アニメ本編その他にも存在しない。約束を取り付けたと主張する角谷杏が、「まさか優勝校を廃校にはしないよね?」と発言したシーンが確認されるだけである。ついでに言うと、「昔、戦車道が盛んだったなら、もっと良い戦車があると思っていた」（アニメ第9話）と発言するあたり、角谷生徒会長は存外、行き当たりばったりで、詰めが甘い。

そして、大学選抜チームへの便宜の件にしても、誓約書を作成した段階では「フラッグ戦か殲滅戦か」や「出場車両は同数にするか否か」といったルールの詳細については、これまた何ひとつ明言していない。異議があるというなら、それは誓約書を作成する段階で主張するべきものである。