歌ったらあかん歌なんかあるわけないんだ！

「歌ったらあかん歌なんかあるわけないんだ！」とは、映画『パッチギ！』に登場するラジオディレクターの台詞である。

概要

この歌とは、南北分断後の北朝鮮で作られた民謡『イムジン河』のこと。
主人公の松山康介は在日朝鮮人のキョンジャと仲良くなるために本曲を覚え、その演奏が通りすがりのラジオディレクターに評価されたことで、ラジオ『勝ち抜きフォーク合戦』でイムジン河を生演奏することになったのだが、当時日本においてイムジン河は放送禁止楽曲となっていた。^[1]

これを聞きつけたプロデューサーは、放送を止めるためにレコーディング室に乗り込み、ラジオディレクターを問い詰める。

お前何考えてんねん。

仕事してるだけですよ…。

こいつの歌が、北朝鮮の歌なんや。

北朝鮮？何なんすか、んな名前の国、どこにあるんすか。^[2]

発売も、放送も、禁止されとるんやぞあほ！

(中略)

朝鮮総連、韓国公安、最後には警視庁のトップと、内閣調査室までが、東芝レコードさんに乗り込んできてやな、これは要注意歌謡曲になってんやぞ！

表現の自由でしょう…。

サラリーマンに自由なんかあるかい…。

日本国憲法知らないんすか？

憲法なんかどうでもええ！

馬鹿！どんな理由があろうとな、歌ったらあかん歌なんかあるわけないんだ！
この銀河系のどこを探してもな、天体望遠鏡で見渡してもな、そんなものはどこにもないんだよ！

日本人と朝鮮人の交流を扱った本作において、この台詞はまさに本作のメッセージの一つであるといえる。
ミュージシャンの大友康平による力強い演技も、このメッセージの説得力となっている。

この後、二人の話し合い(物理)によってその場は丸く収まり、康介はイムジン河を熱唱。これがキョンジャ達の心を変えることになる。

関連動画

関連項目

• パッチギ！
• 映画作品の台詞の一覧
• バキバキ童貞ニキ　本シーンの台詞(「禁止されとるんやぞ」の部分)のパロディを自身のLINEスタンプに起用している。

脚注

1. *本曲の原曲の2番は「韓国より北朝鮮の方が優れている」という喧嘩腰な歌詞となっており、放送禁止は余計な波風を立たせないための配慮と思われる。なお、康介のモデルとなった松山猛は原曲の歌詞を1番しか知らず、2番以降は自ら作詞していた。
2. *北朝鮮とは国名ではなく地域に対する呼称(＝朝鮮民主主義人民共和国という国家を認めていない)である。