白鳥(列車)とは (ハクチョウとは) [単語記事]

白鳥とは、国鉄→JR西日本・JR東日本・JR北海道で運行されている列車名である。

概要

青森県のローカル準急の時代もあったが白鳥の名称は大阪～青森間の長距離特急のイメージが強いであろう。

サンロクトオのダイヤ改正で大阪～青森・上野間に設定された特急白鳥はキハ80系の6+6の12両で運行され途中の直江津駅で青森編成と上野編成が切り離されていた。両方の編成に食堂車の設備があり、大阪～直江津間は食堂車が2両も連結される異例の事態となった。ちなみに食堂車2両は上野～福島～秋田・盛岡間つばさや京都～小倉～長崎・西鹿児島間かもめ等でも行われていた。

大阪～青森間はおよそ15時間45分程で結ばれ、従来の夜行急行日本海に比べ約7時間半も短縮することになる。青森駅では上野からの東北本線特急はつかりと共に、青函連絡船の先では同じくサンロクトオで設定された北海道初の特急おおぞらと接続するダイヤが組まれていた。

大阪～上野間は12時間半程で結ばれたが、関西～東京間は東海道本線特急つばめ・はと・こだま・ひびき・富士や東海道本線急行・準急の方が速いので大阪～北陸と北陸～東京の特急としての意味合いの方が強く、大阪～青森間の編成増強もあってすぐに金沢～上野間の特急はくたかとして分離される事となる。

設定当初は停車駅を巡って色々とあった。加賀市内の停車駅が中心部の大聖寺駅と片山津温泉・山代温泉の玄関口の動橋駅で争奪戦となり、結果上下で停車駅が違う事となる。直江津駅の大阪寄りにある能生町の能生駅では、当時北陸本線は単線であり行き違いが必要であった為に能生駅で運転停車する事となったが、何故か一部の時刻表には能生駅停車と書かれており町民が下車客を歓迎しようとして扉が開かず発車する特急白鳥を見送るという俗に言う能生騒動もあった。現在こそ新津駅は新潟市であるが当時は新津駅は新津市に所属していたので人口30万強で日本海側一の都市である新潟市を経由しないなどもあった。

また、特急同士の接続が考慮されていた。秋田駅で奥羽本線特急のつばさと接続しており、特に上りは青森発大阪行2002D白鳥と秋田発上野行6Dつばさのキハ80系が秋田駅を8時10分に同時発車するという光景も見られた。これからつばさの名称の由来は「白鳥の翼」という説もある。

6+6両の気動車で運行開始してからはくたか分離後には大阪～新潟間14両・新潟～青森間10両にまでに編成増され、電車化されたり湖西線開業で運行区間が僅かに短縮されたり一時期2往復になったりしたが設定から40年弱ずっと大阪～青森間の1往復特急であった。しかし航空機や新幹線の発達により最早在来線長距離特急は不要の物となっていて新世紀に入るとついに日本一の在来線長距離特急白鳥は運行区間を三分割する事により廃止されてしまった。ちなみに新潟～酒田・秋田間が主な運行区間である特急いなほに東北新幹線新青森開業まで1往復だけ新潟～青森間の運転があったのは白鳥分離の影響であり、この列車が存在していた期間はいなほが昼行在来線特急の最長運行距離を所持していた。

さて東北新幹線念願の青森県乗り入れに伴い、従来盛岡～青森・函館間を運行していたはつかり・スーパーはつかりは廃止される事となり、新しく新幹線接続特急として八戸・青森～函館間の特急列車として白鳥の名称は復活する事となった。青森～函館間を運行していた快速海峡の分も吸収して津軽海峡線を通る昼行特急列車は一挙に3往復から9往復に大増発され、津軽海峡線を通る唯一の昼行列車となった。これから青函トンネルの前後にある蟹田～木古内間では快速含む普通列車が無くなったので、この区間のみ乗車する場合には特急券が不要になる特例が設けられている。

JR北海道の789系が使用される列車はスーパー白鳥・JR東日本の485系が使用される車両は白鳥を名乗っている。東北新幹線新青森開業までのダイヤで上下の本数が違っていたのは、間合いで八戸～青森間の特急つがるに使用されていたからである。

