『新世紀エヴァンゲリオンANIMA』とは、TVアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』を原作とした電撃ホビーマガジンにて連載中の現在唯一の公認エヴァ小説作品である。
概要
TVシリーズ『新世紀エヴァンゲリオン』が完結せずにそのまま継続したらと仮定して、本編の3年後の未来を描く作品。オリジナルスタッフである山下いくとが製作総指揮とイラストを、キャラクターデザインをうたたねひろゆきが担当している。執筆者は2009年9月号までは陰山琢磨。以降は山下いくとに移行し、それに伴い序盤も順次仕立て直されており、冒頭2話が新世紀エヴァンゲリオンANIMAヴィジュアルブックに掲載されている。
アニメ版の登場人物以外に綾波レイのクローンがさらに3人登場するなど新たな登場人物たちを加えて物語は進む。
うたたねひろゆき氏の扉絵イラストが結構エロいよ。
ストーリー
加持リョウジの活躍により、ゼーレの侵攻を事前に察知したネルフ日本本部はゼーレのエヴァ量産機に対抗するために初号機の強化と零号機の再生を進める。9機のエヴァ量産機の急襲に弐号機が応戦するも敗北。弐号機を頂点に空中に生命の木が描かれ、人類補完計画発動の儀式が始まる。だが現れたシンジのF型初号機とレイのF型零号機により量産機は撃退され、人類補完計画は絶たれた。だが、ジオフロントはリリスの発生させた黒い停滞スフィアに飲み込まれ、ネルフ本部の人々もろとも“凍りついて”しまうの。
碇司令をはじめとした多くのスタッフを失いながらも再建されたネルフ本部はゼーレの脅威の消失が定かではないとし、武力を背景にした駆け引きで権限を拡大。ついには他国の支部を切り離し、名をNERV・JPN(ネルフジャパン)として組織を改める。
パイロットたちが17歳の高校生となった3年後、突如として第三新東京市を軌道上から守る「ダモクレスの剣=0・0EVA」の一機が墜落する。
登場人物
エヴァンゲリオンのパイロットたち
- 碇シンジ
第3新東京市立高等学校に通う少年。エヴァ初号機パイロット。
伸ばした髪を後ろで加持のように束ね、スイカ畑を譲り受けていることからアスカには加持のマネと評されている。3年前から人間的にも成長し、エヴァチームの実質上のリーダーを務めるがアスカやレイに質問をする場面も多く、彼女らの尻に敷かれている印象がぬぐえない。γ線レーザーで蒸発させられかけたり、心臓がどっかいったりと死にかけまくる。
- 惣流・アスカ・ラングレー
第3新東京市立高等学校に通う少女。エヴァ弐号機パイロット。
ネルフ本部防衛戦で生還した自信は彼女をより安定した人格に成長させた。エヴァで宇宙に行ったり、弐号機と一体化したり、そのまま敵側の存在になったり、マリに食われそうになったりと酷い目にあう。
- 綾波レイ
第3新東京市立高等学校に通う少女。エヴァ零号機パイロット。
3人のクローン体と精神リンクし、新宇宙戦力である0・0エヴァの運用にも携わるなどネルフジャパンの要ともいえる存在。「3人目の綾波レイ」であることから、他のクローン体たちと区別するためにNo.トロワとも呼ばれる。カトルを皮切りに個性を得ていくクローン達の変化の中で戸惑い、己の存在に悩むようになる。
ある出来事により髪の色が薄いブルーから後頭部に向かって紺、黒のグラデーションとなる。
- レイ・カトル
0・0エヴァ(カトル機)に搭乗する綾波レイのクローン体の一人No.カトル。判別の為に髪が銀髪となっている。
0・0エヴァで軌道上に待機中だったが何者かの精神汚染を受け、軌道上から落下。物語の発端となる。それに伴い本来は芽生えないはずの自己意識を発生させ、自律行動をとるようになる。その後は敵として幾度もシンジたちの前に現れることになる。
- レイ・サンク
0・0エヴァ(サンク機)に搭乗する綾波レイのクローン体の一人No.サンク。判別のために髪がショートカットとなっている。
3人のクローンのうちもっともバランスのとれた能力を有し、トロワ、カトルを超える成長を見せ、綾波シリーズの完成形と評価される。アスカと共に月面のアルマロスを迎撃に向かうが、その途上においてアスカを身を挺して庇い、死亡。豊かな個性を獲得しつつあった彼女の死はレイ(トロワ)に強い衝撃を与えた。
