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画像生成AIとは、テキストなどの入力から画像を自動生成する人工知能技術である。

概要

画像生成AIは、機械学習の一種である深層学習を用いて、テキストプロンプト(文章による指示)や既存の画像から新たな画像を生成する技術である。2022年以降、一般ユーザーが利用可能なサービスが急速に普及し、イラスト制作、デザイン、創作活動など幅広い分野で使用されるようになった。

従来のコンピュータグラフィックスとは異なり、AIが学習したデータをもとに画像を「生成」する点が特徴である。ユーザーは詳細な描画スキルがなくても、適切な指示(プロンプト)を与えることで、高品質な画像を得ることができる。

歴史と発展

初期の研究(2014年〜2020年)

画像生成AIの基礎技術として、2014年にGAN(Generative Adversarial Network:敵対的生成ネットワーク)が発表された。この技術により、AIによる画像生成の可能性が大きく広がった。

実用化の始まり(2021年〜2022年)

2021年にOpenAIが「DALL-E」を発表し、テキストから画像を生成する技術が注目を集めた。2022年には複数の画像生成AIサービスが一般公開され、急速に普及が進んだ。

大衆化と議論(2023年以降)

高性能な画像生成AIが誰でも使えるようになったことで、創作活動における新たな可能性が開かれた一方、著作権や倫理に関する議論も活発化した。

主要な画像生成AI

Stable Diffusion

2022年8月にStability AIが公開したオープンソースの画像生成AI。無料で利用でき、ローカル環境での実行も可能なため、最も普及している画像生成AIの一つである。高いカスタマイズ性が特徴。

Midjourney

Discordを通じて利用する画像生成AI。芸術的で独特な画風の画像生成に定評がある。有料サービスとして提供されている。

DALL-E

OpenAIが開発した画像生成AI。2021年に初代、2022年にDALL-E 2、2023年にDALL-E 3が公開された。高い精度と安全性への配慮が特徴。

NovelAI Diffusion

小説AI執筆サービス「NovelAI」が提供する画像生成機能。アニメ・イラスト調の画像生成に特化している。

主要な技術と用語

プロンプト(Prompt)
画像生成AIに対して与える文章による指示。どのような画像を生成したいかを記述する。プロンプトの工夫により、生成される画像の品質や内容が大きく変化する。
LoRA(Low-Rank Adaptation)
AIモデルに追加学習を行うための技術。特定のキャラクター、画風、オブジェクトなどを学習させることで、元のモデルでは生成できなかった画像を生成可能にする。比較的少ないデータと計算資源で学習できる点が特徴。
Inpainting(インペインティング)
既存の画像の一部を指定して、その部分だけをAIに再生成させる技術。画像の修正や部分的な変更に使用される。
Outpainting
既存の画像の外側を拡張して、画像の範囲を広げる技術。画像の続きをAIが想像して描き足す。
img2img(Image to Image)
既存の画像を入力として、それをもとに新しい画像を生成する手法。元画像の構図や雰囲気を保ちながら、別の画風や内容に変換できる。
ControlNet
生成される画像のポーズ、構図、線画などを細かく制御するための拡張技術。より意図した画像を生成しやすくなる。
ネガティブプロンプト
生成したくない要素を指定するプロンプト。「低品質」「手の崩れ」など、避けたい要素を記述することで、生成画像の品質を向上させる。
seed値
画像生成時の乱数の初期値。同じseed値と同じプロンプトを使用すれば、同じ画像を再現できる。

社会的議論

画像生成AIの急速な普及に伴い、創作活動における倫理や法律に関する議論が活発化している。

著作権に関する議論

AIが学習に使用するデータや、AIが生成した画像の著作権について、様々な意見が存在する。日本の文化庁は、AIによる学習は著作権法第30条の4(著作物に表現された思想又は感情の享受を目的としない利用)により、原則として著作権侵害にあたらないとの見解を示している。ただし、生成された画像が既存の著作物と類似している場合や、特定の著作物を意図的に再現しようとした場合には、著作権侵害となる可能性がある。

反AI運動

画像生成AIの普及に対して、一部のクリエイターや支援者から批判的な意見が表明されている。主な懸念として、創作活動への影響、著作権の問題、AIによる雇用の喪失などが挙げられる。

一方で、こうした批判に対しては、既存の法的枠組みで対応可能な問題が多いとの指摘もある。例えば、無断で特定の作家の作風を模倣して商業利用する行為は、AI利用の有無にかかわらず著作権法や不正競争防止法で規制される可能性がある。また、キャラクターの無断使用なども、従来の二次創作と同様の法的問題として扱われる。

このような状況から、AI技術そのものの是非ではなく、技術の適切な使用方法や、クリエイターの権利保護のあり方について、建設的な議論が求められている。

技術に関する誤解

画像生成AIに対する批判の中には、技術的な誤解に基づくものも見られる。

データセットと画像の保存

「AIのデータセットには学習した画像がそのまま保存されている」という主張があるが、これは画像生成AIの仕組みに対する誤解である。実際には、AIは画像そのものではなく、大量の画像から抽出したパターンやデータの特徴を学習している。

仮に画像をそのままデータとして保存した場合、その容量は膨大なものとなる。例えば、Stable Diffusionの学習に使用されたとされるLAION-5Bデータセットには約50億枚の画像が含まれるが、1枚あたり平均5MBと仮定しても、総容量は約25ペタバイト(25,000テラバイト)に達する計算になる。これは現在存在するどのような圧縮技術を用いても、個人のパソコンで扱える規模ではない。

実際のStable Diffusionのモデルファイルは数ギガバイト程度であり、これは画像を直接保存しているのではなく、学習によって得られた重み付けパラメータ(数学的なデータ)のみを保存しているためである。このパラメータから、AIは新たな画像を「生成」する。

この仕組みは、人間が絵を学ぶプロセスに似ている。画家は多くの絵画を見て学ぶが、見た絵を頭の中に写真のように保存しているわけではなく、描画の技法やスタイルの特徴を理解している。AIも同様に、画像の特徴やパターンを学習しているのであり、元画像を取り出すことは基本的にできない。

関連項目

  • AIイラスト
  • 機械学習
  • 深層学習
  • 人工知能
  • GAN
  • Stable Diffusion
  • Midjourney
  • DALL-E
  • NovelAI
  • 著作権
  • 二次創作
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