2010年の東北新幹線新青森開業で白鳥・スーパー白鳥の名称は、合計の本数は1o往復のまま運行区間が新青森～青森～函館間の特急となり、同時に新青森～青森間の1駅のみ特急列車自由席利用の場合は特急券不要の特例も設けられているが、同区間を青春18きっぷで特急列車に乗る事は出来ない。これに伴い青森駅発着の白鳥・スーパー白鳥は臨時列車を除き消滅している。ちなみに、この運行区間は青函トンネル開業当初に運行されていた快速海峡とほとんど大差が無い。

資料集

日本海縦貫特急白鳥廃止直前

列車種別: 特別急行
運行会社: 西日本旅客鉄道（JR西日本）; 東日本旅客鉄道（JR東日本）
運行区間: 大阪駅～新潟駅～青森駅（新潟駅で方向転換・1059.7km）
経由線区: 東海道本線（大阪～山科間）; 湖西線（山科～近江塩津間）; 北陸本線（近江塩津～直江津間）; 信越本線（直江津～新潟間）; 白新線（新潟～新発田間）; 羽越本線（新発田～秋田間）; 奥羽本線（秋田～青森間）
使用車両: 485系9両編成
発車時刻: 大阪駅10:12; 青森駅6:11
所要時間: 12時間47分～12時間55分
列車番号: 下り5001M（大阪～新潟間）・5011M（新潟～青森間）; 上り5012M（青森～新潟間）・5002M（新潟～大阪間）
最終運転日: 2001年3月2日

停車駅

▲は大阪行のみ停車、■は青森・上野行のみ停車。参考として下段に運行開始時の大阪～青森間の停車駅も記載。

JR西日本区間

駅名	大阪駅	新大阪駅	京都駅	米原駅	近江今津駅	敦賀駅	武生駅	鯖江駅	福井駅	芦原温泉駅	大聖寺駅	加賀温泉駅	動橋駅	小松駅	松任駅	金沢駅	高岡駅	富山駅	魚津駅	糸魚川駅	直江津駅
2001年	●	●	●		▲	●	●	▲	●	●		●		●	▲	●	●	●	●	●	●
1961年	●		●	●		●			●		■		▲			●	●	●			●

JR東日本区間

駅名	直江津駅	柏崎駅	長岡駅	東三条駅	新津駅	新潟駅	新発田駅	中条駅	坂町駅	村上駅	あつみ温泉駅	鶴岡駅	酒田駅	象潟駅	仁賀保駅	羽後本荘駅	秋田駅	東能代駅	鷹ノ巣駅	大館駅	弘前駅	青森駅
2001年	●	●	●	●	●	●	●	●	●	●	●	●	●	●	●	●	●	●	●	●	●	●
1961年	●		●		●							●	●				●			●	●	●

海峡線特急白鳥

列車種別: 特別急行
運行会社: 東日本旅客鉄道（JR東日本・白鳥）; 北海道旅客鉄道（JR北海道・スーパー白鳥）
運行区間: 新青森駅～青森駅～函館駅（青森駅で方向転換・164.7km）
経由線区: 奥羽本線（新青森～青森間）; 津軽線（青森～新中小国信号場間）; 海峡線（新中小国信号場～木古内間）; 江差線（木古内～五稜郭間）; 函館本線（五稜郭～函館間）
使用車両: 485系6両編成（白鳥）; 789系6両編成（スーパー白鳥）
発車時刻（Sはスーパー白鳥）: 新青森駅8:08（93号）・9:13（S95号）・10:16（S11号）・11:35（S15号）・13:03（S19号）・14:41（23号）・15:38（S25号）・16:41（S27号）・18:41（S31号）・19:38（S33号）; 函館駅7:24（S20号）・8:08（S22号）・10:17（S26号）・11:19（28号）・12:04（S30号）・13:56（S34号）・15:55（S40号）・17:07（S42号）・18:19（96号）・19:19（S98号）
所要時間: 2時間2分～2時間25分
列車番号: 4000M+号数（11号なら4011M・98号なら4098M）