- レイ・シス
0・0エヴァ(シス機)に搭乗する綾波レイのクローン体の一人No.シス。
綾波シリーズの最後期製造品にあたり、12年の休止期間を経て生産再開されたため、外観年齢は5歳児のそれ。しかし、綾波レイ(トロワ)とリンクすることでハイティーンの女性としての経験も有しているため外観と人格との間にギャップが生じている。「チビ波」。
- 洞木ヒカリ
世界を襲ったヒトの塩柱化現象により姉を失う。直後ユーロ軍によって拉致され薬づけで精神を操作されてユーロエヴァ・ウルトビーズのパイロットにされ(エヴァを動かせるチルドレンが希少な為)、シンジの前に立ちはだかる。その後、ウルトビーズの中の魂によって洗脳を解除されるが、ユーロ軍に協力する道を選ぶ。
- マリ
USネルフのEVAパイロット。シスと同年齢程度の女児。猫耳(ケモノ耳)がある。
幼女、猫耳、たまにメガネの多重属性である。にゃあって鳴くよ。
その正体は動物の遺伝子を組み込んだエヴァを動かす為、同じく動物の遺伝子を組み込んで生み出された人工のエヴァパイロット。自身と同様に複数の生物情報を内部に持つアスカエヴァ統合体を目撃した事でUSネルフから逃亡。アスカの様になるべく彼女を捕食しようと行動する。
その姿は真希波・マリ・イラストリアスを幼くしたようなものだが両者の関係は不明。
その他の登場人物
- 葛城ミサト
碇ゲンドウ亡き後(死亡確認されてないけど)、ネルフ司令に就任。補完計画の再始動を防ぐべく、崩壊しかけていたネルフ日本本部を再編、より強固なネルフジャパンへと改組した。拉致られる。そしてネーミングセンスが酷い。エヴァ由来の技術で作られたいつでも絶妙な冷え具合のビールに喜んだとか。酒好きは変わっていなようである。
- 伊吹マヤ
ネルフジャパン技術開発局先端技術部マネージャー。ゼーレ由来の先端技術を評価・統括運用する。情報処理を専攻としているが総合科学にも精通し、エヴァのハード・ソフト両面に活躍する。ネルフ日本本部攻防戦後、愛用しているサングラスは赤木リツコの遺品と言われている。最近では成熟した大人の雰囲気を漂わせていると一部で評判。威力不明のロクでもないトンデモ系な超兵器をシンジに使わせるヒドイ人。
- 鈴原トウジ
参号機の暴走事故で重傷を負うが人造義肢を装備して復帰。チルドレンナンバーは抹消されたがパイロット間の連絡員の様な仕事でネルフに入り浸る。パイロットたちとのコミュニケーション能力を買われて司令代理の要職を務めたりしている。シスのお守も彼の役目。
- 加持リョウジ
ネルフジャパン防諜部所属。3年前のゼーレによるネルフ本部襲撃を事前に察知して政府に働きかけ、自衛隊の突入を防いだ功労者。ゼーレを追っていたがケンスケのせいでゼーレに取り込まれてしまう。ヒゲ。
- 冬月コウゾウ
形而上生物学の研究を再開という名の隠居生活を送っていたが、司令であるミサトが拉致られて混乱極めるネルフジャパンをおさめるためにトウジの嘆願によって引きずり出されることになる。扉絵が超シブイです(復帰時に髪は切りました)。
- 相田ケンスケ
ネルフジャパン情報部。エヴァのパイロットになれなかったという挫折ゆえにやらかしてしまう・・・
- 日向マコト
ネルフジャパン戦闘官制担当。年上指向だそうな。
- 青葉シゲル
ネルフジャパン戦闘官制担当。脅迫はいけません。
- 碇ゲンドウ
補完計画が阻止された際、リリスの展開した謎の黒い結界に巻き込まれた。生死不明だがKIA(戦死)扱い。
本編登場機体
初号機
主人公機らしく大ピンチになったり、超絶強化されたりする。0・0エヴァのγ線レーザーで焼かれた際に一度シンジと同化。復活後はシンジのもう一つの肉体というややこしい状態となり、シンジの動きに合わせて勝手に動いたりする問題が生じた。初号機の得た“心臓”は物語の中で重要な意味を持つことになる。
- 初号機F型改
「A.T.フィールド偏向制御運用実験機」の俗称。複数の使徒級兵器による攻撃を想定して開発された強化型EVA。
機体全面にATフィールドを展開する事で装甲を強化し、両肩にATフィールド技術を応用した高出力指向性電撃投射兵器「インパクトボルト」を装備して攻撃力を増強している。本来はゼーレの意向により火器の運用ができないが、ネルフ本部は秘密裏に火器運用を可能なように改修、ネルフ日本本部防衛戦に投入された。
- スーパーエヴァンゲリオン
その名の通りスーパーなエヴァンゲリオンで通称S・エヴァ。
カトル襲撃戦において大破した初号機F型改は初号機自身による独自修復を開始、予想を超える初号機の進化に合わせて技術部はそれまで検討していた改修案を捨て、実証中の数々の実験装備まで投入して完成した。
γ線レーザーの直撃を胸部に受け、形態を失い初号機と溶け合っていたシンジの心臓がコアと融合していたS2機関と同化。復活した初号機、S・エヴァのS2機関“心臓”は高次元の窓となり無制限に重力子を供給。S・エヴァに物理法則すら捻じ曲げる驚異的な力を与える。
F型に比べると機械的で細身だがATフィールドによる装甲強化によって防御力も強化されている。
零号機
ネルフ本部防衛戦時にF型に改修され、以降長期にわたってそのまま運用され続ける。片腕片足を切り落としたまんまなのは不憫だが、とんでもない事態に襲われる続ける他の機体に比べれば扱いはましかもしれない。でも活躍は地味。
- 零号機F型
アルミサエル戦で大破し、試作零号機パーツで修復中の零号機にF型装甲を組み込むことで再生した強化型EVA。切り落とした右腕部に超遠距離型ATフィールド兵器「沈下型領界侵攻銃(フィールドシンカー)=天使の背骨」を装備し狙撃専用に特化している。強力な装甲と超射程の砲撃力により、零号機F型単機でのヤシマ作戦の再現が可能。右足は安定用のスキッド状義足となっており機動性が低い。トロワ以外にシスも搭乗する。
- 零号機F型・アレゴリカ
戦力低下を補うべく零号機を拠点防衛用から汎用型に改装するべくアレゴリカ装備を施した機体。天使の背骨はそのままに機動力を高めている。右前脚は義足。パイロットはトロワではなくシス。
零号機試製Ⅱ式改・領域制圧機「0・0EVA」
零重力運用型エヴァンゲリオン零号機。宇宙用に特化したステージ2仕様のエヴァンゲリオン。ネルフ日本本部防衛戦で鹵獲した量産機の残骸に試作零号機パーツを移植して実戦化した機体。3機が中軌道に位置し、常にそのうち1機が第三新東京市空域を攻撃可能範囲とする宙域に駐留する。軌道上からのS2機関の大出力を利用した高出力レーザー超遠距離射程射撃により2年にわたり日本本部への外敵の侵入を防いできた守りの要。
- 0・0EVAカトル機
三機の0・0EVAのうちレイ・No.カトルが搭乗する機体。
墜落事件の際にその外観を大きく変形させており、とさか状の頭部、右腕にとりこまれたガンマ線レーザー、胴体にS2機関が同化といった怪物的変貌をみせる。その胸にはQRシグナムが確認されている。
地上ではパイロット未搭乗で自律行動しており、機体自体のアーキテクチャも別種のものになっていると予想されている。さらにはエンジェルキャリヤーを取り込んで翼まで獲得する。
弐号機
TV本編同様に量産機にボッコボコにされた上に初号機の代わりに生命の木にされかかる。損傷が大きかったため以降はⅡ式へと改良され、さらに宇宙へ行く為にアレゴリカへと換装。その後、宇宙では・・・と初号機とはまた別に数奇な変遷をたどる機体。唯一、劇中でF型を使用していないが装備自体は換装可能で一応用意されている。とはいえ弐号機の現状から登場する見込みは今のところない。
- 弐号機II式
ネルフ本部防衛戦時に中破した弐号機を40%新造して大改修した機体。視神経の損傷復旧が見込めなかったため、眼が四つ目から二つ目に変更されている。拘束具は機体の追従性が良好なステージ2仕様となり、動力系をアンビリカルケーブルによる有線からマイクロウェーブによる無線式として機動性を向上させている。
- 無限航続型強行偵察仕様弐号機II式UX1-Allegorica(EVA02・アレゴリカ)
月でのアルマロス索敵殲滅のため先進技術をつぎ込んで改修された弐号機。外見上の特徴は「四足獣」であること。直立した弐号機の後部にペイロード・ベイである胴体があり、それを支える後肢を持つ。作中ではギリシャ神話のパンと形容されるが翼を持つ四足の姿はどちらかというと射手座の黄金聖衣に灰をぶちまけた感じ。