停車駅

下り	新青森駅	青森駅	蟹田駅	津軽今別駅	知内駅	木古内駅	五稜郭駅	函館駅	上り	函館駅	五稜郭駅	木古内駅	知内駅	津軽今別駅	蟹田駅	青森駅	新青森駅
白鳥93号	●	●	●	●	●	●	●	●	S白鳥20号	●	●	●			●	●	●
S白鳥95号	●	●	●			●		●	S白鳥22号	●	●	●	●		●	●	●
S白鳥11号	●	●	●			●		●	S白鳥26号	●	●	●			●	●	●
S白鳥15号	●	●	●			●		●	白鳥28号	●		●		●	●	●	●
S白鳥19号	●	●	●			●		●	S白鳥30号	●		●			●	●	●
白鳥23号	●	●	●	●		●		●	S白鳥34号	●		●			●	●	●
S白鳥25号	●	●	●			●		●	S白鳥40号	●		●	●		●	●	●
S白鳥27号	●	●	●			●	●	●	S白鳥42号	●		●			●	●	●
S白鳥31号	●	●	●		●	●	●	●	白鳥96号	●		●		●	●	●	●
S白鳥33号	●	●	●			●	●	●	S白鳥98号	●	●	●			●	●	●
合計	10	10	10	2	2	10	4	10	合計	10	4	10	2	2	10	10	10

列車名の由来

渡り鳥の白鳥から。

列車名の変遷

準急白鳥

1960年10月　八戸線鮫～青森～秋田間を準急白鳥が設定される。

1961年9月　日本海縦貫特急の名称が白鳥に決定していた事から準急岩木に名称変更となる。

日本海縦貫特急白鳥

1961年10月　大阪～青森・上野間に特急白鳥が設定される。
停車駅は大阪 - 京都 - 米原 - 敦賀 - 福井 - 大聖寺（上野・青森行のみ） - 動橋（大阪行のみ） - 金沢 - 高岡 - 富山 - 直江津 - 長岡 - 新津 - 鶴岡 - 酒田 - 秋田 - 大館 - 弘前 - 青森と直江津 - 長野 - 軽井沢 - 横川 - 高崎 - 上野

1965年10月　金沢～上野間の列車を特急はくたかとして分離した事から特急白鳥は大阪～青森間を単独運転する特急となる。また同時に新潟駅経由になる。

1975年3月　湖西線経由となる。

1982年11月　金沢～青森間の急行しらゆきを福井～青森間の特急白鳥に格上げし白鳥は2往復になる。

1985年3月　福井～青森間の特急を北越・いなほに分離。白鳥は再び大阪～青森間の1往復になる。

2001年3月　大阪～富山間は雷鳥・金沢～新潟間は北越・新潟～青森間はいなほに分離され白鳥は一旦廃止される。

海峡線特急白鳥

2002年10月　東北新幹線八戸開業のダイヤ改正で特急白鳥は八戸～函館間4.5往復・青森→函館間1本の計5往復・スーパー白鳥は八戸～函館間4往復の計9往復設定される。
停車駅は下り八戸（8/8） - 三沢（8/8） - 野辺地(8/8) - 浅虫温泉（5/8） - 青森(9/9) - 蟹田(7/9) - 津軽今別(2/9) - 竜飛海底(2/9) - 吉岡海底(3/9) - 知内(2/9) - 木古内(7/9) - 五稜郭(3/9) - 函館(9/9)・上り函館(9/9) - 五稜郭(3/9) - 木古内(8/9) - 知内(2/9) - 吉岡海底(4/9) - 竜飛海底(2/9) - 津軽今別(2/2) - 蟹田(6/9) - 青森(9/9) - 浅虫温泉(4/9) - 野辺地(7/9) - 三沢(7/9) - 八戸(9/9)

2006年3月　大阪～函館間を運行していた寝台特急日本海の青森～函館間分離に伴い、白鳥は八戸→函館間2本・青森→函館間2本・函館→八戸間4本の計4往復・スーパー白鳥は八戸～函館間5.5往復・函館→青森間1本の計6往復の合計10往復に増発。

2010年12月　東北新幹線新青森開業のダイヤ改正で新青森～青森～函館間に特急白鳥2往復・スーパー白鳥8往復の計10往復に運行区間変更。