N2リアクターを複数基搭載し冗長性と大出力を確保。翼状のN2揚力場スラスターにより、飛行・推進する。
月の色に合わせたグレーのカラーリングだが顔面のみ赤。
回復可能と思われていた旧複眼の視神経が再生したため、基本四眼マスクに戻っている。
- アスカエヴァ統合体(クリムゾンA1)
弐号機とアスカが月面で過去世界すべての生命情報を流し込まれた際、膨大な情報からアスカを守るべく弐号機が自身にアスカの生体情報を上書きし、統合した姿。見た目もエヴァとアスカが混ざっており、女性的な姿でエロいが行動は物を知らぬ赤子のよう。アレゴリカの時はグレーだった色がアスカのパーソナルカラーの赤に戻っている。後に黒い鞭状の物体に異空間に引きずり込まれて消息を絶つ。
エヴァンゲリオン・EUROⅡ・ウルトビーズ
ネルフドイツによって建造されたアレゴリカの翼を持つ白い弐号機といった外見のエヴァンゲリオン。弐号機のTESTボディに相田ケンスケにより漏えいしたステージ2拘束装甲とアレゴリックウイングを組み込み、敵の技術であるQRシグナムまで装備している。
パイロットは洞木ヒカリ。初登場時はS・エヴァと敵対する。
機体からヒカリにアスカを助けるよう求める声があり、ヒカリはそれをアスカの母親の魂だと考えている。
USエヴァビースト/ウルフパック
人の姿を廃し、獣の姿を取るUSA製エヴァ。
3年前にネルフ本部を襲撃した量産型EVAの屍がベースと見られ、QRシグナムの力で動く、四足歩行のエヴァ。
パイロットとエヴァに組み込まれた動物因子の影響により、ウルフパック/群狼のコード名の如く、獣の群れの様なフィールドを発生させる。さらに幼生使途ラミエルを内蔵していたキャリヤーのQRシグナムを喰らう事でラミエルの加粒子砲を獲得した。
エンジェルキャリヤー
ネルフ本部攻防戦において捕縛され、その後行方不明になっていたEVA量産機の残骸。ウロコ状のデバイス「QRシグナム」によってエネルギーを量子ジャンプ供給され操られる事で「死体」を動かしていると予測されている。ATフィールドとは違うシールド能力を持ち、それによってステルス性を獲得しているほか、腹部の繭状コンテナの中に使徒の一部、幼生を有している。エンジェルキャリヤー2、3と強化され続け、雑魚キャラ扱いだがやたら強かったりもする。
アルマロス
月面に現れた黒いエヴァ型の機体。体表には判読不明の線模様が浮かぶプレート・QRシグナムが多数あり、鋭角の多い戦闘的な姿をしている。頭部には頭頂部に直列に並んだ2本の角、背後には後光のような完璧な円を描く美しい金色の輪、眼には頭部全面を覆うゴーグルがあり下にツインアイが隠れている。その体躯は初号機を超える巨大なものであり、背後に2枚のプレートを持つ。
人類を滅ぼすべく行動している現状のラスボス。
ヴィクター(トーヴァート)
アルマロスが従える2体の巨人。形状がアルマロスに似ている黒いエヴァ型の機体で背のプレートは1枚のみ。サイズは初号機と変わらない。2機が背中のプレートを合わせる事で次元の扉を形成できる。
1体が倒された際にアルマロスのプレートが1枚に減っており、何らかのつながりがあると思われる。ヴィクターはネルフジャパンのトーヴァートはユーロのコード名。
- トーヴァートα
次元の扉の内側でもう一体と共にS・エヴァと戦いその強さを見せつける。が、マヤがS・エヴァに取り付けていたロクでもない新兵器が勝手に動いて粉砕された。
- トーヴァートβ
S・エヴァから奪ったシンジの心臓を有し、自身がシンジであるとして行動。S・エヴァおよびシンジに対し「身体を返せ」と呼びかけている。
- トーヴァートα1(クリムゾンA1)
アスカエヴァ統合体(クリムゾンA1)がシンジの心臓を持つトーヴァートβをシンジと認識してその誘いに乗り、トーヴァートα1となった姿。色が半分黒く変わり、後背にトーヴァートのプレートを持つ以外は大きな形態の変化はない。シンジ(トーヴァートβ)を守るように行動し、クリムゾンA1の頃と振る舞いには大差がない。
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